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Post Date:2024年11月24日 

WANCHERの渓流ニブが描く新たな万年筆の世界

WANCHER 峰万年筆 - 渓流ニブ

軟調ペンからセーラー万年筆の日本語のためのペン先である長刀研ぎ(なぎなたとぎ)に興味を持ちました。しかし、今日日あまりにも高価で手が出ません。そんなときに出会ったのが、WANCHERの渓流ニブです。

渓流ニブは、日本の伝統と革新を融合した万年筆ブランドWANCHER(ワンチャー)のオリジナルペン先で、最終的な仕上げはペン先職人である長原幸夫氏によって行われています。長原氏はセーラーで長刀研ぎを復活させた故長原宣義氏のご子息で、同じく元セーラーの万年筆職人であり、現在はThe Nib Shaperとして活躍されています。

渓流ニブは、スチールニブなので軟らかいペン先ではありませんが、渓流のような柔らかな流れを筆跡に宿し、その独自の書き味は、日本語の美しさと表現力を際立たせてくれます。

渓流ニブを購入すると下記のカードが同梱されています。

WANCHER - KEIRYU / 渓流ニブ

渓流ニブとは?その独自性と特徴

多くの万年筆では、ペンポイントは半球形に仕上げられており、どの方向からも均一な線を引けるようにデザインされています。この形状は滑らかな書き心地を提供する一方で、線の強弱や表現力には限界があります。

一方、セーラー万年筆の長刀研ぎ(なぎなたとぎ)は、ペンポイントが長刀のように斜めに研ぎ上げられており、筆圧やペン先の角度によって線幅を大きく変化させる特徴があります。縦線を太く、横線を細く書くなど、日本語特有の書字美を追求した設計が施されています。

長刀研ぎ
【引用】Amazon - セーラー万年筆 長刀研ぎ

渓流ニブは、一般的な万年筆のペンポイントと長刀研ぎの中間的な形状です。ペンポイントはとても大きく、ペン先の先端は長刀研ぎほど鋭利ではありませんが、一般的なペンポイントよりも細長く研ぎ上げられています。また、ペンポイント全体がわずかに湾曲しており、この微妙なカーブが線の滑らかな流れを生み出す要因となっています。

WANCHER - KEIRYU / 渓流ニブ

裏から見ると刀というよりは山のようにもっこりとしています。

WANCHER - KEIRYU / 渓流ニブ

この形状により、渓流ニブはスチールニブでありながら、ペン先の角度や筆圧によって線の太さに抑揚をつけることができます。特に、漢字の「ハライ」「トメ」「ハネ」といった線の強弱が美しく表現され、文字に動きと立体感をもたらします。

長刀研ぎは使ったことがないのでわかりませんが、渓流ニブはスチール製のため金ニブほどの柔軟性はありませんが、職人の丹念な調整により、硬いスチールでも適度な柔軟性を持たせて「静かで滑らかな変化」を実現しています。

Wancher公式YouTubeの「Keiryu Nib Review:渓流ニブのレビュー」では、セーラー万年筆の長刀研ぎとWancherの渓流ニブのペンポイントの形状の違いが紹介されています。また渓流ニブでどんな字が書けるのかがイメージできます。


渓流ニブの書き味

渓流ニブの書き味は、軟調ペンのように筆圧によるダイナミックな線の変化とは異なり、より穏やかで優しい変化が特徴です。ペン先の角度や筆圧に応じて、繊細な線の強弱を表現することができます。

WANCHERの渓流ニブのページには「水面をすべるアメンボのように」スーと線が引けるとありますが、潤沢なインクフローと職人よって研ぎ澄まされたペン先で、紙の上を滑るように静かでスムーズな書き心地を実現しています。

字幅は太字程度で、小さな文字を書くよりも、中字からやや大きめの文字を書く際にその特性が最大限に発揮されます。漢字の「ハライ」や「トメ」など、筆致の美しさを求める文字に特に適しています。

