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Post Date:2026年4月22日 

Tivoli Audio Model One Digital Gen.2を選んだ理由 ― BTと比べて見えた違い

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

Model One BTとDigital Gen.2でかなり悩みましたが、最終的に選んだのはModel One Digital Gen.2でした。

決め手になったのは、『定山渓で出会った、空間に溶け込む音』で触れた、旅行中の宿泊先で聴いたあの音です。

自然に空間へ広がる鳴り方が強く印象に残り、その体験が最終的な選択につながりました。

翠山亭倶楽部定山渓(すいざんていくらぶじょうざんけい)

客室にはTivoli Audioのスピーカーが備え付けられており、滞在中も心地よい音に包まれて過ごすことができます。ゲストラウンジのバータイムには、TANNOYのスピーカーから流れるジャズが空間に静かに溶け込み、特別な時間を演出してくれます。

BTのアナログ的な魅力も捨てがたかったのですが、ストリーミング音楽をBGMとして聴く自分の使い方には、スマートフォン連携を前提としたModel One Digitalの方が合っていました。

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

開封の儀はいつもワクワクします。


Model One BTとDigitalの違い、そしてGen3の進化

今回悩んだModel One BTとDigital Gen.2には、機能面だけでなく、コンセプトや使い方にも違いがあります。

BT と Digital の違いは、以下の表の通りです。

− Model One BT と Model One Digital gen.2 の比較 −
項目 Model One BT Model One Digital(Gen.2)
コンセプト アナログラジオ+Bluetoothスピーカー ストリーミング再生に対応したラジオ
接続 Bluetooth 5.0 AirPlay 2 / Chromecast / Bluetooth
出力 6.0W 記載なし
音の傾向 丸みがあり空間に溶け込む 輪郭が明瞭で空間に広がる
ラジオ AM / FM(ワイドFM対応) FM(ワイドFM対応)
操作性 アナログダイヤル ベゼル+リモコン
ディスプレイ なし 小型ディスプレイあり
定価 ¥37,400 ¥62,700

WiFi環境があり、ストリーミング前提でBGM的に使うなら、Model One Digital Gen.2。アナログ的な操作感とFM/AMラジオ中心なら、Model One BTです。

Model Oneシリーズを調べる中で、よりデジタル化が進んだModel One Digital Gen.3 の存在も知りました。

Gen.3は、Gen.2よりさらにデジタル寄りになり、“クラシックなラジオ”というより"小型の本格デジタルスピーカー"に近い印象です。


ラジオとしての完成度の高さ

Tivoli Audio Model One Digitalを使って最初に驚いたのは、ラジオの音です。

"進化したClassicラジオ"と謳われていますが、実際に使ってみると、自宅にあるラジオと比べてもFMの受信感度が高く、音声も音楽も非常にクリアに聴こえます。

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

これは、3インチのフルレンジスピーカーによる中域の明瞭さが、人の声を聞き取りやすくしている要因のひとつと考えられます。

加えて、バスレフ構造によって低音が適度に補われることで声に厚みが生まれ、単なる情報としての音ではなく、実在感のある音として再生されます。

リモコンの「FM Scan Strength Set」を「Strong Station」に設定すると、ラジオ局をスキャンした際に受信状態の良い局のみが検出されます。これらの局をプリセットしておくと、選局も簡単になります。

単に音が良いだけでなく、"長時間でも疲れずに聴けるラジオ"としての完成度も高く、Radikoの利用が中心になってから少し遠のいていたラジオのある生活に、再び戻りたくなります。


ラジオの感度をあげる

Tivoli Audio Model One Digitalは、全体として受信感度が高いと感じます。ただし、ラジオの受信状態は居住地や周囲の環境に大きく左右されます。

ロッドアンテナを伸ばして向きを変えたり、受信しやすい位置を探したりしても改善しない場合は、外付けアンテナを試す方法もあります。左右に伸びた2本の導線からなるダイポールアンテナは、シンプルで効果が得られやすいアンテナです。窓辺に設置すると、受信状態が改善されやすくなります。


Tivoli Audio Model One Digital の低音

Model One Digitalは、3インチのフルレンジスピーカーを1基だけ搭載していますが、低音も意外なほどしっかり再生します。Model One BTは出力6Wと公表されていますが、Model One Digital Gen.2は、それよりも余裕のあるスケール感で鳴っているように思えます。

Model One BTが底面ポート(円形)を採用しているのに対し、Digitalは背面に横長のバスレフポートを備えており、この構造が低音の厚みや広がりに効いているようです。

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

実際にバスレフポートに指を当てると、低音に合わせて「ボン、ボン、ボン」と空気が押し出されるのがわかります。

前面のスピーカーから直接届く音に対し、低音はキャビネットとポートの働きによって少し空間に回り込むように広がるため、前に強く出るというより、全体を下から支えるように聴こえます。

こうした仕組みは一般にヘルムホルツ共鳴として説明されますが、Model One Digitalでも、その効果によって小型機とは思えない量感が生まれているのだと思います。

中域の明瞭さと、ふくらみすぎない低音の心地よさがいちばん伝わりやすいのが、レジーナ・スペクターのアルバム『11:11』に収録されている『Rejazz』です。

彼女のどこか危うげな歌声とダブルベースの組み合わせが印象的で、『Wasteside』や『Marry Ann』もとても気持ちよく聴けます。


接続方式で変わる低音の表情

BluetoothとAirPlayで低音の違いを聴き分けやすいのが、ビル・エバンス・トリオによる『Baubles, Bangles and Beads』です。

エディ・ゴメスの力強く、かつスリリングに動き回るベースラインが印象的な一曲です。スコット・ラファロのベースがアタックの強さと輪郭の明瞭さを特徴とするのに対し、ゴメスはガット弦らしい、やや丸みを帯びた落ち着いた質感が魅力です。

