2013年10月21日月曜日

初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育

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カクレクマノミとイソギンチャクを共生させての飼育は憧れです。しかし、何度かイソギンチャクを購入しましたが、何れも短命で終わらせてしまっていました。

「初心者にはイソギンチャクの飼育は難しい」「イソギンチャクの飼育には大掛かりな設備が必要」→「自分には飼育は無理」、自分の中ではそう勝手に結論付けていました。しかし、なんとか、カクレクマノミとイソギンチャをリビングで簡単にインテリア・アクアリウムとして飼育することはできないかと、もういちど調べて、再挑戦することにしました。
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まだ長期飼育とはいえない半年(2017年4月現在で4年が経ちました)ですが、小型水槽の中でのカクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生飼育ができています。左水槽壁面に付いている貝等を食しながら、すっかりと大きくなってしまいましたが、まだ予断を許せません。今回は、とりあえずここまでの飼育方法についてまとめておきます。

イソギンチャクの飼育は難しくない

短命で終わらせてしまった他のイソギンチャクについてはわかりませんが、現在、飼育しているハタゴイソギンチャクであればアクアリウム初心者(初級アクアリスト)が小型水槽で飼育を始めるのもそんなに難しくはありません。

勿論、カクレクマノミの飼育用具とは別に新たに設備投資が必要となりますが大掛かりな設備は必要はなく、インテリア・アクアリウムとしての美観を損なわずに飼育することができます。ハタゴイソギンチャクの飼育が初心者にハードルが高いといわれているのは、過去の経験からくる誤った知識と誤解から生じているのではないかと思います。

30cm水槽でのハタゴイソギンチャクの飼育ポイントは下記になります。
  1. 元気な生体の入手
  2. 光合成に必要な照明
  3. 水流
  4. 水質の維持
    では、順を追ってカクレクマノミと共生させるイソギンチャクについて説明をしていきます。

    カクレクマノミと共生するイソギンチャクは?

    カクレクマノミはどのイソギンチャクとも共生するわけではありません。そもそもカクレクマノミとイソギンチャクはなぜ共生するのでしょうか。共生とは字のごとく共に生きるです。

    カクレクマノミは体表から分泌する粘液によってイソギンチャクの刺胞毒から守られているので、刺胞毒のあるイソギンチャクは、外敵からの格好の隠れ家です。またイソギンチャクが吐き出した食べ残しもしっかりと食べています。

    では、イソギンチャクにとってカクレクマノミと共生することで得られるメリットは何でしょうか?

    他の魚が間違って入ってくる?
    カクレクマノミが動くことで水流が起きる?

    考えてみても、あまりイソギンチャクにとってはメリットがあるように思えません。このように片方にしかメリットがない共生関係は 片利共生 と呼ばれています。相互に利益関係があるのが 相利共生 です。

    自然環境下でのカクレクマノミはどんなイソギンチャクと共生するのでしょうか。日本サンゴ礁学会誌 第 13 巻,1-27(2011) 「イソギンチャクとクマノミ類の共生関係の多様性: 分布と組合せに関する生態学的レビュー」 には、カクレクマノミと共生するイソギンチャクはハタゴイソギンチャクとセンジュイソギンチャクと記されています。

    また沖縄でカクレクマノミと共生しているのはハタゴイソギンチャクとセンジュイソギンチャクだと聞いたことがあります。実際に沖縄の海中で見たのもハタゴイソギンチャクの中に隠れるカクレクマノミの光景でした。つまりカクレクマノミとの共生を一番に考えるのであればハタゴイソギンチャクかセンジュイソギンチャクがいいのではないかと考えました。

    それ以外のイソギンチャクでも水槽飼育下での共生例は多く報告されていますが、自然界の中では共生していないこと、そして何よりハタゴイソギンチャクが意外にも厳しい環境にも生息しているので、初心者向けのイソギンチャクとして適しているのではないかと考え、ハタゴイソギンチャクを選択しました。

    入手可能なイソギンチャク種類とカクレクマノミとの共生
     
    科目 和名 サイズ 共生
    ハタゴ
    イソギンチャク科
    30cm
    ハタゴ
    イソギンチャク科
    60cm
    ハタゴ
    イソギンチャク科
    60cm
    ハタゴ
    イソギンチャク科
    20cm
    ハタゴ
    イソギンチャク科
    30cm
    ウメボシ
    イソギンチャク科
    15cm
    ウメボシ
    イソギンチャク科
    20cm

