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2024年9月15日

名前で勘違い、マグナム ソフトタッチはスチール軟調ペン?

DIPLOMAT MAGNUM SoftTouch

柔らかく滑らかな書き心地と、万年筆らしい味わい深い表現力に魅せられ、軟調ペン先の万年筆を愛用するようになりました。

軟調ペンとは、強い筆圧でも書きやすい硬めのペン先と異なり、ペン先に弾力性があり、筆圧をかけるとしなる特徴を持つ万年筆のことを指します。これは金の特性を活かしたペン先で、金ペンの本来の書き味です。

しかし、スチールペン先は、金ペン先と比べると硬く、曲がりにくいので、スチールペン先で軟調ペンというのはありません

「それなら、金ペンの軟調ペンにしよう!」と決断できるお財布の余裕があればいいのですが、金ペンはそれなりの値段がするので、最初の万年筆として勧めるのを躊躇してしまいます。

柔らかい書き味が楽しめる手頃な価格帯のスチールペンがあればよいのに。。。

そんな時に、ソフトタッチ半額セール(1,650円)という魅惑的なキーワードに惹かれ、「ディプロマット マグナム ソフトタッチ」を衝動的にポチってしまいました。

「ソフトタッチ」という響きから、Soft Nib(ソフトニブ:軟調ペン)を連想し、「紙へのタッチがソフトなスチールペン先!」と、勝手に期待を膨らませていました。


ディプロマット マグナム のソフトタッチとは?

ディプロマット(DIPLOMAT)マグナム ソフトタッチは、ドイツの老舗筆記具メーカーのエントリーモデルの万年筆です。ディプロマット マグナムには下記の2種類あります。

  • ディプロマット マグナム
  • ディプロマット マグナム ソフトタッチ

実は、マグナム ソフトタッチとは、ペン先の紙へのタッチがソフトというわけではなく、ボディが「ソフトタッチ仕上げ(マット仕上げ)」になっていて、手にフィットしやすいことでした、、、。

マグナムとマグナム ソフトタッチは、機能やインクフロー、書き心地は基本的に同じです。

確かに通常のマグナムは滑らかな光沢のあるボディです。

DIPLOMAT MAGNUM

そしてこちらが、ディプロマット マグナム ソフトタッチです。カラーバリエーションは、ブラックブルーレッドグレーホワイトの5種類です。

DIPLOMAT MAGNUM Soft Touch

完全なる勘違い、、、、。


書いてみて気がついた驚愕の事実

ディプロマット マグナム ソフトタッチには、F(細字)とM(中字)があります。金ペンを使うようになってからスチールペンの中字を手にしなくなり、気に入っていたMD万年筆も使わなくなってしまったので、細字にしました。

ニブは、こんな感じです。

DIPLOMAT MAGNUM SoftTouch NIb <F>

ディプロマットのホームページを見ると、マグナムの商品ページにも手作業で作りあげられているとの記載があります。

革新と伝統的な職人技

すべての製造プロセスは手作業です。ディプロマットの筆記具にインスピレーションを感じ、驚きを体験してください。すべての人に書くこと、描くことの素晴らしい体験を提供します。

【引用】Magnum - Diplomat

またホームページに人間工学に基づいたグリップゾーンによって1年生の子供でも使いやすい万年筆だとありますが、グリップ部分は中指にペンを乗せて親指と人差し指で支えやすいような構造になっています。

DIPLOMAT MAGNUM SoftTouch

にしても、小学一年生から万年筆を使うとは、流石、万年筆の聖地、ドイツです。

LAMMY Safariとは違い、このガイダンスとなる部分の角度がキツくないので、力を入れずに軽くペンを支えるように持てます。軽く握れるので筆圧をかけずに書くことができます。

ディプロマット マグナムのF(細字)は太めの細字で、細めのLAMMY SafariのM(中字)と同じぐらいの字幅です。

DIPLOMAT MAGNUM SoftTouch <F>とLAMMY Safari <M>

細からず、太からず、ちょうどいい感じで、書き味も滑らかです。

「あれ、これとっても書きやすいかも」

DIPLOMAT MAGNUM SoftTouch <F>

スチールニブは基本的に硬い書き味ですが、ディプロマット マグナムのニブは比較的滑らかなスラスラとした書き味です。軟調というほどの弾力性はありませんが、僅かながら弾力を感じます。また筆圧をかけなくてもスムーズにインクが流れるので、軽い筆圧で滑らかに書けます。