この曲をBluetooth接続で聴くと、ベースは「ボン…ボン…」と胴鳴りが中心に感じられ、全体としてまとまりのある響きになります。一方でAirPlayで聴くと、そのまとまりの中に、弦を弾いた際のわずかなアタックやニュアンスが少し感じ取りやすくなります。

Bluetoothは圧縮伝送とはいえ、イヤフォンで聴いている限りでは音質に大きな不満を感じることはありません。しかし、Tivoli Audio Model One DigitalでBluetoothとAirPlayを聴き比べてみると、低音の輪郭や空間的な広がりの面でわずかな違いが感じられます。


Amadana CDプレーヤーはBluetooth接続で

いままではAmadana CDプレーヤーをSONYのサウンドバーにBluetoothで接続していましたが、接続先をModel One Digitalへ変更しました。

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

一度ペアリングしてしまえば、次回以降はBluetoothモードに切り替えるだけで、自動的にCDプレーヤーと接続されます。

Bluetooth接続は簡単で便利ですが、ラジオやAirPlayと比べると音量差が気になります。音量バランスとしては、ラジオ > AirPlay > Bluetooth の順で、特にAirPlayとBluetoothの差が目立ちます。

そこで、CDプレーヤーのBluetooth接続と比べて、Apple Musicに取り込んだ方がよりクリアに聴こえるのではないかと考え、試してみました。

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

ロン・カーターのサントリー・ホワイトのCM曲を収録した日本企画のベストアルバム『The Man with the Bass』をApple Musicに取り込み、AirPlayで再生してみました。

CDからMusic Appに取り込んだ音源はApple Lossless(ALAC)で保存できるため、元のCDに近い情報を保ったまま扱えます。これをAirPlayで再生すると、Bluetooth接続よりも音の輪郭やニュアンスが感じ取りやすくなる場面がありました。

『36414』『Double Bass』で聴き比べてみると、AirPlay接続の方が、弦を指で弾くアタック音や音の輪郭をよりはっきりと感じ取ることができました。


使ってみてわかった、リモコンの便利さ

Model One Digitalは本体の電源ボタンとベゼルで操作できますが、リモコンでの操作はわかりやすく、使ってみると便利さを実感できます。

Tivoli Audio Model One Digital Generation 2

電源をオンにしたあと、2段目右側にある「Sourceボタン」で入力モードを切り替えます。FMラジオ → Wi-Fi(AirPlay)→ Aux In → Bluetooth の順に切り替えることができます。

FMラジオを聴く際は、プリセット呼び出しやスキャン機能が便利です。受信状態の良いラジオ局を登録したり、設定に応じて受信可能な局をスキャンできるため、聴きたい局へすぐに切り替えられます。

また、AirPlayで音楽を再生しているときには、リモコンから曲送りや音量調整ができるのも便利です。スマートフォンを毎回手に取らなくても操作できるため、BGMとして音楽を流す際の使い勝手の良さを実感しました。

見た目はクラシックですが、実際の使い勝手には現代的な快適さがきちんと備わっています。Model One Digitalは、音の良さだけでなく、こうした日常的な操作性の面でもよくできた製品だと思います。


まとめ:聴く体験に勝るものはなかった

最初にTivoli Audioに惹かれたのは、アナログチックなラジオとしての佇まいでした。

しかし、実際に“邪魔にならない心地よさ”の音を聴いて、音楽配信サービスをBGMとして流すスピーカーとしての使い方が自分に合っていることに気がつきました。

また、実際に使ってみると、ラジオとしての完成度の高さにも驚かされました。

Model One BTにはアナログ的な魅力があり、Digital Gen.2にはスマホ連携を前提とした現代的な使いやすさがあります。両者はコンセプトも使い方も異なっています。

Model One Digital Gen.2は、日常の中で長く使いたくなる一台です。


AirPlay設定で「WiFi Setup Enabled」にならない

AirPlay設定で「WiFi Setup Enabled」にならない場合は、本体背面の「SETUP」ボタン操作が必要です。

クイックスタートガイドのAirPlay 2設定手順には、この「SETUP」ボタンについての記載がなく、設定をやり直そうとしてもできませんでした。

オンラインのオーナーズマニュアルには、次の手順が示されています。

  1. 電源ボタンを押して本体の電源を入れる
  2. Wi-Fiモードで、本体背面の「SETUP」ボタンを短く押す
  3. 「Wireless Setup Enabled」が表示されるまで待つ

Model One Digital Generation 2 | Owner's Manual

「SETUP」ボタンの操作については、Gen.3のマニュアルの方が分かりやすく、「WiFiモードで“WiFi Setup Enabled”が表示されない場合は背面のSETUPボタンを押す」と明記されています。

マニュアルを読んで問題は解決しましたが、クイックスタートガイドだけでは分かりにくく、設定に時間がかかってしまったのは残念でした。


【追記:その1】Spotify対応の意味

仕様にもSpotify®対応と記載されていますが、AirPlay2 / Chromecast に対応しているため、スマホのSpotifyアプリから楽曲を再生できるのは当然だと思っていました。

しかし実際には、Spotifyのプレイリストやラジオを本体のプリセットに登録できることが、「Spotify対応」の意味でした。オーナーズマニュアルには、次のように記載されています。

