Translate

ラベル アクアリウム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル アクアリウム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
Post Date:2021年1月31日 

カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの長期飼育

カクレクマノミとハタゴイソギンチャク

上写真のカクレクマノミのペアは、象と散歩: カクレクマノミの飼育は簡単? の中で2013年春に購入と書いているので、飼育開始から8年近くになります。ADW: Amphiprion ocellaris: INFORMATION によると自然下での平均寿命は、6-10年とあります。しかし、飼育下では20年というの記事もありますので、まだまだ長生きしてもらいたいです。

一方、ハタゴイソギンチャクの平均寿命については、Stichodactyla gigantea - Wikipedia に3-5年とありますが、こちらも同じく8年を迎えようとしています。水槽の掃除のときに手を刺されるとちょっと痛いですが、長く飼育しているとイソギンチャクにも愛着が湧いてきます。

しかし、愛着とは裏腹に飼育開始の頃と比べると、飼育方法はだいぶ手抜きとなりました。逆に言えばこれがカクレクマノミとイソギンチャクに必要最小限な機器と飼育ではないかと思っています。


カクレクマノミとハタゴイソギンチャクに必要なもの

過去のブログでは、カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生には下記の4つが必要だと記載しています。これはより飼育が難しいハタゴイソギンチャクの生態に合わせて飼育環境を考えてのことでした。

  1. 光(LEDスポットライト)
  2. 水質(ろ過装置&プロテインスキマー)
  3. 水温(ヒーター)
  4. 水流(小型ポンプ)

しかし、下の写真のように4番目の水流(小型ポンプ)は、現在は使っていません。またヒーターは真冬のみ利用しています。

必要なアクアリウム器具

水流は不要?

ハタゴイソギンチャクは浅瀬に生息するイソギンチャクなので波(水流)が必要ではないかということで、小型ポンプを使って水流を作っていましたが、小型ポンプのモーターが故障をして使用を止めましたが、ハタゴイソギンチャクに大きな変化はありません。

小型ポンプで発生させる水流は、自然の波と比べるとあまりにも貧弱で意味がなかったようです、、、、。


水温は25℃が最適?

リビングで飼育しているので冬でも水温があまり下がらないということもあり、冬の寒い時期(12月中旬から3月上旬頃)だけヒーターを使っています。

ヒーターの設定温度は20℃です。夏は水温が30℃になるので、20-30℃の中での飼育です。カクレクマノミもハタゴイソギンチャクも水温の変化に思った以上に強いですし、低温にも適応します。しかし、個体差もあると思いますので水温と生体の様子を観察しながらヒーターを使ってください。

カクレクマノミが、日中でもイソギンチャクの中に身を潜めて、じっとしていているのであれば水温を上げましょう。ハタゴイソギンチャクは水温が下がると小さくなりますが、この冬の時期に水温を下げていることで大きくなるハタゴイソギンチャクの成長を抑制できているのかもしれません。

この冬は、ずっと家にいるので部屋が暖かく、リビングに設置している水槽の水温も下がりません。水温計で確認すると18−19℃なのでヒーターをまだ使っていません。カクレクマノミも元気に餌を欲しがって上がってくるので、今の冬はヒーターなしで飼育できそうです。


天然海水とプロテインスキマー

以前、ハタゴイソギンチャクに元気がなくなってしまったときに、天然海水がいいと聞き、釣りに行ったときにポリタンクに汲んできた海水を水槽に入れると徐々に元気になりました。それ以来、人口海水ではなく天然海水を使っています。

水換えは積極的にはしていません。プロテインスキマーのタンクに溜まった分の海水を補給して、蒸発した水は、浄水器の水を足しています。海水も臭くはないのでろ過装置とプロテインスキマーで水質は維持できているようです。時折、水槽のガラス面をメラミンスポンジで汚れを落としていますが、その時に網でかき回して大きなゴミは網ですくい、残りはプロテインスキマーに任せています。

以前は、ハイドロメーターで塩分濃度を確認し、試験紙で水質をチェックしていましたが、今や海水や浄水の水も目分量ですし、水質チェックはまるきっりしていません。あまり神経質にならなくてもカクレクマノミもハタゴイソギンチャクも元気です。


