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Post Date:2026年10月16日 

掃除の基本は、やっぱり『掃いて』『拭く』(フローリングワイパー編)

白っぽいフローリングの上に並べた、ウェットシートとモップを取り付けた 2 本のフローリングワイパー

箒でほこりやゴミを集めたあと、床をさっと拭く。それだけでも部屋はずいぶんすっきりします。

普段はウェットシートで手軽に済ませ、しっかり掃除したいときは水拭きをします。また、掃き掃除すら面倒なときは、乾拭き用のモップでほこりや髪の毛を絡め取ります。

そんなふうに使い分けられるフローリングワイパーは、やはり便利な掃除道具です。

長く使っている無印良品のフローリングワイパーも、ウェットシートだけでなく、水拭きや乾拭きにも使えるマルチタイプです。今回は、あらためて「拭く」掃除について考えてみたいと思います。


掃いたあとは、拭く

掃除機やロボット掃除機が便利になっても、掃除の基本は昔からあまり変わっていないように思います。床に落ちたほこりやゴミを取り除き、そのあとを拭く。シンプルですが、この二つをすると床のすっきり感はやはり違います。

箒で掃くと、床に落ちている髪の毛や細かなゴミが目に見えて集まります。ただ、掃いただけでは取りきれない細かなほこりや、床についた汚れまではきれいになりません。

そこで次に「拭き掃除」をします。

普段ならウェットシートで十分ですし、もう少ししっかり掃除したいときには水拭きもします。その日の汚れ具合や気分に合わせて拭き方を変えられるのも、フローリングワイパーのよいところです。


拭き方を使い分ける

普段のちょっとした掃除なら、ウェットシートはとても便利です。取り付けてさっと拭き、汚れたらそのまま捨てることができます。

フローリングワイパーにウェットシートを取り付けて床を拭く様子

しかし、床のベタつきが気になるときや、しっかり汚れを取りたいときには、水拭き用のモップを使います。

モップでの水拭きはもちろん、ウェットシートで少し力を入れて拭くときでも、柄にそれなりの力がかかります。そのため、伸縮式や継ぎ柄よりも、継ぎ目のない一本柄の方がしっかりと力を伝えやすく、使っていて安定感があります。

また、掃き掃除すら面倒なときには、乾拭き用のモップでほこりや髪の毛を絡め取るだけで済ませることもあります。

ウェットシート、水拭き、乾拭きと、同じ「拭き掃除」でも目的によって使い方は少しずつ違います。ひとつのフローリングワイパーで、こうした拭き方を使い分けられるものが便利です。


無印良品を長く使っている理由

フローリングワイパーは、汚れに合わせて拭き方を変えられて、必要なときにすぐ使えることが大切だと思っています。さらに、水拭きでは力を入れて拭くこともあるので、柄の安定感も欠かせません。

そう考えると、フローリングワイパーを選ぶうえで大切なのは、次の 3 つです。

  • 一本柄であること
  • ウェットシート、水拭き用、乾拭き用のモップを付け替えられること
  • 出しっぱなしにできること

この 3 つを満たしていたのが、長く使っている無印良品のフローリングワイパーと木製ポールです。

ウェットシート以外にも、水拭き用や乾拭き用のモップを取り付けられるので、用途に合わせて使い分けられます。しかも、木製ポールは一本柄なので、力を入れて拭いても安定しています。

旧型は底面プレートを取り外すと、マジックテープ面になる構造でした。

底面プレートを取り外してマジックテープ面を見せた旧型の無印良品フローリングワイパー

一方、現在販売されている「ヘッドが付け替えられる フローリングワイパー」は、モップ側にヘッドを差し込んで固定するタイプです。

現行の無印良品フローリングワイパーのヘッドとモップの取り付け部分

いずれにしても、木製ポールの見た目はシンプルで、部屋に立てかけたままでも気になりません。

また、無印良品にはフローリングワイパーを立てて収納できる専用のケースもあります。

無印良品のフローリングワイパーを立てて収納する専用ケース

木製ポールと収納ケースの組み合わせなら、出しっ放しにしておいても生活感が出にくく、必要なときにすぐ手に取れるのも気に入っているところです。

掃除道具は、使いやすいだけではなく、すぐ手に取れることも大切です。いくら便利でも、収納の奥から出してこなければならないとなると、それだけで使う回数は減ってしまいます。

