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Post Date:2025年6月29日 

ノート以上、ノート未満。紙を“考える道具”に変える Paper Jacket FLEX

Paper Jacket FLEX と仲間たち

パソコンやスマホで何でも記録できる時代にあっても、「手書き」で考える時間には特別な価値があります。書くことで思考は進み、ペン先が紙の上を走ると、頭の中が少しずつ整理されていきます。

そんな手書きの良さを日常に取り入れたいけれど、ノートにびっしりと書き残すほどでもない。むしろ、アイデアの断片や思考のプロセスは、「書いては捨て」「書いては捨て」を繰り返して育てていきたい!

そんな、残すより、考えるためのツールが、「ノート未満、でもノート以上」という新しいノートの形です。

  • コピー用紙を、“思考の道具”に変える
  • “綴じないノート”で、発想はもっと自由に
  • ミニマルに、スマートに持ち歩く

この共通コンセプトのもとに生まれた、ノートのようでノートでない、スマートなプロダクトがこちらの3商品です。

  • PAPER JACKET® FLEX(BUTTERFLY BOARD)
  • SlideNote(研恒社 PageBase事業部)
  • CLIPNOTE(コクヨ)

先ずはその中でも、「最強ツール」とも言える存在——バタフライボードの PAPER JACKET® FLEX からレビューしていきます。


Paper Jacket FLEXを選ぶ理由

これまで「バタフライボード」や「バタフライボード Notes」など、バタフライボード社の製品を使ってきましたが、どれも製品コンセプトが一貫して明快であることに魅力を感じています。

PAPER JACKET® FLEX もその例にもれず、コピー用紙をマグネット × テコの原理で“ジャケット”のように包み込み、ノートとして使える設計になっています。

Paper Jacket FLEX のクリップ部分は薄い

同じようなコンセプトを持つSlideNoteやCLIPNOTEと比べても、“書く”という本質的な機能において、PAPER JACKET® FLEX が“最強”と呼べる理由があります。

  • フレックスカバーは360度開閉可能。フラット性に優れて折り畳んでも書きやすい。
  • 立ったままでも快適に書ける硬さがあります。
  • 挟む部分が少ないので無駄なく書くことができます。
Paper Jacket FLEX - 360度開閉可能なカバーで抜群のフラット性

Paper Jacket FLEXは書くことに集中できる

PAPER JACKET® FLEX を使ってまず感じたのは、「紙に書く」という行為に集中できる心地よさです。どのページも180度フラットに開くことができるMDノートを愛用していますが、それに近い満足度があります。

Paper Jacket FLEXは書くことに集中できる

これは、単なるペーパーホルダーではなく、“書くための道具”としての完成度が高いからこそ得られる体験だと思います。


✅ 安定感があるから、どこでも書ける

立ったまま、膝の上、電車の中、カフェの狭いテーブル、どんな場所でもしっかりとした書き心地が得られるのは、ジャケットのボードとしての硬さのおかげ。A3用紙を挟んで広げて使えば、持ち歩き用のミニホワイトボードにもなります。


✅ 用紙の入れ替えがスムーズでストレスがない

ノートやリング式の綴じ具と違い、“マグネット×てこ“の構造により、1枚の用紙でも30枚の束でもしっかり固定。「差し替えたい」「まとめたい」「順番を変えたい」と思った瞬間に、スッと対応できるのも大きな魅力です。


✅ 書きやすさを損なわない構造

綴じ部分が非常にスリムなので、紙の端までしっかり書けるというのも見逃せないポイント。書く面を無駄なく使えることが、ストレスの少ない筆記につながっています。

Paper Jacket FLEX は、こんなシーンにぴったり

  • 思考整理やアイデア出しに使うラフなスケッチ帳として
  • 会議メモやタスクの一時的なまとめ紙として
  • カフェの狭いスペースや、公園の椅子など書くスペースがない場所でも活躍