渓流ニブの書き味についての動画もあります。


WANCHERの万年筆を選ぶ

渓流ニブを手に入れるには、以下の2つの方法があります。

  • WANCHERの万年筆に渓流ニブをカスタマイズ
    WANCHERの15,000円以上の万年筆(一部対象外)を購入し、追加料金7,700円(税込)で渓流ニブを選択できます。
  • 交換用ニブとして購入
    楽天やAmazonのWANCHER公式ストアで、交換用渓流ニブを9,350円(税込)で購入できます。 JOWO #6ニブの「世界樹 / カレイド」と交換できるので、価格を抑えて渓流ニブ万年筆が手に入ります。

峰万年筆もニブを外すことができます。

WANCHER - KEIRYU / 渓流ニブ

「世界樹万年筆 黒檀(エボニー)」に交換用ニブとして渓流ニブを購入することを検討していました。しかし、エボナイト素材に強く惹かれ、最終的には「ドリームペン/夢万年筆 -峰- 誠エボナイト」のマーブルパープルグレーを選びました。

完全に予算オーバーです、、。


エボナイトとは

エボナイトは、天然ゴムに硫黄を加えて加熱することで得られる、硬くて光沢のある素材です。かつては万年筆の軸材として広く使用されていました。しかし、より簡単に扱える樹脂素材が主流となる一方で、エボナイト特有の美しい光沢や温かみのある感触は多くの万年筆愛好家を惹きつけています。

WANCHER 峰万年筆 - 渓流ニブ

峰万年筆・マーブルパープルグレー

エボナイト軸の「誠エボナイト」はバランス型のデザインですが、峰万年筆は両端が平らなベスト型です。キャップ上部の突起(これが「峰」?)は、このモデルだけの特徴的なデザインです。

WANCHER 峰万年筆 - 渓流ニブ

峰万年筆のコンセプトは下記のようにあります。

この万年筆は成功への旅を意味し、一歩一歩高みへと続いていくイメージを元にデザインされています。キャップ上部の突起は私たちが目指す成功の頂を示しているのです。 「峰」という字は一般的に山の一番高いところを意味しますが、転じて技術や栄誉といった様々なもので頂点を極めたことへの比喩としても使われます。

人生の中において、世界の見方を変えるような地点に到達したいという願いをこめて、元々フラットだったキャップ上部を変更して今のデザインになりました。

【引用】峰万年筆 | Wancherpen Japan

峰万年筆は、マーブルパープルグレーマーブルグリーンの2色があります。前者は落ち着いた知性を感じさせる色合い、後者は自然の調和と生命力を思わせる鮮やかなグリーンが特徴です。

桐の箱に収められ、かなり仰々しい梱包なので開封の儀が恥ずかしい、、。

WANCHER 峰万年筆 - 渓流ニブ

コンバーターも付属しています。

WANCHER 峰万年筆 - 渓流ニブ

まとめ

WANCHERの渓流ニブは、日本の万年筆文化の伝統と革新が見事に融合した一品です。セーラーの長刀研ぎにインスパイアされつつも独自の形状を持ち、スチールニブでありながら日本語特有の線の抑揚を表現できる優れたパフォーマンスを提供します。職人の手による丹念な仕上げが、ペン先の滑らかな書き心地を実現し、使い手の筆跡に柔らかく美しい流れを生み出します。

また、渓流ニブのペン先を更にシャープに研いだ小太刀(こだち研ぎ)というオプションもあります。小太刀には細字、中字、太字の3種類があります。渓流ニブでは小さな字をかけませんので、ノートなどで使うのであれば、細字や中字が力を発揮します。

渓流ニブはWANCHERのブランド哲学を体現する特別なペン先です。このペン先は手書きの世界を広げてくれます。WANCHERの万年筆を手に取り、ペン先が生む新たな書き心地をぜひ体感してみてください。

スチールペンも侮れません。小太刀研ぎにも興味津々です、、。

Post Date:2024年11月16日 

プチかわいい万年筆の大きな世界:PuChiCoの魅力

WANCHER/1xOnexWan ぷちこ/PuChiCo フロスティセピア/Frosty Sepia

日々のひらめきやアイデアを書き留めるには、ポケットに忍び込ませられる名刺サイズのジョッターメモパッドと手のひらサイズの万年筆「PuChiCo」が最適です。6.5cmのコンパクトなボディながら、本格的な書き心地を提供するこの万年筆は、持ち運びやすさと機能性を兼ね備えています。

