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2021年10月10日

VLOOKUPを使わない方法(INDIRECT+MATCH)

ゾウでもわかるGoogleスプレッドシート

GoogleスプレッドシートやEXCELで、他の表とキーが一致する行の値を取得するときにはVLOOKUP関数を使うのが定石です。

VLOOKUPはとっても便利な関数なんですが、不便なところもあります。

  • 検索できるのは指定した範囲の先頭列のみ
  • 取得する列は列番号で指定する

一番の問題は、VLOOKUP関数で検索できるのは先頭列のみで、取得する値がある列は検索する列よりも右側になければなりません。

もちろん表の列を移動させれば解決できますが、Google Sheetsで IMORTRANGE関数 で他のスプレッドシートを読み込んでいる場合などは致命的です。

また取得する値を列番号で指定するのも、AD列なら30と指定しなければならないので、列数が多くなるとわからなくなってしまいます。

ということで、VLOOKUP の代わりとなる方法(関数)の紹介です。


サンプルで使用するデータ

サンプルの表は「国番号一覧」と「国コード一覧」2つのシートです。

国番号一覧に2桁の国コードを取得するために、「国番号一覧」シートの「国名(日本語)」で「国コード一覧」シートの「日本語名」を検索して国名が一致する「2文字」から2桁の国コードを取得します。

下記の2表をコピペしてシートに貼り付けてください。

国番号一覧
国番号(電話) エリア 国名(日本語) 国名(英語) 国コード
60 アジア マレーシア Malaysia  
61 太平洋諸国 オーストラリア Australia  
62 アジア インドネシア共和国 Indonesia  
63 アジア フィリピン共和国 Philippines  
64 太平洋諸国 ニュージーランド New Zealand  
65 アジア シンガポール共和国 Singapore  
66 アジア タイ王国 Thailand  
81 アジア 日本国 Japan  
82 アジア 大韓民国 Republic of Korea  
84 アジア ベトナム社会主義共和国 Viet Nam  
86 アジア 中華人民共和国 Chaina  
90 アジア トルコ共和国 Turkey  
91 アジア インド India  
92 アジア パキスタン・イスラム共和国 Pkistan  
93 アジア アフガニスタン・イスラム共和国 Afghanistan  
94 アジア スリランカ民主社会主義共和国 Srilanka  
95 アジア ミャンマー連邦 Myanmar  
98 アジア イラン・イスラム共和国 Iran  

国コード一覧
2文字 3文字 英語名 日本語名
AF AFG Afghanistan アフガニスタン・イスラム共和国
AU AUS Australia オーストラリア
CN CHN China 中華人民共和国
IN IND India インド
ID IDN Indonesia インドネシア共和国
IR IRN Iran イラン・イスラム共和国
JP JPN Japan 日本国
KR KOR Republic of Korea 大韓民国
MY MYS Malaysia マレーシア
MM MMR Myanmar ミャンマー連邦
NZ NZL New Zealand ニュージーランド
PK PAK Pakistan パキスタン・イスラム共和国
PH PHL Philippines フィリピン共和国
SG SGP Singapore シンガポール共和国
LK LKA Sri Lanka スリランカ民主社会主義共和国
TH THA Thailand タイ王国
TR TUR Turkey トルコ共和国
VN VNM Viet Nam ベトナム社会主義共和国

EXCELならXLOOKUPを使う

Microsoft365(EXCEL)であれば VLOOKUP の上位互換である XLOOKUP があります。XLOOKUP関数を使えば、VLOOKUP の不便さが解消できます。

XLOOKUP 関数 に詳細の説明がありますが、今回のケースであれば、とってもシンプルに記載できます。

XLOOKUPの使い方

上図の国番号一覧シートの ”E2” に下記のように記載します。

=XLOOKUP(C2, 国コード一覧!D:D, 国コード一覧!A:A)