⚠️ Paper Jacket FLEXの気になる点

PAPER JACKET® FLEX は機能的には完成度の高い非常によくできた製品ですが、実際に使っていて「もう一歩」と感じた点をいくつかあげておきます。


ジャケットの素材がややチープに感じる

素材はPVC(ポリ塩化ビニール)と記載されていますが、見た目・手触りともに「ザ・ビニール」といった質感で、正直チープな印象を受けます。さらに、素材が少し撓んでしまいます。

機能的には問題ないのですが、手に取ったときにもう少し“道具としての所有感”や質感の高さがあれば、より愛着が湧きやすく、長く使いたくなると感じました。


ジャケットを開くときの“つまみ”が気になる

ジャケットを開閉する際に指をかける“つまみ”部分のデザインも、正直チープな印象があります。開けやすさという点では十分に機能していますが、毎回手に触れる場所だけに、もう少しスマートで洗練された形状だったら嬉しいというのが率直な感想です。

Paper Jacket FLEX つまみのはチープなデザイン

値段が高い、、

A5版で3,850円、A4版では4,400円という価格は、コピー用紙を挟んで使うホルダーとしては、やはり高めの印象を受けます。もちろん、使い込んでいく中で機能性の高さや自由度には十分価値を感じられるのですが、最初に手に取るときの心理的ハードルはそれなりにあります。

この価格帯であれば、もう少し質感やディテールにこだわって欲しかったというのが、率直な気持ちです。


Paper Jacket FLEX - この価格に“価値”はあるか?

PAPER JACKET® FLEX は、決して安い道具ではありません。けれども、「コピー用紙を、どこでも・自由に・スマートに使う」という目的においては代わりになるものがなかなか見つからないという点で、確かに

PAPER JACKET® FLEX は、決して安い道具ではありません。けれども、「コピー用紙を、どこでも・自由に・スマートに使う」という目的において、“唯一無二の道具”ではありませんが、3つの製品の中でも特に“書き心地”に優れていると感じました。

書きたいときにすぐ書けて、終わったらサッと差し替えられる。綴じないからこそ、思考が止まらない。この“紙を使う体験そのもの”に価値を感じられる人には、十分にその価格に見合うプロダクトだと思います。


✅ Paper Jacket FLEX - こんな人にオススメ

  • ノートを「残すため」より「考えるため」に使いたい人
  • 思考の途中段階をどんどん書き出したい人
  • フラットで、どこでも書ける環境を求めている人
  • 道具としての使い心地や機能性にこだわりたい人

おわりに

PAPER JACKET® FLEX は、ノートでもバインダーでもない、“考えるための紙の使い方”を提案してくれるユニークな道具です。すべての人に合うわけではありませんが、「紙を思考のプラットフォームとして使いたい」と感じている人にとっては、とても頼もしい相棒になってくれるはずです。

最後に、今回紹介した PAPER JACKET® FLEX と、同じようなコンセプトを持つSlideNoteとCLIPNOTE、2製品との比較表を掲載しておきます。

項目 / 製品名SlideNoteCLIPNOTEPaper Jacket FLEX
メーカーLIHIT LAB.コクヨバタフライボード
綴じ方スライド式リングレス樹脂製クリップ(ワンプッシュ開閉式)マグネット × てこの原理によるホルダー
素材感・作りプラスチック樹脂PVC
紙の安定性高(しっかり固定)中〜高(最大25枚でも安定)非常に高い(1〜30枚でもしっかり保持)
収納可能な紙の枚数最大30枚最大25枚最大30枚
フラット性❌リングが干渉し完全にはフラット不可⭕やや浮きやすいが比較的フラット✅完全フラット。どこでも書きやすい
対応サイズA5、A4A4A5、A4
価格帯(目安)1,600円(A5)、2,222円(A4)702円3,850円(A4)、4,400円(A5)