その点、無印良品のフローリングワイパーは普段から出しておけて、必要なときにすぐ使えます。使いやすさはもちろん、何より木製の柄が気に入っていることも、長く使い続けている理由です。


一本柄のフローリングワイパーは少ない

無印良品の木製ポールは、無印良品のオンラインストアで購入できます。Amazon や楽天でも購入できますが、無印良品より高い価格で販売されていることがあります。そもそも「一本柄」のフローリングワイパー自体、それほど多くありません。

無印良品の木製ポールと出会う前に購入したのは、山崎産業の「コンドル Daily Clean フローリングワイパー」でした。継ぎ柄や伸縮式ではない一本柄なので、力を入れて拭くときにも安定して使えました。

これは、ウェットシートやドライシートを差し込んで使う「クロス差し込み式」です。クロスやモップの取り付け方には、代表的なものとして次のようなタイプがあります。

  • クロス差し込み式(四隅に切れ込みがあって差し込むタイプ)
  • マジックテープ式(モップを押し付けて取り付けるタイプ)

Amazon で購入できる一本柄のフローリングワイパーには、次のようなものがあります。

メーカー商品名タイプ
山崎産業デイリークリーン フローリングワイパー300差し込み式
山崎産業コンドル フローリングワイパーNEWAF 300差し込み式
山崎産業フロアラボ ハイマジックドライモップ300ハイマジック式
山崎産業フロアラボ ハイマジックウェットモップ 300ハイマジック式
アズマ工業フローリングワイパー 極わめてワイパー L両対応

コンドルのハイマジックは、厳密にはマジックテープ式ではなく、ヘッドの細かな突起にモップを引っ掛けて固定するタイプです。ただ、ハイマジックのモップは、マジックテープ式のフローリングワイパーにも取り付けて使えます。

アズマ工業の「フローリングワイパー 極わめてワイパー L」は、ウェットシートだけでなく、水拭き用や乾拭き用のモップにも付け替えられます。一本のワイパーで、掃除の仕方に合わせて使い分けられます。


水拭き用と乾拭き用のモップ

使い捨てのウェットシートは手軽で便利です。ただ、床のベタつきや汚れが気になるときには、水拭き用のモップを水で濡らして固く絞り、床全体をしっかり拭きます。

一方、乾拭き用のモップは、ほこりや髪の毛を絡め取るために使います。掃き掃除をするほどでもないときや、箒を出すのが面倒なときには、これだけで済ませることもあります。

山崎産業の乾拭き用モップを取り付けたフローリングワイパー

無印良品にも乾拭き用のモップがありますが、山崎産業のドライモップの方が気に入っています。モップの繊維がほこりや髪の毛をしっかり絡め取り、床を滑らせたときの感触もこちらの方が好みです。

山崎産業の水拭き用モップを取り付けたフローリングワイパー

水拭き用のモップも山崎産業のものを使っています。滑りをよくするレーンと、汚れをしっかり落とすレーンが交互になっていて、軽い力で動かしやすいのに、床のベタつきや皮脂汚れ、油汚れまでしっかり拭き取れます。

山崎産業の水拭き用モップの表面にある、滑りをよくするレーンと汚れを落とすレーン

旧型の無印良品のフローリングワイパーでは、底面のマジックテープ部分に山崎産業のモップを取り付けて使っていました。

現行の無印良品の「ヘッドが付け替えられる フローリングワイパー」では、マジックテープ式のモップは取り付けられなくなりました。

しかし、同じ山崎産業の「YS.ワイパーに取り付けできるから拭きモップ」と「YS.ワイパーに取り付けできる水拭きモップ」であれば、ウェットシートと同じように、モップをワイパーヘッドの差込口に押し込んで取り付けられます。

現行の無印良品フローリングワイパーに山崎産業のモップを差し込んで取り付けた状態

無印良品のフローリングワイパーに山崎産業のモップを組み合わせることで、純正品だけで使うよりも自分好みの使い方ができます。

同じフローリングワイパーでも、取り付けるモップによって使い心地はかなり変わります。純正品だけにこだわらず、用途に合わせて使いやすいものを選べるのも、こうしたシンプルな掃除道具のよさだと思います。

