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Post Date:2023年12月2日 

ジャーナリングにカスタムヘリテイジ912ソフト・ミディアムが最適な理由

Custom Heritage912 とフラットに開くノート

万年筆の世界に足を踏み入れてから、ずっと憧れていたのは、以下の特徴を持つペン先を持つ万年筆でした。

  • 金ペン
  • 軟ペン

これまで試し書きの経験しかありませんでしたが、その柔らかく、滑らかな書き味に触れ、日本語の美しさを引き立てる「トメ」、「ハネ」、「ハライ」が表現できることにも感動しました。自分が大人な美しい行書を書いている姿を妄想することができます。

「いつか買いたい!」

と思いながらも、価格面で躊躇していました。しかし、ジャーナリングを始めてみて、普段使っているMD万年筆やLAMY Safariの中字は、書きやすい万年筆ではあるけど、ペンをしっかりと持ってペン先を紙に当てる書き方をしているため、速いスピードで書き続けることには限界があることに気づきました。書き続けていると、考えが止まる前に手が疲れてしまいます。

保有していた万年筆の中では、Watermanフィリアス M(中字)がジャーナリングに適した万年筆でした。

Watermanフィリアスのニブは大きい

スチール製ですが、大型のニブ(ペン先)で、滑らかな書き味を提供してくれます。またインクフローもよいので、筆圧をかけずに軽やかに文字を綴れます。しかし、線の太さの強弱の表現は、あまり得意ではなく、ペン先が直ぐに乾いてしまうので、1週間使ってないとインクが出なくなるとといった煩わしさがあります。


金ペンの特徴

金ペンとは、金製のペン先を持つ万年筆のことです。金ペンには、14K、18K、21Kなどがありますが、数値が大きいほど金の含有量が多く、ペン先は柔らかくなり、滑らかで濃い書き味になります。しかし、金の含有率は価格にも比例します。

金の純度は、金の含有量を24で割ったもので表されます。24Kを100とした金の含有率で、14Kは14/24(58.33%)の金を含み、21Kは21/24(87.50%)の金を含みます。また、Kは、Karat(カラット)の頭文字で、金の純度を表す単位です。

21Kになるとペン先がかなり柔かくなるので、軟調ペンといった特殊ペン先の必要はないかと思います。


ニブ(ペン先)のサイズの違い

同じ金の純度でもニブ・サイズが大きいと弾力性がでるので、ペンタッチが柔らかくなり、軽い筆圧でもインクが流れやすくなります。ペンのサイズもメーカーによって異なりますが、セーラー万年筆だと超大型、大型、中型、パイロット万年筆だと10号、5号のように記載されれています。

下表は、ニブ・サイズによる一般的な違いです。

金製 大型ニブ 金製 中型ニブ
柔らかさ 柔かい 硬い
字幅の変化 筆圧によって変化しやすい 安定している
インクフロー 多い 少ない
価格 高い 安い

柔軟さを求めるなら大型ニブが最適ですが、高額になります。予算に制限がある場合は、ソフト調の中型ニブがいいのではないでしょうか。


軟ペンの特徴

軟ペンは、柔らかいペン先で、筆圧をかけるとペン先が開きます。滑らかな書き味で、インクフローもよいので、線の太さの強弱を表現しやすく行書などにも向いています。

パイロットは、ソフト調の細字(ソフト・ファイン)、ソフト調の中細字(ソフト・ファインミディアム)、ソフト調の中字(ソフト・ミディアム)、超ソフト調(フォルカン)と軟ペンの宝庫です。

パイロットの14K 5号のペン先を選ぶのであれば、柔らかさを求めてソフト調のペン先がいいかもしれません。


柔らかく滑らかに書ける万年筆の選択肢

柔らかく滑らかに書くためには、ペン先の材質やサイズが重要です。一般的に、14Kや21Kなどの金製のペン先は、スチール製のペン先よりも柔らかく滑らかに書くことができ、ペン先のサイズが大きいほど柔軟性があります。また、細字よりも中字の方が線が太く、インクの量も多いので、滑らかに書くことができます。

上記の条件に合致する万年筆として、以下の3つを候補にあげました。

  1. セーラー万年筆 プロフェッショナル ギア 中字(21K・大型)
    21Kの大型ペン先を搭載した万年筆です。装飾部には金と銀があり、重厚感のあるデザインです。

  2. パイロット カスタムヘリテイジ 912 ソフト・ミディアム 中字(14K 10号)
    14Kの10号ペン先を搭載した万年筆です。ソフト・ミディアムはペン先が柔らかく、しなやかに曲がります。デザインは、とてもシンプルです。

  3. パイロット カスタムヘリテイジ 91ソフト・ミディアム(14K 5号)
    14Kの5号ペン先を搭載した万年筆です。912よりペン先のサイズが小さいですが、軟調ペンは、ペン先が柔らかいので、滑らかに書くことができそうです。