持ち運ばないならバインダーもありかも

Paper Jacket の「マグネットで挟む」という機構が非常に使いやすかったこともあり、私は同じコンセプトのセキセイ・クリップボード・ベルポストも併用しています。

セキセイ クリップボード ベルポストのマグネットクリップ部

デザインもスマートで、持ち運ばないならこれもありです。

Paper Jacket FLEX と セキセイ クリップボード ベルポスト
Post Date:2025年4月7日 

【中華万年筆】Hongdian 620 Bent Nib『ミニふでニブ』の魅力

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

つけペンのHocoro 筆文字を持っていますが、筆のように抑揚のある線を生み出すのはとても魅力的です。一方で大きく湾曲したペン先は、扱いが難しいと感じることもあり、ペン先の曲がりがより少ないタイプのBent Nibを試してみたいと思うようになりました。

手頃な価格で、驚くほど多様なペン先に出会えるのが中華万年筆の大きな魅力ですよね。ついつい『これも試してみたい!』と手が伸びてしまいます。そんな中華万年筆の中から、写真で見た感じペン先の曲がりが比較的穏やかそうな『Hongdian 620 Bent Nib』を発見!

実際に使ってみると、Hocoroとはまた違った書き味で、抑揚は少ないながらもペン先の角度で線の表情が変わり、不思議と味のある、個性的な文字が書ける面白い一本です。


Bent Nib(ベントニブ)とは?

「Bent」は英語で、動詞「bend」の過去形・過去分詞であり、形容詞としても使われます。「曲がった」「湾曲した」という意味で「Bent Nib」はペン先が意図的に曲げられている形状です。

Bent Nibの中でも、特に大きく湾曲した形状のものは、日本では『ふでペン先』や、英語圏では『Fude Nib(フデニブ)』などと呼ばれることもあります。具体的には、このような形状をしています。

Jinhao 100 クラシック ベントニブ
【引用】Amazon - Jinhao 100 クラシック ベントニブ

こちらはセーラー万年筆「ふでDEまんねん」のペン先です。

WANCHER x SALOR ふでDEまんねん
【引用】Amazon - WANCHER×SAILOR ふでDEまんねん

そしてこちらWANCHER x 呉竹「長閑万年筆」のペン先です。

WANCHER x 呉竹 長閑万年筆
【引用】Amazon - WANCHER x 呉竹 長閑万年筆 - 黒霞

これらのペン先は、写真のように、ペン先が大きく上向きに湾曲しているのが特徴です。

ベントニブの主な特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • 筆記角度による線幅の変化: ペンの角度を変えることで、細字から太字まで、様々な線幅を表現できるものが多いです。これにより、筆で書いたような抑揚のある表現が可能になります。
  • 個性的な表現: 手書き文字に独特のニュアンスや個性を加えることができます。
  • 独特の書き心地: ペン先が紙に当たる角度や面積が通常と異なるため、独特の引っかかりや滑り感を持つことがあります。好みが分かれるポイントですが、この書き心地に魅力を感じる人もいます。

ベントニブは、通常の万年筆とは異なる書き味や表現力を求めるユーザーに適しています。特に、手書きの文字に変化をつけたい方、カリグラフィーに興味がある方、インクの特性を最大限に楽しみたい方などにおすすめです。

ただし、ベントニブは一般的なペン先と比べて扱いが難しく、最適な筆記角度を見つけるのに少し慣れが必要な場合があります。また角度によっては紙への引っかかりを感じることもあります。


Hongdian 620 Bent Nib とは?

