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Post Date:2017年12月19日 

イノベーター理論を統計的に考えてみる

LINE Clova Wave の 機能限定バージョンの先行発売時に思わずポチッとしてしまい、Google Home の発売で、またもやポチッてしまった自分を反省しつつ、キャズム理論について考えてみました。

キャズム理論とは、ジェフリー・A・ムーア(Geoffrey A. Moore)の著書『Crossing the chasm』(1991年)に提唱されたハイテク市場におけるマーケティング理論で、エベレット・M・ロジャーズ(Everett M. Rogers)の提唱するイノベーター理論(1962年)の「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間に大きなキャズムがあるというものです。

日本では、2002年に 『Crossing the chasm, 2nd Edition』が『キャズム』として翻訳されたので、2014年の『Crossing the chasm, 3rd Edition』が 『キャズム2』として翻訳されています。ちょっとわかりづらい、、、。


イノベーター理論とは?

キャズム理論のベースとなっているはイノベーター理論です。イノベーター理論とは、商品やサービスが市場に浸透する過程を時系列で5つに分類し、それぞれの段階に合わせたマーケティング戦略が必要であるというものです。

イノベーター理論を正規分布で表記
  1. イノベーター(革新者)
    新しいものがでると直ぐに飛びつく、新しもの好きな人たちです。これは、市場全体の2.5%と少ないタイプの人々です。LINE Wave の先行体験版を購入してしまう人ですね。
  2. アーリーアダプター(初期採用者)
    イノベーターほどではないものの、常に最新の情報をチェックして、新商品の導入には前向きな人たちです。オピニオンリーダーと呼ばれ、マーケティングではこの層を重要視しています。つまり、LINE Wave の発売も知っていて、Amazon Echo の先行発売, Apple Home Pod などの発売動向をみて購入を決めるような人たちです。
  3. アーリーマジョリティ(前期追随者)
    比較的慎重ではあるけど、アーリーアダプターの動向をみながら購入を決めるような人です。周りで何人かがAIスピーカーを持ち始めて、「いいよ」と言われてから買う人たちです。
  4. レイトマジョリティ(後期追随者)
    自らは新商品を選ばないけど、周りがみんな持ち始めると購入を検討する人たちです。AIスピーカーも周りのみんなが使ってるから購入しようと考えます。
  5. ラガード(遅滞者)
    最も保守的な層で、自分が必要ないと判断したものは購入しません。AIスピーカーは自分には必要ないから購入しないという人たちです。

イノベーター理論と正規分布

前述したイノベーター理論の分布は、正規分布に基づいています。正規分布では、データが平均からどのくらい離れているかを表すバラツキの指標である標準偏差を用いると、

  • 1σ :μ + σ と μ - σ の間に68%のデータがある
  • 2σ :μ + 2σ と μ - 2σ の間に95%のデータがある
  • 3σ :μ + 3σ と μ - 3σ の間に99.7%のデータがある
※ σ(シグマ):標準偏差
※ μ(ミュー):平均

と、表すことができます。

下図は、正規分布のデータのバラツキを更にわかりやすくするために「良い・悪い」を用いて分類したものです。

平均から標準偏差1つ分の範囲(±1σ)を「普通」として、1σ以上(上位15%-2.5%)を「良い」、2σ以上(上位2.5%)を「すごく良い」、逆に、-1σ以下(下位15%-2.5%)を「悪い」、-2σ以下(下位2.5%)を「すごく悪い」と考えます。

良い・悪いを正規分布で表記

イノベーター理論を偏差値で考える

イノベーター理論は、商品・サービスの購入時期によって分別しているので正規分布の+-(左右)を逆転します。更に新商品(サービス)への敏感度を偏差値として表してみると、敏感度が「すごく良い」、上位2.5%の人たちがイノベーターですが、偏差値でいえば70以上(偏差値70は正確には上位2.3%)です。また偏差値60-70は、敏感度が「良い」アーリーアダプターです。

68%の普通は二分して、偏差値50-60の敏感度が「少し良い」グループをアーリーマジョリティ偏差値40-50の敏感度が平均より「少し悪い」グループがレイトマジョリティとなります。そして偏差値40以下の敏感度が「悪い」と「すごく悪い」をまとめたのがラガードです。

これを図解したものが下記となります。

イノベーター理論を偏差値で考える

偏差値70以上の人がイノベーター(革新者)と言われると納得できます。やはり日本人は、偏差値で考えるとイメージとして捉えやすくなります。

分類 偏差値 評価
イノベーター 70以上 すごく良い
アーリーアダプター
60-70
良い
アーリーマジョリティ
50-60
まあ良い
レイトマジョリティ
40-50
少し悪い
アーリーアダプター
40以下
悪い

偏差値60前後にキャズム(溝)がある

更にキャズム理論は、 「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間に大きなキャズムがあるというものですが、偏差値60以上とそれ以下ではキャズム(溝)があると言われると妙に納得できてしまいます。

偏差値での分類を踏まえて『キャズム理論』を読むと頭にすんなりと入るのではないでしょうか。

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