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Post Date:2026年8月29日 

JoWo OmniFlex を WANCHER に装着 ─ FPR Ultra Flex と比べて分かったこと

JoWo #6 Omniflex with WANCHER

FPR Ultra Flex でステンレス製フレックスニブの面白さを知り、勢い余って JoWo #6 OmniFlex ニブを搭載した Monteverde OmniFlex を購入しました。

Amazon US から発送で、商品到着まではおよそ2週間。届いたペン先を WANCHER の万年筆に装着してみました。

最初に感じたのは FPR Ultra Flex とは少し違う「軟らかさ」です。ところが、筆圧をかけたときのペン先の開き方を比べてみると、より大きく開くのは FPR Ultra Flex でした。

同じステンレス製のフレックスニブでも、形状も書き味も、線幅変化の出方もかなり違います。今回は JoWo #6 OmniFlex と FPR Ultra Flex の書き味や、ペン先の開き方の違いなどを比べてみます。


フレックスニブとは

フレックスニブとは、筆圧をかけたときにペン先がしなり、左右のタインが開いて切り割り(スリット)の幅が広がることで、線幅に変化をつけられるペン先です。

筆圧をかけずに書けば細い線になり、少し力を加えると太い線になります。文字に強弱や抑揚をつけられるのが、フレックスニブの大きな特徴です。

一般的な万年筆のペン先にも多少のしなりはありますが、フレックスニブは線幅の変化を出しやすいように設計されています。ただし、ここで注意したいのは、「ペン先が軟らかいこと」と「スリットが大きく開くこと」は別の性質だという点です。

たとえば、セーラー万年筆の21Kペン先では、筆圧をかけるとペン先そのものが撓むことで、切り割りの開きを最小限に抑えながら筆圧を受け止める構造になっていると説明されています。

つまり、ペン先が軟らかく感じられるからといって、必ずしも線幅が大きく変化するわけではありません。反対に、切り割りが大きく開くペン先でも、書き味としては硬めに感じる場合があります。

パイロット、プラチナ、セーラーといった国産万年筆メーカーには、「フレックスニブ」という名称のニブはありません。ただし、PILOTのフォルカン、いわゆるFAニブは、筆圧に応じてペン先がしなり、切り割りも開くことで線幅に強弱をつけられるため、フレックスニブに近い性格のニブといえます。


JoWo #6 OmniFlex はかなり独特な形をしている

JoWo #6 OmniFlex の第一印象は、ペン先の大きさと独特な形状です。

#6サイズだけあってペン先そのものが大きく、左右の肩には深い切り欠きが入っています。一般的な万年筆のペン先とはシルエットがかなり異なり、正面から見ると左右に角が生えたようにも見えます。

JoWo #6 OmniFlex のペン先

どこか悪魔っぽく見えるのも、この左右対称の大きな切り欠きと、中央へ向かって細く伸びるペン先の形によるものかもしれません。

裏側から見ると、ペン芯に対してニブが大きく張り出していることもよく分かります。

JoWo #6 OmniFlex のペン芯

FPR Ultra Flex も、フレックスさせるために特徴的な形状をしています。しかし JoWo OmniFlex は、それとはまた違った形状で柔軟性を持たせています。特に肩の部分に入った大胆な切り込みは、見た目だけでも「普通のニブとは違う」と感じさせます。

ただし、特徴的な形をしているからといって、FPR Ultra Flex より大きく開くわけではありませんでした。その違いは、後ほど実際に書き比べながら見ていきます。


JoWo OmniFlexをWANCHERに装着する

Monteverde OmniFlex は、ニブとペン芯、そしてそれらを固定するハウジングがひとつのユニットになっています。

JoWo #6 OmniFlex ユニット分解

ただし、Monteverde 側のハウジングをそのまま WANCHER の万年筆に取り付けることはできません。そのため、Monteverde OmniFlex のニブとペン芯をハウジングから引き抜き、WANCHER 側のハウジングに組み替えて使います。