上式で国番号一覧シートのC2(国名=マレーシア)で、国コード一覧のD列(日本語名)を検索して、国名が一致する国コード一覧のA列の値が取得できます。

検索する値(C2)、検索する列(国コード一覧!D:D)、取得する値の列(国コード一覧!A:A)と、理解しやすい表記ができます。

国コード一覧シートは下記のようになっています。

国コード一覧シート(サンプル)

優れもののXLOOKUPですが、残念ながらMicrosoft365(旧Office365)でしか使えません。

Excel2019/2016では、後述するGoogleスプレッドシートで説明する方法を使ってください。


Google Sheets なら関数を組み合わせる

GoogleスプレッドシートにはXLOOKUP関数に対応する関数はありません。

しかし、関数を組み合わせることによってVOOKUPより便利にキーが一致する別表の値を取得することができます。


INDEX関数+MATCH関数

INDEX関数とMATCH関数の組み合わせる方法については、INDEX - ドキュメント エディタ ヘルプ にも記載されています。

VLOOKUPではできなかった検索する列が参照範囲の左端(1列目)になくても検索が可能になります。しかし、キーが一致する行の値を取得する列については列番号(数字)で指定する必要があります。

INDEX関数とMATCH関数を組み合わせる

上図の国番号一覧シートの ”E2” に下記のように記載します。

=INDEX('国コード一覧'!A:D, MATCH(C2, '国コード一覧'!D:D,0), 1)

先ずは、INDEX関数 の説明です。

=INDEX(参照範囲, 行番号, 列番号)

上の式を分解すると、

参照範囲 '国コード一覧'!A:D
行番号 MATCH(C2,'国コード一覧'!D:D,0)
列番号 1

となります。

行番号で指定しているMATC関数については後述しますが、'国コード一覧'!A:Dの中から1列目つのデータ(A列「2文字」の国コード)の値を取得するということを意味します。

続いて MATCH関数 の部分です。

構文は、

=MATCH(検索キー, 検索範囲, 検索種類)

です。検索キーで検索範囲の中で一致するものを探します。

MATCH(C2, '国コード一覧'!D:D,0)を分解すると、

検索キー C2 マレーシア
検索範囲 国コード一覧'!D:D 国コード一覧のD列
検索種類 0 完全一致

国コードシートのD列から「マレーシア」と完全一致するものを探してきます。戻り値は、一致するものが何番目に見つかったです。

=MATCH(C2, '国コード一覧'!D:D, 0)

とすると、D1から10個目で「マレーシア」と一致するので戻り値は10となります。

検索範囲は、'国コード一覧'!D:Dの部分を、D1:D19 としても戻り値は ”10” で表の行番号と一致します。

しかし、データが入っているのがD2からだといって

=MATCH(C2, '国コード一覧'!D2:D19, 0)

とすると、D2からマレーシアは9番目となるので戻り値が “9” となってしまいます。これだと行番号と一致しなくなってしまうので、INDEX関数で違う場所を参照してしまいます。

行番号は指定せずに D:D のように検索範囲を列だけにすれば必ず行番号と一致します。

国コード一覧シート(サンプル)

検索種類は、完全一致である 0 を必ず指定してください。省略してしまうと正しい答えが求められません。詳細は INDEXのヘルプ を参照してください。


INDIRECT関数+MATCH関数

INDEX+MATCH関数では、値を取得する列を列番号で指定しなければなりませんが、INDIRECT関数を使うと文字列として列を指定することができます。

百聞は一見に如かずです。

=INDIRECT("A" & 10)

これで、A10セルの値を取得できます。

INDIRECT関数を使って、国番号一覧シートの ”E2” に下記のように記載します。

INDIRECT関数とMATCH関数を組み合わせる

列番号は、上で説明したMATCH関数で取得します。

=INDIRECT("'国コード一覧'!A" & MATCH(C2,'国コード一覧'!D:D,0))