Hongdian 620 Bent Nib に興味をもったのは、Amazonで見かけたこのペン先の写真がきっかけでした。一般的な大きく曲がったBent Nib(ふでペン先)と比べて、ペン先が上向きに曲がっている部分がとても短く、まるで『ミニふでペン先』とでも呼びたくなるような形状です。

「これなら書きやすく、普段使いの万年筆になる?」そう思ったのが第一印象です。

Hongdian 620 Bent Nib
【引用】Amazon - Hongdian 620 Bent Nib

そして、こちらが実際に購入した Hongdian 620 Bent Nib のペン先です。

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

大きめのペンポイントをペン先に付けて、固まらないうちにグイッと押し付けて曲げたような形状です。紙に当たる部分がやや広く、緩やかにカーブするように研がれているので、この面を紙に当てる角度で線の太さが変わるのだと思います。

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

この形状は、セーラー万年筆の「hocoro 筆文字」と比べると、その違いがよく分かります。

hocoro 筆文字 と Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

hocoroのペン先は大きく反り返っていますが、Hongdian 620の曲がり具合はそれよりも穏やかです。それでも、先端がしっかり上を向いています。

こちらはニブの上からの写真です。

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

ニブには1997 Hong Dianと刻印がありますが、その下は読めません。Bent NibにはF(細字)やM(中字)といった字幅を示す刻印はありません。

仕様についても見てみましょう。

  • 長さ(収納時): 約 136 mm
  • 太さ(最大径): 約 14 mm (グリップ部分は約13mm)
  • 重さ: 約 34 g
  • 材質: 金属(具体的な種類は不明)

細めのボディですが、金属製のため適度な重みがあります。カラーバリエーションには、自分が購入した銀色(シルバー)以外に、ライトグリーン赤色(レッドメタル)があります。キャップはネジ式なので密閉性が高いので、インクが乾いて書けなくなることもなさそうです。またコンバーターが付いているのでインクを充填すれば直ぐに使えます。


書き味はどう違う? Hocoro 筆文字 vs Hongdian 620 Bent Nib 書き比べ

前の章でペン先の形状の違いを見ましたが、ここでは実際にセーラーの「hocoro 筆文字」と、私が『ミニふでニブ』と称する Hongdian 620 Bent Nib の書き味を比べてみます。

まず、ペン先の角度によってどれくらい線の太さが変わるか見てみます。

  • Hocoro 筆文字は、ペンを立てれば細線、寝かせれば極太線と、ダイナミックに線幅が変化します。まさに筆で書いたような表現力です。変化の幅で言うと、感覚的には一般的な万年筆の中字から太字くらいまでをカバーします。
  • Hongdian 620『ミニふでニブ』も、ペンを立てれば細めに、寝かせれば太く書けます。しかし、Hocoroと比べるとその変化はかなり穏やかです。極端な太い線は出ませんが、変化が緩やかな分、線幅をコントロールしやすいというメリットがあります。こちらは細字から中字の範囲での変化が中心です。

実際に同じ文字を書いて並べてみると、その表現力の差は一目瞭然です

hocoro 筆文字 と Hongdian ミニふでニブの比較

Hongian 620 Bent Nib は、ペン先の曲がりが穏やかな分、Hocoro 筆文字よりも一般的な万年筆に近い感覚でペンを運べます。書き出しの引っかかりも少なく、スムーズに書けます。筆文字と比べると、格段にコントロールしやすいと感じました。

また字幅が細いので、細かい字でも字が潰れることがありません。手帳やノートなどにも使える万年筆です。


まとめ

Hongdian N8(ロングナイフニブ)、Jinhao Dadao 9019(心電図ビッグニブ)に続く、中華万年筆 第3弾として Hongdian 620(ミニふでニブ)の紹介でした。

Hongdianの特殊ニブは、ロングナイフニブも、今回の『ミニふでニブ』も、期待以上、お値段以上の価値を提供してくれます。特に、この『ミニふでニブ』は、ユニークな書き味でありながら扱いやすく、手帳のメモ書きもできる細い字幅は、使い勝手がよく、普段使いができる万年筆です。

