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2021年1月31日

カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの長期飼育

カクレクマノミとハタゴイソギンチャク

上写真のカクレクマノミのペアは、象と散歩: カクレクマノミの飼育は簡単? の中で2013年春に購入と書いているので、飼育開始から8年近くになります。ADW: Amphiprion ocellaris: INFORMATION によると自然下での平均寿命は、6-10年とあります。しかし、飼育下では20年というの記事もありますので、まだまだ長生きしてもらいたいです。

一方、ハタゴイソギンチャクの平均寿命については、Stichodactyla gigantea - Wikipedia に3-5年とありますが、こちらも同じく8年を迎えようとしています。水槽の掃除のときに手を刺されるとちょっと痛いですが、長く飼育しているとイソギンチャクにも愛着が湧いてきます。

しかし、愛着とは裏腹に飼育開始の頃と比べると、飼育方法はだいぶ手抜きとなりました。逆に言えばこれがカクレクマノミとイソギンチャクに必要最小限な機器と飼育ではないかと思っています。


カクレクマノミとハタゴイソギンチャクに必要なもの

過去のブログでは、カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生には下記の4つが必要だと記載しています。これはより飼育が難しいハタゴイソギンチャクの生態に合わせて飼育環境を考えてのことでした。

  1. 光(LEDスポットライト)
  2. 水質(ろ過装置&プロテインスキマー)
  3. 水温(ヒーター)
  4. 水流(小型ポンプ)

しかし、下の写真のように4番目の水流(小型ポンプ)は、現在は使っていません。またヒーターは真冬のみ利用しています。

必要なアクアリウム器具

水流は不要?

ハタゴイソギンチャクは浅瀬に生息するイソギンチャクなので波(水流)が必要ではないかということで、小型ポンプを使って水流を作っていましたが、小型ポンプのモーターが故障をして使用を止めましたが、ハタゴイソギンチャクに大きな変化はありません。

小型ポンプで発生させる水流は、自然の波と比べるとあまりにも貧弱で意味がなかったようです、、、、。


水温は25℃が最適?

リビングで飼育しているので冬でも水温があまり下がらないということもあり、冬の寒い時期(12月中旬から3月上旬頃)だけヒーターを使っています。

ヒーターの設定温度は20℃です。夏は水温が30℃になるので、20-30℃の中での飼育です。カクレクマノミもハタゴイソギンチャクも水温の変化に思った以上に強いですし、低温にも適応します。しかし、個体差もあると思いますので水温と生体の様子を観察しながらヒーターを使ってください。

カクレクマノミが、日中でもイソギンチャクの中に身を潜めて、じっとしていているのであれば水温を上げましょう。ハタゴイソギンチャクは水温が下がると小さくなりますが、この冬の時期に水温を下げていることで大きくなるハタゴイソギンチャクの成長を抑制できているのかもしれません。

この冬は、ずっと家にいるので部屋が暖かく、リビングに設置している水槽の水温も下がりません。水温計で確認すると18−19℃なのでヒーターをまだ使っていません。カクレクマノミも元気に餌を欲しがって上がってくるので、今の冬はヒーターなしで飼育できそうです。


天然海水とプロテインスキマー

以前、ハタゴイソギンチャクに元気がなくなってしまったときに、天然海水がいいと聞き、釣りに行ったときにポリタンクに汲んできた海水を水槽に入れると徐々に元気になりました。それ以来、人口海水ではなく天然海水を使っています。

水換えは積極的にはしていません。プロテインスキマーのタンクに溜まった分の海水を補給して、蒸発した水は、浄水器の水を足しています。海水も臭くはないのでろ過装置とプロテインスキマーで水質は維持できているようです。時折、水槽のガラス面をメラミンスポンジで汚れを落としていますが、その時に網でかき回して大きなゴミは網ですくい、残りはプロテインスキマーに任せています。