Spotify プレイリストをプリセットに追加する:リモコンを使用して、保存したプリセットにプレイリストを追加します。 使用したい番号プリセットを長押しして、画面上の確認を待つだけです。 プリセットを削除するに、リモコンの番号プリセットボタンを押し続けます。

Model One Digital Generation 2 | Owner's Manual

  1. Tivoli Audio Model One Digitalに接続する
    Spotifyで楽曲を選択して、左下にあるスピーカーアイコンを選択

    SpotifyからModel One Digitalに接続

  2. Spotifyの"プレイリスト/ラジオ"をTivoliで再生
  3. Model Oneのリモコンでプリセットボタンを長押し
  4. 「Preset Added」の表示で登録完了

登録したプレイリスト/ラジオは、Wi-Fiモードでプリセットボタンを押すだけで再生できます。

Spotify®対応のTivoli Audio Model One Digital Gen.2

スマートフォンを操作しなくても、ラジオのような感覚でSpotifyのプレイリスト/ラジオを再生できるため、BGM用途としての相性が非常に良いと感じました。


【追記:その2】TuneInをChromecastで聴く

TuneInは、インターネット経由でラジオ番組を聴けるサービスで、ジャンル別の音楽専門局も多数あります。

Model One DigitalでTuneInを聴くのであれば、AirPlayよりもChromecastで接続した方が、BGMとしての使い勝手は格段によくなります。

これは、AirPlayがスマートフォンから音声データを送る仕組みであるのに対し、Chromecastは再生情報(URLなど)をデバイスに渡し、デバイス自身がインターネットから直接ストリーミングする仕組みだからです。

Tivoli側で再生が始まればスマートフォンに依存せず、アプリを閉じても再生が続きます。一方、AirPlay接続ではTuneInアプリを閉じると再生が停止します。

Chromecastの設定も難しくありません。iPhoneでAirPlayの設定が完了していれば、Google Homeアプリから簡単にTivoliへ接続できます。

Google HomeでCheomwcastを設定する

  1. Model One Digigitalの電源を入れてWiFiモードにします
  2. "Connecting to WiFi" が表示されたら設定開始です
  3. Google Home 右上の「+」ボタンから「デバイス追加」を選ぶとAirPlayで設定した同じWiFi上のTivoliを見つけてくれます
  4. デバイス名を付ければ完了です
Google HomeでChromecastを設定する

Chromecastの設定が終了したら、TuneInアプリからChromecastを選択してTivoli Audioに接続します。

ChromecastでTivoli Audio Model One Digital Gen.2に繋げる

Gen.2では、残念ながらTuneInはプリセットできませんが、一度スマホのTuneInアプリから接続すれば、そのラジオ局を聴いている限りはスマホは不要となります。

TuneInに接続中のTivoli Audio Model One Digital Gen.2

画面には、曲名とラジオ局(Love Songs Cafe)が表示されます。

Model One Digital Gen.2でTuneInをAirPlayとChromecastで接続して、再生をした場合の違いをまとめました。

− AirPlay と Chromecast の違い (TuneIn) −
項目 AirPlay Chromecast
必要アプリ なし Google Home
再生主体 iPhone Model One Digital
通信内容 音声データ 再生データ(URLなど)
音量調整 iPhone本体, Tivoli本体 Google Home, Tivoli本体
アプリ終了 停止 継続
スマホ依存 再生中は常時 再生開始時のみ

TuneInで聴きはじめるときにはスマホが必要ですが、「1.FM Adore Jazz」や「Love Songs Cafe」をずっとかけっぱなしにしてBGMとして使うのであれば、相性のよい使い方だと思います。

Post Date:2026年4月17日 

定山渓で出会った、空間に溶け込む音

翠山亭倶楽部定山渓のゲストラウンジに設置されているTANNOY

翠山亭倶楽部定山渓(すいざんてい くらぶ じょうざんけい)に宿泊したとき、バーラウンジに流れていたジャズの音に思わず足を止めました。

翠山亭倶楽部定山渓(すいざんていくらぶじょうざんけい)

客室にはTivoli Audioのスピーカーが備え付けられており、滞在中も心地よい音に包まれて過ごすことができます。ゲストラウンジのバータイムには、TANNOYのスピーカーから流れるジャズが空間に静かに溶け込み、特別な時間を演出してくれます。

ブックシェルフに囲まれたラウンジのカウンター奥に、 TANNOY のスピーカーが凛とした姿で佇んでいました。

翠山亭倶楽部定山渓 ゲストラウンジ

ANNOYはクラシックを聴くためのスピーカーという固定観念がありましたが、その音はジャズでも心地よく空間に響いていました。トランペットの音色は主張することなく、その場の空間に静かに滲んでいきます。

翠山亭倶楽部定山渓 ゲストラウンジにあるTANNOY

音が良い、というよりも、空間に自然に溶け込んでいる。主張することなく、しかし確かにそこにある。そんな音のある空間でした。

バーテンダーのN氏によると、音量を上げれば低音の響きをより感じることもできるそうですが、静かな空間での会話を邪魔しない、その染み渡るような音の広がり方がとても印象的でした。


客室で再び出会った「邪魔にならない音」

客室には Tivoli Audio Model One Digital が置かれていました。

翠山亭倶楽部定山渓 客室にある Tivoli Audio Model One Digital

かつて、SoundLink Revolve に惹かれたのも、旅館の客室に設置されていたものを使ったことがきっかけでした。日常から離れた素敵な部屋で聴く落ち着いた音楽は、いつもよりも魅力的に感じられます。

翠山亭倶楽部定山渓(すいざんていくらぶじょうざんけい)