これは、『調』の称号を与えてもいいかもしれません。

こちらはペン先の裏側ですが、ペン芯からペン先(ニブ)が大きく出ています。ニブを支えている部分が少ないためにスチールペン先でも柔軟性を出せるのかもしれません。

ディプロマット マグナム ソフトタッチのペン先を裏から見た図

ディプロマット マグナム というスチール軟調ペン

ディプロマット マグナム ソフトタッチは、スチールペンでありながら、驚くほど滑らかな書き味とコスパの良さが魅力の万年筆です。軟調ペンを求めているけど、高価な金ペンはちょっと…という方におすすめです。

勿論、ゴールドニブ(金ペン)の軟調ペンと比べてしまうと歴然たる差はありますが、万年筆ならでは書き心地を感じられるコスパの高いスチール軟調ペンです。

インクカートリッジは、欧州規格なので色々なものを使えます。またディプロマット専用のコンバーターもあります。

マグナム ソフトタッチは、写真だと洗練されたモダンな印象ですが、実物はもっとチープな感じです。しかし、このシンプルなデザインとチープな質感には、背伸びをしない謙虚さと堅実さ、そしてテクノポップを感じます。この万年筆であれば、カバンに気軽に放り込み、日常的に使えます。

DIPLOMAT MAGNUM SoftTouch

何よりも、チープな外見からは想像できない、この書き心地を選ぶ価値があると思います。AmazonではF(細字)は、ホワイトブラックブルーが楽天より安価で購入可能です。

是非、ディプロマット マグナム ソフトタッチで調を堪能してください!

2023年11月18日

LAMY Safari:『細字』の次は『中字』を

中字の万年筆が好き

LAMY Safari(ラミーサファリ)万年筆は、初心者から上級者まで幅広く愛されている万年筆です。価格以上の使い心地が魅力で、万年筆デビューにもおすすめです。

通常のLAMY Safariのペンの字幅は、下記の3種類です。

  • EF(Extra Fine) 極細字
  • F(Fine) 細字
  • M(Midle) 中字

初めて万年筆を購入するときには、ペン先で何を選んだらいいのかがわからず迷ってしまいます。

手帳や罫線幅が狭いノートに細かい字を書く場合は、EF(極細字)がおすすめです。しかし、LAMY SafariのEFとFでは、字幅にほとんど差がありません。そのため、EFを選ぶよりも、次の万年筆へつなげるために F(細字)を選ぶのがよいでしょう。

また、LAMY Safariのペン先は硬めです。この「細い字幅と硬めのペン先」は、万年筆初心者にとって書きやすく、手帳やノートに細かい字を書くことができます。そのため、他の筆記用具から違和感なく移行できます。

どのくらい細字(F)と中字(M)とで違うのかを「微妙」を5mmマスの中に書いてみました。小さな字を書くと違いがよくわかります。

Lamy Safari 細字(F)と中字(M)の比較

万年筆の魅力をさらに引き出す中字の万年筆

細字の万年筆で万年筆に慣れてきたら、是非、中字の万年筆にもチャレンジしてみてください。中字の万年筆は、細字の万年筆とは異なる書き味や表現力があり、万年筆の魅力をさらに引き出してくれます。

LAMY Safari 中字(M)

インクの濃淡を表現しやすい

中字の万年筆は、細字の万年筆よりもインクの量が多いため、筆圧の加減によって、インクの濃淡を表現しやすいというメリットがあります。

例えば、筆圧を強めにすると、インクがより多く出るため、太い字が書けます。また、筆圧を弱めにすると、インクが少なく出るため、細い字が書けます。このように、筆圧の加減によって、字の太さを自在にコントロールすることができます。

そのため、中字の万年筆は、自分の感情をも表現できます。


書き味に安定感がある

また、中字の万年筆は、細字の万年筆よりもインクの量が多いため、書き味に安定感があります。そのため、長時間の筆記でも疲れにくく、快適に使用できます。カリカリと紙に引っかかるような感じもなくなり細字より滑らかに書けます。