このように書くと、国コード一覧シートのD列の中でC2と完全一致する行の A列の値を取得することができます。

INDIRECTを分解すると下記のようになります。

行名 "'国コード一覧'!A" 文字列として指定
結合記号 &  
列番行 MATCH(C2,'国コード一覧'!D:D,0) 戻り値は列番号

国コード一覧のA列という指定は文字列なので、国コード一覧シートで列が変更されると式も変更しなければなりません。

それは、INDEX+MATCH関数の列番号でも同じなので、INDIRECTを使った方が、視覚的に理解しやすい式となります。

VLOOKを使わずにINDIRECT関数とMATCH関数を使ってみてはいかがでしょうか。

2019年2月11日

Excelで簡単テーブル結合

Excelでテーブル結合

Excelでデータを結合する関数に VLOOKUP がありますが、使っていないと直ぐに忘れてしまうし、複数の列で結合するのは、ちょっと面倒です。しかし、Office365、若しくは、Office2016以降であれば[データ]タブの[データの取得と変換]を使えば簡単にテーブル結合ができます。

Power Query を使えば、Excelをリレーショナルデータベースのように簡単にテーブル結合(JOIN)ができます。

では、さっそく、[データの取得と変換](Power Query)を使い方を説明していきます。


使用する表の説明

果物を注文した個数と、注文日の果物価格からなる2つの表です。果物の仕入れ金額は、日によって異なります。

果物の注文個数
注文日 品名 個数
2019/2/1 リンゴ 5
2019/2/1 イチゴ 6
2019/2/2 リンゴ 3
2019/2/2 イチゴ 1
2019/2/2 バナナ 10
2019/2/3 バナナ 5
2019/2/3 イチゴ 7

注文日の果物価格
注文日 品名 価格
2019/2/1 リンゴ 100
2019/2/1 バナナ 50
2019/2/1 イチゴ 200
2019/2/2 リンゴ 100
2019/2/2 バナナ 60
2019/2/2 イチゴ 250
2019/2/3 リンゴ 120
2019/2/3 バナナ 70
2019/2/3 イチゴ 230

上記の表から、下表を作成していきます。

テーブル結合した結果
注文日 品名 個数 価格
2019/2/1 リンゴ 5 100
2019/2/1 イチゴ 6 200
2019/2/2 リンゴ 3 100
2019/2/2 イチゴ 1 250
2019/2/2 バナナ 10 60
2019/2/3 バナナ 5 70
2019/2/3 イチゴ 7 230

データの取得と変換

[データの取得と変換](Power Query)では、Excel, CSV, XML形式の表(テーブル)を読み込むことができます。

データの取得と変換(Power Query)

果物の注文個数」の表を読み込む

今回は、[テーブルまたは範囲から]を使って表を読み込みます。上記の「果物の注文個数」の表をコピーして、Excelに貼り付けてください。

① [データ]タブの[テーブルまたは範囲から]をクリック

テーブルまたは範囲から

② [テーブルの作成] で表全体(A1:C8)を選択

③ [先頭行をテーブルの見出しとして使用する(M)] をチェック

テーブルの作成

④ [OK]をクリック

[Power Query エディター]が起動されます。

Power Query エディター

Power Query エディターでは、データ形式を変更することもできます。

読み込んだ 注文日 の形式は、日付/時刻 となっていますので日付に変更します。

注文日の左側にあるカレンダーアイコンをクリック

⑥ 形式一覧から 日付 を選択

日付形式への変換

⑦ [クエリの設定]で[名前]を注文個数とします(下図①)

⑧ [閉じて読み込む] をクリック(下図②)

