軟調ペン先の魅力に惹かれ、店舗に設置されていた#3776試筆台でSF(細軟)を試し書きしてみたら、突然の物欲の神様の降臨。定番万年筆は個体差がほとんどないので安価に買えるネットでも安心です。 #3776 センチュリー ロジウム ブラックダイヤモンド 細軟(SF:Soft Fine) をポチり。
軟調ペンとは?
軟調ペン先(ソフトニブ)は、通常のペン先よりも薄めに作られ、ペン先の形状や材料の配合にも工夫が施されているため、柔軟で弾力のある書き心地を提供してくれます。
軟調ペン先の大きな魅力は、その柔らかさを活かした書き心地と表現力です。筆圧をかけるとペン先が広がり、太い線が書けますが、軽く書くと細い線となるため、抑揚がある字を書くことができます。
現在の日本メーカーの定番万年筆は、ボールペン等で強い筆圧が一般化した日本人に合わせているので、強い筆圧で書いても安定して書けるように、あまりしならず、スリットが広がらないように硬めの硬質ペン先(ハードニブ)となっています。
しかし、これは万年筆の良さを失っていることにもなります。
万年筆で書いた文字には味わい深さがありますが、これは筆圧、ペン先の角度、筆記速度などの違いによって生まれる以下の要素によって生じます。
- インクの濃淡
- 線の太さ
- 線の抑揚(強弱)
- 筆致の柔らかさ
これは、 ペン先が柔らかく、字幅が広い万年筆で筆圧をかけずに書くことで生まれる味わいです。硬いペン先で細い字幅の万年筆は、ボールペンのように書けますが、万年筆の良さを半減させてしまいます。
この万年筆の本来のよさを実感させてくれるのが「軟調ペン先」です。
#3776 センチュリー 細軟の独特な書き味
#3776センチュリーSFは、同じ軟調ペン先のPILOTのカスタムヘリテイジ912 SM(中字軟) と比べると、筆圧を加えたときに大きくペン先がしなる(湾曲する)のがよくわかります。
しかし、細字ということもあってか、ペン先が大きくしなってもスリットがそれほど広がらず、字幅が大きく変化することなく安定して書けます。それでも、筆圧をかけないときと、かけたときの字幅の違いによって、文字に抑揚を表現することができます。
下の写真は、「大」の横棒だけ筆圧をかけた例です。
SF(細軟)のペン先は大きくしなりますが、他のセンチュリーのペン先と同様にやや硬めで、書くときに「カリカリ」とした感触があります。特に細かい字を書く際には「サクサク」と軽快に紙を滑るような感覚の中にしっかりとしたフィードバックがあり、繊細で正確な書き心地を提供します。SF(細軟)のペン先は、大きくしなる一方で、#3776特有のしっかりとしたタッチを感じさせる書き心地です。
この「しなり」と「カリカリ」としたペンタッチが、#3776 SF(細軟)特有の独特の書き心地を生み出しています。この大きくしなるペン先では、筆圧をかけ続ける書き方では書きづらいので、筆圧をかけない書き方が求められます。
また、細字の軟調ペン先なので、細く小さな字が書けます。手帳やノートなどに小さな字を書くのに適しています。しかし、ペン先がしなる特性上、速く書くのには不向きです。
#3776 センチュリーのデザイン
#3776センチュリーは、プラチナ万年筆が誇るフラッグシップモデルであり、シンプルでありながらもエレガントなシルエットを持ち、無駄のない直線的なラインが特徴です。このデザインは、クラシックな美しさと機能性を兼ね備えており、時代を超えて愛される普遍的な魅力を持っています。
微かに透けて見えるボディは美しい光沢を放ちます。
ブラックインブラックとブラックインダイヤモンドで悩みましたが、ロジウムメッキ仕上げ(シルバー)の方が、落ち着いた色合いなので、ロジウムフィニッシュ ブラックダイヤモンドを選びました。
#3776 センチュリーは、ペン先の横の張り出しが広くとられているためペン先が大きく見えます。万年筆はペン先が大きい方がカッコよく見えるので、カスタムヘリテイジも5号ではなく、10号の912にしましたが、カスタムヘリテイジの10号と比べても見栄えがいいです。
#3776のスリップシール機構
万年筆は暫く使わないでいると、インクが出なくなったり、最悪、万年筆が使えなくなってしまいます。
#3776のキャップに搭載されたスリップシール機構は、キャップを閉めるときに空気を遮断する構造になっており、インクが長期間使用されない場合でも、常に書き出しがスムーズです。この機能は、プラチナが他社との差別化を図るために開発したもので、日常使いの万年筆としての実用性を高めています。
パイロットとプラチナの軟調ペン先どちらをファースト万年筆に選ぶべきか?
万年筆本来の書き方である筆圧をかけない書き方を学び、万年筆らしい文字を書きたいのであれば、パイロットのカスタムシリーズのSM(中字軟)がベストチョイスです。
Custom Heritage 912 SM は、ペン先のしなりは少ないですが、筆圧によって字幅に大きな差が生じるため、表現力に富んだ書き味が楽しめます。ペン先のタッチは柔らかく書き味は「ぬらっ」とした感じです。
中字より細字がというのであれば、#3776センチュリーの細軟という選択もありかと思いますが、前述した通りセンチュリーの細軟は独特の書き味です。万年筆を初めて使う方にはカスタムシリーズが無難な選択肢ですが、筆圧をかけない繊細な書き方を楽しみたい方には、#3776センチュリーSF(細軟)が最適です。
#3776 センチュリー SFを書きやすいと感じるためには、筆圧をかけない書き方が必要です。
再掲となりますが、下記は、生成AIに正しい持ち方を指示して絵を描いてもらいました。
Created by Dall-E 3 |
万年筆の持ち方については、象と散歩: 万年筆デビューを成功させる!初心者が選ぶべき1本とはを参照してください。
柔らかいペン先を求めて
柔らかいペン先を求めて日本の三大万年筆メーカーであるパイロットとプラチナの14K軟調ペン先、そしてセーラーの21Kの定番万年筆のコンプリートです。
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プラチナ #3776センチュリー ロジウムフィニッシュ SF(細軟)
14K 大型 ロジウムメッキ 細字の軟調ペン先です。軟調ペン先ですが書き味は「カリカリ」とした硬いタッチです。筆圧で大きくペン先がしなりますが、字幅は安定しています。しなりが大きいため速く書くのには適していません。
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パイロット カスタムヘリテイジ912 SM(中字軟)
14K 10号 ロジウムメッキ 中字の軟調ペン先です。紙へのタッチは柔らかく「ぬらっ」とした書き味です。しなりは多くありませんが、筆圧によって字幅が変わります。
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セーラー プロフェッショナルギア 金 M
21K 大型 中字のペン先です。軟調ペンではありませんが、弾力があり、しなり具合はカスタムヘリテイジ912に近いです。筆圧によって字幅の変化もあります。「サラサラ」とした書き味で、速く書くのに即した万年筆です。
さて、次に物欲の神様が降臨するのは、どの万年筆を手にしたときなのでしょうか、、。軟ペン繋がりで、エラボー、フォルカン、長刀研ぎ、それともB(太字)、若しくは外国ブランド?
いやいや、初心に戻って大人な字の習得が先か、、、、。
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