    ハタゴイソギンチャクの特徴

    ハタゴイソギンチャクの英名は Stichodactyla gigantea ですが、一般的には Giant carpet anemone (巨大なカーペット)と呼ばれています。短い触手が密生し、口盤がうねうねと波打っている様子は確かに波打つカーペットのようです。カクレクマノミが共生することを考えると和名の旅籠磯巾着というのはピッタリの名前です。

    他に身体的特徴としては体壁に紫色の斑点があります。体色は褐色(ちょっと違う?)ですが、カラーバリエーションは多く、鮮やかな蛍光色のものもいます(ハタゴイソギンチャクの画像検索結果はこちらから)。Wikipedia の Stichodactyla gigantea には寿命は3-5年以上とあります。

    ハタゴイソギンチャクの体壁(紫斑)

    ハタゴイソギンチャクは食欲旺盛?

    ハタゴイソギンチャクは食べ物の入り口と出口(口と肛門)が同じ場所で、壺のような胃腔がある腔腸(こうちょう)動物です。固着生物ですが足盤で移動することができます。しかし捕食するために移動することはなく、触手に小動物が触れると刺胞毒で麻痺させて口に運んで丸のみします。そして消化できなかったものはまた口(肛門)から吐き出します。

    自然の中ではエビやカニなどの甲殻類や子魚などが迷い込んでくると食べているようです。光合成だけでも飼育可能といわれていますが、飼育中のハタゴイソギンチャクは食欲旺盛です。水槽清掃用の貝が誤ってハタゴの触手に触れると数多の触手を巧みに動かして中に引きずり込み、シャコガイのように閉じて貝を飲み込んでしまいます。明らかなる意思を持って捕獲して食しています。そして暫くすると消化できなかった貝殻がまわりに吐き出されています。

    ハタゴイソギンチャクの餌となってしまった貝

    餌を与えると消化不良などで体調を崩す場合があるといわれていますが、いまのところは成り行きにまかせています。たまにハタゴイソギンチャクのまわりに貝殻が転がっているので、相変わらず勝手に捕食しているようです。貝が少なくなってくると釣りにいったついでに採取しては水槽に投入しています。

    このようにハタゴイソギンチャクは補食をする肉食性動物でありながら体内に共生させている褐虫藻の光合成で養分を得るという、植物のような一面をもつ何とも不思議な生き物です。

    ハタゴイソギンチャクの生息場所

    ハタゴイソギンチャクの生態を調べるるために、生息場所について調べてみると「サンゴ礁沿岸浅場の景観構造とカクレクマノミの空間分布」に石垣島での水深2m前後のサンゴ礁沿岸浅場での調査結果がありました。

    パッチリーフ(砂地に大小多数の根が存在している場所)、岩盤、砂地の中の石に生息し、夏の最高水温は38.5℃、冬の最低水温が13℃で、1日に10℃の変動あり、更に岸近くでは淡水の影響も受ける。という何とも過酷な場所にハタゴイソギンチャクは生息しているようです。

    図鑑などには水深10mに生息とありますので、もっと安定した環境にも生息しているのでしょうが、少なくとも石垣島の水深2m前後のサンゴ礁沿岸浅場に生息するハタゴイソギンチャクは、環境変化に強いイソギンチャクであるということになります。

    沖縄産ハタゴイソギンチャクを入手しよう

    過酷な環境で生きながらえる沖縄のハタゴイソギンチャクであれば、初心者の未熟さを生体がカバーしてくれそうです。それなりの値段はしますが、カクレクマノミとの長期共生飼育を考えるのであれば国産のハタゴイソギンチャクの選択肢しかありません。元気なハタゴイソギンチャクさえ入手できれば短命で終わらせてしまうような結果にはならないはずです。

    本来、環境の変化に強いハタゴイソギンチャクが飼育環境下で1ヶ月未満の短命となってしまう最大の理由は、採取方法にあるといわれています。ハタゴイソギンチャクは岩場や砂地の石に活着しています。薬品を使って剥がすというのはもってのほか、乱暴に剥がすと足盤や触手に損傷を負わせてしまいます。薬物採取といって販売されているハタゴイソギンチャクを見たことがありませんので、とりあえずハンドコート(素手で採取)と明記されているものを選びましょう。またネットで生体を購入するのであればショップの評価やコメントが参考になります。