3. 万年筆の特性を引き出す

さらに、中字の万年筆は、ペンの角度、縦線と横線、力の加減によって、線の太さが変わるため、万年筆の特性を活かした味わい深い字を書くことができます。

このように、中字の万年筆は、インクの濃淡を表現しやすい、書き味に安定感がある、万年筆の特性を引き出すという3つのメリットがあります。


まとめ

細字の万年筆で万年筆に慣れてきたら、是非、中字の万年筆にもチャレンジしてみてください。中字の万年筆は、インクの濃淡を表現しやすくなり、書き味に安定感も出るため、手紙や日記など、さまざまなシーンで活躍します。また、万年筆の特性を活かした味わい深い字を書くことができるようになります。

LAMY Safariは、初心者から上級者まで幅広く使える万年筆で、価格以上の使い心地が魅力です。中字のLAMY Safariを新たに購入してもいいですし、細字を卒業するならペン先だけを交換することもできます。

金ペンや軟ペンなど、より高価な万年筆は魅力的ですが、まずはLamy Safariのような使いやすくて手頃な万年筆で中字を試してみることをおすすめします。

2023年9月2日

LAMY カリグラフィー ニブで楽譜を描く:その選択過程と理由

カリグラフィー 1.5mmで描いた楽譜

エレクトリック・アップライト・ベースでウォーキングベースを練習していますが、読譜の練習も兼ねてベースラインを楽譜に描いています。

しかし、楽譜に馴染みがなかった自分にとっては、譜面を描くということは、かなり労力が必要で面倒な作業です。

そこで、ベースの練習のモチベーションを高めるために専用の楽譜用万年筆があるか調べてみました。万年筆の濃いインクなら楽譜の視認性も向上します。


ミュージック ニブ

日本を代表する万年筆ブランドである「プラチナ万年筆」「パイロット」「セーラー万年筆」、それぞれから楽譜の作成を支援するためにデザインされたミュージック ニブと呼ばれる特別なペン先の万年筆が発売されています。

ミュージック ニブの最大の特徴は、その独特な書き味です。横線は細く、一方で縦線は太く書くことができます。この特性を活かして、楽譜を構成する音符、休符、記号、線などを独特なタッチで描写することができます。

ミュージック ニブは、特殊なペン先の構造に起因して一般的なペン先に比べてやや高めの価格設定となっています。しかしながら、その性能と機能は、楽譜を描くことにおいて高い品質と効率性を提供してくれるに違いありません。


プラチナ万年筆 #3776 センチュリー ミュージック

プラチナ万年筆の #3776 センチュリー(ミュージック)は、楽譜を美しく描くための万年筆です。最大の特徴は、縦の線を太く、横の線を細く描くことができる特殊なペン先です。ペンポイントは幅広な平らで、スリット(ペン先の割れ目)は2本あります。これによりインクフローの量を多くして太い線を描けるようになっています。

またペン先のインク量が多いので、使っていないときにペン先が乾いて描けなくなることを防ぐために、キャップはスリップシール機構が採用されており、使っていない間にインクが乾燥するのを防ぐ役割を果たします。


パイロット カスタム 74 万年筆 ブラック MS(ミュージック)

パイロット カスタムシリーズのペン先にはMS(ミュージック)モデルがラインナップされています。

  • CUSTOM 74
  • CUSTOM 742
  • CUSTOM HERITAGE 912

MS(ミュージック)ペン先は、特殊な形状で、ペンポイントは広く平坦になっており、スリット(ペン先の割れ目)は2本あります。この設計により、ペン先が3つに分かれており、独自の書き味を提供します。

パイロット カスタム74は、初めての金ペンとしても人気の高い万年筆ですが、MS(ミュージック)ペン先は、楽譜をはじめ、縦線と横線の太さの変化を活かした文字やデザインを描く際にも優れた性能を発揮できることが期待できます。


セーラー万年筆 プロフィットライト ゴールドトリム ミュージック

セーラー万年筆のプロフェッショナルギアとプロフィット シリーズには、ミュージック ニブがあります。ペンポイントが平坦にカットされた特殊な形状は、プラチナ万年筆やパイロットのミュージックニブと同じですが、セーラー万年筆のミュージック ニブにはスリットが1本しかありません。