そんなユニークな製品を生み出すのは、大分発の筆記具ブランドWANCHER(ワンチャー)。伝統と革新のバランスを大切にし、書き手の個性や感性に寄り添った製品づくりに取り組んでいます。

PuChiCoは、このWANCHERが手頃な価格で魅力的な商品を届けるために生んだサブブランド「1 x One x Wan」(ワンバイワンバイワン)のラインナップの一つです。


PuChiCoはプチ可愛いけど実力派

まず、見た目がなんとも「プチ可愛い」。全長わずか65mmで、キャップをポストしても87.3mmというミニサイズです。小さくて手のひらにすっぽり収まるため、どこにでも気軽に持ち運べるのが魅力。カラーバリエーションも豊富で、透け感のあるデザインが楽しめますが、インクの色が透けるため、ブラックやブルーブラックなどを使うなら、色が透けない「ペンギンブラック」や、透明色の「フロスティセピア」がおすすめです。

PuChiCo ペンギンブラック
【引用】Amazon Wancher公式 / PuChiCo ペンギンブラック

写真は、フロスティセピア(Amazon 公式ショップにはなく、楽天公式ショップで購入)にブルーブラックのインクを注入しています。

WANCHER/1xOnexWan ぷちこ/PuChiCo フロスティセピア/Frosty Sepia

小さなボディにもかかわらず、PuChiCoは実用性をしっかりと備えています。ペン先は通常の万年筆と同じ大きさで、本格的な書き味を楽しめます。字幅はF(細字)とEF(極細)から選べます。ボディが小さく力を入れて書くのは難しそうなので、F(細字)にしました。

WANCHER/1xOnexWan ぷちこ/PuChiCo フロスティセピア/Frosty Sepia

PuChiCoは構造をシンプルにするためにアイドロッパー式を採用しています。アイドロッパー式は、ペンの軸部分に直接インクを注ぎ入れる方式です。

PuChiCoのように短い同軸でも多くのインクが入るのが利点です。インクを注入するためにスポイトが付属していますが、

WANCHER/1xOnexWan ぷちこ/PuChiCo フロスティセピア/Frosty Sepia

象と散歩: 万年筆のインク補充術:手を汚さず、コスパよくで紹介しているシリンジ(注射器)であれば他の万年筆でも使えます。

インク漏れを心配しましたが、いままでインクが漏れたことはありません。気圧の変化が大きい飛行機の機内でも大丈夫でした。

PuChiCoは見た目に反して、万年筆としての基本をしっかりと押さえ、スムーズなインクフローと安定した書き心地を提供してくれる、まさに「プチ可愛いけど実力派」の万年筆です。


PuChiCoの持ち方

万年筆は通常、寝かせて持つ方が書きやすいですが、PuChiCoはキャップをポストしても全長87.3mmと短めです。そのため、やや立て気味に持ち、人差し指側に少し寄せることで、ちょうど良く握れるサイズ感となります。また、このように立てて書くこともあいなり、<F:細字>でもかなり細めの字幅となります。

WANCHER/1xOnexWan ぷちこ/PuChiCo フロスティセピア/Frosty Sepia

長時間書くには不向きですが、感じたことを直ぐに記録するためには最高の筆記具です。また、ブラン・クチュール ジョッターメモパッド 名刺サイズのために作られたのではないかと思うほど、ふたつのサイズ感と相性は抜群です。

WANCHER/1xOnexWan ぷちこ/PuChiCo フロスティセピア/Frosty Sepia

PuChiCoの最大の難点は、キャップの尻軸への差し込むときに、しっかりとハメないと、書いている途中で"キャップが外れてしまう"="書けなくなる"ことです。アタシェ マーブル万年筆のように、キャップポスト部がねじ式であれば、キャップとボディがしっかりと連結できます。しかし、安定性は増しますが、書き始めるまでにひと手間かかります。また見た目の問題もあります。

アタシェ マーブル 万年筆
【引用】Amaon - アタシェ マーブル 万年筆

ちなみに、アタシェ マーブル万年筆の全長は10.3cmとPuChiCoよりも大きいですが、デザインも似ているので、そこまで小さくなくてもと思うのであれば選択肢のひとつになるかもしれません。