    元気なハタゴイソギンチャク 選びのキーワードは、「国産」 「沖縄」 「宮古島」 「石垣島」 「ハンドコート」 です。

    ハタゴイソギンチャク 沖縄産 ハンドコート

    ハタゴイソギンチャクに必要な照明

    生体の購入の前に必要となる器具を揃えましょう。ハタゴイソギンチャクの飼育には照明が必須です。なぜ照明が必要か、どんな照明がいいのかについて説明します。

    ハタゴイソギンチャクと共生する褐虫藻

    ハタゴイソギンチャクは褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる単細胞藻類の渦鞭毛藻類(うずべんもうそうるい)と共生しています。褐虫藻とは総称でシンビオディニウム(Symbiodinium)属に属する、大きさ0.01mm 程の小型の渦鞭毛藻類です(日本の海産 プランクトン図鑑【第2版】)。渦鞭毛藻類の種類は多く、遺伝子別タイプ(クレード)で分別されていますが、クレードAはさまざま動物と共生し、沖縄の造礁サンゴに共生するのはクレードC,D とあります。

    ハタゴイソギンチャクは前述したように自らの触手で小魚やエビなども補食しますが、褐虫藻の光合成によって栄養供給を受けています。光合成だけでも飼育可能ですが、逆に褐虫藻からの栄養が絶たれると長くは生きられないようです。褐虫藻はその名の通り、褐色(茶色)です。ハタゴイソギンチャクが褐色なのは褐虫藻の色そのものなのです。 

    また 緑色のハタゴイソギンチャク もポピュラーです。緑色の理由は紫外線の影響で蛍光タンパク質が輝いているのではないかと思います。褐色のハタゴイソギンチャクでもブラックライトで照らすと緑色に輝いて見えます。

    それ以外の色の理由についてはわかりませんが、唯一言えるのは白色のハタゴイソギンチャクは購入してはいけないということです。サンゴの白色化と同じく、褐虫藻の色素が失われたか、褐虫藻が抜け出てしまった状態で、光合成による養分補給ができないことから短命で終わってしまう可能性が大きいと思います。

    ハタゴイソギンチャクの光合成

    褐虫藻の光合成は、陸上の植物の光合成と若干異なります。先ずは「海が青くみえる理由」を考えてみます。

    海が青く見える理由は、海中では青色以外の色は吸収されてしまい青色だけが反射されるからです。太陽の白色光をプリズムを使うと「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」という虹と同じ7色の可視光(人が見える光)に分けられます。

    水中ではこのうちの青以外が吸収されてしまうのです。どのくらいの水深で何色が吸収されるのかについては下図(海の光環境と植物プランクトンから抜粋)を参照してください。

    光の浸透度 
    次に陸上の植物の光合成についてです、「海の色はなぜ青い」と同じ理由で「葉っぱが緑に見える理由」は、光合成を行う緑葉素(クロロフィル)が、光の三原色のうち、青色と赤色の光を吸収して緑色の光を反射しているからです。これは、植物の光合成には青い光(400nm-500nm)と赤い光(600nm-700nm)が必要であるということを意味します。

    しかし、水中では水深5m程で波長の長い赤い光は届かなくなるので、赤い光を光合成に利用することができません。そこで活躍するのが褐虫藻(渦鞭毛藻)に含まれるカルテノイド(色素)のペリジニン(ペリディニン peridinin)です。ペリジニンは光合成の補助色素で、クロロフィルにエネルギーを提供してくれます。またペリジニンと同じ働きをするフコキサンチンは、ワカメ、昆布、ひじきなど褐藻類や珪藻に含まれます。
    フコキサンチンは、褐藻やその他の不等毛藻に存在して茶色-オリーブ色を呈するとともに、葉緑体において光合成の補助色素として機能している。フコキサンチンは可視光線のうち主に青色(400-500nm)の波長域を吸収し、450nm 付近に吸収極大を持つ。特に、褐藻類中のカロテノイドの大部分がフコキサンチンである。
    ペリジニンは、吸収した光エネルギーを 95%、フコキサンチンは 80% 以上という非常に高い効率でクロロフィルaへエネルギー伝達するとあります。また、カロテノイドの分析(北海道大学)によると、フコキサンチンとペリジニンの吸収最大波長(スペクトル)は、それぞれ 449nm, 472nm とあります。

    つまりイソギンチャクに共生する褐虫藻は青色光を光合成に活用しているのでハタゴイソギンチャクの飼育にも褐虫藻の光合成に必要な 472nm の波長を中心とした青色系の光が必要だということになります。