ハウジングとは、ニブとペン芯を外側からまとめて固定している筒状の樹脂パーツです。外側にはネジ山があり、首軸の内側にねじ込むことで、ニブとペン芯を万年筆本体に固定する役割を持っています。

Monteverde 側のハウジングからニブとペン芯を引き抜いたら、それぞれの位置を合わせながら WANCHER 側のハウジングに差し込みます。特に、ニブの切り割りがペン芯の中心とずれていないかを確認しながら、位置を整えていきます。


FPR Ultra Flex と比べるとニブサイズはかなり違う

WANCHER に装着した JoWo #6 OmniFlex と FPR Ultra Flex を並べてみると、まず目につくのがニブサイズの違いです。

FPR Ultra Flex と JoWo #6 OmniFlex

JoWo #6 OmniFlex のほうが全体にひとまわり大きく、肩からペン先までの距離も長く見えます。左右の切り欠きも深く、ニブ全体が横方向に大きく張り出したような形をしています。

一方の FPR Ultra Flex は、JoWo #6 OmniFlex と比べると細身で、ニブ全体もコンパクトです。しかし、筆圧をかけたときには切り割りが大きく開き、線幅の変化も FPR Ultra Flex のほうが大きくなります。

実際に筆圧をかけて線を書いてみると、その違いははっきり出ます。左の FPR Ultra Flex と右の JoWo OmniFlex では、線幅にかなりの違いがあります。感覚的には、FPR Ultra Flex は細字(EF)から太字(B)、JoWo OmniFlex は細字(F)から中字(M)までの線幅変化です。

FPR UltraFlexとJoWo #6 OmniFlexの線幅の違い

※ FPR Ultraflex のニブには1.1 EFという刻印があり、1.1mmから Extra Fine までの線幅を表しているのかもしれません。

ニブサイズの大きさや見た目の迫力と、実際にどれだけ切り割りが開くかは別でした、、。


JoWo OmniFlex は FPR Ultra Flex より軟らかく感じる

ペン先が紙にあたるタッチは、JoWo OmniFlex のほうが FPR Ultra Flex よりも軟らかく感じられます。FPR Ultra Flex はややカリカリとした硬質な書き味ですが、JoWo OmniFlex はインクフローもよく、スラスラと滑るように書けます。

筆圧をかけずに書いている範囲では大きな字幅変化はなく、むしろソフトニブに近い、滑らかな書き味です。

JoWo #6 OmniFlexで少し筆圧をかけて書く

切り割りの開き方だけを見れば、FPR Ultra Flex のほうが大きく開き、線幅の変化も大きくなります。一方で、普通に文字を書いたときの「軟らかさ」は、JoWo OmniFlex のほうが強く感じられました。

ここでも、「大きく開くこと」と「軟らかい書き味」は、やはり別の性質だということが分かります。


まとめると、FPR と JoWo は性格がかなり違う

FPR Ultra Flex と JoWo OmniFlex は、同じステンレス製フレックスニブでも性格がかなり違います。

FPR Ultra Flex は、筆圧をかけたときに切り割りが大きく開き、線幅の変化をしっかり出せるニブです。細い線から太い線まで変化をつけやすく、フレックスニブらしい使い方を楽しめます。

一方の JoWo OmniFlex は、FPR Ultra Flex ほど大きく開くわけではありません。しかし、紙当たりは軟らかく、インクフローもよく、通常筆記ではスラスラと滑るように書けます。

大きな線幅変化を楽しみたいなら FPR Ultra Flex、普段使いの書きやすさや滑らかさを重視するなら JoWo OmniFlex、という違いが見えてきます。

どちらが優れているというより、フレックスニブとしての性格が異なると考えたほうがしっくりきます。


ステンレス製フレックスニブは設計でここまで変わる

今回 JoWo OmniFlex と FPR Ultra Flex を比べてみて興味深かったのは、同じステンレス製でも、ニブの形状によって書き味が大きく変わることです。

JoWo OmniFlex は、大きな #6 ニブの肩に深い切り欠きが入った独特な形状です。一方の FPR Ultra Flex は、より細身のニブながら、筆圧をかけると切り割りが大きく開きます。

