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2012年9月3日

CSポートフォリオをExcelで描く

顧客満足度調査(CS調査)を行う目的は、お客様が自社の店舗、商品、サービスについて、どの程度満足しているかを調べるためです。そしてCS調査の結果から改善すべき項目をみつけることが重要です。では、どうやって改善すべき項目を見つければよいのでしょうか。CSポートフォリオでは、重要度と満足度でポートフォリオを描くことにより、この改善点を可視化します。


満足度

各評価項目の満足度です。

  • 平均点
  • 満足率(良いの割合)
  • 良い(%)-悪い(%)

などを満足として用います。下表を用いて説明していきます。

Q.商品の価格に満足されていますか?
回答項目 回答数 構成比
5.非常に満足している 20 20%
4.満足している 35 35%
3.どちらともいえない 30 30%
2.不満がある 10 10%
1.非常に不満がある 5 5%

平均点

上表の平均点は、下記の計算で求まります。

((5点×20)+(4点×35)+(3点×30)+(2点×10)+(1点×5))/100=3.55


満足率

満足率は、満足している人の割合です。例えば「非常に満足している」と「満足している」と回答した人を ”満足している” と定義すると、この2つの回答数の合算値が全体の何%にあたるのかが満足率となります。

つまり、「非常に満足している」と「満足している」の構成比を合算(20%+35%)した55%が満足率となります。


良い(%)-悪い(%)

過去のブログ「良い(%)-悪い(%)」で説明しているので参考にしてください。上表から、満足している(20%+35%)から不満がある(10%+5%)を減算した 40% を満足度として使用します。この考え方は、ネットプロモータスコアも同じなので「NPS: Net Promoter Score」も併せて参考にしてください。


重要度

各項目が総合満足度にどれくらい寄与しているか(相関があるか)が重要度となります。下記の手法を用いて重要度を計算します。

  • 単相関
  • 回帰分析
  • 数量化Ⅰ類
  • 因子分析

重要度を表す指標に関しては、「総合満足度」「次回利用意思」「推奨」などを用いればよいのではないでしょうか。

例えば、ある商品に関しての満足度調査を行った場合に下記のような設問になります。

  • あなたは、○○○に満足していますか?【総合満足度】
  • あなたは、○○○を次回も購入したいと思いますか?【次回利用意思】
  • あなたは、○○○を友人や知人にも勧めたいと思いますか?【推奨】

そして各項目の満足度がどれだけ総合評価に寄与しているかを調べます。単相関、回帰分析であればExcelのデータ分析ツールで簡単に求めることができます。回帰分析の場合には係数を利用します。


CSポートフォリオの4象限


CSポートフォリオの4象限

①重点改善項目

ここに位置する項目は、重要度が高いのに満足度が低い項目となります。つまり総合満足度を上げるために最優先で改善しなければならい項目となります。


②重点維持項目

現状の満足度調査で、重要度も満足度も高い項目になりますので、引き続き項目の満足度を下がらないようにする必要があります。


③維持項目

満足度は高いけど、あまり総合評価に起因しない項目となります。折角、満足度は高いので維持する必要はあります。


④改善項目

総合評価への影響は少ないけれども、満足度が低い項目となります。重点改善項目の次に改善を必要とする項目となります。


CSポートフォリオを描こう

ポートフォリオについては「偏差値でポートフォリオを描く」でExcelでのポートフォリオの描き方を説明していますのでこちらを参考にしてください。コツは4象限に分けるので、データを標準化して平均値を使うことです。CSポートフォリオでもY軸とX軸の単位の意味はあまりないので、偏差値にして偏差値50で交点させるときれいに描写できます。

また散布図にラベルをふる方法については、「Excelの散布図にラベルをつける」を参考にしてください。

下図が作成したCSポートフォリオになります。

CSポートフォリオの例

上記のCSポートフォリオから重要度が高く、満足度が低い「商品が品切れしていない」ことがお客様にとって大切なことであり、全体の満足度低下にもつながっていることが読み取れます。つまり、最優先で改善すべきことが「在庫の担保」であることがわかります。


最後に...

CS分析やCSポートフォリオについては、すべてわかるアンケートデータの分析Excelで学ぶ多変量解析入門に詳細の説明がありますので、参考にしてください。上記のポートフォリオについても2冊に掲載されているサンプルをもとに作成しています。またExcelで学ぶ多変量解析入門には、付属でCD-ROMがあり、CSポートフォリオが簡単に描写できます。

次回は、CS分析で改善項目の優先度の指標となる改善度について説明したいと思います。

(「CSポートフォリオの改善度をExcelで計算する」を更新しました[2012.12.16])

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今日の一曲


ひと月に2回満月になることがあります。この2回目の満月のことをブルームーンと呼びます。先日の2012年8月31日がちょうどブルームーンでした。「once in a blue moon」の意味は「めったに起きないこと」です。本来は、大気中の塵などが反射して月が青くなることをさしていたようですが、青い月を想像するとなんだか妖艶な感じがします。そして、今日の一曲のタイトルは、Mabel Mercerが歌う「Once In A Blue Moonです。古いJazz歌手ですが、とても切なくこの歌を歌いあげます。ブルームーンでなくても月を見上げてこの曲を聴くと切なくなります。

once in a lifetime when moon is blue...

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