クエリの設定

7行のデータが読み込まれます。

クエリの接続

「注文日の果物価格」の表を読み込む

注文日の果物価格」の表をコピーして、Excelに貼り付けて「果物の注文個数」の表と同じように読み込みます。

クエリの名前は「果物価格」とします。

果物価格テーブルの読み込み

2つのテーブルを結合する

2つの表を読み込んだので、結合していきます。

① [クエリと接続] にある 注文個数 のクエリを右クリック

② [結合] をクリック

テーブルの結合

上段に注文個数のテーブルが読み込まれた状態で[マージ]の画面が表示されます。

結合テーブルの選択

③ 下段のテーブルに果物価格を選択

結合テーブルの選択

結合するキーを選択します。注文日品名の2項目を結合キーとします。

注文個数注文日 をクリック

注文個数品名Ctrlキー を押しながらクリック

果物価格注文日をクリック

果物価格品名Ctrlキー を押しながらクリック

テーブル結合項目の選択

複数の連結キーがある場合は、Ctrlキーを押しながら列名をクリックします。

注文日は1、品名には2 と表示されます。


結合の種類

Power Queryでの結合の種類には、いくつかありますが、よく使う左外部と内部について説明します。

Power Query の結合の種類
左外部(最初の行すべて、および2番目の行のうち一致するもの)

[左外部](右外部)結合は、リレーショナルデータベースでの外部結合(OUTER JOIN)です。

最初の行というのは、上記例では、注文個数、2番目の行が果物価格になり、注文個数注文日品名に一致する果物価格の列が追加されます。

[右外部]を選択すると、果物価格の表に一致する注文個数の列が追加されます。

内部(一致する行のみ)

[内部]結合は、リレーショナルデータベースでの内部結合(INNER JOIN)です。

上記例では、注文個数果物価格注文品名が一致する行のみ抽出されます。

⑧ [結合の種類]で[左外部]を選択

⑨ [OK]をクリック

[Power Query エディター]が起動します。

Power Query でテーブル結合

結合した結果に追加する列を選択

注文個数注文日品名個数の右に 注文個数が追加され、各行にはTableと表示されています。注文個数テーブルから必要な列(価格)を選択するために、注文個数の右にある展開アイコン ( 展開 )をクリックします。

マージされたテーブルの列名を指定する

⑩ [すべての列を選択] をクリックして、すべての列をオフにします

価格 を選択

⑫ [OK] をクリック

マージされたテーブルの列名を選択

一番右の列が、選択した 果物価格テーブルの価格になります。

クエリでのテーブル結合結果

⑬ [閉じて読み込む] をクリック

これで、2つのテーブルで注文日品名が一致する価格の列がマージされたシートが作成され完成です。

マージ(結合)結果

まとめ

[データの取得と変換](Power Query)は、データを加工する上で、テーブル結合ができる強力なツールです。10万行ぐらいのデータでも簡単に扱えますので、是非、使い方を覚えてください。

2012年12月16日

CSポートフォリオの改善度をExcelで計算する

CSポートフォリオをExcelで描く」で満足度と重要度の二軸でCSポートフォリオを作成して、重点改善項目、改善項目、重点維持項目、維持項目という4象限に分割し、重要度が高く満足度が低い重点改善項目に位置する項目を改善すれば全体満足度が向上するという視覚的表現で捉えた説明をしました。今回は、改善順位を数値で客観的に判断するために改善度をという指標を用いて、Excelで計算する方法について説明します。

Excelで学ぶ多変量解析入門から

CSポートフォリオにおける改善度とは

下図(図2)は原点を(50,50)としたCSポートフォリオです。なぜ原点を(50,50)にしているかについては、「偏差値でポートフォリオを描く」を参照してください。

重要度が高く、満足度が低い項目の中で、原点である平均値座標(50,50)から各項目の座標までの距離が遠く離れていれば改善する必要があると判断できます。また原点(50,50)と座標(80,20)を結ぶ改善度基本軸に近い項目は改善の必要があり、逆に改善度基本軸から離れた項目であれば改善の必要は少ないと考えます。この改善度基本軸から離れ具合を表すために角度を用います。

図2

そして、図2のECで結ばれた線が重要度と満足度が均衡しているラインとなりますので、改善しなければならない項目は、ECBの三角形の範囲内にある項目です。また改善度基本軸で線対称となるABCで結ばれる三角形とABEで結ばれる三角形の範囲では、原点からの距離と改善度基本軸から角度が同じであれば、改善度も同じ値となります。つまり、座標(80,50)と座標(50,20)の原点からの距離は30、改善度基本軸からの角度は45°なので改善度も同じになるということです。