つまり、フレックスニブの性格を決めているのは、素材の軟らかさだけではありません。ニブの長さや幅、厚み、切り割りの長さ、肩の形状など、さまざまな要素が組み合わさっています。

ステンレスは金に比べて硬い素材ですが、形状や設計によって、ここまで異なる書き味や線幅変化を生み出せるところに、ステンレス製フレックスニブの面白さがあります。

Post Date:2026年8月11日 

ステンレスフレックスニブの実力 ── FPR Ultra Flexが生み出す線の表情とは

FPR Ambassador Ultra Flex

ソフトニブとフレックスニブの違いについては「ソフトニブとフレックスニブの違い ── そしてステンレスソフトニブの実力」で書きました。

ソフトニブ(Soft Nib)は、筆圧に対する弾力があり、書き味が柔らかいニブを指します。

一方、フレックスニブ(Flex Nib)は、ペン先がしなって左右に開き、線幅に変化をつけることを目的としたニブです。

- ソフトニブとフレックスニブの違い -
ソフトニブ フレックスニブ
主な目的書き味の柔らかさ線幅変化
しなり適度非常に大きい
線幅変化少ない大きい
筆圧軽くても心地よいコントロールが必要

日本の万年筆メーカーでは、PILOTのフォルカン(FA)が、フレックスニブに最も近い存在です。Custom 743 FA は、軽く筆圧を変えるだけで線幅に変化が生まれ、味わいのある字を書くことができます。

PILOTのフォルカンのようにペン先がしなり、先端が開いて線幅が変わるのは、金ペンだからこそ実現できるものだと思っていました。

しかし調べてみると、ニブの形状や設計を工夫することで、ステンレス製でも優れたフレックスニブが作られていることを知りました。

JoWoにもステンレス製のフレックスニブがありますが、探していたときには入手できませんでした。そこで購入したのが、FPR (Fountain Pen Revolution) の Ultra Flex ニブです。

FPRはアメリカの万年筆ブランドですが、「インド製万年筆を世界へ」という理念のもと、インドのメーカーと協力して万年筆やニブを販売しています。


ステンレスフレックスニブの比較

Amazonでステンレス製フレックスニブを探してみました。以前はなかった中華万年筆などのフレックスニブも見つかりました。

- ステンレス フレックス ニブの比較 -
ニブスリット*1肩の形状ブリーザーホール*2設計の特徴
FPR Ultra Flex非常に長い細く絞り込むなし長いスリットと細いタイン*3で最大の線幅変化を狙う
Noodler's Flex非常に長いやや細く絞る非常に小さいシンプルな構造でタイン*3全体をしならせる
Monteverde OmniFlexやや長い左右に開口部丸穴JoWo #6 OmniFlex。(ニブ単体販売)左右の開口部が特徴
Conklin Flexやや長い左右に開口部ハート現行はJoWo #6 OmniFlex(Amazon掲載写真は初代ニブ)
Majohn Flex非常に長いやや細く絞る三日月形長いスリットと大型ブリーザーホールで柔軟性を確保

*1 スリット(Slit) とは、ペン先の中央に刻まれた細い切り割(切れ込み)のことです。筆圧をかけると、このスリットを挟んだ左右のタインが開き、インクの流れる量が増えることで線幅が太くなります。

*2 ブリーザーホール(Breather Hole) とは、ペン先のスリット終端付近に設けられた穴のことです。丸形やハート形、三日月形などメーカーによって形状はさまざまですが、現在ではインクや空気の通り道というよりも、筆圧によってスリット終端に集中する応力を分散し、ひび割れを防ぐ役割が重要と考えられています。

*3 タイン(Tine) とは、ペン先の中央にあるスリットによって左右に分かれた2本の先端部分のことです。筆圧をかけると左右のタインが開き、その隙間が広がることでインクの流れる量が増え、線幅が太くなります。


