Translate

2023年12月28日

箒への回帰:アズマ工業の素晴らしき座敷箒たち

アズマ工業 手編みホーキ 特撰 短柄

掃除機を使うのをやめて、座敷箒を使うようになってから掃除が楽しくなり、掃除をする頻度が増えました。座敷箒でゴミを掃き集めるたびに、部屋がきれいになっていく様子を見るのは、とても気持ちが良いものです。

また、手編みの座敷箒には伝統的な技術が息づいた風合いがあり、部屋に吊るしていても絵になります。掃除機を出す手間もかからず、音もしないので、いつでも気軽に掃除ができまる座敷箒は最強の掃除用具です。

掃除機を使うのをやめて、座敷箒で掃除をするようになった理由は主に3つあります。

  1. 掃除機の片付けが面倒

    掃除機を部屋に出しっ放しにするわけにもいかないので、掃除後に片付けますが、掃除をするたびに掃除機を出し入れしなければならないのは面倒です。

  2. 時間的制約

    掃除機は音が大きいため、夜遅くや朝早くに掃除をすると近所迷惑です。そのため朝出かける前とか、夜遅く帰って来てから掃除するということができません。

  3. 日常の儀式化

    掃除という日常の儀式化です。掃除機をかけることが、必然的な義務となってしまい、掃除をすることへの楽しさを感じられていませんでした。折角なら楽しく掃除をしたい!

もちろん、座敷箒で掃除するにもデメリットはあります。チリトリだと掃き集めた細かいゴミを取りきれない、掃除に時間がかかるなどです。

しかし、自分にとっては、掃除機をやめたメリットの方が大きいと感じています。掃除が楽しくなったことで、部屋も以前より片付けられています。


座敷箒(ざしきほうき)とは

座敷箒は、日本の伝統的な掃除道具であり、特に江戸時代に一般的に使われていたことから「江戸箒」とも呼ばれます。座敷箒は、ホウキ草(ホウキモロコシ)と呼ばれる植物の茎を束ねて手で編み込みます。ホウキ草の穂は柔らかく、しなやかで弾力があるので、畳、フローリングだけではなくカーペットなど敷物に溜まったゴミもかき出すことができます。また耐久性があり、長く使うことができます。


座敷箒のメリットとデメリット

手編みの座敷箒は、機械で作られたものとは異なり、職人の手仕事によって作られています。そのため、箒一本ひとつに手仕事の温もりや自然な風合いが感じられます。座敷箒を手にすると、日常の簡単な掃除が贅沢なひとときへと変わります。

座敷箒で掃除することのメリットには以下の点があります。

  • エコでサステナブル

    穂は座敷箒の素材は、地球にやさしいホーキ草と竹の柄です。天然の素材ですが、長く使える掃除用具で、また電力も必要としません。

  • 時間を気にせず掃除ができる

    掃除機と違って騒音がないので、深夜でも明け方でも、自分の都合のよい時間に掃除ができます。

  • 部屋に吊るせる喜び

    見た目が美しくので部屋に吊り下げていてもインテリアになります。出し入れの手間がないので、ちょっとした隙間時間に掃除できます。

座敷箒のデメリットは下記の3点です。

  • 吊るす場所の確保

    穂先にクセがつかないようにい箒を吊るして保管する必要があります。座敷箒には長柄と短柄の2タイプがありますが、柄が長いと箒を吊るす場所の確保に困ります。

  • 片手で掃除するには少し重い

    短い柄のタイプの箒は、片手で掃除するには少し重たく感じます。

  • チリトリの取り扱い

    掃き集めたゴミを取るのにチリトリを使うと、細かい塵や埃を取り残してしまいます。また時間もかかります。


実用的なアズマ工業の座敷箒

江戸時代から受け継がれ、日本の伝統文化である手編みの座敷箒をタイで職人を育成して生産しているのが、アズマ工業です。座敷箒は伝統工芸品ではなく実用的な掃除機用具です。手軽に使える価格で提供されているのは本当にありがたいと思います。

2023.12時点で販売されているアズマ工業の座敷箒には下記の種類がありますが、表は短柄だけを対象としています。価格はアズマ工業の通販サイト「アズマの快適百貨」での販売価格です。