また改善度は改善の必要がある項目を正の値、改善の必要がない項目を負の値で表しますので、改善を必要とするECBで結ばれる三角形の範囲にある項目の改善度は正の値となり、EDCで結ばれる三角形の範囲にある改善度は負の値となります。

改善度とは、原点からの距離と改善度基本軸からの角度から求めるという説明をしましたが、前述した満足度と重要度が均衡するECで結ばれる線上にある項目の改善度は0となります。原点からの距離が異なる、座標(20,20)、座標(50,50)、座標(80,80)に布置される項目の改善度は何れも0と考えます。そのため改善度の計算式ではこれを補正する角度の修正指数を用います。


改善度の計算式

CSポートフォリオにおける改善度は、下記の式で求めます。

距離×角度の修正指数 (90-角度)/90

角度の修正指数について補足します。前述した満足と重要度が均衡するEC上に位置する項目の改善度基本軸からの角度は原点である座標(50,50)以外はすべて90°です。つまり角度が90°の場合に解が0となれば、距離が異なっても距離×0となり、改善度はすべて0となるようにしているということです。ちなみに原点の角度は0なので、こちらも改善度は0となります。

距離については、下記の式で求めることができます。

\[ \sqrt{\left( x - \bar{x} \right) ^2 + \left( y - \bar{y} \right) ^2} \]

Excelで計算する場合は、下記の式となります。

=SQRT((x-50)^2+(y-50)^2)

CSポートフォリオの改善度に必要な改善基本軸からの角度を求めるにはどうしたらよいのでしょうか。Excelで計算する場合には、少しだけ工夫が必要となります。

実際に下図(図3)、座標F(70,60)の改善度をExcelで計算してみましょう。

図3

距離については、

=SQRT((70-50)^2+(60-50)^2)

で計算することができます。計算結果は、≒26.57 です。


角度を求める(tanθ)

次に改善度基本軸からの角度ですが、まずAFGで結ばれる三角形の角Aの角度を計算して、次に三角形AHBの角Aの角度を加算すれば求めることができます。

三角形AFGの角Aは三角関数を用いて計算します。AGとFGの距離は計算で求めることができるのでtanΘ=(FGの距離)/(AGの距離)で角Aの角度が求まります。AGの距離は70-50=20、FGの距離は60-50=10なので、tanΘ=10/20です。Excelでは下記の計算式となります。

=ATAN2(20,10)*180/PI()

計算結果は、≒26.57 です。

Excelで三角関数関数を学ぶのであれば、「Excelで学ぶやさしい数学―三角関数から微積分まで」を参考にしてみてください。


改善度基本軸からの角度を求める

これで三角形AFGの角Aの角度は求まりましたので、AHBを結ぶ三角形の角Aの角度を足せば、改善度基本軸からの角度となります。

三角形AHBは正三角なので角Aは45°です。上で計算した三角形AFGの角Aの角度は26.57°ですので、改善度基本軸からの角度は 26.57+45=71.57°です。

例として計算した座標(70,60)の場合は、三角形AFGの角A+45°の計算結果は正の値となりますが、改善度基本軸ABより左側に付置される項目では結果が負の値となりますので(2)、絶対値として角度を計算する必要があります。下記がExcelでの計算式となります。

=ABS(ATAN2(20,10)*180/PI()+45)

修正指数の計算

角度の修正指数の計算式は、(90-角度)/90ですから上記で求めたExcelでは下記のように求めます。

=(90-ABS(ATAN2(20,10)*180/PI()+45))/90

改善度の計算

最後に改善度の計算を行います。改善度は【距離×角度の修正指数】なので最終的にExcelでの計算式は下記となります。

=SQRT((70-50)^2+(60-50)^2)*((90-ABS(ATAN2(20,10)*180/PI()+45))/90)

少し長い式となりますが、分解して考えれば難しくはないと思います。座標(70,60)の改善度は上記から≒4.58と求まります。


角度の計算結果がマイナスになる場合

下図の場合の改善度基本軸からの角度を計算します。AGの距離は60-50=10、FGの距離は30-50=-20ですので三角形AGFの角Aは、

=ATAN2(10,-20)*180/PI()