Bent Nibに興味がある方、手書きの字により個性を加えたい方には、まさに一本持っていて損のない万年筆と言えるでしょう。

Post Date:2025年2月9日 

鉄ニブの限界を超えた先に広がる表現の世界 – 渓流ニブと小太刀ニブの魅力

WANCHER 誠エボナイト マットブラック - 小太刀ニブ

万年筆を使ってみたい」と思った瞬間が万年筆の深い世界の入り口です。書きやすさを求めて選んだ一本は、「字の練習に使うから」という大義名分で価格のハードルをクリア。しかし、ほどなくして「もっと美しい字を書くために」と、次の一本が欲しくなる…。こうして気づけば、万年筆沼にどっぷり浸かっているのではないでしょうか。

そんな沼の深みで見つけたのが、日本語を抑揚のある美しい線で表現するために作られた、WANCHER(ワンチャー)のオリジナルニブKEIRYUニブ - 渓流でした。繊細な筆遣いが求められる和の書体にも適した特別なペン先です。

KEIRYU ニブは、細く凛とした線や太く力強い線をペン先の角度によって生み出します。それぞれの線を一つの文字としてシームレスに繋ぎ合わせるには、少々慣れが必要かもしれません。 ぜひ、しばらく KEIRYU ニブで遊んでみてください。使いこなすことでより楽しさが増し、自由に操れるようになれば自分でも驚くようなイキイキとした文字が表現できます。

【引用】渓流 - Keiryu Nib | Wancherpen Japan

実際に試してみると、ステンレスニブとは思えないほどの表現力の幅に驚かされます。軽いタッチでは繊細な線を引き、筆圧をかけることで力強い筆致へと変化する。この筆のような書き心地こそが、KEIRYUニブならではの魅力です。

一方、KEIRYUニブが筆のような柔らかい表現を得意とするのに対し、鋭くシャープな筆致を追求した特殊ニブも存在します。それが小太刀(こだち)研ぎです。セーラー万年筆の長刀研ぎを参考に、The Nib Shaperの長原幸夫氏が開発したこのニブは、細字・中字・太字への研ぎ出しが可能で、WANCHERの一部の万年筆で選択できます。


渓流ニブと小太刀ニブの違い

WANCHERと長原氏が共同で生み出した渓流ニブと、セーラー万年筆の長刀研ぎの技術を活かして作られた小太刀ニブは、どちらも日本語の美しさを引き出す特別なニブです。しかし、その「抑揚」の表現範囲に違いがあります。

渓流ニブは、筆圧に応じて滑らかに強弱が変化し、太くダイナミックな線も、柔らかくしなやかな線も自在に描けます。一方、小太刀ニブは、鋭くシャープな筆致が特徴で、細かい文字や繊細な筆運びに適しています。

この違いを生み出しているのが、それぞれのペンポイントの形状です。

小太刀ニブと渓流ニブのペンポイントの比較

渓流ニブ(写真 右)は、ペンポイントが大きく丸みを帯びた「かまぼこ型」の形状をしており、滑らかな線と豊かなインクフローを実現しています。一方、小太刀ニブ(写真 左)は、先端が細長く鋭利な矢尻のような形状で、フラットに研ぎ出されています。そのため、紙に触れる面積が小さく、繊細でシャープな線を生み出します。

渓流ニブと小太刀ニブの文字比較

上が渓流ニブ、下が小太刀ニブで書いています。


渓流ニブ – 筆のような抑揚を楽しむ特別なペン先

渓流ニブは、渓流の水の流れのように滑らかで、自然な抑揚を生み出すペン先です。ペン先の角度や筆圧に応じて線の太さが自在に変化し、豊かで立体感のある筆記を楽しむことができます。

渓流ニブの特徴は以下の通りです。

  • 柔軟な表現力
    スチールニブでありながら、筆圧や角度に応じて線の太さを調整可能
  • 湾曲した大きなペンポイント
    ペンポイントがわずかに湾曲したかまぼこ型の形状により、滑らかな筆記感と自然な強弱を表現
  • 中〜大きめの文字に最適
    特に漢字の「ハライ」「トメ」「ハネ」をダイナミックに表現