PuChiCoを持ち歩こう

PuChiCoには専用のチャーム付きプチペンケース「PuChiCo用ファーケース」が用意されています。裸でポケットに入れるのも気が引けたので、専用ペンケースを一緒に購入しました。モカベージュの色は上品で素敵ですが、チャーム(飾り)付きで、全体的にかなり女子しています。

PuChiCo用ファーケース

ケースのサイズは90.4×30.6mmで、PuChiCoを最大2本まで収納可能とありますが、サイズ的にはあまり可愛くない。ポケットではなくポーチやバッグに入れるペンケースです。

何度か使ってみたものの、サイズ感がしっくりこなかったため、よりコンパクトなコインケースや印鑑ケースをペンケース代わりにできないか探してみました。

RafiCaroのコインケースは、MとSサイズがあり、Sサイズは、長さが7.5cmとこぶりです。

RafiCaro コインケース
【引用】Amazon - RafiCaroコインケース

Sサイズの収納品の推奨サイズは長さ5cm以下です。PuChiCoの長さは6.5cmですが、直径は2.2cmもないので、Sサイズに入るだろうと購入しましたが、「PuChiCoのためのケースなの?」というぐらいピッタリで、最強の組み合わせとなりました。

RafiCaroコインケースSサイズ

専用ケースと比べてみてもかなり小さくポケットサイズです。

PuChiCoファーケースとRafiCaroコインケース

まとめ:PuChiCoで広がる手のひらサイズの世界

6.5cm 手のひらサイズは、他の万年筆とは一線を画す存在感と機能性を持ち合わせています。携帯性と実用的な機能性を備えたこの万年筆は、象と散歩: 小さいが正義? ブランクチュール 名刺サイズのジョッターメモパッドで紹介した「いつでもどこでもメモを。」という名刺サイズのジョッターだけでは実現できない世界を広げてくれました。

持ち運びには、RafiCaroのコインケースを使うば、専用ケース以上のフィット感があり、PuChiCoの携帯性を損ないません。

日常のどんなシーンにも手軽に持ち運べる「ブラン・クチュール ジョッターメモパッド」と「PuChiCo」をいつでもどこにでも連れっていってください。

小さいが正義? ブランクチュール 名刺サイズのジョッターメモパッド

PuChoCo!?

PuChiCoについて書いていたら、WANCHERがインスタでPoChaCo(ポチャコ)をアップ!

PuChiCoとPoChoCoを比較するとこれだけ違います。

PoChoCoとPuChiCoの比較
【引用】Wancher楽天公式 - PoChoCo・クリスタルクリア

まだ小さい万年筆の部類ですが、かなり実用的なサイズに仕上がっています。

PoChaCo(ポチャコ)PuChiCo(プチコ)
長さ(収納時)108mm65mm
長さ(使用時)131mm87.3mm
太さ(最大)22mm13mm
重さ38g9g

PoChoCoは3種類、ミルキーマーブルとブラックチョコオレンジは、アイドロップ式とカートリッジ式を選択できますが、クリスタルクリアはアイドロップ式のみです。

『大人になったPuChiCo』、ちょっと欲しいかも。

Post Date:2024年9月18日 

初心者の太字万年筆の選び方!カスタム67 Bの実力は?

PILOT CUSTOM 67 <B>

太字の万年筆を使ってみたいけど、普段使いになるのか分からないし、、。そんな風に悩んだことはありませんか?太字は、文字に力強さと個性を与え、手書きの楽しさをさらに深めてくれる存在です。

「中古の万年筆なら気軽に試せるかも!」と思い、カスタム67 Bを中古で購入。

1985年発売のパイロットカスタム67は、同社の67周年記念モデルとして登場した、14金5号の万年筆です。カスタム74の前身モデルとしても知られています。67には太字の字幅もあり、太字を日常的に使う機会は多くないけど、金ペンならではの太字の書き味を味わいたい方にオススメです。

カスタム74よりもシンプルなデザインのカスタム67は、飽きのこない美しさで長く愛用できそうです。定番モデルのため中古市場でも比較的多く流通しており、状態の良いものが安価で入手できるのも魅力です。


Custom 67のペン先(ニブ)

5号サイズのペン先は、10号サイズのCustom Heritage 912のペン先と比べるとコンパクトです。ペン先には、PILOT 14K585 5 Bと刻印されています。