以前は、ハイドロメーターで塩分濃度を確認し、試験紙で水質をチェックしていましたが、今や海水や浄水の水も目分量ですし、水質チェックはまるきっりしていません。あまり神経質にならなくてもカクレクマノミもハタゴイソギンチャクも元気です。


長期飼育からわかった共生飼育の重要な要素

ということで、カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの長期共生飼育には、

  • 光合成のための光
  • 適当な水質

を年間を通して維持し、寒くなったらヒーターで水温を上げればいいというのが結論です。

機材的には

  • LEDスポットライト(光合成)
  • エーハイム アクアコンパクト(水質維持)
  • マメデザイン マメスキマー3(水質維持)

という3種の神器と必要に応じてヒーターです。


LEDスポットライト(光合成)

象と散歩: 初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育 で、カクレクマノミ と共生するイソギンチャクについて書いていますが、ハタゴイソギンチャク、センジュイソギンチャクなど褐色の ”褐虫藻” で光合成をして栄養を得るイソギンチャクには光が必要です。

水槽でこの褐虫藻が光合成するためには、青色LEDスポットライトが最適です。

なぜ青色LEDスポットライトが最適かと言えば、象と散歩: イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト からの再掲となりますが、

  • 光合成に必要な波長は400nm-500nm(青色)と600nm-700nm(赤色)
  • 海中では赤色光は吸収されてしまう
  • 褐虫藻には青色の光を吸収する光合成補助色素のペリジニンがある
  • 海中の褐虫藻が光合成を行うには青色以外の光は不要
  • 高輝度青色LEDは効率的に青色のみ発光できる
  • 光合成光量子束密度を高めるため光を分散させないスポットライト型

という理由からです。イソギンチャクの飼育に青色LEDより効率的なアクアリムライトはありません。

イソギンチャクの飼育に何度か失敗したあとに「アクシーファインスポット LED 20W ブルー」に辿り着きましたが、青の世界はイソギンチャクには快適な環境だったようです。その後、象と散歩: ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生は紫色の世界で大丈夫? で書いた青8赤2白2灯に、そして、現在は、青8赤4灯へと変遷しています。

水槽照明 アクアリウムライト 24W 青8 赤4灯

2代目から46z8(よろずや)が扱っている、お財布に優しいLEDスポットライトにしましたが、残念ながら、青8赤2白2灯は8ヶ月間と短命でした、、、。

46z8(よろずや)で扱っている青色系LEDスポットライトは合計LEDランプ12個で24Wです。青色だけで考えるとLEDライト8個で16Wと、最初に購入した「アクシーファインスポット LED 20W ブルー」より青色の光が弱くなっています。それでもハタゴイソギンチャクは成長を続けているのと、観賞という観点ではブルーよりも紫色の世界の方がカクレクマノミも綺麗に見えるので良しとしています。

青色を中心とするのであれば、こちらです。

メインビジュアルの写真のように紫の世界であれば、青8灯、赤4灯となります。

46z8(よろずや)では上記以外にも、

があります。

LEDスポットライトとして水槽の淵にかけて固定する「AXY FINE SPOT」を使っています。

アームでスポットライトを当てる位置を動かせるのでハタゴイソギンチャクが移動してしまった場合にも追っかけることができます。

またライトの点灯/消灯にアナログ式のプログラムタイマーを使っていましたが、現在は、スマート家電化の一環として購入したスマートプラグに変えました。

スマートプラグでアクアリウムライトをコントロール

アナログ式のタイマーでは「ジジジジ」という時を刻む音がしていましたが、スマートプラグにしてから無音となりました(笑。また時間にも正確です。現在は、8:30点灯、20:00消灯と設定していますが Amazon Echoで、

Alexa, 水槽のライトを点けて/消して

と音声で点灯/消灯のコントロールもできます。

EchoがなくてもスマホとWiFi環境があればスマートプラグは使えます。


エーハイムアクアコンパクト(水質維持)

