2025年11月3日   

抹茶をおいしくする小さなひと手間 ─ 「抹茶ふるい」選びで、儀式から日常へ

芳香園 - 抹茶専用 抹茶ふるい

抹茶を自宅で楽しむのにも、どうしてもお茶を点てる道具が必要になります。

  • 抹茶椀:お茶を飲むための器
  • 茶筅(ちゃせん):抹茶、お湯、空気を撹拌する
  • 茶杓(ちゃしゃく):抹茶をすくうための道具
  • 抹茶篩(ふるい):抹茶を点てやすくするために、粉を均一にほぐす道具
  • 湯冷まし:抹茶を点てやすい温度に整えるための器

こうして並べてみると、道具の多さに少し身構えてしまいます。

この中で、自宅で抹茶を点てるときにも代えが利かないのが、茶筅(ちゃせん)と抹茶篩(ふるい)です。

抹茶篩(ふるい)は、抹茶の粉を細かく均一にして、なめらかな一服に整えるための道具です。点てる前に抹茶をふるうと、粉が細かくなるためお湯とよく混ざり、空気を含みやすくなって、口当たりがやわらかく、まろやかなお茶を楽しめます。

以前は下記の抹茶篩缶(ふるいかん)を使っていましたが、一回分のお茶をふるうには不便だし、抹茶篩缶の掃除も手間でした。

抹茶を点てる時間が特別であるのは確かですが、それでも、もう少し気軽に楽しめたらと思い、 茶こしタイプの抹茶篩にしました。


茶こしタイプの抹茶篩

抹茶篩缶と違って、毎回飲む分だけをふるいにかけられるのが、茶こしタイプの良さです。「日常的に抹茶を楽しむ」には、このタイプがいちばん気軽で扱いやすいでしょう。

形状は茶こしに似ていますが、抹茶篩は網目がより細かく、抹茶をなめらかなパウダー状に整えることができます。ただし、あまりに細かいと目詰まりしてしまいます。

芳香園 - 抹茶ふるいの適度なメッシュ

この抹茶篩は具体的なメッシュ数の記載こそありませんが、「抹茶をふるうのに最適なメッシュ幅を採用。」とあり、ちょうど良いパウダー状に仕上がります。

芳香園 - 抹茶ふるい でパウダー状の抹茶

日本製(新潟県燕市)で、素材は18-8ステンレス。18-8ステンレスとは、クロム18%、ニッケル8%を含む高品質なステンレスで、錆びにくく、においが移らず、手入れも簡単です。


🍵 茶こしタイプ抹茶篩の使い方

茶こしタイプの抹茶篩は使い方が簡単です。

  1. 抹茶椀の上にセットする

     抹茶椀の上に直接、抹茶篩をのせます。

  2. 抹茶を入れる

    茶杓2杯分(薄茶1杯分)を目安に、茶こしの中に抹茶を入れます。

    芳香園 - 抹茶ふるい 茶杓2杯の抹茶
  3. 軽く押しながらふるう

    茶杓の背で抹茶をやさしく押しながら金網を通します。無理にこすらず、撫でるように動かすと粉が均一になります。

    芳香園 - 抹茶ふるい でふるう
  4. 使用後は軽く洗い、しっかり乾かす

    金網に残った粉を軽く叩いて落とし、水ですすいでからよく乾かします。

これでお茶を点てる準備が完了です。あとは、お湯を注ぐだけです。但し、熱湯をそのまま使うと香りや味が損なわれてしまうため、ここでひと呼吸置いて、お湯を少し冷まします。


お湯を注ぐ前に冷ますことが大切

抹茶を点てるときは、熱湯をそのまま使うよりも、少し冷ましたお湯の方が味がやわらかくなります。熱すぎるお湯は抹茶の香りを飛ばし、苦味を強くしてしまうからです。

もちろん温度調整ができるケトルがあれば、湯冷ましは不要です。BALMUDA MoonKettle ー ちょっと焦がれています。鉄瓶を思わせるデザインは、抹茶を点てる所作にもよく似合います。

BALMUDA MoonKettleは50-100℃までを1℃単位で調節できる優れもの。一般的には抹茶を点てるときには、80℃前後で点てると、抹茶の甘みと香りが最も引き立つとされていますが、宇治抹茶などは、少し低めの温度の方が甘みが引き立ちます。

また、80℃といっても、実際に抹茶椀にお湯を注ぎ、茶筅で点てている間に温度は下がるので、お茶をいただく頃には、およそ70〜75℃前後になっています。

BALMUDA MoonKettleがなくても、湯冷ましを使って温度を整えることで、抹茶の粉がお湯になじみやすくなり、まろやかな泡と穏やかな香りが立ち上がります。ぜひ、自分好みの温度を探してみてください。