以下のモデルでミュージックペン先が利用可能です:

特に、プロフィット ライトは14Kの金ペンとしてはリーズナブルな価格設定です。また、コスト重視であれば、ステンレス製のプロフィットカジュアルという選択肢も用意されています。


安価なミュージックペン「写譜カリ」から学んだこと

趣味で使用するものということで、清水の舞台を飛び降りる覚悟で、スリットが2本入ったパイロット カスタム 74 ブラック MS(ミュージック)の購入を決断。

しかし、冷静に考えると、どんどんと弱気になってしまいます。

  • 趣味のためとはいえ普段使っている万年筆より高いものが本当に必要?
  • 楽譜用の万年筆を使う頻度は高くないのでは?
  • 少し高い万年筆を買うなら前から気になっている軟ペンの方が先では?

自分の「勇気」と「財力」を踏まえて、より経済的な楽譜用の万年筆が存在しないかを探してみると、写譜に適したカリグラフィーペン「写譜カリ1(ペン先1.5mm)」「写譜カリ2(ペン先1.1mm)」がセットになっている商品を見つけました。

中国産の万年筆は試したことがなく、低価格な万年筆は、インク漏れや書き心地についての不安もあります。

しかしながら、「写譜カリ」は、楽譜を書き写す「写譜(しゃふ)」という美しい言葉と、細い線から太い線までを描けるカリグラフィーペンは、楽譜の描写にも適していることを教えてくれました。さらにAmazonの動画で、1.1mmと1.5mmの太さの違いが分かりました。

写譜カリ」は、楽譜用の万年筆を探す上で新たな視点をもたらしてくれました。


写譜用にカリグラフィーペンを探す

カリグラフィー(Calligraphy)とはアルファベットをアートとして美しく書く技法です。カリグラフィー用の万年筆は、一本のペン先で細い線から太い線まで描ける特徴があります。これはミュージック・ニブと共通です。

しかし、ニブの形状はかなり異なります。ミュージックニブは、ペンポイントが広く平坦になっていますが、カリグラフィーニブにはペンポイントがなく、ペン先の先端がカットされたようになっています。下写真は1.5mm幅です。

ミュージックニブとカリグラフィーニブの比較

ニブの形状は違うけど、「写譜カリ」を信じ、書き心地が快適でありながら手ごろな価格のカリグラフィー万年筆を探して、以下の二つを候補としました。

  • セーラー万年筆 ハイエースネオクリア カリグラフィー
  • LAMY joy

セーラー万年筆はhocoro(ホコロ)の筆文字(特殊ペン先)を持っていますが、書き心地は悪くありません。ただし、安価なペンのデザインには限界を感じます。

一方で、LAMYはデザインに加えて書き心地や品質においても絶対的な信頼感があります。


LAMY Safariをカリグラフィーペンに改造

LAMY Safariを2本所有しているため、3本目のLAMYの万年筆を購入することには少し躊躇してしまいますが、「LAMY Safari はニブが交換できる」ことを思い出しました。

LAMYの交換用ニブには、1.1mm1.5mm1.9mmという3つのカリグラフィー用のペン先が用意されています。

悩みに悩んだ楽譜を描くための万年筆は、LAMY Safari のニブ交換』で解決です。


LAMY Safari カリグラフィー 1.5mm で写譜

ベースの練習で使っている楽譜は、8段か12段です。なので「写譜カリ」の動画を参考に1.5mmのカリグラフィーを選びました。

LAMY 交換用ペン先 カリグラフィー 1.5mm

LAMYのニブ交換については、「1分で簡単!LAMYサファリの『ニブの交換方法』と注意点を写真で解説」という記事を参考にしました。セロテープを貼って引っ張れば簡単にニブが外れました。新しいニブを差し込みも力なくできます。

新しいニブが装着できました。

LAMY Safariにカリグラフィー ニブを装着

通常の持ち方だと、カリグラフィー 1.5mmのペン先では、縦線は太く横線は細く描くことができますが、角度によって太さに変化がでるので音符の旗もカッコよく描けます。