餌やカクレクマノミ の排出物により小さな海水の世界では分解能力が少ないので ”ろ過装置” は必須です。

エーハイム アクアコンパクトは、"物理ろ過"、"生物ろ過"、"吸着ろ過(活性炭フィルター)" の3種類が組み合わさったコンパクトな外部フィルターです。ポンプ部も水槽にかけるだけなのでセッティングも簡単で初心者向けです。アクアコンパクトには2004と2005の二種類があります。2005の方5cm背が高く、その分、ろ材を多く入れられますが、30cm水槽であれば2004で十分です。

アクアコンパクト 2004 2005
ろ過槽容量 1.0ℓ 1.5ℓ
ろ材容量 0.8ℓ 1.3ℓ
本体寸法 128×(H)191mm 128×(H)241mm

ろ過装置のモーターは6万時間以上連続稼働していますが、異音も故障もなく動作し続けています。しかし、水槽に水を供給するノズルは塩が付着して取れなくなってしまいましたので、見た目からそろそろ替え時かもしれません。

アクアコンパクト2004

生物ろ材

バクテリを繁殖させるために細かい穴がたくさんある多孔質ろ材が使われています。バクテリアの働きにより有害物質を無害化します。エーハイム 純正ろ材の ”エーハイム サブストラット プロ レギュラー” を使っています。掃除は結構な大仕事になるので年に2回、フィルターを交換するタイミングで水で濯ぎ洗いしています。ろ材は7年間で数回しか交換していません、、、。


物理ろ過

エーハイム アクアコンパクト 2004/2005用フィルターパッドセットは、下記のセットとなっています。

  • 細目フィルターパッドx3(1ヶ月毎に交換)
  • 粗目フィルターパッドx1(2〜3回の洗浄、若しくは6ヶ月)
  • ストレーナー用スポンジフィルターx1(2〜3回の洗浄、若しくは6ヶ月)

純正品として販売されているのに交換時期の目安とセットの枚数が異なるのが疑問ですが、ろ過装置を開いて掃除をするのは面倒です。なので、細目フィルターを4ヶ月毎に交換して、その時に粗目フィルターと多孔質ろ材も洗浄しています。粗目フィルターとストレーナー用スポンジフィルターは年に1回の交換です。これでセットの枚数とも合致します。


吸着ろ過

アクアコンパクトは別売の活性炭フィルターパッドが使えます。「活性炭の力によってにごり、悪臭を吸着して水を透明にします。」とあり、最初の頃は使っていましたが、水の匂いも気にならないのでいまは使っていません。


マメデザイン マメスキマー3(水質維持)

象と散歩: ハタゴイソギンチャクの飼育にはプロテインスキマーが必要? でプロテインスキマーについて記載していますが、プロテインスキマーは、泡を発生させてタンパク質の汚れが泡に吸着させて水質を維持するための装置です。

エアレーションでカクレクマノミ、ハタゴイソギンチャクといった生物だけではなく、ろ過装置の生物ろ過をするバクテリアに酸素供給をする効果もあります。

マメデザイン マメスキマー3

"マメデザイン マメスキマー3” は、細いガラス管の中のウッドストーンにエアポンプで空気を送り細かい泡を発生させて泡の力で浮き上がったゴミと海水を外に置いた容器に貯めて行きます。デザインもシンプルで小型水槽にピッタリです。

エアーポンプには "アデックス エアーポンプ X101” を使っています。

アデックス エアーポンプ X101

ウッドストーンは消耗品で、定期的な交換が必要です。

マメデザイン ウッドストーン

プロテインスキマーは、イソギンチャク飼育の水質維持には必須です。


ガラス管を割ってしまった、、、

掃除をしているときにマメスキマー3のガラス管を割ってしまいました。「結構な出費に、、、」とショックを受けましたが、交換部品としてガラス管本体だけで販売されていました。