湯冷ましの使い方

お湯を冷ますといっても、難しいことはありません。沸騰させたお湯を湯冷ましに移し、湯気が落ち着くまで少し待つだけ。

陶器の湯冷まし(容量150-200ml程度)なら、1分でおよそ10〜15℃下がると考えるとわかりやすいです。室温が低い冬は早く、夏はゆっくり下がります。

以前は、陶器の片口の酒器(注器)を湯冷ましとして使っていました。

徳利型 片口 湯さまし

こちらの湯冷ましは、徳利(とっくり)型の片口です。

完全に主観ですが、持ち手のない湯冷ましの方が可愛い。お椀型の湯冷ましもありますが、かもしか道具店の湯冷ましは、どこか愛嬌のあるデザインです。

いまは、「静かな時間を淹れる珈琲道具 ― セラミックフィルターとドリップポット」で紹介したCORESトリップポットを、抹茶を点てるときにも使っています。

cores ドリップポット C470

抹茶を点てるときは、お湯を一気に入れるよりも、少しずつ注いで混ざり具合を調えるのが理想的。

注ぎ口が細く、湯量をコントロールしやすいCORESトリップポットは、その点でとても使いやすい道具です。

和洋折衷ですが、、。


抹茶の立て方

お湯は2段階で注ぎ、最後に表面を整えると、きれいな泡が立ちます。

  1. お湯を注ぐ

    茶杓2杯分の抹茶に対して、お湯は約60〜70mlが目安です。はじめに少量(20mlほど)を注ぎ、ペースト状になるまで茶筅でやさしく混ぜます。

    20mlの湯でペースト状に混ぜる

    そのあと、残りのお湯を静かに注ぎ入れます。

    cores ドリップポットで残り40mlの湯を注ぐ
  2. 茶筅で点てる

    茶筅を軽く立てて、手首を使って前後にすばやく動かすようにします。「M」または「W」を描くように動かすと、きめ細かな泡が立ちます。

  3. 表面を整える

    茶筅を少し持ち上げるようにして、「」を書くように表面を整えます。最後に中央からそっと茶筅を持ち上げると、こんもりとした泡に仕上がります。

    抹茶のクレマ

空気が混ざって生まれる微細な泡の層は、香りを閉じ込め、苦味をやわらげ、味をまろやかにします。それは、エスプレッソのクレマとよく似た役割です。


抹茶が危機的状況に、、

抹茶のもととなる茶葉は、碾茶(てんちゃ)です。

世界的な抹茶ブームを背景に、碾茶の生産量は増えているものの、需要に追いつかず、価格は年々高騰しています。

北米やヨーロッパ、中東などでも抹茶人気が広がり、輸出が増えたことで、国内の茶問屋や製茶業者の仕入れ価格にも影響が出ています。碾茶の価格は、この5年でおよそ2倍近くに上昇しました。

一方で、主産地の宇治(京都)・西尾(愛知)・八女(福岡)だけでなく、知覧(鹿児島)や静岡といった“煎茶どころ”でも、抹茶の原料となる碾茶づくりに力を入れる動きが広がっています。

煎茶は日光をたっぷり浴びて育てることで、爽やかな香りとほどよい渋みを生みます。一方、碾茶は収穫の20日前後から日光を遮る「覆下(おおいした)栽培」で育てられ、渋みを抑え、旨味成分(テアニン)を多く残す特別な茶葉です。

この碾茶を石臼で挽いたものが、私たちが口にする抹茶になります。


価格変動していない鉄瓶、、、

鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかで、白湯として飲んでもとても美味しいです。抹茶だけでなく、日本茶、紅茶、珈琲など、どんな飲み物でもひと味違う一杯に仕上げてくれます。

空間鋳造 鉄瓶 EGG 大 - 沸騰する鉄瓶

10年前に一目惚れして手に入れた空間鋳造 鉄瓶 EGG 大は、いまも現役で活躍中です。正確な値段は覚えていませんが、たしか3万円ほどだったと思います。

空間鋳造 鉄瓶 EGG 大 と 抹茶椀

鉄瓶は長く使える道具なので、決して高い買い物ではありませんでしたが、現在の販売価格も30,800円と、物価高の中でも価格が維持されているのには驚かされます。

空間鋳造 EGG 大は900mlの容量で、可愛らしい丸みのあるデザイン。それでいて重さは約1.6kgあり、手に取ると鉄瓶ならではの重みと存在感をしっかりと感じます。

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