2017年の流行語大賞に『睡眠負債』という言葉がノミネートされるほど、1億総睡眠不足のようです。ちなみに厚生労働省の睡眠障害の説明には、成人の5人に1人(1,500万~2,000万人)に睡眠障害があり、不眠症は国民病と称しています。
不眠症は国民病
日本人を対象にした調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しています。加齢とともに不眠は増加します。60歳以上の方では約3人に一人が睡眠問題で悩んでいます。そのため通院している方の20人に1人が不眠のため睡眠薬を服用しています。不眠症は特殊な病気ではありません。よくある普通の病気なのです。
またCESでSleep Tech(スリープテック:スリープ+テクノロジー)のコーナーが設けれるほど、睡眠を扱う産業は大きな市場になってきています。それだけ世界的にも睡眠障害を抱える人たちがいるということだと思います。
今回、紹介するYoga Nidraは、テクノロジーではありませんが、良質な睡眠をとるための介助になるのではないかと思います。
Yoga Nidra(ヨガ ニドラ)とは
YOGA NIDRA(ヨガ ニドラ)とは、心身と心を深いリラックス状態にして、眠りに近い状態で声のガイダンスによって行うヨガの瞑想方法です。
ニドラとはサンスクリット語で『眠り』を意味するので、ヨガの眠りです。
眠りといっても熟睡するわけではなく、意識のある睡眠状態=瞑想を指します。しかし、ヨガ初心者にとっては瞑想などほど遠く、ほとんど入眠状態です。つまり気持ちよく眠れるということです(笑。
ヨガニドラにも様々な手法がありますが、最も一般的なのは、身体の各部位に意識を向ける「ボディスキャン」と「サンカルパ」を唱える方法があります。
サンカルパとは、なりたい自分をイメージし、それを決意として短い言葉で表します。自己啓発本とかに載っているアファーメーション(Affirmation)と同じですね。ヨガ ニドラが「ヨガ的眠り」でサンカルパは「ヨガ的誓い」です。
今回、説明するのは「ボディスキャン」を使った方法についてです。
マインドフルネスの瞑想で効率的に仕事を | 象と散歩 で呼吸を意識するマインドフルネスについても触れましたが、マインドフルネスにも「ボディスキャン」がありますが、。
マインドフルネスでは、ヨガニドラの身体の各部分への『意識』を『観察』に置き換え、どのような状態になっているかをありのままに感じます。
Yoga Nidra のポーズとインストラクション
ヨガニドラは、シャバーサナ(屍のポーズ)で行います。
シャバーサナ(屍のポーズ) とは、全身をリラックスさせることができる究極のポーズと言われています。仰向けに寝て、両手と両足を開きます。脚は腰幅に、手はわきの下にボールひとつ分ぐらい身体から離して、手のひらを上に向けて左右対称の姿勢で横たわります。
ただ寝ているようですが、ヨガの中で最も難しいポーズとも言われています。
インストラクションを聴きながらリラックスした状態で身体ひとつひとつの部位に意識を向けていきますが、体は決して動かしません。意識をその箇所に集中するだけです。
自分がリラックスできる声を選ぶことも大切です。
Audible版の寝たまんまヨガCDブック: 聞くだけでぐっすり眠れて疲れがとれる ネイチャーリラクゼーションならスマホでも聴けます。
英語のインストラクションを聴こう
海外で時差ボケで眠れないというときにもヨガニドラはお勧めです。
海外出張で来たのだから英語のインストラクションを聴こうと思って Youtube で探したのが Liz Hill の Yoga Nidra 20 Minute Guided Meditation - YouTube でした。
彼女の声はとても心地よいです。
瞑想のためのガイダンスなのでとてもゆっくり語りかけてきますので、英語が苦手でもある程度言っていることは分かります。
ボディスキャンは、身体のパーツを順番に言っていくので、単語がわからないと何処に意識を向ければいいのかわかりません。
下記にインストラクションの順番に身体の部位の単語を掲載していますので参考にしてみてください。
0. ガイダンス
最初にガイダンスがありますが、何となく聴いてください。前述したシャバーサナのポーズで静かに目を閉じて鼻で深呼吸をして自然呼吸に戻します。
呼吸については、
- breath(呼吸)
- deep breath(深呼吸)
- inhale(息を吸う)
- exhale(息を吐く)
といった単語がわかれば何となく言っていることがわかると思います。息を吸ってリラックスして、息を吐いて緊張を解します。
続いてサンカルパを3回心の中で唱えます。この動画の中では、Karma(カルマ)と言っていますが、”I am happy and helthy(私は幸せで健康です)というような短い肯定的なセンテンスを3回心の中で唱えてからボディスキャンに入っていきます。
1.右半身に意識を集中します
5分14秒あたりからボディスキャンに入っていきます。
右手から右肩まであがり、徐々に下がって右足の小指までを順番に意識していきます。
hip(ヒップ)はお尻ではなく腰を指します。単語(発音)で難しいのは、”親指” の thumb(サム)、”太もも” の thigh(サイ)、そして ”ふくらはぎ” の calf(カーフ)ですかね。
- right hand(右手)
- right thumb(右の親指)
- index finger(人差し指)
- middle finger(中指)
- ring finger(薬指)
- little finger(小指)
- palm of the hand(手のひら)
- back of the hand(手の甲)
- wrist(手首)
- forearm(前腕)
- elbow(肘)
- upper arm(上腕)
- shoulder(肩)
- armpit(脇)
- right side of waist(右のウェスト)
- hip(腰)
- thigh(太腿)
- knee(膝)
- calf(ふくらはぎ)
- ankle(足首)
- heel(かかと)
- top of the foot(足の甲)
- sole of the foot(足の裏)
- right big toe(足の親指)
- second toe(足の人差し指)
- third toe(足の中指)
- forth toe(足の薬指)
- little toe(足の小指)
2. 意識を左半身に移します
使われている単語は同じで、right(右)かleft(左)の違いだけです。
- left hand(左手)
- left thumb(左の親指)
- index finger(人差し指)
- middle finger(中指)
- ring finger(薬指)
