Google Apps Scrit (GAS) で変数を定義するキーワードには、var, let, const の3種類があります。変数と定数の違いは明確ですが、var と let の違いはどのようなところにあるのかをサンプルプログラムを実行しながら確認してみました。
変数と定数
var, let は、再代入(値を入れ替えること)ができる変数で、const は定義した値を変更できない定数です。
再代入とは、下記の例のように、最初に x に 1を代入して、次に x に x+1(=2) を代入するということです。
function argument() { let x = 1 x = x + 1 }
定数の場合には、x に 1を代入したあとに変更ができません。下記を実行するとエラーとなります。
function argument() { const x = 1 x = x + 1 }
変数の利用可能範囲(スコープ)
では、var と let の違いは何でしょうか?
GoogleのV8ランタイムの説明を読むと
let および const キーワードは、ブロックスコープのローカル変数/定数を定義することができます。(和訳)
と記載されています。
ブロックとは、{}で括られた処理のことで、例えば、if分も{}で括られた処理です。ローカル変数というのは、そのブロック内でしか使えない変数/定数ということです。
let, const は、同じ関数内であってもif文内で宣言した関数は使えないということになります。ちなみに var の場合は、同じ関数内であれば if文内で宣言した変数を利用することができます。
let and const - Google Apps Script にあるサンプルプログラムに const と var を追加してスコープについて確認してみます。
function myFunction() { let x = 'hello' const y = 'hello' var z = 'hello' if (x === 'hello') { let x = 'World' const y = 'World' var z = 'World' console.log('let x=', x) // Prints 'world' console.log('const y=', y) // Prints 'world' console.log('var z=', z) // Prints 'world' } console.log('let x=', x) // Prints 'hello' console.log('const y=', y) // Prints 'hello'
console.log('var z=', z) // Prints 'world' }
let, const の有効範囲はブロック内です。5行目からのif文のブロックの中では、6,7行目で変数の宣言と代入がされている 'world' が出力されます。
しかし、13,14行目のログ出力では、myFunction() として、2,3行目で変数の宣言と代入がされている 'hello' が有効な変数となります。
一方、var で定義した変数 xは、15行目のログ出力で 'world' と出力されます。これは var 変数は同一関数内で有効であり、かつ次に説明する再宣言ができるので、console.log が実行される直前(11行目)に宣言と代入がされた変数の値が出力されます。
関数で定義した変数はif, for のブロック内でも使える
上位のブロックで let, const で宣言された変数は、下位のブロックでも参照できます。
下記の例で説明します。
function checkScope() { let x = 0 if (x==0) { let y = 0 for (let i=0; i<10; i++) { x = x + 1 y = y + 1 } console.log('y=', y) } console.log('x=', x) }
変数 x は、checkScope() 関数で定義しているので、下位ブロックのif文、さらにその下位にあたる forループでも参照することができます。なので、x=x+1 が10回実行され、forループ、if文を抜けたあとのログ出力で x=10 と出力することができます。
変数 y は、if文の中で宣言されているので、下位ブロックのforループで参照することができます。forループでの処理で再代入された値が、if文内のログ出力で可能です。
しかし、if文を出た後にログ出力をしようとすると y は定義されていないとエラーとなります。
function checkScope() { let x = 0 if (x==0) { let y = 0 for (let i=0; i<10; i++) { x = x + 1 y = y + 1 } console.log('y=', y) } console.log('x=', x) console.log('y=', y) }
また forループで使っている変数 i も let で定義しているので forループ内だけで有効です。これを for (var i=0; ....) とすると、変数 i は、関数内で参照できる変数となります。
また 変数 i を宣言するときに、let, var のキーワードを付けないと(忘れると)、変数 i は、グローバル変数となり、変数が宣言された以降に実行されるどの関数でもアクセスできるようになってしまいます。
function checkScope() { let x = 0 if (x==0) { let y = 0 for (i=0; i<10; i++) { x = x + 1 y = y + 1 } console.log('y=', y) } console.log('x=', x) print() } function print() { console.log('i=', i) }
再宣言
変数のスコープで var の再宣言についてふれましたが、もう少し簡単な例で説明します。下記のように var は、同じ関数内で何度でも宣言できます。
function redeclaration() { var x = 1 x = x + 1 console.log('x=', x) var x = 'Hello' console.log('x=', x) }
let, const は同一ブロック内では1回しか宣言できません。下記のプログラムは構文エラーとなり保存できません。
function test() { let x = 1 x = x + 1 console.log('x=', x) let x = 'Hello' console.log('x=', x) }
var, let, constの違い(まとめ)
var, int, const の違いを表にまとめます。
キーワード | 再代入 | 再宣言 | スコープ |
---|---|---|---|
var | 可能 | 可能 | 同一関数内 |
let | 可能 | 不可 | ブロック内 |
const | 不可 | 不可 | ブロック内 |
参照できる範囲が少なく、再宣言ができないということは、より明示的に変数を使うということになるので、「varではなくlet を利用しましょう」というのも納得できます。
関数間で値の引き渡し
関数の中で関数を呼び出す場合には、引数として関数に値を引き渡すことができます。また、関数での実行結果を戻す場合には、戻り値として結果を返却することができます。
function argument() { let x = 1 let y = 2 let z = cal(x, y) console.log('z=', z) } function cal(a, b) { let c = a + b return c }
cal() を呼び出すときに引数として x, y をセットしています。7行目の function cal(x, y)では、4行目で設定した引数 x, y をそれぞれ a, b にセットしています。この関数の中では、合算した値(1+2)を cに代入して、cを戻り値としています。
関数の呼び出し側は、戻り値を変数zに代入するために let z = cal(x, y) としています。
グローバル変数
最後にグローバル変数についてです。関数内ではなくプログラムのトップレベルで定義された変数/定数は、プログラ内のどこから(同じプロジェクト内のどの関数から)でもアクセスすることができます。
const x = 1 const y = 2 function main() { sub1() sub2() console.log('x=', x) console.log('y=', y) } function sub1() { console.log('x=', x) } function sub2() { console.log('y=', y) }
変数も奥が深いですね。
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ある程度プログラミンがわかっていれば、WEBやYoutubeでも十分に調べられると思いますが、初歩的なところからであれば参考図書は有効な学習手段です。
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