    ハタゴイソギンチャクにの飼育には青色LEDスポット

    ハタゴイソギンチャクの過去の飼育方法では、メタハラ(メタルハライドランプ)や多重蛍光灯が必要とされてきました。これが初心者のハードルであり、インテリアアクアリウムとしての弊害でもありました。しかし、メタハラや複数の蛍光灯が必要になる理由を考えると、白色光の中から必要な青色光を得るために余分な波長の光を含む高輝度の照明が必要であったということだと思います。

    褐虫藻の光合成だけを考えれば青色の光だけ照射すれば無駄な明るさと電力は必要ありません。現在では、青色LEDにより効率的に褐虫藻の光合成に必要な青色の光を省電力で得ることができるようになりました。高輝度青色発光LEDで世界に名を馳せた日亜化学工業に感謝ですね。
    メタルハライドランプ(metal halide lamp)とは、水銀とハロゲン化金属(メタルハライド)の混合蒸気中のアーク放電による発光を利用した高輝度、省電力、長寿命のランプのこと。略称としてメタハラなどと呼ばれる場合もある。
    この青色の光だけで十分なのではないかという考えを後押ししてくれた製品があります。ひとつは、エーハイム LEDライト ブルーです。LEDライト ブルー1は青と白、LEDライトブルー2は、青色LEDだけのライトです。


    エーハイムLEDライトブルー2(BBB)の波長曲線をみると青色LEDの波長は450nmを中心に400-500nm の波長をカバーしています。

    エイハイムLEDライトブルー

    LEDライトブルー2は7wで照度は約320ルクス、色温度は25,000ケルビンとあります。光の単位には照度を表すルクス、光度を表すカンデラ、光束の単位であるルーメン、色温度のケルビンとか光を表す単位には様々なものがあってよくわかりません。光源の明るさがルーメンで、照らされた場所の明るさがルクスぐらいのイメージは付きますが、褐虫藻の光合成にはどれくらいの青色光が必要なのでしょうか。

    調べてみると、光合成に必要な光の単位として光合成(有効)光量子束密度というのがありました。
    光合成有効光量子束密度とは、光合成に必要とされる400nm~700nmの波長に含まれる単位時間、単位面積あたりの光子数のこと。植物育成においては、光強度の目安として使われる。単位はmol m-2s-1で表す(多くの場合はμmol m-2s-1となる)。
    光合成については、光合成の森というサイト、及び光合成とは何か - 生命システムを支える力(ブルーバックス)で詳しく解説されています。光合成の森にある「光の単位」の説明によると、

    光量子束密度(PFD)とはある物質に光があたっているときの1秒間の1㎡あたりの光子の数です。しかし、光合成は青色光(400nm-500nm)と赤色光(600nm-700nm)の色素が吸収できる波長をもつ光子が来た時だけに引き起こされます。それ以外の光子の数が多くても光合成には影響しません。この光合成に必要な波長領域の光量子束密度が光合成光量子束密度(PPFD)です。

    とあります。また光合成光量子束密度の説明に下記のように記載されています。
    光子1個のエネルギーは、実は、光の色によって違います。短波長の光ほどエネルギーが大きく、長波長へ行くに従ってエネルギーが小さくなります。(中略)しかし、光合成に利用できる部分は、実は同じなのです。光合成の反応は、クロロフィルが光子を1つ吸収すると起こる反応で、その反応は、光子がどの程度のエネルギーを持っているかによりません。光子を吸収する回数が勝負なのです。(中略)そこで、光子の数を数える、つまり光量子束密度を光の単位として使って、どの波長でも同じ結果が得られるようにするわけです。
    では、海中でどれくらいの光合成光量子束密度があれば、褐虫藻は十分に光合成ができるのでしょうか。フェルミ推定チックに考えてみました。

    光の単位」には真夏の直射日光の光合成光量子束密度がおよそ 2000 μmol m-2 s-1とあります。石垣島の真夏の太陽ですね。そしてこの値には青色系と赤色系の光が含まれています。海中には赤色光は届かないので、青色光分だけにしなければなりません。文部科学省の文部科学省科学技術・学術審議会・資源調査分科会報告書【光資源を活用し、創造する科学技術の振興ー持続可能な「光の世紀」に向けてー】の中にLEDを使った植物工場での1lm あたりの470nmと660nmの波長での光量子束の値が掲載されています。この比率が32:68です。これを青色と赤色比率とすると青色光だけであれば2000μmol m-2 s-1 の 32%、640μmol m-2 s-1となるのではないかと考えました。