FPR Ultra Flex

FPR Ultra Flex(ウルトラフレックス)の最大の特徴は、非常に長いスリットと細く絞り込まれた肩です。一般的なニブよりもスリットを大きく延長することで、左右のタイン全体が長い板バネのようにしなりやすい構造になっています。

さらに、肩から先端にかけて細く絞り込まれた形状により、タインの剛性を低減。少ない筆圧でもペン先が大きく開き、現行のステンレス製フレックスニブの中でもトップクラスの線幅の変化を実現しています。

また、このニブには一般的なブリーザーホールがありません。 代わりにスリットをそのまま延長したシンプルな構造です。スリットを長く取ることで、タイン全体が大きくしなる構造になっています。

肩から先端に向かって複雑な肉抜き加工を施すことなく、「長いスリット」「細いタイン」「細く絞り込まれた肩」という3つの要素で柔軟性を実現しています。シンプルで合理的な設計が特徴です。

FPR Ambassador Ultra Flex nib

こちらは Amazon US商品なので米国発送となります。


Noodler's Flex

Noodler's(ヌードラーズ)の特徴は、根元近くまで伸びた長いスリットの先に小さなブリーザーホールがあることです。左右のタインを長くすることで、ペン先全体がしなりやすい構造にしています。

肩の絞り込みは控えめです。タインにも適度な幅が残されているため、剛性とのバランスを保ちながら柔軟性を確保しています。

非常に小さなブリーザーホールと長いスリットを採用し、タイン全体が板バネのようにしなる構造になっています。複雑な加工を行わず、スリットの長さとニブ形状だけで柔軟性を実現する、非常にシンプルなアプローチが特徴です。

そのため、極端な線幅の変化を狙うというよりは、適度な弾力を持たせたフレックスニブを目指した設計と考えられます。

Noodler's #6 Steel Nib - Flex

こちらは Amazon US商品なので米国発送となります。


Monteverde OmniFlex

Monteverde OmniFlex(モンテベルデ・オムニフレックス)は、ドイツの JoWo社製「#6 OmniFlex」 ニブです。JoWoは世界有数の万年筆ニブメーカーであり、自社ブランドだけでなく、多くの万年筆メーカーへOEM供給を行っています。

最大の特徴は、ブリーザーホールの左右に設けられた大きな開口部です。FPR Ultra Flex やNoodler's Flex のようにスリットを極端に長くしたり、肩を細く絞り込んだりするのではなく、この開口部によって肩の剛性を下げ、ペン先がしなりやすくなるよう設計されています。

スリットは一般的な長さに抑えられ、タインにも十分な幅が残されています。そのため、ペン先全体を大きくしならせるというよりも、左右の開口部によって肩の周辺をたわみやすくする設計です。

Monteverde OmniFlex nib

こちらは 交換用ニブとして販売されており、Amazon US商品なので米国発送となります。


Conklin Duragraph

Conklin公式サイトでは、フレックスニブを搭載した万年筆や交換用ニブは 「JoWo製 #6 OmniFlex」 と案内されています。しかし、Amazonに掲載されている Conklin Duragraph(コンクリン・デュラグラフ) の写真は、現行のJoWo OmniFlexとは異なる形状です。

Original non-JoWo OmniFlex nib

このニブについて調べてみると、Goulet「JoWo OmniFlex Nib Introduction」に JoWo製へ移行する前の Original non-JoWo OmniFlex nib が掲載されていました。この記事は2020年10月に公開されていることから、Conklin OmniFlexニブは、その後 JoWo製へ移行したものと思われます。

Amazonで購入する場合は、旧型フレックスニブが届くのか、それともJoWo製OmniFlexニブが届くのかが分かりません。購入前に販売元へ確認することをおすすめします。


Majohn Flex

Majohn(マジョーン)のフレックスニブの特徴は、長いスリットと三日月形のブリーザーホールです。一般的なニブよりも長いスリットを採用することで、左右のタインがしなりやすい構造となっています。

三日月形のブリーザーホールは、一般的な丸穴よりも開口部が大きく、スリット終端部の応力を分散しながら、長いスリットと組み合わせて柔軟性を確保しています。またスリットはブリーザーホールの先にも続いています。