客室にはTivoli Audioのスピーカーが備え付けられており、滞在中も心地よい音に包まれて過ごすことができます。ゲストラウンジのバータイムには、TANNOYのスピーカーから流れるジャズが空間に静かに溶け込み、特別な時間を演出してくれます。

少し前にKITTEのアンジェ ビュロー(ANGERS bureau))で Tivoli Audio Model One BT を見かけて物欲が再燃していたこともあり、Model One Digital Gen.2 の奏でる音を試してみることにしました。

バーラウンジの余韻が残っていたこともあり、流したのは Scott LaFaro のベースが際立つ「Alice in Wonderland」。粒立ちのよいベースのフレーズが静かに身体に馴染んでいきます。

驚いたのは、この小さな木製キャビネットのスピーカーが、先ほどのTANNOYで感じた感覚と、どこか通じるものを持っていたことです。

ウッドベースの音は輪郭が立ちすぎず、それでいて埋もれることもない。音の立ち上がりと消え際が滑らかで、フレーズの流れが自然に感じられます。

だいぶ前の記憶なので正確ではないかもしれませんが、Model One BTにはどこかラジオのような懐かしさがありました。だからこそ「いいな」と感じたのだと思います。一方で、今回聴いたModel One Digital Gen.2は、音の輪郭や粒立ちが少し整い、より洗練された印象を受けました。


「邪魔にならない音」とは何か

今回、TANNOY と Tivoli Audio に共通して感じたのは、“邪魔にならない心地よさ”でした。それは単に音量が小さいということではありません。

  • 必要以上に自己主張しない
  • 音が前に出てこない
  • 空間に自然に馴染む

つまり、音が“聴く対象”ではなく、“そこにあるもの”として存在している状態です。そのため、長くその空間にいても、耳が疲れることがありません。


“聴かせる音”と“溶け込む音”の違い

Tivoliの音は、“音のある世界”と“音のない世界”の境界を曖昧にします。普段はAmazon Echo Studioのステレオ構成にEcho Sub(サブウーファー)を組み合わせて音楽を聴いていますが、これはこれで素晴らしい音楽体験が得られます。

Echo Studioで再生される音楽は、きれいに整えられた輪郭を持ち、トランジェント(音の立ち上がり)もやや際立っています。音は立体的に広がり、その存在を明確に感じさせます。さらにサブウーファーによって低音が加わり、全身を包み込むように音を“聴かせる”方向のスピーカーです。

この違いは、単なる音質の良し悪しではなく、設計思想の違いによるものだと思います。

Echo Studioは、DSPによって音の輪郭や低音、空間表現を積極的にコントロールし、“音を聴かせる”方向にチューニングされています。一方でTivoliは、フルレンジスピーカーと比較的シンプルな構成により、音を過度に加工せず、そのまま空間に溶け込ませるような鳴り方をします。


Tivoliの出発点はラジオから

Tivoliの出発点はラジオであり、「言葉を正確に伝える」という思想が設計の根底にあります。そのため、音は主張しすぎることなく、気がつけば音楽がそこにあるような自然さを感じさせます。

デジタル音源は、DSP(デジタル信号処理)によって音質が整えられていますが、その補正は過剰ではありません。“作り込まれた音”ではなく、あくまで自然さを損なわない範囲にとどめられています。

また、声がよく聞こえる中域を重視した設計により、ベースは量感で押し出されるのではなく、音の輪郭やフレーズとして自然に浮かび上がります。

Scott LaFaro のような動きのあるベースのフレーズも、美しく表現されます。


フルレンジスピーカーが生む自然なつながり

Tivoli Audio Model One Digital Gen.2は、単一のフルレンジスピーカーで音を再生しています。

翠山亭倶楽部定山渓 客室にある Tivoli Audio Model One Digital

一般的なスピーカーは高音・中音・低音をそれぞれ別のユニットで分担しますが、フルレンジはひとつのユニットですべての帯域を鳴らします。

音の輪郭が過剰に際立つこともなく、音はひとつのまとまりとして空間に広がっていきます。それが、音のつながりの自然さとして感じられます。


Class ABアンプが生む滑らかな音

Tivoli Audio Model One Digital Gen.2 には、Class ABアンプが採用されています。

一般的な小型スピーカーで使われているデジタルアンプ(Class D)は効率に優れていますが、音の輪郭や立ち上がりが強調されやすく、音の存在感がはっきりと感じられます。

一方、Class ABアンプはアナログ的な特性を持ち、歪みが少なく、滑らかで自然な音を再生します。音のエッジが立ちすぎることがなく、やわらかく空間に広がっていきます。長時間聴いていても疲れにくい音です。

− Class AB と Class D の違い −
方式 音の傾向 歪み 効率 発熱 特徴
Class AB 滑らかで自然 少ない 中程度 中程度 切り替え時の歪みを抑えた設計
Class D 輪郭がはっきり・クリア 少ない 非常に高い 非常に小さい 小型・高出力・高効率

Model One BT と Digital Gen.2、どちらを選ぶか

ここまで書いてきたように、Tivoliの音の魅力は「主張しない自然さ」にあります。では、その音を楽しむうえで、Model One BT と Digital Gen.2 のどちらを選ぶべきかが悩みどころです。

比較のポイントは大きく3つあります。「音の方向性」「接続方法」「価格」です。

まず音の方向性ですが、アナログに強くこだわるのであれば BT だと思いますが、Digital Gen.2 は、DSPによって整えられた、より安定した音になります。

次に接続方法です。BT は、Bluetooth接続のため音声データを圧縮して再生しますが、Digital Gen.2は、AirPlayやChromecastに対応しており、より情報量を保ったまま再生できます。