で、-63.43°となります。改善度基本軸からの角度は-63.43+45=-18.43となりますので、上で説明したように絶対値をとって18.43°とする必要があります。


検算をしてみよう

計算式があっているか「Excelで学ぶ多変量解析入門」のサンプルを用いて検算してみます。この書籍では第五章でCS分析について記載されています。またCS分析ができるExcelのプログラムが添付されています。

書籍上では、重要度偏差値と満足度偏差値が小数点以下1桁で計算されていますが、計算結果が異なってしまうので実際の計算値から小数点以下13桁を記載しています。

改善度は、「Excelで学ぶ多変量解析入門」と同値になります。

計算式については、「品切れがない」についてを例に下記に記載します。計算途中がわかるように分割して計算していますが、

=SQRT((B2-50)^2+(C2-50)^2)*((90-ABS(ATAN2(B2-50,C2-50)*180/PI()+45))/90)

と、まとめて計算しても改善度を求めることができます。

A B C D E F
1 評価項目 重要度 満足度 距離
2 品切れがない 70.31 43.43 =SQRT((B2-50)^2+(C2-50)^2) =B2-50 =C2-50

G H I J
1 tanθ 角度 修正指数 改善度
2 =ATAN2(E2,F2)*180/PI() =ABS(G2+45) =(90-H2)/90 =D2*I2

これで、改善度の計算は終了です。


KINGSOFT Office


Kingsoft Spreadsheets 2012

表題は「CSポートフォリオの改善度をExcelで計算する」ですが、実際はKINGSOFT Office2012 Personalを使っています。キングソフト オフィスの表計算ソフト KINGSOFT Office2012 Spreadsheets は、Excelとの互換性が非常に高く、操作性はもとより、Excel関数がそのまま利用できます。KINGSOFT OFFICE は、非常にリーズナブルな価格でOffice互換ソフトを利用することができます。またWindows8でも問題なく動作します。

*2017/07/09 追記

KING SOFT OFFICE は、新たにWPS OFFICEとして生まれ変わりました。


今日の一曲 - Like a Star

コリーヌ・ベイリー・レイを初めて聴いたのはMarcus Miller の『Free』でした。そのときは、アルバムタイトル曲が女性ボーカルなんだという程度の印象で、後にラジオから流れてきた「Like a Star」が、同一人物の歌声だとは気が付きませんでした。

♪Just Like a ... と、車中に静かに流れ始めたこの曲は、とても甘く切ない歌声で、高速道路を走行する車の流れと共鳴し、恋愛に伴う不可解な態度や行動、そして感情を懐かしく想い出させてくれました。

2012年9月3日

CSポートフォリオをExcelで描く

顧客満足度調査(CS調査)を行う目的は、お客様が自社の店舗、商品、サービスについて、どの程度満足しているかを調べるためです。そしてCS調査の結果から改善すべき項目をみつけることが重要です。では、どうやって改善すべき項目を見つければよいのでしょうか。CSポートフォリオでは、重要度と満足度でポートフォリオを描くことにより、この改善点を可視化します。


満足度

各評価項目の満足度です。

  • 平均点
  • 満足率(良いの割合)
  • 良い(%)-悪い(%)

などを満足として用います。下表を用いて説明していきます。

Q.商品の価格に満足されていますか?
回答項目 回答数 構成比
5.非常に満足している 20 20%
4.満足している 35 35%
3.どちらともいえない 30 30%
2.不満がある 10 10%
1.非常に不満がある 5 5%

平均点

上表の平均点は、下記の計算で求まります。

((5点×20)+(4点×35)+(3点×30)+(2点×10)+(1点×5))/100=3.55


満足率

満足率は、満足している人の割合です。例えば「非常に満足している」と「満足している」と回答した人を ”満足している” と定義すると、この2つの回答数の合算値が全体の何%にあたるのかが満足率となります。