こちらは差し込み式で使えるモップです。

そして、こちらはマジックテープ式で使えるモップです。


まとめ

掃除の基本は、やっぱり「掃いて」「拭く」。

箒でほこりやゴミを取り除いたあと、普段はウェットシートで手軽に済ませ、しっかり掃除したいときは水拭き、掃き掃除すら面倒なときには乾拭き用のモップを使います。

フローリングワイパーは、シートにもモップにも対応できることが大切です。無印良品のフローリングワイパーは、ひとつで使い分けることもできますが、ウェットシート用と乾拭き用に 2 本用意しておくと、毎回付け替える手間がなく、必要なときにすぐ使えます。

ウェットシート用と乾拭き用に使い分けている 2 本のフローリングワイパー

いずれにしても、力を入れて拭き掃除ができる一本柄が欠かせません。水拭きは週に 1回ほどですが、終わったあとは床がさっぱりとして気持ちがよいものです。

長く使っている無印良品のフローリングワイパーと木製ポールは、自分のスタイルに合った掃除道具です。さらに、山崎産業のモップを組み合わせることで、より自分好みになりました。

掃除道具は、使い勝手だけではなく見た目も大切です。部屋の片隅に立てかけていても気になりませんし、何より自分の気に入った道具は、自然と長く使いたくなります。

Post Date:2026年9月21日 

掃除の基本は、やっぱり「掃いて」「拭く」(ホウキ編)

長柄の棕櫚鬼毛箒、短柄の座敷箒、無印良品の木製ショートポール付きカーペットクリーナーを並べた掃除道具

「掃除の基本は『掃いて』『拭く』」という記事を書いてから、ずいぶん時間が経ちました。

コードレス掃除機が一般的になり、ロボット掃除機もずいぶん身近になりました。それでも、家の掃除は「掃いて」「拭く」というスタイルを続けています。

  • 箒での掃き掃除が基本
  • フローリングワイパーでさっぱり
  • 時折の水拭きで汚れをしっかり落とす

床に髪の毛や小さなゴミを見つけたら、壁に掛けてある箒を手に取って、さっと掃く。電源も充電も不要で、音もしません。ちょっとした掃除なら、フローリングワイパーよりも手軽です。

時間があれば、フローリングワイパーにウェットシートをつけて床をさっぱり。また時折、フローリングモップやマイクロファイバークロスを使って、しっかりと水拭きします。


棕櫚箒(しゅろほうき)と座敷箒(ざしきほうき)

昔ながらの箒には、大きく分けて2つの素材があります。

ひとつは、京都を中心に西日本で古くから使われてきた棕櫚を使った棕櫚箒。そしてもうひとつが、江戸中期から後期にかけて関東で広く使われるようになった、ホウキモロコシで編まれた座敷箒です。

棕櫚箒に使われている棕櫚の繊維は毛先が柔らかく、フローリングをなでるように掃けるのが特徴です。一方、ホウキモロコシは適度なコシがあり、髪の毛やホコリ、小さなゴミをしっかり掃き集めてくれます。

棕櫚箒には、棕櫚の皮を束ねて穂先をほぐした「皮箒」と、皮をほぐして繊維にし、それを束ねて作る「鬼毛箒」があります。選ぶなら「鬼毛箒」。鬼毛箒は皮箒よりも穂先にコシがあり、柔らかさがありながらもしっかりとした掃き心地があります。

棕櫚の繊維を束ねて作られた鬼毛箒の穂先と編み込み部分

鬼毛箒は皮箒と比べると価格もかなり高くなりますが、長く使える掃除道具ですし、何より、掃き心地がとても気持ちよいです。

また、箒の柄の長さには短柄(たんえ)と長柄(ながえ)の2種類があります。


短柄は座敷箒、長柄は鬼毛箒

短柄と長柄は、掃く場所や掃き方によって使い分けています。

短柄で使っているのは座敷箒です。柄が短いぶん小回りが利き、家具のまわりや部屋の隅など、狭いところを掃くのにも向いています。ちょっとしたゴミに気づいたとき、さっと掃くことができるのが短柄のよさです。また、座敷箒はコシが強いので、ラグマットのゴミをかき出す力もあります。