そして価格。Model One BT は 37,400円(税込)、Model One Digital Gen.2 は 62,700円(税込)と、価格差も小さくありません。

− Model One BT と Model One Digital Gen.2 の比較 −
項目 Model One BT Model One Digital Gen.2
音の方向性 よりアナログ的 DSPで少し整えられた安定した音
接続方法 Bluetooth(圧縮) AirPlay2 / Google Cast
(高品質伝送), Bluetooth(圧縮)
ラジオ AM / FM / ワイドFM FM / ワイドFM
リモコン なし あり
価格 37,400円(税込) 62,700円(税込)

ラジオは受信環境によっては、うまく受信できないこともありますが、電波で聴く放送は自然で、耳に心地よく届きます。

また、Model One Digital Gen.2はAM放送には対応していませんが、ワイドFMに対応しているため、東京では「TBSラジオ」「文化放送」「ニッポン放送」をワイドFMで聴くことができます。

東京スカイツリーからは、以下のラジオ局が送信されています。

  • J-WAVE:81.3MHz
  • NHK-FM 東京:82.5MHz
  • TBSラジオ(ワイドFM):90.5MHz
  • 文化放送(ワイドFM):91.6MHz
  • ニッポン放送(ワイドFM):93.0MHz

また、東京タワーからは、以下の2局が送信されています。

  • TOKYO FM:80.0MHz
  • interfm :89.7MHz

Moel One Digital Gen.2 なら、スマホはAirPlay2で接続、Amadana CDプレーヤーはBluetoothで接続すればいいのかなあ、、、

嗚呼、物欲の神様…。

Post Date:2025年5月11日 

ウルトラセブンとリズムボックス、そしてYMO

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」に登場したリズムボックス

不朽の名作『ウルトラセブン』のあるエピソードで使われていた音楽機材が、テクノ音楽の礎を築いたYMOへと繋がる、ちょっとマニアックなお話しです。

『ウルトラセブン』第37話「盗まれたウルトラアイ」というエピソードで、マゼラン星への怪電波の発信源となっていたのが、なんと、バンドが生演奏する中、若者たちが踊るステージに置かれていた「リズムボックス」だったんです。

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」に登場したリズムボックス

1968年、放送当時にゴーゴークラブのような場所でドラムの代わりにリズムボックスが使われていたのかは想像の域を出ませんが、若者が熱狂するツイストのようなダンスミュージックに使われる、シンプルでアップテンポなリズムは、当時の大人たちには「単調なリズム」と映ったかもしれません。

一方で、リズムボックスの電子音で奏でられる規則正しいリズムは、近未来的な響きとして捉えられた可能性もあります。実際にテクノミュージックは70年代に開花します。

そして、繰り返される単調なリズムが、同じメッセージを何度も送るモールス信号のように聞こえたのではないか、ということです。実際、マゼラン星人のマヤは、故郷に「迎えはまだか」という短い通信を繰り返し送っていました。

さらに興味深いのは、地球防衛軍極東基地でリズムボックスのカバーが外されると、中にはテープが回っていて、テープ再生型(テープループ)のリズムボックス?でした。メロトロンのリズムボックス版⁈

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」に登場したリズムボックス

もしかしてテープループのリズムボックスってあったの?と、調べてみると、1949年に Chamberlin ‘Rhythmate’というテープに録音されているドラム音がループして再生されるというテープループ式のドラムマシンが発売されていたのを知りました。こちらがメロトロンの先祖でした、、。

60年代後半のリズムボックスは半導体で電子音を発生させるものでしたが、テープというアナログな仕組の方が、より機械的な印象を与えたのかもしれません。

にしても、恐るべしウルトラセブンです。

特撮作品に登場した「リズムボックス」という当時の新しい音楽技術への視点、そして繰り返される電子リズムという描写は、後にコンピューターと音楽を融合したYMOのような音楽が世界を席巻する未来を予見していたのではないかと勘繰ってしまいます。


1960年代後半に進化したリズムボックス

ウルトラセブンの「盗まれたウルトラアイ」が放送されたのは1968年6月16日です。

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」

1960代後半には、ACE Tone (エース電子工業) シリーズ、京王技術研究所 Donca Matic / Mini Pops シリーズなど、60年代後半には多くの名機と呼ばれるリズムボックスが発売されています。

「盗まれたウルトラアイ」が放送された1968年当時に発売されていたリズムボックスについて確認してみました。


ACE Tone シリーズ

ACE Tone Rhythm Ace FR-1 / FR-3は、アナログ方式のプリセットリズムマシンで、「電子化リズムマシンの原点」の一つとされています。

エース電子工業の創業者、梯郁太郎(かけはし いくたろう)氏は、エース電子工業を離れ、1972年にローランドを創業し、ACE Toneの技術やデザインを継承したTR-33 / 55 / 77 を発売します。これが後の名機TR-808(通称 ヤオヤ)に繋がっていきます。

  • Rhythm Ace FR-1(1967)

    FR-1は16種類のプリセットリズムパターンを搭載しており、プリセットを組み合わせることが可能です。また、FR-1はハモンドオルガンオプションとして採用されていたともあります。当時はオルガンにリズムボックスが搭載されていたんですね。エレクトーンみたいです。

  • Rhythm Ace FR-3(1967)

    8種類の基本リズムパターンの他に、2ビートと4ビートのリズムに対して、それぞれ6種類ずつのバリエーションが用意されていました。


Donca Matic / Mini Pops シリーズ

京王技術研究所は、1986年に社名がKROGとなりますが、1963年に発売した「ドンカマチック DA-20」は、国産初のリズムマシン市販機です。

Donca Matic DA-20
【引用】「ドンカマチック」が未来技術遺産に登録! | KORG

国産初となる円盤回転式電気自動演奏装置で、日本におけるリズム・マシン開発の出発点となった重要な機器として評価され、2020年に国立科学博物館が制定する未来技術遺産に登録されました。