渓流ニブは、漢字を流麗に書きたい方や、線の表情を楽しみたい方に最適です。


購入方法

WANCHERでは、JOWO #6ニブを搭載した一部のモデルで、購入時にオプションとして、KEIRYUニブ・渓流が選択できます。料金は+7,700円です。

例えば「誠エボナイト」で渓流ニブを選択すると、税込で29,700円となります。

誠エボナイト     22,000円
渓流ニブ     7,700円
_________
合計     29,700円

「誠エボナイト -峰-」のペン先は渓流ニブのみで、税込35,200円です。

また、15,000円(税別)以下のJOWO #6ニブ搭載モデル(例:世界樹万年筆)では、購入時にKEIRYUニブを選択できませんが、別売の渓流ニブを購入して交換することが可能です。

「世界樹万年筆」と別売の交換用「渓流ニブ」の合計でWANCHER楽天公式であれば、税込で20,350円となります。

世界樹万年筆     11,000円
渓流ニブ(別売)     9,350円
_________
合計     20,350円

さらに、Amazonで検索するとMonteverde(モンテベルデ)Conklin(コンクリン)は、交換ニブとしてJOWO #6があるので、渓流ニブに交換できる可能性があります。試してはいないので、あくまで自己責任で、、。


小太刀ニブ – 漢字を美しく刻む鋭利なペン先

The Nib Shaper創業者・長原氏が、セーラー万年筆の長刀(なぎなた)研ぎに独自の改良を加え、より漢字を美しく書くために開発した研磨方法が小太刀(こだち)研ぎです。WANCHERをはじめ、複数のメーカーが長原氏の監修を受けて小太刀ニブを販売しています。

WANCHERでは、18金ペン先への変更が+15,000円(税別)で、小太刀ニブへの変更は+12,000円(税別)です。「スチールニブなのに?」と感じるかもしれませんが、鉄ニブとは思えない書き味を体験すれば、その価値に納得できるはずです。

小太刀ニブには以下のような特徴があります。

  • 鋭利なペンポイント
    矢尻のように細長く、フラットに研がれた形状
  • 線のメリハリ
    縦線と横線の太さのコントラストが大きく、立体感のある文字が書ける
  • 漢字に最適
    トメ、ハネ、ハライを精密かつ力強く表現可能
  • 力強い書き心地
    鋭い書き出しで、堂々とした文字の印象を与える

小太刀ニブは文字のメリハリや正確さを重視する方におすすめで、特に漢字の美しさを追求したい方に最適です。ただし、楽天公式では小太刀ニブの太字しか取り扱いがありません。

KEIRYU・KODACHI(渓流・小太刀)を選択すると、22,000円の誠エボナイトが35,200円になります。

誠エボナイト     22,000円
渓流・小太刀ニブ     13,200円
_________
合計     35,200円

楽天公式には以下のように記載されているので問い合わせてみてください。

※販売中のニブとは異なるお色やサイズをご希望の場合は、変更が可能なものもございますので、お問い合わせください。

【引用】WANCHER楽天公式 - 誠エボナイトマットブラック

価格はさらに高くなりますが、WANCHERでは18金の小太刀ニブも選択できます。「不思議の国のアリス」のハートの女王をモチーフにした「キングオブハート」は、セーラー万年筆のプロフェッショナルギアをベースにしています。このモデルでは、小太刀ニブのF(細字)、M(中字)、B(太字)が選択可能です。

小太刀ニブを選ぶならWANCHER公式サイトで購入した方が、より多くの選択肢があります。下写真はWANCHER公式で購入した「誠エボナイト マットブラック 小太刀研ぎ(中字)」です。

WANCHER 誠エボナイト マットブラック - 小太刀研ぎ(中字)

渓流ニブ vs 小太刀ニブ - あなたに合うのはどっち?