一方、長柄で使っているのは棕櫚の鬼毛箒です。立ったまま広い範囲を掃きやすく、柔らかな毛先でフローリングをなでるように掃けます。鬼毛には柔らかさの中にも適度なコシがあり、細かなゴミも集めやすく感じます。

立ったまま床を掃ける長柄タイプの棕櫚鬼毛箒

箒は穂先が曲がらないように吊るして保管します。アズマ工業の鬼毛箒も全長約123cmと長いため、廊下の壁に吊るしています。

廊下の壁に吊るして保管している、全長約123cmのアズマ工業の長柄鬼毛箒

座敷箒と棕櫚箒は、どちらか一方が優れているというより、それぞれ得意な使い方があります。ちょっとした掃除には短柄の座敷箒、広い範囲には長柄の鬼毛箒。この組み合わせがいちばんしっくりきています。


座敷箒で掃くということ

座敷箒は、電気を使わず、充電も不要で、音もしません。気になったときにすぐ手に取ることができ、大きめのゴミや髪の毛も掃き集めやすい。家具のすき間や部屋の隅にも穂先が届きます。

こうした使いやすさはもちろんですが、もうひとつ、箒ならではのよさがあります。

箒で掃くときは、床の状態を見ながら、自分の手でゴミを集めていきます。どこにホコリがたまりやすいのか、どこが汚れているのかにも自然と目が向きます。ただゴミを取るだけではなく、家の状態を確かめながら掃除をしているという実感があります。

掃除を続けていると、少しずつ家に手をかけている感覚が生まれます。きれいにすることそのものだけでなく、家の状態に気づき、整えていくことが、家への愛着にもつながっているように思います。

また、イライラしているときや、考えがまとまらないときに箒を手にすることもあります。体を動かして目の前の掃除に集中すると、それまで頭の中にあったことから少し離れて、「いま」に意識が向きます。ゴミを一か所に掃き集めていく単純な作業をしているうちに、気持ちも少し切り替わっていくように感じます。

ストレス解消になるとか、気持ちが整うとか、そこまで言い切れるものではありません。それでも、掃き終わるころには気持ちが少し切り替わっている。座敷箒には、そんなよさもあります。


アズマ工業の座敷箒 - 匠

座敷箒というと、職人が一本ずつ作る高価な工芸品を思い浮かべるかもしれません。でも、毎日の掃除に使うのであれば、もっと実用的で手頃なものがあります。

長く使っているのが、アズマ工業の手編み座敷箒です。

アズマ工業は、1896年創業の掃除用品メーカーで、箒づくりにも長い歴史があります。現在、座敷箒はタイで製造され、実用品としての箒づくりが続けられています。

その中でも気に入って使っているのが「匠」です。

ホウキモロコシを手編みしたアズマ工業の短柄座敷箒「匠」の穂と編み込み

「匠」には、契約栽培されたホウキモロコシの中から厳選された、最上級の原料が使われています。一本一本の繊維が細かく、しなやかさと適度な弾力があり、畳の目の奥まで掃けるとされています。

実際に使ってみても、穂先にはしなやかさがありながら、しっかりとしたコシがあります。高価な工芸品というより、日々の掃除で気兼ねなく使える道具。それでいて、手編みならではのしっかりした作りがあります。

これまで、アズマ工業の座敷箒では「特選」と「匠」の両方を使ってきました。見た目にも「匠」の方が穂が長く、穂の密度も高く、編み込み部分もしっかりしています。「特選」も日常使いには十分ですが、長く使ってみると「匠」の方が穂先のまとまりが崩れにくく、持ちもいいと感じています。

アズマ工業の座敷箒「匠」と「特選」を並べ、穂の長さや密度、編み込みの違いを比較

毎日使う箒だからこそ、高価すぎず、それでいて長く使えるものがいい。その点で、「匠」は実用的な座敷箒として、とてもバランスのいい一本だと思います。


名前が違っても同じ「匠」

アズマ工業のサイトを見ると、「短柄手編みホーキ 匠」と「BR121 手編みほうき 匠 短柄」という、よく似た2つの商品が掲載されています。

商品名は違いますが、商品説明を読む限り、違いが見当たりません。これまで使ってきた「匠125 匠箒 短柄」はすでに販売を終了しており、友人へのプレゼントを考えていたこともあって、2つの商品の違いをアズマ工業のお客様相談室に問い合わせてみました。