    青色光で飼育できるのではないかと考えさせてくれた照明のもうひとつに グラッシー レディオ RS122 があり、光合成光量子束密度 PPFD(カッコ内の数値)の記載があります。

    リーフディープ(808 μmol/m2/s)>リーフブルー(735 μmol/m2/s)>リーフホワイト(642 μmol/m2/s)>フレッシュホワイト(598 μmol/m2/s)

    ブルー系のライトの光合成光量子束密度が一番高くなっています(Grassy LeDio RS122 シリーズ各カラー別分光スペクトルグラフはこちらから確認できます)。リーフディープ、リーフブルー、リーフホワイトであれば十分な光合成光量子束密度になるのではないでしょうか。
    (2017.03 現在、Grassy LeDio RX072が後継として販売されています。)

    青色LEDスポットライトに決めた理由

    ハタゴイソギンチャクの飼育は青色LEDスポットライトが適しているということを整理すると、
    • 光合成に必要な波長は400nm-500nm(青色)と600nm-700nm(赤色)
    • 海中では赤色光は吸収されてしまう
    • 褐虫藻には青色の光を吸収する光合成補助色素のペリジニンがある
    • 海中の褐虫藻が光合成を行うには青色以外の光は不要
    • LEDは効率的に青色のみ発光できる
    • 高輝度青色LEDの実現とLEDライトの低価格化(以前と比べて)
    • 光合成光量子束密度を高めるため光を分散させないスポットライト型
      ということになります。この条件に合致するアクアリム用の青色LEDスポットライトを探してみました。

      アクアリウム用の青色LEDスポット

      青色LEDスポットライトだけで飼育できないのかという疑問のきっかけとなったエーハイムブルーライト2 をアクアショップで見てみました。小型でスタイリッシュなのでインテリア・アクアリウム向きではありますが、7Wの青色光は少し暗く感じ、光量が足りないのではないかと心配になりました。同じくアクシーファインスポット LED 10W ブルー も展示されていたので点灯してみましたが、こちらも何となく物足りなさを感じました。

      ネットでアクアリム用の10W以上の青色LEDスポットライトを検索すると、
      グラッシー レディオ RS122 リーフディープ 【21W 60°】、レコルト ルーチェ ブルー 12W 【12W 60°】、クリスタルエリート14改 ラピスブルー【14W 50°】、アクシーファインスポット LED 20W ブルー 【20W 30°,60°,90°】などが見つかりました。(【】内はワット数と照射角度)

      2017.03追記
      商品が大部入れ替わったので現時点で入手可能な青色LEDスポットライトについては後述します。

      グラッシー レディオ RX072

      グラッシー レディオ RS122 の後継が RX072 です。2017.03 時点で入手できる青色LEDスポットの中では一押しです。褐虫藻の光合成に必要な400nm-500nmの波長が中心のブルー系LEDスポットライトには、Deep/ディープ、Coral/コーラルがあります。

      Grassy LeDio RX072 シリーズの分光スペクトルグラフはこちらで確認できます。


      レコルト ルーチェ ブルー 12W

      Royal Blue 450nm × 4、Blue 485nm × 3 と、波長の異なる2種類の青色LEDを組み合わせています。レンズ角は60°で明るさは、172.4lm とあります。


      それ以外にも下記の青色LEDスポットライトが見つかりました(2017.03現在)

      アクシーファインスポット LED 20W ブルー

      初めてのレンズ交換式LEDと謳われ、装着されている60°以外に角度調整用の30°と90°の交換レンズが付いています。Blue 2W×12とありますが、それ以外のスペックは記載されていません。箱に波長成分(スペクトル)のシールがついていますがほとんど見えません。450nmあたりを中心として藍色から水色あたりまでをカバーしていそうです。

      ハタゴイソギンチャク用のライトの選択までには1ヶ月近くの調査を要しましたが、最終的には光源が同じでも 30°レンズで光射範囲を狭めれば光が当たっている場所の光量子束密度が高くなり、逆に90°レンズで光射範囲を広げれば。光量子束密度が低くなるのではないかと考えて アクシーファインスポット LED 20W ブルー を購入しました。

      2017.03 現在、10Wタイプのみ入手可能です。

      口金がE26なのでクリップタイプのスタンドでもよかったのですが、水槽の厚さが5mmしかないのと、水面から近すぎてしまうのではないかと考え、専用灯具のアクシーファインスポットを合わせて購入しました。また点灯・消灯を自動でON/OFFするために24時間プログラムタイマーPT24も購入しました。PT24は安価なタイマーで誤差±15分という大雑把な製品ですが、アクアリウムの照明に使う分には十分です。