どちらのニブが良いかは、個人の好みや筆記スタイルによって異なります。渓流ニブは、かなり太めの線となるため、細かい文字を書くのには向いていません。

共通しているのは、ともにインクフローが良く、滑らかな書き心地を持つペン先であることです。しかし、なぜか同じインクを使っても、渓流ニブと小太刀ニブは、他の万年筆で書いたの比べてインクが薄いように感じます。気のせいかと書いた文字を拡大すると「ムラ」があるのがわかります。この「ムラ」がインクを薄く感じさせているのだと思います。

渓流ニブ、小太刀ニブで書くとインクが薄くなる?
  • 渓流ニブ:滑らかで、表現力豊かな筆記を楽しみたい方
  • 小太刀ニブ:漢字を美しく書きたい方、力強い文字を書きたい方

小太刀ニブは、太字・中字・細字の3種類から字幅を選ぶことができます。中字の字幅は、セーラー万年筆やパイロットの中字とほとんど変わりません。

渓流ニブと小太刀ニブは試し書きができないため、選択が難しいのですが、ペン先単体でも購入できる渓流ニブは、価格面も含めて小太刀ニブより入手しやすいというメリットがあります。


書くことを深める道具としての万年筆

万年筆は単なる筆記具ではなく、使い手の書く楽しさや表現の幅を広げる道具です。だからこそ、道具としての本質を見極め、適切なものを選ぶことが重要になります。

高価な万年筆が必ずしも良いとは限りません。しかし、ときに道具は自分を成長させてくれます。渓流ニブや小太刀ニブもそうした書くを楽しみ自分を成長させてくれる道具です。

金ペンや軟調ペン先を使ってきた方なら、長刀研ぎを一度は必ず気にされるのではないでしょうか。そのときの選択肢として、渓流ニブや小太刀ニブを考えてみるのも良いかもしれません。

ふと、渓流ニブと小太刀ニブの両方を購入することになるのであれば、セーラー万年筆の長刀研ぎを購入できたのでは?と思うこともありますが、沼にハマっているので仕方がありません。

ふと、渓流ニブと小太刀ニブの両方を買うなら、セーラー万年筆の長刀研ぎが買えたのでは?と思うこともあります。でも、仕方ありません。万年筆沼とは、そういうものです。

Post Date:2025年1月6日 

万年筆メモライフの必需品!MDブロックメモとメモホルダーで快適に

MDブロックメモ、Njeco汎メモホルダー、COREDA ペンスタンド

ちょっとしたメモを取るのにメモ帳を使っていましたが、テーブルの上の秩序がなくなるのと、いざという時に見つからなかったり...。そんな不便さを感じたことがある方もいるのではないでしょうか?

ふと浮かんだアイデアを書き留めたり、To Doリストを作ったり、電話のメモを取ったり、仕事でもプライベートでも、メモ用紙は私たちの生活に欠かせない存在です。

また、コレクションが増えてしまった万年筆を有効活用するために、メモを取るのも万年筆を使いたい。そんな万年筆愛好家にも、MDブロックメモはおすすめです。


MDブロックメモ

ブロックメモは、紙をブロック状に積み重ねて糊付けしたメモ帳のことです。1枚ずつ剥がして使える手軽さが魅力です。

MDブロックメモ 無罫
【引用】Amazon - MDブロックメモ 無罫

MDペーパープロダクトのMDブロックメモは、書き心地の良さに定評のある「MD用紙」を使用したブロックメモ(10cm × 10cm)で、500枚とたっぷり使えます。無罫(無地)、方眼罫(5mm)、横罫の三種類があります。

メモ用紙とするなら自由にかける無罫をオススメです。


MD用紙の特徴

MDメモブロックの用紙は、MDノートと同じMD用紙です。MD用紙は、1960年代にミドリが開発したオリジナルの筆記用紙で、「書くを愉しむ」を追求して作られています。万年筆との相性もとても良く、以下の特徴があります。