  • Donca Matic DA-20(1963)

    回転する円盤にある接点が触れることによって真空管を使用したアナログ回路でリズム音が生成され、円盤の回転スピードを変えることでテンポが調整できるという機械的な仕組みでした。

    25種類のプリセットリズムパターンを搭載し、本体のフロントパネルにはミニ鍵盤のようなスイッチがあり、個別の音色を手動で鳴らすことも可能だったとあります。

  • Donca Matic DE-20(1966)

    Donca Matic DE-20になって機械式回転円盤から、トランジスタ回路を使用した電子式に変更されました。また、リズム音の生成もアナログ回路ですが、真空管からトランジスタに変更になっています。

  • Donca Matic DE-11

    DE-20の廉価版とありますが、詳細は不明です。動画で確認することができます。

  • Mini Pops 5 / 7(1966)

    Mini Popsシリーズは、より広範にトランジスタ技術を適用した、次の世代のリズムマシンとして位置づけられていて、トランジスタ式リズムマシンの重要なモデルと言われています。

  • Mini Pops 3 / 20S(1967)

    かなり洗練されているリズムボックスで20SのSはステレオを意味するとWikipediaには掲載されていますが、詳細は不明です。


ドンカマとは?

マルチトラックレコーディングを行う際のガイドリズムのことを、いまでも「ドンカマ」と言います。これは、かつてレコーディングスタジオに Donca Matic(ドンカマチック)が備品として置かれていた時期があり、その略称である「ドンカマ」がガイド音を指す言葉として広まったと言われています。

「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」のインタビューの中で細野晴臣氏も下記のように言及しています。

「このツアーのときのクリックはドンカマみたいな音が鳴っているだけで、今みたいにバックトラックが鳴っているわけではないから、それに合わせるわけにはいかない。一番肝心だったのは(高橋)幸宏のドラムなので、幸宏のグルーヴに合わせてシンセベースを弾いていたんです」

【引用】YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY - ロングインタビュー

と、「ドンカマみたいな音」という言葉を用いて、ライブのときにタイミングを合わせるためのガイド音を「ドンカマ」表現しています。

ちなみに「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」は、アルファミュージック設立55周年を記念して、ライヴ・レコーディングが行われた4都市5公演の全貌を伝える5CD+1BDのライヴ・ボックス・セットです。

Blu-Rayのライブ映像は、THE GREEK THEATREとHURRAHの映像を最新の技術でアップコンバート、サウンドも新たにミックスとリマスタリングが施されています。

ドラムもベースの音も一つ一つの音の粒がたっていて、とても1979年の演奏とは思えないクォリティです。それにしても細野さんのシンセベースの手弾きの演奏には天晴れです。

YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY

アルファミュージックのYouTubeチャンネルでは、このBOX SETに収録されている THE GREEK THEATREでの「RYDEEN」の映像が公開されています。

CDで聴く音楽もいいものです。

YMO LIVE AT THE GREEK THEATRE 4/8/1979

世界初の商用リズムボックス Wurlitzer Sideman

1959年に発売された Wurlitzer Sideman(ウーリッツァー・サイドマン)が世界初の商用リズムボックスと言われています。

真空管と電磁式回転ディスクを用いた機械式のリズム生成機です。ボタンを押すことで手動で演奏することも可能です。

日本のコルグ創業者である加藤氏がドンカマチック開発の着想を得る際、クラブで使われていたSidemanに触発されたというエピソードがWikipediaに記載されています。実際にSidemanの動画を見ると、Donca Matic DA-20がWurlitzer Sidemanを強く意識して作られたことがよく分かります。


テープループのドラムマシン Chamberlin Rhythmate(チャンバリン・リズメイト)

世界初のリズムボックスより10年前にハリー・チャンバリン(Harry Chamberlin)によってテープ再生式(テープループ)の「世界初のドラムマシン」であるリズメイト(Chamberlin Rhythmate)が製造されています。

1インチ幅の磁気テープループに記録された、本物のアコースティックドラムキットやパーカッション(ボンゴ、クラベス、カスタネットなど)の演奏パターン(サンプル)を再生することでサウンドを生成します。サンプリング(PCM)音源を搭載したドラムマシンLinn Drum の大先輩です。


YMOでみるリズムボックス

1980年に発売されたローランド TR-808は、ドンカマチックよりも1年早い2019年に「音楽シーンに大きな影響を与えたリズムマシン」として国立科学博物館の「重要科学技術史資料」(通称 未来技術遺産)に登録されています。

Yellow Magic Orchestra もアルバム『BGM』(1981年)でTR-808を使っています。アルバムに収録されている「1000 KNIVES(千のナイフ)」 は、坂本龍一のファーストソロアルバムのセルフカバーで、「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」でも演奏されいる、とてもグルービーな一曲です。必ずテーマに戻るという構成はJazzのようでもあります。

しかし、このBGMバージョンではTR-808のリズムが前面に押し出され、ヤオヤ(TR-808の通称)のキック音とクラップによって、より機械的で乾いたアレンジとなっているのが特徴です。


Nothing has to Change(何も変わらないこと)

今回のブログでは、ウルトラセブンに登場した謎のリズムボックスから始まり、初期の国産リズムマシン、そして世界の最先端を走ったTR-808やChamberlin Rhythmateに至るまで、リズムマシンの歴史を辿ってきました。