三日月形の大型ブリーザーホールと長いスリットを活かしながら、柔軟性と扱いやすさのバランスを重視した設計と言えるでしょう。

Majohn Flex nib

こちらの商品は中国からの発送となります。

中華万年筆は、商品写真と異なるニブが届くこともあるため注意が必要です。ただし、Amazonで購入した場合は、商品説明と異なるものが届けば返品・返金の対象になります。


FPR Ultra Flex を選んだ理由

購入当時に入手可能だったステンレス製フレックスニブは、Noodler's Flex と FPR Ultra Flex の2種類でした。

どちらも非常に長いスリットを採用していますが、FPR Ultra Flex は肩の絞り込みがより大きく、タインも細く設計されています。 そのため、より大きな線幅の変化が期待できると考え、FPR Ultra Flex を選びました。

ちなみに、FPR も Noodler's も 「出荷元 / 販売元 Amazon US」となっている Amazon.com の商品です。『配送料・手数料』という欄がありますが、『国際送料無料』としてマイナスされており、アメリカからの配送にもかかわらず送料はかかりませんでした。

FPR Ambassador Black + Steel EF Ultra Flex の価格は、米国公式サイトでは62ドルです。Amazon.co.jp では、執筆時点で1万円前後で販売されています。

商品到着までは2週間ほどかかりました。海外発送なので時間はかかりますが、中華万年筆の購入経験から待ち時間には慣れています。

高級万年筆ではないため、化粧箱も非常にシンプルです。

FPR Ambassador Ultra Flex の化粧箱は簡素

インクカートリッジ2本とコンバーターが付属しています。インクカートリッジは、国際標準規格(Standard International)に対応しているので日本での入手も容易です。

FPR Ambassador Ultra Flex セット内容

キャップの天冠(キャップ上部)には、FPRの万年筆をモチーフにしたロゴがあしらわれています。

FPR Ambassador Ultra Flex 天冠のロゴ

FPR Ultra Flexの実力

ニブには「FPR Flex EF」と刻印されています。事前に写真で確認していたとおり、非常に長いスリットと細く絞り込まれた肩が特徴です。

FPR Ambassador Ultra Flexニブ

また、ニブの側面が大きくえぐられたようなデザインになっていて、裏側から見ると、魚のエラが張ったようにも見える独特な形状です。

FPR Ambassador Ultra Flex nib 裏側

ニブサイズは、PILOTの5号ニブ(Custom 74など)とほぼ同じ大きさです。

Custom 67 と FPR Ambassador Ultra Flex

筆圧を加えて書くと、ペンの先端がたわんでスリットが開き、線幅が太くなります。

FPR Ambassador Ultra Flex の書き味

書き味は、柔らかいというよりも、ペン先の先端に近い部分が「ぐにっ」と曲がるような感覚です。筆圧をコントロールすることで線幅に変化をつけられますが、CUSTOM 743 FAのように自然に変化するというより、自分で意識してペン先を開かせる必要があります。そのため、金ペンのしなやかな弾性とは異なる、加工によって柔軟性を持たせたステンレスフレックスニブらしい書き味だと感じました。

それでも、この価格でここまでの線幅の変化を楽しめるのは大きな魅力です。

FPR Ambassador Ultra Flex で書いた文字

金ペンの価格が毎年のように上がり、気軽に何本も揃えられる時代ではなくなりました。

PILOTも2026年7月の価格改定で、Custom 74が44,000円、Custom Heritage 912は49,500円となりました。もはや「エントリークラスの金ペン」といえる存在ではなくなってしまったように感じます。

だからこそ、ステンレスニブには、素材ではなく設計や加工の工夫で新しい書き味を追求してほしいと思います。

FPR Ultra Flexは、その可能性を十分に感じさせてくれる一本でした。


また物欲の神が降臨

ブログを書くためにステンレスフレックスニブについて調べているうちに、Monteverde OmniFlex が気になる存在になってしまいました。

Wancherで購入した JoWo #6 ステンレスソフトニブ は、価格を考えると非常に完成度が高く、「ステンレスニブもここまで書き味を追求できるのか」と感心させられました。