LAMY Calligraphy 1.5mm で描いたアルファベット、線、音符

カリグラフィー ニブに交換しても、インクフローもよく、LAMY Safari の書き心地の良さは変わりません。

残念ながら、カリグラフィー ニブが装着されているLAMY Safariはありません。LAMY Safari を持っていないのであれば、LAMY Joy(カリグラフーペン)という選択もあります。

ニブの形状から音符の玉(符頭:ふとう)を丸く描くのが難しい、、、。丸い音符を描くのであればペン先幅が1.0mmの方が描きやすいかもしれません。

この符頭の完成度が、ミュージックニブとカリグラフィーニブで楽譜を描く場合の最大の違いなのでしょうか。

それでもカリグラフィーニブでの符頭も許容範囲です。


カリグラフィーペンで音符を描くコツ

通常の持ち方だと縦線が太くなってしまうので、音符の玉から伸びている線(符幹:ふかん)を書くときには、ペンを90度回して、ペン先の全面を譜面に当てて描く必要があります。スリット(ペン先の割れ目)の部分が紙に当たっていないとインクが出ません。

音符の棒は万年筆のを90度回転させて描く

同様に、シャープ記号の縦線を細く、横線を太くしたい場合も、縦線も横線もペンを90度回転させた状態で描きます。

この書き方のコツに慣れるまでには少し練習が必要でした。

実際に譜面を描いてみたのがこちらです。

LAMY Calligraphy Nib 1.5mmで描いた譜面

予想通り視認性がよく、実用的です。また、1.5mmのペン先サイズもちょうどよいと感じました。「写譜カリ」に感謝しています。

読譜の練習を兼ねて、写譜も重ね、エレクトリックアップラライトベースでウォーキングベースラインの練習にも励みたいと思います。


LAMY カリグラフィーで書いた日本語

LAMY カリグラフィーのペン先で普通に日本語を書くと、勝手にアーティスティックな文字に仕上げてくれます。簡単なメッセージを添えるときにインパクトのある文字で表現できます。

カリグラフィーニブで書く日本語も悪くない

LAMYカリグラフィー、かなりいい感じで気に入りました。

2023年7月23日

5000円以下で買えるドイツ製万年筆のおすすめ3選!機能美と書きやすさが魅力

Moleskine Pen(Moleskine x Kaweco)

万年筆を持つと大人になった気分になれます。それは、ただの筆記具ではなく、書く喜びを感じさせてくれる特別な存在です。万年筆はペン先の角度やインクの濃淡、筆圧の微妙な変化によって、文字の表情が変わります。そのため使う人の個性や感情を反映させた、味わい深い文章を綴ることができます。

では、なぜ万年筆に魅力を感じるのでしょうか。以下に3つの理由をあげます。

  1. 保有することの喜び(愛着): 万年筆は長く愛用できる筆記具であり、所有すること自体が喜びや愛着を感じさせてくれます。自分だけの特別なペンを持つことで、書く行為がより特別なものとなります。
  2. 自分の個性を表現できる: 万年筆は数多くのインクカラーや書き味のバリエーションがあり、使い手の個性や好みに合わせて選ぶことができます。自分の個性や感性を文字に込めることで、より深い表現が可能になります。
  3. 筆圧が必要なく書きやすい: 万年筆は書き始めから滑らかな書き心地を提供し、ほとんど筆圧が必要ありません。これにより、疲れることなく長時間の筆記が可能で、書く行為がより楽しい体験となります。

万年筆には文字を書くための道具として以上の魅力があります。自分の感情と個性を文字という形で紙に残すことができ、書く喜びを再発見することで日常が豊かに彩られること間違いなしです。


高級万年筆は必要?

万年筆の値段はピンキリです。大きく値段が変わるのがペン先(ニブ)と軸の材質です。

ペン先金ペン先スチールペン先
弾力柔らかい硬め
耐久性腐食しづらい, 摩耗しにくい金より劣る
価格高い安い

金ペン先は長年使っていると書き手に馴染むともいわれていますし、修理や調整も可能です。そして、軸は、高級万年筆だとセルロイド、エボナイト、金属、木製などですが、エントリーモデルの多くはABS樹脂です。

国産で安価な金ニブ万年筆も販売されています。実売価格で1万円を切っているものをあります。

  • セーラー万年筆 プロフィットライト ゴールドトリム(14K)
  • パイロット カスタム 74(14K+ロジウム)