ウルトラセブン「盗まれたウルトラアイ」のエピソードで描かれた、あの単調でありながらも近未来的なリズムボックス。そして、初期のリズムボックスにおけるテクノロジーの限界からくる「シンプルに、決まったことを繰り返す」という制約こそが、リズムボックスの本質となり、その後の技術的な挑戦へと繋がっていきました。

ウルトラセブンは、北米版ブルーレイで安価に高画質で楽しむことができます。

日本のテクノロジーである Donca Matic DA-20 が示したリズムボックスの本質と挑戦は、時代を超えて脈々と受け継がれています。

少し前に『メトロノームじゃ物足りない!アップライトベース練習に最適なリズムマシンはこれだ!(おすすめ3選)』というタイトルで、B-205の購入理由について「スピーカーで音が鳴らせてシンプル操作」と書いていましたが、もしかしたら、大人になってウルトラセブンに興味をもつのも、昔のリズムボックスに惹かれるのもベースに nothing has to change という思想に基づいて判断していたのかもしれません。

テクノロジーがどれだけ進化しようとも、根源的なリズムの力、そしてシンプルな繰り返しの中に宿る魅力は不変である。音楽の歴史を紐解く中で、そんな普遍的な本質を見出す面白さを改めて感じることができました。

マニアックすぎる書籍 Rhythm Machines

Don Camatic CE-11の動画の最初に紹介されている書籍『Rhythm Machines: The rise and fall of the presets』は、1960年代後半から1980年代初頭にかけて登場したプリセット式リズムマシン(ドラムマシン)の歴史を詳細に記録したものです。Ace Tone、Eko、Elka、Farfisa、Gulbransen、Kay、Kawai、Korg (Keio)、Maestro、Seeburg、Roland、Yamahaなど、主要メーカーからマイナーなメーカーまで、300近い機種を網羅し、カラー写真とモノクロ写真を含む200ページにわたる詳細な情報が掲載されています。

Post Date:2023年9月2日 

LAMY カリグラフィー ニブで楽譜を描く:その選択過程と理由

カリグラフィー 1.5mmで描いた楽譜

エレクトリック・アップライト・ベースでウォーキングベースを練習していますが、読譜の練習も兼ねてベースラインを楽譜に描いています。

しかし、楽譜に馴染みがなかった自分にとっては、譜面を描くということは、かなり労力が必要で面倒な作業です。

そこで、ベースの練習のモチベーションを高めるために専用の楽譜用万年筆があるか調べてみました。万年筆の濃いインクなら楽譜の視認性も向上します。


ミュージック ニブ

日本を代表する万年筆ブランドである「プラチナ万年筆」「パイロット」「セーラー万年筆」、それぞれから楽譜の作成を支援するためにデザインされたミュージック ニブと呼ばれる特別なペン先の万年筆が発売されています。

ミュージック ニブの最大の特徴は、その独特な書き味です。横線は細く、一方で縦線は太く書くことができます。この特性を活かして、楽譜を構成する音符、休符、記号、線などを独特なタッチで描写することができます。

ミュージック ニブは、特殊なペン先の構造に起因して一般的なペン先に比べてやや高めの価格設定となっています。しかしながら、その性能と機能は、楽譜を描くことにおいて高い品質と効率性を提供してくれるに違いありません。


プラチナ万年筆 #3776 センチュリー ミュージック

プラチナ万年筆の #3776 センチュリー(ミュージック)は、楽譜を美しく描くための万年筆です。最大の特徴は、縦の線を太く、横の線を細く描くことができる特殊なペン先です。ペンポイントは幅広な平らで、スリット(ペン先の割れ目)は2本あります。これによりインクフローの量を多くして太い線を描けるようになっています。

またペン先のインク量が多いので、使っていないときにペン先が乾いて描けなくなることを防ぐために、キャップはスリップシール機構が採用されており、使っていない間にインクが乾燥するのを防ぐ役割を果たします。


パイロット カスタム 74 万年筆 ブラック MS(ミュージック)

パイロット カスタムシリーズのペン先にはMS(ミュージック)モデルがラインナップされています。

  • CUSTOM 74
  • CUSTOM 742
  • CUSTOM HERITAGE 912

MS(ミュージック)ペン先は、特殊な形状で、ペンポイントは広く平坦になっており、スリット(ペン先の割れ目)は2本あります。この設計により、ペン先が3つに分かれており、独自の書き味を提供します。

パイロット カスタム74は、初めての金ペンとしても人気の高い万年筆ですが、MS(ミュージック)ペン先は、楽譜をはじめ、縦線と横線の太さの変化を活かした文字やデザインを描く際にも優れた性能を発揮できることが期待できます。


セーラー万年筆 プロフィットライト ゴールドトリム ミュージック

セーラー万年筆のプロフェッショナルギアとプロフィット シリーズには、ミュージック ニブがあります。ペンポイントが平坦にカットされた特殊な形状は、プラチナ万年筆やパイロットのミュージックニブと同じですが、セーラー万年筆のミュージック ニブにはスリットが1本しかありません。

以下のモデルでミュージックペン先が利用可能です:

特に、プロフィット ライトは14Kの金ペンとしてはリーズナブルな価格設定です。また、コスト重視であれば、ステンレス製のプロフィットカジュアルという選択肢も用意されています。


安価なミュージックペン「写譜カリ」から学んだこと

趣味で使用するものということで、清水の舞台を飛び降りる覚悟で、スリットが2本入ったパイロット カスタム 74 ブラック MS(ミュージック)の購入を決断。

しかし、冷静に考えると、どんどんと弱気になってしまいます。

  • 趣味のためとはいえ普段使っている万年筆より高いものが本当に必要?
  • 楽譜用の万年筆を使う頻度は高くないのでは?
  • 少し高い万年筆を買うなら前から気になっている軟ペンの方が先では?