カスタム742(14K 10号)、カスタム74 (14K 5号)という選択肢もありますが、クリップの特徴的なデザインの玉クリップ(クリップの先にある丸い玉)がどうにも好きになれません。またカスタムは、万年筆の両端が丸くなっているバランス型ですが、カスタムヘリテイジは、両端が平らなベスト型です。

カスタム 742 SM
Custom 742 はバランス型

万年筆の形状には大きく2種類あり、両端が丸くなっているものがバランス型で、両端が平らなものがベスト型です。丸いのと平たいの。 | 筆記具専門店キングダムノート|スタッフブログにも記載されていますが、両端が平らなベスト型の方が歴史が古いとあります。丸みのあるもに懐古を覚える現代では、バランス型の方がスタイリッシュに見えるのが不思議です。


パイロット カスタム ヘリテイジ 912に決めた理由

セーラー万年筆 プロフェッショナル ギアがAmazonでかなり安価に販売されていたので、かなり迷いましたが、最初から気になっていたパイロットのソフトミディアムのペン先の万年筆に決定。ソフト・ミディアムであればカスタムヘリテイジ91で十分と購入を決めたところで、Watermanフィリアスのデカいペン先が脳裏に浮かんでしましました。

「やっぱり少しでもニブ・サイズは大きい方がいいのでは、でも値段が、、、」

と、葛藤している最中に

あ、912をポチってしまった、、、


カスタムヘリテイジ 912 の書き味は

「気持ちよく書ける!」が、最初の印象です。ミディアムサイズのニブの字幅は、細すぎず、視認性の高い文字が綴られていきます。

Custom Heritage912 のニブ

ソフト調のペン先ですが、柔らかすぎず、非常に書きやすいです。筆圧によって字幅を変化させることができ、トメ・ハネ・ハライといった表現もできます。インクフローは良好ですが、「ぬらぬら感」は強すぎません。ただし、インクの消費量が多いため、カートリッジだとコスパが悪いので、付属のプッシュ式のコンバーターの利用が必須です。

購入目的であったジャーナリングでは、『速く書き続けることができる』万年筆として素晴らしい性能を発揮しています。

ペンを握ってしまうと書き続けているうちに手が疲れてきますが、中指にペンを乗せて、親指と人差し指で軽く支えるという万年筆の本来の持ち方でペンをコントロールすることができるので、ペンを強く握る必要がありません。カスタムヘリテイジ912を使うと、もっと書き続けたくなります。

ブラックのボディでデザインがシンプルなので、手にしてカッコいいという訳ではありませんが、そのシンプルさにより長く使っても飽きがこないデザインと言えます。

万年筆の好みは人それぞれですので、必ずしもすべての人に合うとは限りません。しかし、カスタムヘリテイジ912は、滑らかな書き味と、軟ペンの特徴である柔らかい書き味を兼ね備えているため、長時間の筆記でも疲れにくく、快適に書き続けることができます。ジャーナリング用の万年筆を探しているの方は、是非、検討してみてください。

Post Date:2023年11月26日 

書く瞑想:ジャーナリングの始め方

ジャーナリングで内観

書く瞑想』は、自分の考えや感情を紙に記すことで心を落ち着かせ、内面を深く見つめ直す瞑想法です。また、そこに綴られた言葉の中には、自己の未知なる領域を発見する可能性が広がっています。

書く瞑想は、誰でも簡単に始めることができます。必要なのは、紙とペンだけです。


『書く瞑想』の2つの種類

ジャーナリング(Journaling)とエクスプレッシブ・ライティング(Expressive Writing)は、『書く瞑想』の代表的な手法です。

どちらもノートや紙に、頭に浮かんだことをそのまま書き出します。書くときは、文法や正確さにこだわらずに、感情に素直になり、自分の内側の声に耳を傾けます。


ジャーナリング

ジャーナリングは、Googleが開発したマインドフルネスをベースにした感情知能(EQ)を高める研修プログラムであるSIY(Search Inside Yourself)で紹介される5つのスキルのひとつである「洞察」を身につけるためのトレーニングです。ジャーナリングでは、自分の考えや感情を客観的に観察することで、自己理解を深めます。

Search Inside Yourselfについは下記の書籍に詳しく記載されています。

ジャーナリングとは、テーマ(お題)を決めてそれについて書いていく方法です。

自分の気持ちや考えを正直に書き出し、自分に問いかけたり、反省したり、感謝したりします。ジャーナリングには、自己理解や自己肯定感の向上、自分の成長や変化の確認、目標達成や問題解決のサポートなどの効果が期待できます。


エクスプレッシング・ライティング

エクスプレッシブ・ライティングとは、ネガティブな感情や出来事を書き出し、思考を整理することで不安やストレスを解消する方法です。エクスプレッシブ・ライティングには、自分を客観的に見ることができる、不安やストレスの軽減、気持ちの整理、課題解決力の向上などの効果が期待できます。


『書く瞑想』と『日記』の違い

ジャーナリング(Journaling)とエクスプレッシブ・ライティング(Expressive Writing)の相違点を、日記との比較も行いながら、下表にまとめました。日記は、日常の出来事やそれに対して思ったことを書く一方、『書く瞑想』では、出来事に関係なく、頭に浮かんだことや感情を手を休めることなく書き続けます。