品名 販売価格 サイズ 穂幅
重量 特徴
手編みホーキ特撰短柄AZ112 ¥3,430 約30×78×5cm 約30cm 約320g 軽くて短柄タイプの手編みほうき、天然の厳選素材を使用
短柄手編みホーキ匠 ¥4,590 約32×82×5cm 約32cm 約400g 厳選した最上級のほうき草、一本一本が絹糸のようにきめ細かく、しなかやで掃きやすい
匠125匠箒短柄 ¥5,280 約32×82×5cm 約32cm 約400g Aクラスの高級原料を使用。適度なコシがあり穂先は絹のようにしなやか。

価格の差は、「穂の材質」と「穂の量」の違いです。「手編みホーキ特撰短柄AZ112」と「匠125匠箒短柄」の穂を比較するとAクラスの高級原料を使用と謳われている「匠125」は、穂の一本一本がきれいですが、「特選」は枝毛が目立っていることがわかります。

下の写真は「匠125」の穂です。

アズマ工業 匠125の穂

そして、こちらが「特選」の穂ですが、「匠125」との違いは明らかです。

アズマ工業 特選の穂

また、穂を纏めている部分を比較すると、ホーキ草の量が違うことがわかります。

特選と匠125の穂量の違い

写真の上が「特選」、下が「匠125」ですが、穂をまとめてコブになっている部分の大きさが随分と違います。


品質なら「匠125」、扱いやすさは「特選」

「匠125」と「特選」の中間に位置する「」は、保有していませんが、サイズと重量が「匠125」と同じなので、穂(ホーキ草)の品筆の違いではないかと思います。


80gの差は大きいけど、、

最初に購入した座敷箒が「匠125」です。とても気に入っていますが、400gは、片手で掃除をするには少し重いと感じていました。かと言って、簡易な「カバー箒」を部屋に吊るすのは、見た目的に抵抗があるため、手編みの座敷箒で最も軽い320gの「特選を購入しました。

カバー箒とは、ホウキ草の穂の部分だけを針金でまとめ、カバーで覆って作られる。軽くて扱いやすく、手軽な価格です。

アズマ工業 カバー箒

アズマ工業のカバー箒「NUS103」は270gと軽いですが、穂の量に物足りなさを感じます。しかし、特選」は、カバー箒よりも穂量があり、且つ、片手で掃き掃除ができる重さです

「しっかり」と掃き掃除ができる「特選」は、手編みの趣もあり、手軽に使える座敷箒としての地位を確立しています。

アズマ工業 手編みホーキ特撰短柄AZ112

アズマ工業の座敷箒の唯一最大の難点

アズマ工業の座敷箒には、唯一で最大の難点があります。

それが、柄に貼られたシールです。これを下手に剥がそうとすると粘着力が強いため、柄の塗装まで剥がれてしまいます。下の写真は「特選」に貼られていたシールですが、同様のシールが「匠125」にも貼られていました。

「特選」の柄に貼られているシール

ドライヤーで温めながらゆっくりと剥がすと、比較的きれいに剥がれます。

柄に貼られているシールをドライヤーで剥がす

シールが気にならない人には関係がありませんが、自分は二本とも剥がしました。せめて、剥がしやすくするなどの改善が望まれます。


掃き掃除を画期的に改善する木製柄のコロコロ

箒での掃き掃除のデメリットとしてチリトリを使うことをあげていますが、カーペットクリーナー(コロコロ)で集めた細かいゴミを吸着させることで、きれいにゴミをとることができます。

そして、カーペットクリーナーに柄を装着すれば、立位のまま使えるので掃除が劇的に楽になります。また、木製の柄であれば、部屋に出しっ放しにしても、座敷箒同様にインテリアとして収まりもとてもいいです。

無印良品 カーペットクリーナー&木製ショートポール

無印良品のカーペットクリーナーと木製ショートポールは、スタイリッシュでとっても素敵な組み合わせです。

木製ショートポールは楽天の無印良品公式で購入できます。



まとめ

アズマ工業の「匠125匠箒短柄」は、長く使える、しっかりとした品質で、見目麗しい逸品です。一方、「手編みホーキ特撰短柄AZ112」は、軽くて使い勝手がカバー箒に近いですが、座敷箒としての品格も保っています。

手編みの座敷放棄とMUJIのカーペットクリーナー+木製ショートポールで「掃く生活」に変えてみませんか?