それでも痛い出費でした。

マメスキマー 交換部品 ガラス菅本体

飼育をこれから始めるなら

水槽、底砂、ライブロックなどについては、象と散歩: カクレクマノミの飼育は簡単? を参考にしてみてください。

イソギンチャクは同時に購入せずにカクレクマノミ が定着してから購入しましょう。アクアリウム店に行かなくてもネットで共に購入できます。ネットで生き物を購入することには躊躇いもありましたが、charm 楽天市場店 で購入したカクレクマノミとハタゴイソギンチャクが長生きしています。カクレクマノミはなるべく成長した4cm以上の個体を選びましょう。

カクレクマノミとハタゴイソギンチャク

自宅で過ごすことが多くなったいまアクアリムを始めるいいチャンスです。

ハードルが高いと言われる海水熱帯魚のカクレクマノミとハタゴイソギンチャクもちょっとしたコツで長く飼育することができます。

2019年6月16日

ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生は紫色の世界で大丈夫?

水槽の中のカクレクマノミとハタゴイソギンチャク

イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト | 象と散歩 で紹介していたアクシーファインスポット LED 20W ブルー(青色LEDスポットライト)が、年末年始の長期(10日間)の不在時に故障(涙。冬場でもヒーターを使っていないかったことも重なり、自宅に戻ったときには、ハタゴイソギンチャクが小さく縮んでしまっていました。

LEDスポットライトを交換したときの小さくなってしまったハタゴイソギンチャクが下記の写真です。

アクアリウム LEDスポットライト 青色LEDx8 赤色LEDx2 白色LEDx2

代わりのLEDスポットライトを購入しなければとAmazonで検索しましたが、アクシーファインスポット LED 20W ブルーは、既に生産終了(残念)。

ハタゴイソギンチャクの状況からするとウルトラマンのカラータイマーが鳴っているので同じで、少しでも早く光を浴びさせなければ生命維持も難しそうです。

プライム対象商品でないといつ届くのかという心配があるので、翌日には間違いなく届くAmazonでプライム対象の青色LEDスポットライトを探しましたが、残念ながらこの時点ではありませんでした。なるべく青色LEDが多いものとして見つけたのが、アクアリウムライト 24W 青8 赤2 白2灯 LEDスポットライト でした。

初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育 | 象と散歩 の再掲となりますが、ハタゴイソギンチャクの育成のために青色LEDスポットライトを選んだのは、下記の理由からです。

  • 光合成に必要な波長は400nm-500nm(青色)と600nm-700nm(赤色)
  • 海中では赤色光は吸収されてしまう
  • 褐虫藻には青色の光を吸収する光合成補助色素のペリジニンがある
  • 海中の褐虫藻が光合成を行うには青色以外の光は不要
  • LEDは効率的に青色のみ発光できる
  • 高輝度青色LEDの実現とLEDライトの低価格化(以前と比べて)
  • 光合成光量子束密度を高めるため光を分散させないスポットライト型

アクアリウムライト 24W 青8 赤2 白2灯 LEDスポットライト は、24WのLEDスポットライトですが、青色だけでみると 2Wx8個=16W とアクシーファインスポットよりも青色の光量が少なくなります。放射レンズ角度は60℃で、イソギンチャクを中心としてライトを当てることが可能です。

青色の光量が前と比べて少なくなるので、少し不安もありましたが、イソギンチャク消滅の危機寸前だったので、ポチッと購入し、翌日には設置を完了させました。

アクアリウム LEDスポットライト 青色LEDx8 赤色LEDx2 白色LEDx2

青から紫の世界へ

新旧LEDスポットライトでの水槽中の色の比較です。左が以前の水槽の様子で、深青の世界でした。右が新しく購入したLEDです。新しいLEDスポットライトは水面に反射して映るLEDからもわかるように赤や白が混じり、青色から紫色の世界へと変わりました。写真では濃い紫色ですが、肉眼ではキービジュアルとして使った最初の写真よりも薄い紫に見えます。

白色が入ったことで水槽の視界は青色LEDよりクリアになりました。カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生を観測するという意味では、カクレクマノミの色も赤く見え、カクレクマノミが水槽映えするようになりました。