- little finger(小指)
- palm of the hand(手のひら)
- back of the hand(手の甲)
- wrist(手首)
- forearm(前腕)
- elbow(肘)
- upper arm(上腕)
- shoulder(肩)
- armpit(脇)
- left side of waist(左のウェスト)
- hip(腰)
- thigh(太腿)
- knee(膝)
- calf(ふくらはぎ)
- ankle(足首)
- heel(かかと)
- top of the foot(足の甲)
- sole of the foot(足の裏)
- left big toe(足の親指)
- second toe(足の人差し指)
- third toe(足の中指)
- forth toe(足の薬指)
- little toe(足の小指)
3. 上から順番に体の背面を意識していきます
左右にある部位については右左の順番です。太もも(thigh)、ふくらはぎ(calf)、かかと(heel)は体の側面をスキャンしていったときにもでてきた単語です。
- back of the head(後頭部)
- back of the neck(首の後ろ側)
- right shoulder blade(右の肩甲骨)
- left shoulder blade(左の肩甲骨)
- the length of spine(背骨)
- right buttock(右のおしり)
- left buttock (左のおしり)
- right thigh(右の太もも)
- left thigh(左の太もも)
- right calf(右のふくらはぎ)
- right calf(左のふくらはぎ)
- right heel(右のかかと)
- left hee(左のかかと)
4. 身体の正面を意識します(the front of the body)
頭頂部の各部位、そして骨盤まで順番に意識を向けていきます。
鼻の孔は nostril(ノーストル)、おへそは navel(ネイブル)です。 鼠径部はgroin(グロイン)で、Wikipediaの説明によると、
鼠蹊部(そけいぶ、鼡径部)とは、左右の大腿部の付け根にある溝の内側にある下腹部の三角形状の部分。解剖学的には恥骨の左右の外側・股関節の前方部にあたる。
【引用】鼠蹊部 - Wikipedia
とあります。
- top of the head(頭頂部)
- forehead(額)
- right temple(右のこめかみ)
- left temple(左のこめかみ)
- right ear(右耳)
- left ear(左耳)
- right eyebrow(右のまゆげ)
- left eyebrow(左のまゆげ)
- space between the eyebrows(眉間 みけん)
- right eye and eyelid(右の目とまぶた)
- left eye and eyelid(左の眼とまぶた)
- right nostril(右の鼻の孔)
- left nostril(左の鼻の孔)
- right cheek(右の頬)
- left cheek(左の頬)
- upper lip(上唇)
- lower lip(下唇)
- both lips touching together(口を閉じて)
- tongue(舌)
- inside the right cheek(口の中の右側)
- inside the left cheek(口の中の左側)
- chin(顎の先)
- jaw(顎全体)
- throat(喉)
- right collarbone(右の鎖骨)
- left collarbone(左の鎖骨)
- right side of the chest(右胸)
- left side of the chest(左胸)
- upper abdomen(上腹部)
- navel(おへそ)
- lower abdomen(下腹部)
- right groin(右鼠径部)
- left groin(左鼠径部)
- the pelvic floor(骨盤床)
5. 身体全体に意識を向けます
whole xxx で各部位の全体を表します。
- the whole right leg(右脚全体)
- the whole left leg(左脚全体)
- the whole right arm(右腕全体)
- the whole left arm(左腕全体)
- the whole face(顔全体)
- the whole head(頭全体)
- the whole torso(胴全体)
- the whole body(体全体)
6. 床についている部位を意識します
また、inhale, exhale をして身体をリラックスさせ、緊張を解き放ちます。
そして身体がマット(布団)に接触している部分を意識していきます。
- heels(両方のかかと)
- calfs(両方のふくらはぎ)
- lower back(腰)
- shoulder blades(両方の肩甲骨)
- back of the arms(腕の後ろ)
- back of the head(後頭部)
身体を完全に意識します。
7. 身体を目覚めさせます
徐々に身体を目覚めさせていきます。手の指、足の指をゆっくり動かし、それから首をゆっくりと左右に振ります。
- gently begin to move your fingers(手の指)
- gently begin to move toes(足の指)
- slowly roll your head from side to side(首を左右に)
- 息を吸いながら身体を伸ばします
- 目を閉じたまま身体を横向きします
- サンカルパをもう一度3回唱えます
準備ができたらゆっくりと座位になりますが、まだ目は閉じています。
3回ゆっくりと深呼吸してそれから目をゆっくりと開けます。
以上で、YOGA NIDRA(ヨガニドラ)は終了です。
自分のお気に入りを探す
以上の単語をひと通り確認したら、もう一度 Yoga Nidra 20 Minute Guided Meditation を聴いてみてください。
聞き取れない部分があっても、ボディスキャンの基本は、上から下へと進んでいくのでなんとなくわかりますよね。
ということで、日本語で自分の気に入ったインストラクターの声が見つからなければ、英語で探しみるのもいいのではないでしょうか。
YouTube だけでなく、iTunes, Amazon Musuic などにもありますので、気持ちよく入眠できる自分のお気に入りのインストラクターを見つけてみてください。
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