同じJoWo製の OmniFlex はどんな書き味なのか試してみたくなります。

……気が付いたら、ポチってました。

届いたら、FPR Ultra FlexJoWo OmniFlex の書き味や設計の違いについて書いてみたいと思います。

ステンレスフレックスニブの世界は、思っていた以上に奥が深いようです。

Post Date:2026年5月7日 

1本差しから2本差しへ ― なぜ2本持つようになったのか

PILOT 太軸筆記具用 シース 2本差

「持ち歩く万年筆は1本でいい」。そう考えて、FREESE(フリーゼ)の1本差しペンケースを使っていました。余計なものは持たず、その日の気分で選んだ1本だけを使う。その方が道具としても扱いやすく、自然だと思っていたからです。

この1本差しペンケースは、自宅での万年筆の保管用としてもちょうどいいです。

ところが、ノートと向き合って考える時間が増えるにつれて、状況が少し変わってきました。ログやTODOなど小さな文字を書くときには細字、見出しや思考を書き出すときには中字、と用途に応じて使い分けるようになってきました。

また、万年筆を替えることで気分転換にもなります。

こうして細字と中字の2本の万年筆を持ち歩くようになると、それらをまとめて持ち運べた方がよいと考え、2本差しの万年筆用ペンケースを購入することにしました。


2本差しの万年筆ケースに求めた条件

目的は、細字と中字の2本の万年筆を持ち歩くことです。

  1. 2本の万年筆が収納できる

    PILOT Custom 743 や Custom Heritage 912 を持ち運ぶため、最大径φ16mm前後の万年筆が2本収納でき、大きすぎないサイズであること。

  2. ペン同士が接触しない

    万年筆どうしがぶつかって擦れや傷がつくのは避けたい。内部が仕切られている、あるいは干渉しにくい構造であること。

  3. すぐに取り出せる

    書こうと思ったときに、手間なく取り出せること。

  4. シンプルなデザイン

    装飾のないシンプルなデザインで、革の質感を活かしたもの。

  5. 高価すぎないこと

    革製品は価格帯が広いため、日常的に使える範囲のものを選びたい。

これらの条件を満たすものとして、いくつかのペンケースを検討しました。


ペンケースの種類

ペンケースにはいくつかの種類があります。構造によって使い勝手が大きく変わるため、用途に応じて選ぶ必要があります。

愛用しているFREESEのペンケースには2本差しもありますが、細軸の万年筆でないと2本収納するのは難しく、内部に仕切りもありません。そのため、今回は以下の3タイプから検討しました。

WANCHER の万年筆は軸が太く、FREESEの1本差しには入らず、WANCHER テラサキ レザーペンケースを使用していますが、このペンケースフラップ式です。

フラップ式は構造がシンプルなのでサイズも小さく、2本差しでも持ち運びやすそうです。そこで、フラップ式を候補として、PILOT シース 2本差<太軸用>の詳細をチェックしました。


PILOT のシースとペンケース

シース・ロールペンケース(革) 検索結果一覧|PILOT に、少数本の万年筆を持ち運ぶためのシースやペンケースが掲載されています。

ちなみに、シース(sheath)とは、ペンの保護や少数のペンを携帯することを目的としたもので、形状は鞘(さや)状、あるいは筒状に近いものを指します。

PILOTには2本収納できる「トレンダーレザー05 シース 2本差」もありますが、こちらは内部に仕切りがありません。そのため、今回重視した「ペン同士が接触しない」という条件には合わず、候補から外しました。

また、収納本数を3本まで広げると、シースに加えて、ロール式やファスナー式のペンケースも選択肢に入ります。いずれも万年筆を1本ずつ独立して収納できる構造になっています。

「ペンサンブル ロールファスナーペンケース 3本差」にも少し心を奪われましたが、今回はなるべくシンプルに2本の万年筆を持ち歩くことを想定していたため、太軸筆記具用の2本差しシースを選びました。