回答は意外なものでした。

販売を終了した「匠125 匠箒 短柄」を含め、「短柄手編みホーキ 匠」「BR121 手編みほうき 匠 短柄」の3商品は、商品名やパッケージ、販売価格などが異なるだけで、仕様や使われているほうき草、編み方に違いはないとのことです。

つまり、現在販売されている2種類の「匠」は、仕様に違いはありません。価格や販売店で選んでよさそうです。


掃き掃除にはコロコロが欠かせない

箒で集めたゴミは「塵取り」では、細かなホコリや髪の毛まではなかなか取り切れません。そこで欠かせないのが、いわゆる「コロコロ」です。

使っているのは、無印良品のカーペットクリーナーと木製ショートポールの組み合わせです。

無印良品のカーペットクリーナーに木製ショートポールを組み合わせたコロコロ

箒は穂先を傷めないために吊るして保管していますが、このコロコロは自立するので隣に並べて置いています。木製の柄のおかげで掃除道具らしさが少なく、部屋にも自然になじみます。

壁に吊るした短柄の座敷箒と、隣に置いた無印良品の木製ショートポール付きカーペットクリーナー

すぐ手に取れる場所に置いておけることも、掃除を面倒にしないためには大切です。箒で掃いて、コロコロでゴミを取る。木製ショートポールなら屈まずに使えるのが楽です。塵取りがいらないのも、掃き掃除を手軽にしてくれます。


掃いたあとは、拭く

掃き掃除だけで終わらせず、必要に応じて拭き掃除をします。

掃き掃除と拭き掃除は、それぞれ役割が違います。まず掃いて、それから拭く。やはり掃除の基本は、この順番です。

今回は「ホウキ編」として掃き掃除について書きました。拭き掃除については、また別の記事でまとめたいと思います。

短柄の座敷箒と長柄の棕櫚鬼毛箒、無印良品のフローリングワイパーとカーペットクリーナーを並べた掃除道具
Post Date:2026年9月12日 

モンブラン146は、なぜ書きたくなるのか──濃淡と揺らぎに惹かれる万年筆

MONTBLANC MEISTERSTUCK 146

きれいに整った線ではなく、少し濃くなったり、淡くなったり、紙の上で息をするように揺れる線。

ペン先が紙に触れ、インクが少し遅れて追いかけてくる。そのわずかな濃淡や揺らぎが、書いた文字に人の手の跡を残してくれる。

モンブラン146で書いていると、文字を書くことそのものが少し楽しくなります。

愛用している PILOT、セーラー、プラチナといった国産万年筆は、ペン先の精度やインクフローの安定感、扱いやすさに優れていて、筆記具としての完成度も高く、満足度も十分です。

それでも万年筆沼の深みにはまると、いつしかモンブランのマイスターシュテュックが気になる存在になります。

黒軸にゴールドの装飾、キャップトップのホワイトスター。ひと目でモンブランと分かる象徴的なデザインは、何十年も大きく変わることなく、「高級万年筆とはこういうものだ」というイメージを形づくってきました。

万年筆を好きになったからには、一度は使ってみたくなるマイスターシュテュック。

けれど実際にモンブラン146を手にして強く惹かれたのは、その象徴性だけではありません。軟らかなペン先と、そこから生まれる濃淡と揺らぎでした。


このモンブラン146は、いつ生まれたのか

購入時の説明では、1970年代後半から1980年代初頭に作られたとされるモンブラン146とありました。

念のため、「趣味の文具箱 Vol.20」の特集「モンブラン146の世代差を徹底比較」に掲載されている年代判定表をもとに、手元の146の特徴を確認してみました。

購入した146には、次のような特徴があります。

  1. 単色の「14C / MONTBLANC / 585」ニブ

    MONTBLANC MEISTERSTUCK 146 14C mono clolor nib
  2. エボナイト製で、ペン芯の先にインクを溜める水平の切り割りがある