Custom67 Nib 14K 585 5 B
  • 14K:14金
  • 585:金の含有率 58.5%
  • 5:5号サイズのペン先
  • B:字幅 Bold(太字)

横からみるとボールドなので四角い大きなペンポイントが目立ちます。

Custom67 Nib(横から)

こちらは裏側になります。

Custom67 Nib(裏側)

デザイン

カスタム67は細身のボディで、万年筆初心者にも握りやすい太さです。カスタム74と同様に樹脂製のバランス型ですが、経年劣化のせいか、74に比べてややプラスチック感があります。

Custom67

キャップのリングは、カスタム74の太いリングとは対照的に、細いリングが2本です。キャップの縁に「CUSTOM 67 JAPAN」が控えめに刻まれています。

Custom67 キャップ

クリップの丸い玉はカスタム74と同じデザインですが、キャップと軸の両端のリングがより細く、全体として質素な印象を与えます。

Custom67 尻軸


コンバーターも使える

初期型のカスタム67の尻軸には、バランサー(オモリ)が入っているので、コンバーターのCON-70が入らないとありますが、入手したカスタム67は初期モデルではないのでCON-70が装着できました。

パイロット コンバーター CON-70

Custom 67の書き心地

14K 5号サイズのペン先はコンパクトですが、太字のペン先はインクフローが多く、筆圧をかけずに滑らかに書けます。気持ちよく太い文字が書けるペン先です。

しかし、字幅が太ければ柔らかいというわけではないといいうことが実感できました。

ペン先に力を入れると"しなり"はあります。

Custom67 ペン先のしなり

しかし、金ペンや軟調ペンの書き味に慣れてしまっということもありますが、書き味は滑らかですが、決して柔らかくはありません。どちらかといえば、硬く筆圧をかけても書きやすい万年筆に仕上がっています。

カスタム74試筆台で試した<B:太字>と比べてもあまり変わらない気がします、、。


パイロットのペン先はいつから硬化したのか?

100年の歴史 | パイロット100周年記念サイト - PILOT には、1972年に発売された「カスタム」シリーズでは「現代の日本人にあった、日本の文字のための万年筆」と謳われています。

もう少し前に遡っても、硬化の兆しが見られます。1968年に発売された「エリートS」は、Yシャツのポケットに収まるショートサイズの万年筆でしたが、このサラリーマンをターゲットとした万年筆が、携帯性と実用性を兼ね備えたペン先の硬化の始まりだったのではないかと思われます。

「エリートS」は復刻版として「エリート95S」として、現在も発売されています。

1960年代から1970年代にかけての0.5mmのシャープペンシル、そしてボールペンの普及に伴って筆圧をかけて書くことが一般的になってきました。万年筆もまた、硬めのペン先にすることで、耐久性を高め、ボールペンやシャープペンシルに慣れたユーザーにとっても使いやすいように日常の筆記用具として進化してきたのではないでしょうか。

そして、実用的な万年筆が硬化する中で、柔らかい万年筆の書き味を求める声に応えたのが、軟調ペン先なのではないかと思います。


14K 5号の太字は必要か?

いまのところ日常的にはあまり多く太字の出番を考えられません。しかし、太字は、より万年筆らしいアーティスティックな文字を表現できます。手紙や葉書を書いたり、一筆箋などを書く方は太字が重宝するかもしれません。

Bold(太字)は、Fine(細字)やMedium(中字)と比べて利用が限定されますが、手書きの幅を広げられる可能性を秘めているので、14K 5号の太字もあっても損はしないと思います。

中古の万年筆にはあたりハズレがありますし、ニブの形状が異なりしなやかと言われている初期モデルでなければ、カスタム74でも同じです。

また同価格帯のプロギアスリム、#3776センチュリーでもいいかもしれません。

しかし、太字を主力として考えるのであれば、14K 5号のペン先では、書き味に物足りさを感じるようになるかと思います。

サイズが大きいペン先は、筆圧に対して多少の弾力性を感じやすく、滑らかな書き心地が得られることが多いので、パイロットであれば10号や15号サイズ。21Kのプロフィット/プロフェッショナルギアの太字をおススメします。

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