PILOT 太軸筆記具用 シース 2本差を使ってみて

実際にPILOT 太軸筆記具用 シース 2本差を使ってみると、まず感じたのは作りの安定感です。革はしっかりしており、型崩れしにくそうです。過度な装飾はなく、PILOTらしいシンプルで実用的なデザインです。

太軸筆記具用というだけあって、Custom 743 や Custom Heritage 912 のような最大径φ16mm前後の万年筆も無理なく収まります。2本を入れても窮屈な感じはなく、太軸用として十分な余裕があります。仕切りもきちんと作られており、ペン同士が直接触れない点も安心です。

PILOT シース 2本差 <太軸用>

写真はElabo(エラボー)とCustom Heritage 912を収納したものです。

PILOT シース 2本差 <太軸用>

下は、1本差し、2本差し、3本差しを並べた写真です。PILOT 太軸筆記具用 シース 2本差のサイズは45×165×38mmで、2本収納できるケースとしては、邪魔にならない絶妙なサイズ感です。

PILOT シース 2本差 <太軸用>

横から見ると万年筆が少し露出していますが、鞄の中で傷ついてしまうことはなさそうです。

PILOT シース 2本差 <太軸用>

フラップを開けて取り出す必要はありますが、構造はシンプルなので、出し入れに大きな手間は感じません。ファスナー式のように開閉幅を気にする必要もなく、必要な1本をすぐに取り出せます。

革の質感や経年変化を前面に楽しむタイプというより、万年筆を安全に持ち運ぶことを重視した、機能的な美しさのある製品です。


まとめ

1本差しは、気に入った万年筆を1本持ち歩くには、シンプルでスリムな使いやすいペンケースです。しかし、2本を持ち歩くなら、1本差しを2つ持ち歩くよりも、2本をまとめて収納できるケースの方が合理的です。

「PILOT 太軸筆記具用 シース 2本差」は、高級感を前面に出した革製品というより、万年筆を安全に持ち運ぶためのシンプルな道具です。華やかさはありませんが、まさに質実剛健という印象です。

Custom 743 や Custom Heritage 912 のような太軸寄りの万年筆も収納でき、普段使いで万年筆を2本持ち歩くケースとしては、かなり使いやすいと感じました。


追記:仕舞い込んでいたロール式ペンケース

物入れを整理していたら、ずいぶん前にいただいたロール式のペンケースを見つけました。当時は木製のペンケースを使っていたため、いつか使う日が来るだろうと思って仕舞い込み、そのまますっかり忘れていました。

見つけたのは、スリップオンのミネルバ・ボックス(SLIP-ON Minerva Box)のロールペンケースです。

スリップオン ミネルバ・ボックス ロールペンケース

「VEGETABLE TANNED LEATHER」「ITALY」(植物タンニン鞣し革・イタリアンレザー)と刻印されています。

スリップオン ミネルバ・ボックス ロールペンケース

紐をボタン状の留め具に巻きつけて留める形です。

スリップオン ミネルバ・ボックス ロールペンケース

長く仕舞い込んでいましたが、革のいい匂いはしっかり残っていました。表面はつるっとした革ではなく、揉み加工による細かなシボのある革です。傷が目立ちにくく、使い込むほど艶が増していきそうです。

スリップオン ミネルバ・ボックス ロールペンケース

4つの大きめのポケットがあり、万年筆同士が接触しないように収納するのであれば、中央のふたつのポケットに入れるのがちょうどよさそうです。

スリップオン ミネルバ・ボックス ロールペンケース

間仕切りポケットに万年筆を収納し、上からフラップ(かぶせ)をかける構造です。ただし、両端のポケットにかかるフラップは斜めになっているため、収納する位置によってはペンをしっかり覆いにくいかもしれません。また、ボタンが付いている側は内側に金具が出ているため、万年筆に当たる可能性があります。

スリップオン ミネルバ・ボックス ロールペンケース

せっかく見つけたので、こちらのペンケースも使っていきたいと思います。

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