つまり、「非常に満足している」と「満足している」の構成比を合算(20%+35%)した55%が満足率となります。


良い(%)-悪い(%)

過去のブログ「良い(%)-悪い(%)」で説明しているので参考にしてください。上表から、満足している(20%+35%)から不満がある(10%+5%)を減算した 40% を満足度として使用します。この考え方は、ネットプロモータスコアも同じなので「NPS: Net Promoter Score」も併せて参考にしてください。


重要度

各項目が総合満足度にどれくらい寄与しているか(相関があるか)が重要度となります。下記の手法を用いて重要度を計算します。

  • 単相関
  • 回帰分析
  • 数量化Ⅰ類
  • 因子分析

重要度を表す指標に関しては、「総合満足度」「次回利用意思」「推奨」などを用いればよいのではないでしょうか。

例えば、ある商品に関しての満足度調査を行った場合に下記のような設問になります。

  • あなたは、○○○に満足していますか?【総合満足度】
  • あなたは、○○○を次回も購入したいと思いますか?【次回利用意思】
  • あなたは、○○○を友人や知人にも勧めたいと思いますか?【推奨】

そして各項目の満足度がどれだけ総合評価に寄与しているかを調べます。単相関、回帰分析であればExcelのデータ分析ツールで簡単に求めることができます。回帰分析の場合には係数を利用します。


CSポートフォリオの4象限


CSポートフォリオの4象限

①重点改善項目

ここに位置する項目は、重要度が高いのに満足度が低い項目となります。つまり総合満足度を上げるために最優先で改善しなければならい項目となります。


②重点維持項目

現状の満足度調査で、重要度も満足度も高い項目になりますので、引き続き項目の満足度を下がらないようにする必要があります。


③維持項目

満足度は高いけど、あまり総合評価に起因しない項目となります。折角、満足度は高いので維持する必要はあります。


④改善項目

総合評価への影響は少ないけれども、満足度が低い項目となります。重点改善項目の次に改善を必要とする項目となります。


CSポートフォリオを描こう

ポートフォリオについては「偏差値でポートフォリオを描く」でExcelでのポートフォリオの描き方を説明していますのでこちらを参考にしてください。コツは4象限に分けるので、データを標準化して平均値を使うことです。CSポートフォリオでもY軸とX軸の単位の意味はあまりないので、偏差値にして偏差値50で交点させるときれいに描写できます。

また散布図にラベルをふる方法については、「Excelの散布図にラベルをつける」を参考にしてください。

下図が作成したCSポートフォリオになります。

CSポートフォリオの例

上記のCSポートフォリオから重要度が高く、満足度が低い「商品が品切れしていない」ことがお客様にとって大切なことであり、全体の満足度低下にもつながっていることが読み取れます。つまり、最優先で改善すべきことが「在庫の担保」であることがわかります。


最後に...

CS分析やCSポートフォリオについては、すべてわかるアンケートデータの分析Excelで学ぶ多変量解析入門に詳細の説明がありますので、参考にしてください。上記のポートフォリオについても2冊に掲載されているサンプルをもとに作成しています。またExcelで学ぶ多変量解析入門には、付属でCD-ROMがあり、CSポートフォリオが簡単に描写できます。

次回は、CS分析で改善項目の優先度の指標となる改善度について説明したいと思います。

(「CSポートフォリオの改善度をExcelで計算する」を更新しました[2012.12.16])

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今日の一曲


ひと月に2回満月になることがあります。この2回目の満月のことをブルームーンと呼びます。先日の2012年8月31日がちょうどブルームーンでした。「once in a blue moon」の意味は「めったに起きないこと」です。本来は、大気中の塵などが反射して月が青くなることをさしていたようですが、青い月を想像するとなんだか妖艶な感じがします。そして、今日の一曲のタイトルは、Mabel Mercerが歌う「Once In A Blue Moonです。古いJazz歌手ですが、とても切なくこの歌を歌いあげます。ブルームーンでなくても月を見上げてこの曲を聴くと切なくなります。

once in a lifetime when moon is blue...