  Journaling Expressive writing 日記
定義 テーマを決めて自分の感情や思考を書き出す 感情や内面の深層を表現することを目的として書く 日常の出来事や感じたことを記録する
目的 内観を深める
- 感情の整理と理解
- 自己探求
ストレス軽減
- 感情の解放
- 心の浄化
記録
- 行動
- 感情
書き方 幅広いテーマに関する考えや感情を書き出す 感情や内面に焦点を当ててネガティブな感情や出来事を書き出す 5W1Hで事実を記録する

様々なタイトルで書くジャーナリングであれば、興味を持って続けられそうな気がしますね。


ジャーナリングの手順

ジャーナリングのルールは、以下の3つです。

  1. 時間を決めて
  2. 考えずに
  3. 書き続ける

頭に浮かんだことをそのまま文字として綴っていきます。何を書くべきかを考えるのではなく、ただ書かれたままを受け入れるようにしましょう。乱筆乱文や誤字脱字も気にせず、ペンを絶え間なく動かし続けることが大切です。

もし、書くことが浮かんでこない場合は、次に書くことが出てくるまで「書くことがなくなった、何も書くことがない」と書き続けます。


ジャーナリングの適切な時間

ジャーナリングは、時間を計測して実施します。時間になったら書くのを止めます。

Search Inside Yourself には数分でも効果があると書かれていますが、5分間から始めることをおすすめします。あまり時間が短いと、書いた文章が自己発見につながりにくいです。書いた内容を読み返すと、前半は割といつも頭にあることが多く、後半部分に気づきがあったりします。

手書きでも書きやすいペンで速く書けば、5分間で300〜350文字程度は書けるので、それなりの文書になります。また、5分間書き続けていると手も疲れてくるので、5分間という時間は適当な時間です。もし、もっとゆっくり書きたい場合は、文書量を鑑みて時間を伸ばしてください。

Alexaの定型アクションで5分間のカウントダウンタイマーを作成して、1分ごとに通知するようにしています。下記に公開しているので、Alexaを使っている方は、使ってみてください。

Alexa定型アクション:5分間のジャーナリング
Alexa定型アクション:ジャーナリング

Alexa, ジャーナルを開始

で、5分間のジャーナルをスタートです。

また、書き足りないと思えるようになったら、10分、15分と伸ばしていくとよいでしょう。ただし、30分以上は長すぎるので、注意しましょう。


ジャーナリングのタイトルを決める

ジャーナリングを効果的に行うためには、その日に書くタイトル(お題)が重要です。ここでは、chatGPTのような生成AIを利用して、簡単に具体的で興味深いお題を見つける方法を紹介します。

プロンプトの例;

書く瞑想(ジャーナリング)のためのお題を5つあげて。お題はXXXで、書きやすいように具体的なものにして。

上記のXXXの部分を変えることで、さまざまなアプローチのお題を得ることができます。例えば、

  • ポジティブなもの
  • ネガティブなもの
  • 妄想的なもの
  • 音楽に関するもの
  • 最近の出来事に関するもの

気に入ったものがなければ、「さらに5つあげて」と続けて生成AIにアドバイスを求めることで、タイトルの候補を増やすことができます。これによって、ジャーナリングに役立つ具体的で魅力的なお題を見つけることができます。


ジャーナリングの筆記用具

基本的にはノートやペンだけで始められますが、書きやすさと継続するためのモチベーション維持には筆記用具はとても大切です。


ジャーナリングに最適なペン

速く、長い時間書き続けるためには、筆圧をかけずに滑らかに書ける中字の万年筆が最適です。LAMYサファリやMD万年筆の中字も、とても書きやすい万年筆ですが、筆圧をかけずに速く書くというのにはあまり向いていません。保有している万年筆では、既に販売中止となっているWaterman Phileas(フィリアス)の中字が筆圧なしで滑らかに書けるのでジャーナリングに適しています。

一般的に、スチール製のペン先は金製のペン先に比べてしなりが少ないと言われていますが、フィリアスのペン先は弾力のある筆記感があり、とても滑らかに書けます。難点はインクの消耗が早いのと、ペン先が乾きやすいということです。

ジャーナリングを口実にずっと気になっている軟ペンが欲しい、、、


ジャーナリングに最適なノート

万年筆で書くことを前提とするなら、書き心地が滑らかでインクの滲みや裏抜けが少ないノートがおすすめです。

『モレスキン カイエ ジャーナル』、『MDノート』、『MUJI 上質紙 フラットに開くノート』などは、高級感もあり、書きやすいノートかと思います。ただし、モレスキン カイエ ジャーナルはフラットには開きません。

モレスキン カイエ ジャーナル

速く書くことを前提とすると、フラットに開くノートの方が書きやすいです。また、サイズもあまり小さいと書きづらいので、MDノートならば、A5サイズがおすすめです。

お気に入りの万年筆とノートでジャーナリングを始めてみませんか?

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