アクアリウムスポットライト 青と紫の比較

同じ種類で青色LED8灯、赤色LED4灯(購入時にはありませんでした)だともう少し紫色の世界が濃くなるかと思います。

また同系列で、青色LED8灯、紫外線(UV:Ultra Violet)4灯のいうのもありました。

紫外線(UV)は、可視光線である青色の400nmより短い波長です。褐虫藻の光合成に必要なのは可視光線ですが、紫外線がハタゴイソギンチャクどのように影響するのかはわかりません。


紫の世界でのハタゴイソギンチャク

ハタゴイソギンチャクは、小さく縮こまってしまった時と比べると、だいぶ元のサイズに戻ってきました(メインビジュアルの写真は新しいLEDスポットにしてから3ヶ月後)。室温が上がり、水温も高くなってきたのも起因しているかと思います。なぜか、光を当てていた場所から水槽前面に移動してきました。

紫色の世界を作り出す、青8灯、赤2灯、白2灯のLEDスポットライトでもハタゴイソギンチャクは飼育できそうです。ただ、以前のようなモコモコ感と、ライトを付けたときのうごめきはなくなりました。

暫く様子を見ていきたいと思います。


LEDスポットライトにはこちらも必要

LEDスポットライトのアクアリウムタンク(水槽)への取り付けは、AXY FINE SPOTが便利です。購入から5年半以上経ちますが、問題なく使えています。

AXY FINE SPOT


こんな製品もあったのね、、、

改めてイソギンチャクの飼育に適した、青色LEDを中心とした水槽ライトを探してみたところ、下記の商品を見つけました。

かなり日本語が怪しい説明ですが、3WハイパワークリーLED(クリーロイヤルブルー、クリーブルー、クリーホワイト)×3、スペクトラム比も掲載されています。450nmぐらいを中心とした青色がメインとなっているのでハタゴイソギンチャクにも十分かと思います。

Hipargero LED 水族館ライト 30Wのスペクトラム比率

ただ、スポットライトと異なり、ライトが3か所にあり、水槽全体を照らすようになっているので、イソギンチャクにスポットライトを浴びせることはできなそうです。

青 12灯のアクアリムスポットライトではこちらが入手可能でした、、、。

2014年10月5日

還元(脱膣)システムでカクレクマノミとイソギンチャクの共生飼育

イソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育を始めてから1年半以上が過ぎました。イソギンチャクの飼育は難しいといわれていますが、環境さえ整えれば初心者でも簡単にリビングで飼育をすることができます。またイソギンチャクが快適に過ごせる環境であれば、カクレクマノミも元気に飼育することができます。

トットパーフェクトフィルター ミニミニ(SS型)

イソギンチャクの飼育で大切なことは3つです。
  1. 光合成ができる光
  2. 適度な水流
  3. 水質の維持
光合成ができる光については、青色LEDスポットライトの アクアシステム アクシー ファインスポット LED 20W ブルーで、適度な水流については E~ROKA イーロカ PF-201 でつくることができました。水質維持のために外部フィルターの エーハイム アクアコンパクト 2004 で硝化(アンモニア→亜硝酸→硝酸)し、マメデザイン 小型水槽用プロテインスキマー マメスキマー3を使ってアンモニアになる前にタンパク質を除去することで水槽内の水質を維持しています。そして最後に残るのは、アンモニアが分解されてできる硝酸塩(NO3)を除去するために定期的な換水をしています。
硝酸塩は濃度が低くてもイソギンチャクのような無脊椎動物にとっては有害となります。自然界では、硝酸塩が更に別なバクテリアによって還元(脱膣)が行われ、窒素となって大気中に放出されますが、水槽環境下では還元(脱膣)が行われないため、物理的に排除するために定期的な水替えが必要となるのです。

