放送と通信の融合
2008年9月にはTBSの「TBSオンデマンド」が、11月には、フジテレビの動画配信サービス「フジテレビOn Demand」のコンテンツが拡充されましたが、12月からNHKが「NHKオンデマンド」 を開始しました。
民放の9月中間連結決済で日本テレビとテレビ東京が赤字に転落したというニュースもありましたが、広告収入以外の収入モデル を模索しなければならない時代となったようです。
しかし、ネット配信によるコンテンツ収入モデルを確立するためには、膨大な初期投資も必要になること でしょうから、そういう意味ではネットで先行していたライブドアや楽天が以前、フジテレビやTBSの買収を試みたことは、あながち否定されることではなかったのではないかと思います。
奇しくもオンデマンド放送ではその矛先となったフジテレビとTBSが先行しています。
「アクトビラ」の普及
NHKではテレビの視聴スタイルが大きく変化すると協調されていますが、アーリーアダプターからマジョリティへの拡大には、コンテンツの拡充だけではなく、PCから脱却し、誰でも手軽に扱える機器(インフラ)の普及が前提になるのではないでしょうか。そういう意味では、テレビに標準搭載をさせることにより、普及を図ろうとしているアクトビラの今後が楽しみです。
「テレビとネットワークの融合 ~アクトビラ入門編」(2020.1.14 リンクを削除)に左図のアクトビラ搭載テレビの搭載台数が掲載されていますが、テレビのデジタル化の買い換え需要によって、2011年には、アクトビラ搭載テレビの普及を7000万台にすることを目標としています。
無線LANを有線LANに変換する(テレビをネットに繋げる)
このアクトビラ対応テレビは、有線LANが基本となっています。テレビの横にルーターがあれば別ですが、この有線LANにしか対応していないというのは、テレビをネットに繋げるための高いハードルではないかと思っています。LANケーブルを何本も部屋中に引きまわすなんてできません。そこで我が家ではテレビをネットに接続するために無線LANを有線LANに変換する無線LANコンバータ『無線LANコンバータ 2ポート「GW-EC54-2P」』を利用しています。最近ネット接続機器が増えてきているので『無線LANコンバータ 4ポート「GW-EC54-4P」』にしておけばよかったとちょっと後悔しています。しかし、この商品の説明がテレビやゲームを束ねて無線LANにとあり、視点が末端機器から見たものとなっていたために、当初は、無線LANを有線LANに変換できる機器ということが、理解できませんでした。「自宅の無線LANに有線LANでしか接続できないテレビやレコーダーを接続可能に」というキャッチの方が分かり易いかと思うのは、私だけでしょうか。
古いテレビでもアクトビラを閲覧可能に
バッファローからアクトビラ ビデオ・フルに対応した、『ハイビジョン対応ビデオプレーヤー〈リンクシアター〉「LT-H91LAN」』が発売されます。説明は「BUFFALOのニュースリリース」を見ると、「NHKビデオンデマンド」「TSUTAYA TV」にも対応し、WEBブラウザも搭載されているようです。上記の無線LANコンバータもそうですが、こういった機器がテレビメーカーから発売され、家電販売店で接続サービスもサポートする体制ができれば普及に拍車がかかるのではないかと思うのですが...。
NHKオンデマンドの事業モデル
新聞によると、 NHKオンデマンドは、独立採算で受信料とは別会計とされるようです。また、
3年目の2010年度に会員数約30万人、売上高約40億円で単年度黒字を見込み、2013年度には累積損失の解消を目指し、赤字の場合は撤退を含め事業を見直す。
東京新聞 12月2日朝刊
と、あります。
新規事業がうまくいかない理由
NHKオンデマンドが事業開始時に撤退の目安を入れて考えているのは、少し前に読んだ「新規事業がうまくいかない理由」(坂本圭一著)を思いだしました。この本の中では、新規事業を考える場合に成功を前提にビジネスプランを策定するために、収支目標や役割が達成されない場合の撤退の基準が作られていないことに対して問題提起されています。
branco(ブランコ)サービス終了
2008年12月19日にソニーマーケティングが運営するIPテレビサービス“branco(ブランコ)”から『【重要】“branco(ブランコ)”サービス終了のお知らせ』というメールが届きました。
brancoは「手塚治虫アニメワールド」などもあり、たまに利用していました。またチャンネルチャットなど放送をみながらリアルタイムでチャットができるサービスなど新たな試みがなされていましたが、敢えなく撤退のようです。「brancoのサイト告知」では、
brancoは、無料でお楽しみいただける映像サービスとしてスタートしましたが、会員数が当初目標から大きく下回ることとなり、事業のあり方や将来性に ついて見直しを進めてきました。同時に当社を取り巻く経営環境の悪化も顕在化し、事業継続は難しいとの判断にいたりました。
無料IPテレビサービス“branco(ブランコ)”サービス終了のお知らせ
とあります。
Sony本体が16,000名の解雇と報道され、経営が芳しくないという状況の中、当初から計画されていた撤退とは異なった形での新規事業の終焉となってしまったのではないでしょうか。
brancoは、12月26日迄は新規会員登録が可能です。Bフレッツの利用が前提となっていますが、年末年始は番組も結構充実しているようなので、最後のbrncoを家族で楽しまれてはいかがでしょうか。
動画配信サービス
USENが運営する「Gyao」、Yahoo動画などもメジャーとなり、NetRatingsに所属する「衣袋宏美氏」著書の「ネット視聴率白書 2008-2009」では、2008年3月末で利用者が共に600万人前後となっています。注目すべきはその利用者層で、30代後半から40代の利用が一定度の割合を占めています。女性層も4割弱です。
登録者のプロファイルは、広告の出し分けは、ターゲットを絞りたい広告主の獲得に繋がります。またお金をある程度落としてくれる世代の獲得は、有料コンテンツの販売にも繋がります。
リッチコンテンツとCGMの代名詞ともなったYouTubeでは、閲覧者は1,800万弱とありますが、若年者層の利用者が多いのが現状です。
M1,M2,M3,F1,F2,F3という属性の分け方
「ネット視聴率白書 2008-2009」には、色々な業種の視聴率データが掲載されているので一読の価値はあると思います。
残念なのは、利用者属性がM1-3,F1-3で表記されていることでしょうか。この表記方法は、もともとテレビの視聴率調査などで使用れているものですが、ネット視聴率調査も ビデオリサーチ などが先行したため使われることが多いようです。テレビ業界では未だに「F1神話」というものもあるようです。しかし、マスメディア時代の遺物でダイレクトマーケティングの現代にはそぐわないのではないかと思います。
- M1=男性20~34歳
- M2=男性35~49歳
- M3=男性50歳以上
- F1=女性20~34歳
- F2=女性35~49歳
- F3=女性50歳以上
また20歳未満については、
- Kids=4~12歳
- Teenager=13~19歳
に分類されます。
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