    MONTBLANC MEISTERSTUCK 146 ebonite feed
  3. クリップリングの「GERMANY」刻印

    MONTBLANC MEISTERSTUCK 146 "GERMANY" engraving on a clip ring
  4. インク窓がグレーの透明窓

    MONTBLANC MEISTERSTUCK 146  grey translucent ink window
  5. 太字のリング刻印(MONTBLANC-MEISTERSTUCK No.146)

    "MONTBLANC-MEISTERSTUCK No.146" engraving

これらの特徴を年代判定表と照らし合わせると、1970年代中期から後期に見られる特徴を多く備えており、購入時の説明より少し古い可能性もあります。

とはいえ、ヴィンテージ万年筆にはパーツ交換や移行期の仕様もあり得るため、正確な製造年までは特定できません。

今回の146で特に惹かれたのが、単色の14Cニブでした。後年の14Kニブや現行の146とは異なる時代のペン先であり、この一本を手に取ってみたいと思わせる大きな理由のひとつでした。

半世紀近く前の道具ですが、モンブラン146は基本的なデザインが大きく変わっていないため、古さを感じさせません。そして何より、いまも実用品として自然に使えるところに、万年筆という道具の素晴らしさを感じます。


軟らかなペン先と、文字に生まれる濃淡

最初に入れたインクは、PILOT 色彩雫の「霧雨」でした。落ち着いたグレー系のインクで、このモンブラン146の濃淡や揺らぎにもよく合います。

PILOT 色彩雫(深海、霧雨、山栗)

実際に書き出してみると、まず印象に残ったのは、想像していた以上のペン先の軟らかさでした。

ペン先が紙に触れたときの感触は、PILOT のソフトニブ(SM)に近いと感じています。ごくわずかにしなってから、紙の上を滑り出していくような感覚があります。

この「ごくわずかに」というところが気持ちいい。

ペン先のわずかなしなりに、書く速度やペン先の動きが重なると、線の濃さも少しずつ変わっていきます。その違いが一画の中に自然な濃淡を生み、文字全体にも揺らぎのある表情を残します。

字幅は国産の F より少し太く、実際に書いた印象では欧州の F くらいです。細すぎず太すぎず、普段使いしやすいちょうどよい太さです。

濃淡と揺らぎのある字が書ける

軟らかなペン先の感触と、こうした濃淡や揺らぎが重なるところに、この146で書く面白さがあるのだと思います。


中古の146、それとも現行『ル・グラン』?

今回手に入れた146はヴィンテージですが、中古の万年筆を選ぶとなると、心配な点も多くなります。

修理やパーツ交換の履歴、正確な年代や状態、正規品であることを示す書類や購入記録など、中古ならではの不確かさは残ります。また、古い万年筆は個体差も小さくありません。

今回の146で感じたペン先の軟らかさや、文字に現れる濃淡と揺らぎも、この年代、この個体ならではのものと考えた方がよさそうです。現行の146に同じ書き味をそのまま期待することはできません。

一方で、モンブラン146の基本的なスタイルは現在にも受け継がれています。

現在のラインアップでは「マイスターシュテュック ル・グラン」として販売されていて、146らしいサイズ感や、黒い軸にゴールドの装飾、キャップトップのホワイトスターといったマイスターシュテュックらしい姿は健在です。

ヴィンテージには、古いペンならではの魅力があります。ただ、状態や年代を見極めることに不安があるなら、新品のル・グランを選ぶという方法もあります。

どちらを選ぶかは、ヴィンテージならではの個性を楽しみたいのか、それとも安心して新品を選びたいのか。その違いなのだと思います。


モンブラン146は、やっぱり書きたくなる

この146に惹かれる理由は、軟らかなペン先や、ヴィンテージならではの雰囲気だけではありません。

紙に触れたときのわずかなしなり、書く速度によって生まれる濃淡、文字全体に残る揺らぎ。そうした小さな変化が重なって、文字に書き手の個性が表れます。

書き手の個性が表れる一方で、すべてを思いどおりにしようとするわけではありません。ペン先やインクの動きに少し任せながら書く。その両方があることが、文字を書く楽しさにつながっているのだと思います。

特に書く用事がなくても、つい手に取ってしまう。

Montblanc White Star emblem

そんな万年筆が、「モンブラン マイスターシュテュック 146」なのだと思います。

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