  • にじみにくい:万年筆のインクは水性なので、紙によってはにじんでしまうことがあります。しかし、MD用紙はにじみにくく、万年筆でもきれいに書くことができます。
  • 裏抜けしにくい:万年筆で書いたときに、インクが裏側に透けてしまうことを裏抜けと言います。MD用紙は裏抜けしにくいので、両面を快適に使えます。
  • 滑らかな書き心地:MD用紙は、表面が滑らかで、万年筆のペン先が引っかかりにくいです。そのため、ストレスなく、スムーズに書くことができます。
  • 濃淡の表現が美しい:MD用紙はインクの発色がよいので、インク本来の色味を鮮やかに再現できます。そのため、インクの濃淡による色の変化も美しく表現されます。

テーブルの上の調和

Hacoaで見た木製のメモブロックホルダーが、メモブロックをオブジェ化していたのを思い出し、木製のメモブロックホルダーを探してみました。

材質と塗装が異なりますが、根来塗りメモホルダーとNjeco汎(エヌジェコハン)メモホルダーは、形状が同じで、付属のメモパッドも同じです、、。

こういうのをあとで調べようと思ったときにもメモしておくと忘れません。

MDブロックメモ & Njeco汎メモホルダー

根来塗りメモホルダー

こちらは、根来塗り(ねごろぬり)風のメモホルダーです。根来塗りとは、木地に黒漆を塗り、その上に朱漆を塗る技法で、使い込むうちに朱漆が薄れて下の黒漆が見えてくるという特徴があります。このメモホルダーは、MDF(木くずを固めて板にしたもの)にウレタン塗装を施すことで、根来塗りの風合いを再現しています。

根来塗りメモホルダー
【引用】Amazon - 根来塗りメモホルダー

残念ながらこちらの商品は2025年1月時点では在庫切れとなっています。


Njeco汎メモホルダー

こちらは、etranger di costarica(エトランジェ ディ コスタリカ)と島安汎工芸製作所のエコブランド「Njeco汎」とのコラボ商品です。和歌山県熊野、中辺路(なかへち)の檜(ヒノキ)の間伐材を使用した環境にも配慮した製品となっています。

Njeco汎メモホルダー 檜
【引用】Amazon - Njeco汎メモホルダー

luminio(ルミニーオ)ブロックメモケース

こちらは、今では稀少杢(きしょうもく)となった台湾ひのきを使用したメモケースです。稀少杢とは、希少な木材のことです。岡山県西大寺の職人が丁寧に1点1点作り込んでおり、シンプルながらも高級感のあるデザインです。

【引用】楽天 - luminio ブロックメモケース

ペンスタンドと共に

メモを取るときに、ペンを探す手間を省き、スムーズに書き始めたいと思いませんか?ペンケースにしまっていると、使いたいときに限って見つからない…なんてことも。

そこでおすすめしたいのが、一本挿しのペンスタンド です。

お気に入りの万年筆を一本だけ、デスクの上にスタンバイさせておく。それだけで、

  • すぐにメモを取れる
  • ペンを探す手間が省ける
  • デスク周りがスッキリする
  • 大切な万年筆を眺められる

など、たくさんのメリットがあります。

万年筆を美しくディスプレイできるのも、一本挿しペンスタンドの魅力です。

MDブロックメモ & Njeco汎メモホルダー & ペンスタンド

上写真のペンスタンドはCOREDA(コレダ)のペンスタンドです。


まとめ

「あれ、この曲なんだっけ?」「あ、牛乳買うの忘れないようにメモしなきゃ」「これあとで調べてみよ」「この映画、面白そう!メモメモ…」

日常生活の中で、メモを取るシーンは本当に多いですよね。

MD用紙の滑らかな書き心地、万年筆との相性、そしてスタイリッシュなメモホルダー。さらに、ペンスタンドを組み合わせれば、まさに最強のメモ環境が完成します。

快適なメモライフを始めてみませんか?

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