しかし、気に入ったものをと考えるとやっぱり高価です、、、。


ドイツ製のエントリーモデルを選ぼう

ドイツ製のエントリーモデルの万年筆は、その多くが必要最低限の要素に絞り込まれ、機能性と使いやすさを追求したデザインが特徴です。伝統的なクラシックなデザインではなく、モダンで洗練されたスタイルは魅力的です。さらに、エントリーモデルであっても、優れた書き心地を提供しています。

手頃な価格でありながら、使いやすさを重視して設計されており、滑らかで安定した書き味が特長です。細部にまでこだわったドイツ製の品質は、心地よい筆記体験を提供してくれます。

万年筆は、書きやすく、カッコいいと感じられることが重要です。手にしっくり馴染む使い心地とスタイリッシュなデザインが、筆記体験に愉しみと満足感をもたらしてくれます。

書きやすさと魅力的なデザインにより、初心者から上級者まで、幅広いユーザーに向けてデザインされたドイツ製のエントリーモデルの万年筆は、品質と使いやすさを求める方にぜひおすすめしたい一品です。


オススメのドイツ製 エントリーモデルの万年筆

ドイツの老舗筆記具メーカーで人気のあるファーバーカステル、カヴェコ、ラミーから下記の3種類のエントリーモデルを紹介します。


FABER-CASTELL HEXO(ファーバーカステル ヘキサ)

Hexo(英語読みでヘキサ)は、1761年に創業されたドイツの筆記具メーカーであるFaber-Castell(ファーバーカステル)によって製造されたエントリーモデルの万年筆です。手頃な価格帯(4,950円)でありながら、Faber-Castellの品質とデザインを堪能できる万年筆です。

FABER-CASTELL HEXOの特徴
  1. ファーバーカステルの原点、鉛筆を模した六角形軸の万年筆
  2. ボディは軽量で丈夫なアルミニウム素材(20g)
  3. ペン先はステンレススチール製でF(細字)/EF(極細)の2種類
FABER-CASTEL HEXOの字幅
  • Extra fine (EF) - 約0.3mm
  • Fine (F) - 約0.4 mm

FABER-CASTEL Ambition EFを使っていますが、かなり文字幅は細く、ボールペンに近い感じです。ノートにメモをとるには最適ですが、文章を書くならF(Fine)がいいのではないかと思います。


Kaweco CLASSIC Sport

Kaweco(カヴェコ)は1889年創業のドイツの筆記用具メーカーです。CLASSIC Sport(クラシックスポーツ)は、1972年のミュンヘンオリンピックの際に公式ペンとなった商品の復刻版です。3,850円という手頃な価格も魅力的です。

Kaweco CLASSIC Sportの特徴
  1. 手のひらサイズ(閉じた状態で10.5cm)、キャップを付けて使うと標準サイズ(13cm)に
  2. ABS樹脂製で軽量(11g)
  3. スチール製のペン先で EF/F/M/B/BB
Kaweco CLASSIC Sportの字幅
  • EF(極細字)約0.3mm
  • F(細字)約0.5mm
  • M(中字)約0.7mm
  • B(太字)は約1.0mm

Moleskine Pen(Moleskine x Kaweco)

Kaweco Classic Sport は、キャップを閉じた状態だと10.5cmとかなり短く、他の筆記用具とのバランスが悪い。かといってKaweco Al Sport は13.5cmだけど値段が高くなります。

「惜しい、、、」と、思っていたら、ノートで有名なモレスキンからカヴェコとのコラボレーションしている万年筆が発売されていました。Kaweco Classic Sportがベースになっているようですが、Moleskine Penはキャップを閉じた状態で約14cmです。

キャップは同じ8角形ですが、ボディは15角形と洗練されたデザインです。またグリップ部は三角形で握りやすくなっています。

この万年筆は、過去へのノスタルジアと現在のクリエイティビティをつなげ、紙にアイデアを書き留めるクリエイティブな喜びを体験できるというとっても素敵なコンセプトで作られています。

Moleskine Penの特徴
  1. グリップが指と親指の間にぴったりとフィット
  2. ABS樹脂製で軽量だがしっかりとした重さ(約14g)
  3. ニブは金メッキでF字