硝酸塩の毒性について下記にウィキペディアから抜粋しました。
硝酸塩はアンモニアや亜硝酸塩よりは毒性が低いものの、濃度が30ppmに達すると生長の阻害や免疫系の阻害を起こすことがあり、水棲生物に悪影響を及ぼす。(中略)高濃度の硝酸塩は藻類の増殖をも引き起こす。カリウムやリン酸塩、硝酸塩などの栄養素が増加すると富栄養化の原因となる。これは低酸素状態の原因ともなり、生態系においてある種の生物がほかのものより圧倒的に増殖する現象の引き金となる
【引用】ウィキペディア 硝酸塩
しかし、水槽の水替えには、労力、時間、コストを費やします。できる限り水替えの回数は減らしたいところです。

東京墨田区にある「すみだ水族館」でもこの水槽の水替えは課題だったようです。すみだ水族館は、海から離れているために換水のための海水の運搬コストが莫大となります。そこで少しでも換水量を減らすために「大成建設 + 長岡技術科学大学 補給水の低減を可能にする水族館用脱窒システム」が導入され、毎日5~10%必要だった換水が1%程度に低減されたとあります。この脱膣システムのカギとなるのは、耐塩性酢酸資化性脱窒細菌であるタウエラ(Thauera)属とバクテリアを活性化させる炭素(酢酸ナトリウム)です。

還元脱膣菌は嫌気性バクテリアなので定着させるためには酸素のない環境と活動源として炭素を必要とします。
  • 酸素のない環境
  • 餌となる炭素源
この2つの要素を備えたろ過装置が、バイオラボトット株式会社から発売されています。トットパーフェクトフィルターは、小型水槽での硝化と還元を同一ろ過槽内で実現し、水替え不要の「ろ過装置」と謳われています。
トットパーフェクトフィルターは、自然界の浄化の仕組みを、長いろ過筒内に再現させたシステムです。特に、嫌気性バクテリアによる水の還元(硝酸塩を除去)を実現した世界で初めての画期的なフィルター(国内海外特許取得済み)です。
トットパーフェクトフィルターにはいくつかの種類がありますが、小型水槽用は、トットパーフェクトフィルター ミニ(S型)トット パーフェクトフィルター ミニミニ(SS型)になります。2つの違いは硝化のためのC筒が4本か2本かです。30cmの水槽であればSS型で十分だと思います。

 
ミニ(S型) ミニミニ(SS型)
対応水槽 30cm以上60cm未満 20cm以上45cm未満
寸法(cm) W27.3 D10.9 H19.7 W19.8 D10.4  H19.7
ろ過筒総延長 105cm 73cm
ろ過筒総容積 約1410cc 約990cc
ろ材カートリッジ A筒1本・B筒1本・C筒4本・D筒1本 A筒1本・B筒1本・C筒2本・D筒1本

※ 淡水用・海水用、50Hz電源(東日本)用・60Hz電源(西日本)用がありますので購入の際には注意してください。


トットパーフェクトフィルターの硝化から還元の仕組み

トットパーフェクトフィルターは、下図のように連続した筒型のろ材が連結されているために、ろ材を100%有効に活用した濾過が行えるとあります。水槽の海水はA筒からC筒の4つの濾を通過する中で、好気性バクテリアによってアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩という硝化が行われて酸素が消費されます。そのため最終のD筒では酸素量が少なくなり嫌気性バクテリアが定着しやすい環境がつくれます。D筒の嫌気性バクテリアは、トットバクテリアフード(炭素源)を栄養として硝酸塩(NO3)から酸素を吸収して、硝酸塩を窒素ガスにする還元を行います。窒素ガスは水槽の水面で放出されるという仕組みになっています。 トットパーフェクトフィルター ミニミニ(SS型)
確かに硝化と還元を連結させた理にかなった構造となっています。

各カートリッジの役目

トットパーフェクトフィルター ミニミニ(SS型)は、4種類のカートリッジと吸水口に取り付けるスポンジフィルターで構成されています。

A筒

トットパーフェクトフィルター ミニ/ミニミニ(S/SS型) トットバクトフォーム(2個入り)A筒用
吸水口にスポンジフィルターを使っていればA筒まで直接大きなゴミが入り込むことはありませんが、A筒は粗めのスポンジで、物理ろ過と生物ろ過の役割を果たします。交換目安は4~5ヶ月とありますが、中のスポンジは外して揉み洗いすれば再利用可能です。