自分の「勇気」と「財力」を踏まえて、より経済的な楽譜用の万年筆が存在しないかを探してみると、写譜に適したカリグラフィーペン「写譜カリ1(ペン先1.5mm)」「写譜カリ2(ペン先1.1mm)」がセットになっている商品を見つけました。

中国産の万年筆は試したことがなく、低価格な万年筆は、インク漏れや書き心地についての不安もあります。

しかしながら、「写譜カリ」は、楽譜を書き写す「写譜(しゃふ)」という美しい言葉と、細い線から太い線までを描けるカリグラフィーペンは、楽譜の描写にも適していることを教えてくれました。さらにAmazonの動画で、1.1mmと1.5mmの太さの違いが分かりました。

写譜カリ」は、楽譜用の万年筆を探す上で新たな視点をもたらしてくれました。


写譜用にカリグラフィーペンを探す

カリグラフィー(Calligraphy)とはアルファベットをアートとして美しく書く技法です。カリグラフィー用の万年筆は、一本のペン先で細い線から太い線まで描ける特徴があります。これはミュージック・ニブと共通です。

しかし、ニブの形状はかなり異なります。ミュージックニブは、ペンポイントが広く平坦になっていますが、カリグラフィーニブにはペンポイントがなく、ペン先の先端がカットされたようになっています。下写真は1.5mm幅です。

ミュージックニブとカリグラフィーニブの比較

ニブの形状は違うけど、「写譜カリ」を信じ、書き心地が快適でありながら手ごろな価格のカリグラフィー万年筆を探して、以下の二つを候補としました。

  • セーラー万年筆 ハイエースネオクリア カリグラフィー
  • LAMY joy

セーラー万年筆はhocoro(ホコロ)の筆文字(特殊ペン先)を持っていますが、書き心地は悪くありません。ただし、安価なペンのデザインには限界を感じます。

一方で、LAMYはデザインに加えて書き心地や品質においても絶対的な信頼感があります。


LAMY Safariをカリグラフィーペンに改造

LAMY Safariを2本所有しているため、3本目のLAMYの万年筆を購入することには少し躊躇してしまいますが、「LAMY Safari はニブが交換できる」ことを思い出しました。

LAMYの交換用ニブには、1.1mm1.5mm1.9mmという3つのカリグラフィー用のペン先が用意されています。

悩みに悩んだ楽譜を描くための万年筆は、LAMY Safari のニブ交換』で解決です。


LAMY Safari カリグラフィー 1.5mm で写譜

ベースの練習で使っている楽譜は、8段か12段です。なので「写譜カリ」の動画を参考に1.5mmのカリグラフィーを選びました。

LAMY 交換用ペン先 カリグラフィー 1.5mm

LAMYのニブ交換については、「1分で簡単!LAMYサファリの『ニブの交換方法』と注意点を写真で解説」という記事を参考にしました。セロテープを貼って引っ張れば簡単にニブが外れました。新しいニブを差し込みも力なくできます。

新しいニブが装着できました。

LAMY Safariにカリグラフィー ニブを装着

通常の持ち方だと、カリグラフィー 1.5mmのペン先では、縦線は太く横線は細く描くことができますが、角度によって太さに変化がでるので音符の旗もカッコよく描けます。

LAMY Calligraphy 1.5mm で描いたアルファベット、線、音符

カリグラフィー ニブに交換しても、インクフローもよく、LAMY Safari の書き心地の良さは変わりません。

残念ながら、カリグラフィー ニブが装着されているLAMY Safariはありません。LAMY Safari を持っていないのであれば、LAMY Joy(カリグラフーペン)という選択もあります。

ニブの形状から音符の玉(符頭:ふとう)を丸く描くのが難しい、、、。丸い音符を描くのであればペン先幅が1.0mmの方が描きやすいかもしれません。

この符頭の完成度が、ミュージックニブとカリグラフィーニブで楽譜を描く場合の最大の違いなのでしょうか。

それでもカリグラフィーニブでの符頭も許容範囲です。


カリグラフィーペンで音符を描くコツ

通常の持ち方だと縦線が太くなってしまうので、音符の玉から伸びている線(符幹:ふかん)を書くときには、ペンを90度回して、ペン先の全面を譜面に当てて描く必要があります。スリット(ペン先の割れ目)の部分が紙に当たっていないとインクが出ません。

音符の棒は万年筆のを90度回転させて描く

同様に、シャープ記号の縦線を細く、横線を太くしたい場合も、縦線も横線もペンを90度回転させた状態で描きます。

この書き方のコツに慣れるまでには少し練習が必要でした。

実際に譜面を描いてみたのがこちらです。

LAMY Calligraphy Nib 1.5mmで描いた譜面

予想通り視認性がよく、実用的です。また、1.5mmのペン先サイズもちょうどよいと感じました。「写譜カリ」に感謝しています。

読譜の練習を兼ねて、写譜も重ね、エレクトリックアップラライトベースでウォーキングベースラインの練習にも励みたいと思います。


LAMY カリグラフィーで書いた日本語

LAMY カリグラフィーのペン先で普通に日本語を書くと、勝手にアーティスティックな文字に仕上げてくれます。簡単なメッセージを添えるときにインパクトのある文字で表現できます。

カリグラフィーニブで書く日本語も悪くない

LAMYカリグラフィー、かなりいい感じで気に入りました。

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