ニブ幅の詳細の記載はありませんが、Kaweco Classic Sprotと同じではないかと思います。カラーはブラック、レッド、ブルーの3種類があります。


LAMY safari

LAMY(ラミー)は、1930年にドイツで創業された筆記具メーカーです。Safariは、カジュアルでモダンなデザインで、5,000円以下の手頃な価格なので万年筆初心者に人気があります。とても書きやすい万年筆で自分もLAMY Safariはずっと使い続けています。

LAMY safariの特徴
  1. 三角形のグリップでペンを持ちやすい
  2. ニブはステンレススチール製 EF/F/M/B で交換可能
  3. ボディはABS樹脂で色が多彩
LAMY safariの字幅
  • EF(極細字)約0.4mm
  • F(細字)約0.5mm
  • M(中字)約0.6mm

ニブ(ペン先)がAmazonでも簡単に手に入り、交換作業も簡単です。EF(極細字)、F(細字)、M(中字)、B(太字)、1.1mm(カリグラフィー)、1.5mm(カリグラフィー)、1.9mm(カリグラフィー)、LH(左利き用)と多彩な種類があり、更にシルバーとブラックがあるのでボディーカラーに合わせて選べます。

万年筆に慣れてきて、もう少し太い字が欲しい、細い字が欲しいという場合にニブだけが交換できるのは経済的にも環境的にも優しいパーツ交換です。EF/F/M/B 以外に 左き利き用、カリグラフィー用の1.1mm、1.5mm、1.9mmと種類も豊富で色はボディー色に合わせてシルバーとブラックを選べます。

EF/Mを使っていますが、最初の1本であればF(Fine)がいいかと思います。「細すぎる」「太すぎる」と購入後に思ったらニブを交換できるのがLAMYの強みです。

Safariは色が多彩ですが、若者向きだけではなく、伊東屋とコラボしたsafari×itoya copper 01などは、とても落ち着いた色合いです。

またLAMYは2022年春に漢字筆記に特化したペン先「漢字ニブ」を発売。先端から両サイドを削り込んだような独特な形状や、柔軟性を高めたペン先のしなり具合は、「とめ」「はね」「はらい」といった漢字特有の表現をサポートするために開発されたものです。


ボールペンのような筆致のEF、万年筆らしさのF、個性派のM

日本語はアルファベットの文字より構造が細かいです。ノートに細かい字を書くのであれば細い字幅のEF(Extra Fine)かF(Fine)です。

EFとFの違いは微妙ですが、Fの方がEFよりも字幅が太いので、万年筆らしい筆致になります。最初の一本であれば、万年筆らしい風合いがありながら、ノートや手紙などさまざまな用途に万能に使用できるF(Fine)をオススメします。

M(Medium/ミディアム)は、さらに万年筆らしい筆致で個性が現れます。文字幅はかなり太くなり個性を際立たせる一方で、細かい文字には不向きです。手紙やアイデアを書き出したりするときなど、少し大きめな文字を書くときには重宝します。また美文字練習にも最適です。

各メーカーで、ニブ幅や文字幅の記載をしていますが、万年筆の字幅には明確な規格がありません。同じ字幅の記載でも製造メーカー、モデル、使うインク、そして筆圧や握り方などによっても異なります。

下記は一般的な傾向です。

字幅特徴
EF(Extra Fine)細くシャープな文字が書けます。ボールペンに近い感覚で手帳やノートに小さい文字で書くのに適しています。
F(Fine)EFほどの細さがない分、万年筆らしい文字が書けます。手帳やノート、一般的な筆記に向いています。
M(Medium)視認性が高い太い文字が書けるので手紙や字の練習に適しています。

実際に下の写真のドイツの万年筆3種(Faver Castell Ambiton EF, Moleskin Pen F, LAMY Safari M)とフランスの万年筆(Waterman Phileas M)で字幅の確認、

書き比べたのがこちらです。

字幅の比較

インクも違うので一概に万年筆の差とも言えませんが、Faver-Castell Ambition EF と Moleskine Pen F で差がなかったり、LAMY Safari M より、Waterman Phileas M の方が太かったりと、やはりメーカーとブランドによって字幅はまちまちです。