トットパーフェクトフィルター A筒

B筒

トット パーフェクトフィルター ミニ/ミニミニ(S/SS型)専用ろ材 トットバクトハウス B筒用(海水)
好気性バクテリアによる生物ろ過で硝化を行います。微量なミネラルを徐々に放出する弱アルカリ性・多孔質セラミックろ材とスポンジが組み合わされたカートリッジです。交換目安は、4~5ヶ月とありますが、カートリッジを取り外してろ材とスポンジの汚れを洗い流すことができます。またB筒にはPHを下げたいときに使用するB筒用(弱酸性)、リン酸塩・ケイ酸塩を吸着し、コケの発生を抑制させるトットリンカット、活性炭が入ったトットカーボン(高性能活性炭)があります。

トットパーフェクトフィルター B筒

C筒

トットパーフェクトフィルター ミニ/ミニミニ(S/SS型)専用ろ材 トットバクトハウス C筒用(海水)
B筒と同じく好気性バクテリアによる生物ろ過で硝化を行います。微量なミネラルを徐々に放出する弱アルカリ性・多孔質セラミックろ材とB筒と同じですが、スポンジがありません。交換目安は6~7ヶ月とありますが、こちらもカートリッジを取り外して汚れを洗い流すことができます。C筒にもPHを下げたいときに使用するC筒用(弱酸性)があります。

トットパーフェクトフィルター C筒

D筒

トットパーフェクトフィルター ミニ/ミニミニ(S/SS型)専用ろ材 トットバクトハウス D筒用
D筒がトットパーフェクトフィルターで最も大切な嫌気性バクテリア用の濾材であると同時に嫌気性バクテリアの餌となります。ろ材は嫌気性バクテリアによって消費され(ボロボロになり)徐々に目減りします。交換の目安は7~10ヵ月、もしくは、ろ材が3/1になったら交換とありますが、硝酸塩が多ければ早く無くなり、少なければ長持ちすることになります。ろ材とフィルターは取り外して汚れを洗い流すことが可能ですが、要となるろ材なので交換目安に従って交換するのが無難だと思います。

トットパーフェクトフィルター D筒

トットパーフェクトフィルターの驚きの効果

トット パーフェクトフィルター ミニミニ(SS型) を写真のように水槽の背面に取り付けました。

トット パーフェクトフィルター (水流)

トット パーフェクトフィルターでは毎分4.2ℓの水を循環させることができますが、硝化と還元の仕組みを考えると、硝化ろ材の好気性バクテリアで酸素を消化して嫌気性バクテリアの生息環境を維持しているのであれば、水流は弱い方がいいのではないかと思い、水流を絞って使用しています。

トット パーフェクトフィルター (水流)

そのため エーハイム アクアコンパクト 2004 も併用して使っています。またよくある質問に下記の理由でエアレーションと併用するとよいとありましたので、マメデザイン 小型水槽用プロテインスキマー マメスキマー3 も併用しています。
トットパーフェクトフィルターは、エアレーションしながら使用するとより効果的です。例えば、立ち上げする時に好気性バクテリアを早く発生させる事ができます。何故ならば、トットパーフェクトフィルターは、構造上、細長い筒の中に水を流しながら、その筒の中で好気性バクテリアが水中の酸素を消費するようになっていますので、途中で酸素が不足することがないようにするためです。さらに、同じ理由で立ち上げ後もエアレーションをすることは好気性バクテリアが生育するために効果があります。
最初は半信半疑で使ってみたのですが、使用開始から1か月程で硝酸塩の値が激減し、今ではNO3は20ppm以下になり試験紙では検出されなくなりました。