2023年12月2日

ジャーナリングにカスタムヘリテイジ912ソフト・ミディアムが最適な理由

Custom Heritage912 とフラットに開くノート

万年筆の世界に足を踏み入れてから、ずっと憧れていたのは、以下の特徴を持つペン先を持つ万年筆でした。

  • 金ペン
  • 軟ペン

これまで試し書きの経験しかありませんでしたが、その柔らかく、滑らかな書き味に触れ、日本語の美しさを引き立てる「トメ」、「ハネ」、「ハライ」が表現できることにも感動しました。自分が大人な美しい行書を書いている姿を妄想することができます。

「いつか買いたい!」

と思いながらも、価格面で躊躇していました。しかし、ジャーナリングを始めてみて、普段使っているMD万年筆やLAMY Safariの中字は、書きやすい万年筆ではあるけど、ペンをしっかりと持ってペン先を紙に当てる書き方をしているため、速いスピードで書き続けることには限界があることに気づきました。書き続けていると、考えが止まる前に手が疲れてしまいます。

保有していた万年筆の中では、Watermanフィリアス M(中字)がジャーナリングに適した万年筆でした。

Watermanフィリアスのニブは大きい

スチール製ですが、大型のニブ(ペン先)で、滑らかな書き味を提供してくれます。またインクフローもよいので、筆圧をかけずに軽やかに文字を綴れます。しかし、線の太さの強弱の表現は、あまり得意ではなく、ペン先が直ぐに乾いてしまうので、1週間使ってないとインクが出なくなるとといった煩わしさがあります。


金ペンの特徴

金ペンとは、金製のペン先を持つ万年筆のことです。金ペンには、14K、18K、21Kなどがありますが、数値が大きいほど金の含有量が多く、ペン先は柔らかくなり、滑らかで濃い書き味になります。しかし、金の含有率は価格にも比例します。

金の純度は、金の含有量を24で割ったもので表されます。24Kを100とした金の含有率で、14Kは14/24(58.33%)の金を含み、21Kは21/24(87.50%)の金を含みます。また、Kは、Karat(カラット)の頭文字で、金の純度を表す単位です。

21Kになるとペン先がかなり柔かくなるので、軟調ペンといった特殊ペン先の必要はないかと思います。


ニブ(ペン先)のサイズの違い

同じ金の純度でもニブ・サイズが大きいと弾力性がでるので、ペンタッチが柔らかくなり、軽い筆圧でもインクが流れやすくなります。ペンのサイズもメーカーによって異なりますが、セーラー万年筆だと超大型、大型、中型、パイロット万年筆だと10号、5号のように記載されれています。

下表は、ニブ・サイズによる一般的な違いです。

金製 大型ニブ 金製 中型ニブ
柔らかさ 柔かい 硬い
字幅の変化 筆圧によって変化しやすい 安定している
インクフロー 多い 少ない
価格 高い 安い

柔軟さを求めるなら大型ニブが最適ですが、高額になります。予算に制限がある場合は、ソフト調の中型ニブがいいのではないでしょうか。


軟ペンの特徴

軟ペンは、柔らかいペン先で、筆圧をかけるとペン先が開きます。滑らかな書き味で、インクフローもよいので、線の太さの強弱を表現しやすく行書などにも向いています。

パイロットは、ソフト調の細字(ソフト・ファイン)、ソフト調の中細字(ソフト・ファインミディアム)、ソフト調の中字(ソフト・ミディアム)、超ソフト調(フォルカン)と軟ペンの宝庫です。

パイロットの14K 5号のペン先を選ぶのであれば、柔らかさを求めてソフト調のペン先がいいかもしれません。


柔らかく滑らかに書ける万年筆の選択肢

柔らかく滑らかに書くためには、ペン先の材質やサイズが重要です。一般的に、14Kや21Kなどの金製のペン先は、スチール製のペン先よりも柔らかく滑らかに書くことができ、ペン先のサイズが大きいほど柔軟性があります。また、細字よりも中字の方が線が太く、インクの量も多いので、滑らかに書くことができます。