Moleskine Penはシンプルでスタイリッシュな万年筆

F字幅の万年筆を購入しようと、Faber-Castell HexoとMoleskine Pen(Moleskine x Kaweco)で悩みましたが、Kawecoの万年筆を使ったことがなかったので、Moleskine Pen(ブルー)を購入しました。

ボディは太めですが、無駄のない洗練されたデザインが素敵です。また金色に輝くニブはワンポイントで高級感があります。このミニマルでモダンなデザインと金色のニブが、ABS樹脂製のチープなボディーをスタイリッシュに仕上げています。

Moleskine Penのペン先

LAMY Safariと同じようにグリップの部分が三角形になっていて持ちやすくなっていますが、ペンを持った感じはSafariより少し太く感じます。


Moleskine Penの書き味

Moleskine Penは、書くときには若干の筆圧が必要です。Faber-Castell Hexoは使ったことがないため比較はできませんが、Faber-castell AmbitionやLAMY Safariは筆圧をかけずに書くことができます。

万年筆は一般的に滑らかで柔らかい書き心地を持ち、筆圧をほとんど必要としないため、長時間の筆記でも疲れにくいという利点がありますが、MD万年筆も同様に筆圧がやや必要でした。しかし、使い込むうちに手に馴染み、自然な筆圧で書けるようになりました。

Moleskine Penも同じように慣れの問題かと思います。初めて使った際には筆圧を調整する必要があるかもしれませんが、徐々に使い込むことで快適な筆記体験を得られるようになると思います。

万年筆には個体差があるため、初めて使った際には違和感を感じることもありますが、使い続けるうちに自分に合った書き方や筆圧が見つかります。慣れを重ねながら、愛着のある万年筆との絆が深まっていくことを楽しんでください。

Faber-Castell Ambition EFが約0.4mmなので、Moleskine PenがKaweco Classic SportのF(Fine) 約0.5mと同じであれば、少し太くなることを期待していました。しかし、実際に書き比べてみると、0.1mmの差は目に見えるほどの違いではなく、ほぼ同じような字幅でした。

ただし、Ambitionが「カリカリ」とした筆記感なのに対し、Moleskine Penは「シャリシリ」と滑らかに紙の上を走る感触があります。ペンの太さと筆感の違いを楽しみながら慣れていきたいと思います。

Moleskine Penの字幅は細め

Moleskine Penと併せて、Kaweco Classic Sport 用のKaweco ミニコンバーター2を購入しました。とても小さくて、装着してピストンが伸びている状態でもこんな感じです。

Moleskine Pen に KAWECO ミニコンバーター2を装着

Kaweco ミニコンバーター2は、「ピストン式コンバーター」です。ピストンを押し込んだ状態で、ペン先をインクボトルに入れてからゆっくりとピストンを引っ張るとインクが補充されます。

対象万年筆は、

  • クラシックスポーツ
  • アイススポーツ
  • スカイラインスポーツ
  • プラススポーツ

と、ありますが、Moleskine Penでも使えます。


Moleskine Pen しばらく使った感想

違和感は慣れの問題だと前述しましたが、新しい万年筆に慣れるためにしばらくMoleskine Penだけを使っていました。購入時に付属していたインクカートリッジを使い終わり、コンバーターに切り替える頃には、「太めの握り心地」も「少し筆圧が必要」にも慣れていました。

筆圧が必要と感じるのは、インクフローが悪いからではなく、ペンの軽さからでした。コンバーターを挿入した状態で実測値で14gは、持っている万年筆の中でMD万年筆の16gよりも軽いです。軽い万年筆の場合は、万年筆の自重で紙の上で滑らせるのではなく、ペンを紙に当てる力が必要なのだとわかりました。


ペンケースも使おう

Faber-Castell Ambitionを購入したときに万年筆を1本だけさせる福岡のファッションブランドの皮のペンケースを購入したのですが、Ambitionは細く、そのまま差し込むとペンが滑り落ちてきてしまい、ペンクリップで挟む必要がありました。

ちょっとしたことですが、面倒に思い使っていませんでした。しかし、Moleskine Penは太さがあるので差し込んだだけでも滑り落ちてくるようなことはありません。

FREESEのペンケースにMoleskine Penを収納

ペンケースにも活躍の場ができました。