      アクシーファインスポット LED 20W ブルーの使用感

      アクシーファインスポット LED 20W ブルー の評価ですが、ハタゴイソギンチャクの光合成には、まったくもって問題ありません。しかし、ブルーライトの波長成分などはもう少し丁寧に記載してもらいたいものです。またメーカー(アクアシステム)にメールでも問い合わせをしてみましたがノーレスという最悪の顧客対応でした。

      使用開始時から 30°のレンズに交換してハタゴイソギンチャクにスポットをあてていますが、照明を点灯すると触手の先端を膨らませてそれぞれの触手がライトに当たるように「ニョキニョキ」と動きます。この「ニョキニョキ」という照射前後の違いが必要な光が足りているかの目安になるのかもしれません。鑑賞用の照明として使っている クリアLED エコリオ アーム ではニョキニョキしません。

      30°レンズでは照射範囲がかなり絞られます。ライトがあたっている中心近くではハタゴイソギンチャクが青く見えるので、青色光を吸収しきれていない(必要以上の光が当たっている)のかもしれません。ただ光が強すぎるのであれば自分で場所を移動するのではないかと考えて現在でもそのまま30°のレンズを使用しています。1日の照射時間は12時間(AM9-PM9)にしています。

      難点としては、30°レンズの照射範囲では幅35cmの水槽の全体を照らすことはできません(下の写真参照)。またブルーの世界でとても綺麗なのですが、赤色のカクレクマノミは照明下では黒っぽく見えてしまいます。あとはライトに海水の飛沫が跳ねて塗装が腐食してきたので、銀色のマジックで補修しました。

      カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生する水槽

      ハタゴイソギンチャクの水槽への投入

      水槽には底砂を敷いていますが、ハタゴイソギンチャクは砂の上ではなく岩盤や石に活着します。自然の中では平らな場所には活着しないようですが、台座となるような平らなライブロックを底砂に軽く埋めて、ちょうどライトがその上に当たるようにして、ハタゴイソギンチャクを上に乗せました。

      始めは水槽の壁面に移動していきましたが、ライトの位置がよかったのか、その後、底砂に埋もれたライブロックにしっかりと活着してからは移動はしていません。

      手ごろな形のライブロックがなければ、イソギンチャクの活着用なのでレプリカのライブロックでいいと思います。


      下の写真が水槽投入時のハタゴイソギンチャクです。購入したサイズは13cmと小柄なハタゴイソギンチャクでした。はじめは小さく固まっていましたが、半年後の状態が最初に掲載した写真で 20cm を超えるサイズまでに成長しています。貝の食べ過ぎ?

      水槽投入直後のハタゴイソギンチャク

      台座から外れて水槽のわきに移動していたときの写真です。この後、自然に台座に戻りそれ以降は移動していません。

      水槽壁に移動するハタゴイソギンチャク

      最後に

      今回はハタゴイソギンチャクの生態について調べて、照明の選択までを記載しましたが、ハタゴイソギンチャクの飼育ポイントについては、詳細を別記事でも紹介していますので参考にしてください。
      光合成に必要な照明
      LEDライトでイソギンチャクは飼育できます。イソギンチャクと共生する褐虫藻の光合成に必要な灯は青色LEDのスポットライトです。
      イソギンチャクの飼育には青色LEDスポット
      水流
      イソギンチャクの飼育には水の流れが必要ですが高価な水流発生装置は必要ありません。安価な水中ポンプで十分です。
      ハタゴイソギンチャクの飼育に必要な水流
      水質の維持
      小型水槽での水質維持は難しいといわれていますが、タンパク質などの有機物がアンモニアをなる前にプロテインスキマーで除去することで、硝酸塩濃度を抑えることはできます。小型水槽でも使えるインテリア性の高いプロテインスキマーとは。
      ハタゴイソギンチャクの飼育にはプロテインスキマーが必要?
      水槽では難しいとされていた脱膣ができればイソギンチャクは元気に飼育できます。小型水槽で硝化から還元までを可能としたフィルターとは。
      還元(脱膣)システムでカクレクマノミとイソギンチャクの共生飼育

      カクレクマノミとイソギンチャクの飼育に必要な機材は、”カクレクマノミとイソギンチャクの飼育に” で紹介しています。

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