上記の条件に合致する万年筆として、以下の3つを候補にあげました。

  1. セーラー万年筆 プロフェッショナル ギア 中字(21K・大型)
    21Kの大型ペン先を搭載した万年筆です。装飾部には金と銀があり、重厚感のあるデザインです。

  2. パイロット カスタムヘリテイジ 912 ソフト・ミディアム 中字(14K 10号)
    14Kの10号ペン先を搭載した万年筆です。ソフト・ミディアムはペン先が柔らかく、しなやかに曲がります。デザインは、とてもシンプルです。

  3. パイロット カスタムヘリテイジ 91ソフト・ミディアム(14K 5号)
    14Kの5号ペン先を搭載した万年筆です。912よりペン先のサイズが小さいですが、軟調ペンは、ペン先が柔らかいので、滑らかに書くことができそうです。

カスタム742(14K 10号)、カスタム74 (14K 5号)という選択肢もありますが、クリップの特徴的なデザインの玉クリップ(クリップの先にある丸い玉)がどうにも好きになれません。またカスタムは、万年筆の両端が丸くなっているバランス型ですが、カスタムヘリテイジは、両端が平らなベスト型です。

カスタム 742 SM
Custom 742 はバランス型

万年筆の形状には大きく2種類あり、両端が丸くなっているものがバランス型で、両端が平らなものがベスト型です。丸いのと平たいの。 | 筆記具専門店キングダムノート|スタッフブログにも記載されていますが、両端が平らなベスト型の方が歴史が古いとあります。丸みのあるもに懐古を覚える現代では、バランス型の方がスタイリッシュに見えるのが不思議です。


パイロット カスタム ヘリテイジ 912に決めた理由

セーラー万年筆 プロフェッショナル ギアがAmazonでかなり安価に販売されていたので、かなり迷いましたが、最初から気になっていたパイロットのソフトミディアムのペン先の万年筆に決定。ソフト・ミディアムであればカスタムヘリテイジ91で十分と購入を決めたところで、Watermanフィリアスのデカいペン先が脳裏に浮かんでしましました。

「やっぱり少しでもニブ・サイズは大きい方がいいのでは、でも値段が、、、」

と、葛藤している最中に

あ、912をポチってしまった、、、


カスタムヘリテイジ 912 の書き味は

「気持ちよく書ける!」が、最初の印象です。ミディアムサイズのニブの字幅は、細すぎず、視認性の高い文字が綴られていきます。

Custom Heritage912 のニブ

ソフト調のペン先ですが、柔らかすぎず、非常に書きやすいです。筆圧によって字幅を変化させることができ、トメ・ハネ・ハライといった表現もできます。インクフローは良好ですが、「ぬらぬら感」は強すぎません。ただし、インクの消費量が多いため、カートリッジだとコスパが悪いので、付属のプッシュ式のコンバーターの利用が必須です。

購入目的であったジャーナリングでは、『速く書き続けることができる』万年筆として素晴らしい性能を発揮しています。

ペンを握ってしまうと書き続けているうちに手が疲れてきますが、中指にペンを乗せて、親指と人差し指で軽く支えるという万年筆の本来の持ち方でペンをコントロールすることができるので、ペンを強く握る必要がありません。カスタムヘリテイジ912を使うと、もっと書き続けたくなります。

ブラックのボディでデザインがシンプルなので、手にしてカッコいいという訳ではありませんが、そのシンプルさにより長く使っても飽きがこないデザインと言えます。

万年筆の好みは人それぞれですので、必ずしもすべての人に合うとは限りません。しかし、カスタムヘリテイジ912は、滑らかな書き味と、軟ペンの特徴である柔らかい書き味を兼ね備えているため、長時間の筆記でも疲れにくく、快適に書き続けることができます。ジャーナリング用の万年筆を探しているの方は、是非、検討してみてください。

アクセス上位(過去7日間)