水替えも以前は月に1度行っていたのですが、トットパーフェクトフィルターを取り付けてから3カ月に1回しか換水していません。それでもハタゴイソギンチャクもカクレクマノミも元気いっぱいです。インテリアアクアリウムとしての課題として掲載している写真と比べてみるとハタゴイソギンチャクの成長度合いがわかると思います。

トット パーフェクトフィルター 設置から9ヶ月経過
トット パーフェクトフィルター ミニミニ(SS型) 設置から9ヵ月経過
難しいといわれた水槽内での硝化(アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩)と還元(硝酸塩→窒素ガス)を実現させたトットパーフェクトフィルターはスゴものです。これほど硝酸塩の濃度を下げられると思いませんでした。

コスパも実は悪くない

使い捨てタイプのカートリッジという記載だったのでメンテナンス・コストは気になるところでした。メーカが推奨する頻度でカートリッジを交換すると年間で10,000円弱かかることになります。しかし、各カートリッジともスポンジ、ろ材は洗浄可能なので、洗浄しながら使えば交換頻度は下がります。使用開始から9ヶ月が経ちますが、水替え時に洗浄をしているだけで、まだひとつも交換はしていません。亜硝酸塩も硝酸塩の濃度も上がっていませんが、還元バクテリア用のD筒のろ材はかなり消化されてきているのでそろそろ交換時期かもしれません。

 
交換目安
単価(税別)
年(税別)
A筒 *2個入り 4-5ヶ月(3回/年)
¥800
800x3÷2=1,200
B筒 4-5ヶ月(3回/年)
¥700
700x3=2,100
C筒 6-7ヶ月(2回/年)
¥700
700x2=1,400
C筒 6-7ヶ月(2回/年)
¥700
700x2=1,400
D筒 7-10ヶ月(2回/年)
¥1,900
1,900x2=3,800
Total
¥4,800
¥9,900

トットパーフェクトフィルターの課題は?

トットパーフェクトフィルター ミニミニ(SS型)は、還元(脱膣)ができる優れた「ろ過装置」ですが、いくつかの課題もあります。

インテリア・アクアリウムとしての見栄え

外掛け式のフィルターなので背面をつぶしてしまうことになるので、前後両面からの鑑賞する場所に水槽を設置している場合は向いていません。片面からの鑑賞だとしても背景にフィルターが映ってしまいます。折角、側面に機器類をまとめていたのですが…。また水槽後側奥行寸法が8.5cmなので、水槽の後ろに10cm程のスペースが必要となります。

トット パーフェクトフィルター ミニミニ(SS型) 設置直後
トット パーフェクトフィルター ミニミニ(SS型) 設置直後

パイプの清掃

吸水と排水のパイプは本体から取り外しができず、直角に曲がっているために本体と水平になっているパイプ(下図オレンジ線部)の中の汚れが清掃できないません。これもインテリア・アクアリウムとしては痛いところです。
image

エアレーション

エアレーション機能はありますが、心もとないので別途エアレーションが必要になります。マメデザイン 小型水槽用プロテインスキマー マメスキマー3 はエアレーションとしても有効ですので併用しましょう。

硝化能力

課題というか悩みになりますが、前述したように トット パーフェクトフィルター ミニミニ(SS型)エーハイム アクアコンパクト 2004 を併用しています。単純にろ過装置としての機能を下表にまとめていますが、容量も流量も大差はありません。そういう意味だとチャネリング(目詰まり)なしで、効率的にろ材を利用しているパーフェクトフィルターだけでも十分なのかもしれません。もう少し容量の大きいパーフェクトフィルターの水量を絞っているという理由で2台を併用していますが、悪影響はないので当面は2台体制で使用しています。

 
エーハイム アクアコンパクト2004 トットパーフェクトフィルター
ろ過容量 1,000cc 990cc
流量 1~5ℓ/分 4.2ℓ/分

硝化能力を気にするのであれば、横幅が7cm大きくなりますが、硝化のためのろ材が2つ多い トットパーフェクトフィルター ミニ(S型) を購入した方がいいかもしれません。

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