長期飼育からわかった共生飼育の重要な要素

ということで、カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの長期共生飼育には、

  • 光合成のための光
  • 適当な水質

を年間を通して維持し、寒くなったらヒーターで水温を上げればいいというのが結論です。

機材的には

  • LEDスポットライト(光合成)
  • エーハイム アクアコンパクト(水質維持)
  • マメデザイン マメスキマー3(水質維持)

という3種の神器と必要に応じてヒーターです。


LEDスポットライト(光合成)

象と散歩: 初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育 で、カクレクマノミ と共生するイソギンチャクについて書いていますが、ハタゴイソギンチャク、センジュイソギンチャクなど褐色の ”褐虫藻” で光合成をして栄養を得るイソギンチャクには光が必要です。

水槽でこの褐虫藻が光合成するためには、青色LEDスポットライトが最適です。

なぜ青色LEDスポットライトが最適かと言えば、象と散歩: イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト からの再掲となりますが、

  • 光合成に必要な波長は400nm-500nm(青色)と600nm-700nm(赤色)
  • 海中では赤色光は吸収されてしまう
  • 褐虫藻には青色の光を吸収する光合成補助色素のペリジニンがある
  • 海中の褐虫藻が光合成を行うには青色以外の光は不要
  • 高輝度青色LEDは効率的に青色のみ発光できる
  • 光合成光量子束密度を高めるため光を分散させないスポットライト型

という理由からです。イソギンチャクの飼育に青色LEDより効率的なアクアリムライトはありません。

イソギンチャクの飼育に何度か失敗したあとに「アクシーファインスポット LED 20W ブルー」に辿り着きましたが、青の世界はイソギンチャクには快適な環境だったようです。その後、象と散歩: ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生は紫色の世界で大丈夫? で書いた青8赤2白2灯に、そして、現在は、青8赤4灯へと変遷しています。

水槽照明 アクアリウムライト 24W 青8 赤4灯

2代目から46z8(よろずや)が扱っている、お財布に優しいLEDスポットライトにしましたが、残念ながら、青8赤2白2灯は8ヶ月間と短命でした、、、。

46z8(よろずや)で扱っている青色系LEDスポットライトは合計LEDランプ12個で24Wです。青色だけで考えるとLEDライト8個で16Wと、最初に購入した「アクシーファインスポット LED 20W ブルー」より青色の光が弱くなっています。それでもハタゴイソギンチャクは成長を続けているのと、観賞という観点ではブルーよりも紫色の世界の方がカクレクマノミも綺麗に見えるので良しとしています。

青色を中心とするのであれば、こちらです。

メインビジュアルの写真のように紫の世界であれば、青8灯、赤4灯となります。

46z8(よろずや)では上記以外にも、

があります。

LEDスポットライトとして水槽の淵にかけて固定する「AXY FINE SPOT」を使っています。

アームでスポットライトを当てる位置を動かせるのでハタゴイソギンチャクが移動してしまった場合にも追っかけることができます。

またライトの点灯/消灯にアナログ式のプログラムタイマーを使っていましたが、現在は、スマート家電化の一環として購入したスマートプラグに変えました。

スマートプラグでアクアリウムライトをコントロール

アナログ式のタイマーでは「ジジジジ」という時を刻む音がしていましたが、スマートプラグにしてから無音となりました(笑。また時間にも正確です。現在は、8:30点灯、20:00消灯と設定していますが Amazon Echoで、

Alexa, 水槽のライトを点けて/消して

と音声で点灯/消灯のコントロールもできます。

EchoがなくてもスマホとWiFi環境があればスマートプラグは使えます。


エーハイムアクアコンパクト(水質維持)

餌やカクレクマノミ の排出物により小さな海水の世界では分解能力が少ないので ”ろ過装置” は必須です。

エーハイム アクアコンパクトは、"物理ろ過"、"生物ろ過"、"吸着ろ過(活性炭フィルター)" の3種類が組み合わさったコンパクトな外部フィルターです。ポンプ部も水槽にかけるだけなのでセッティングも簡単で初心者向けです。アクアコンパクトには2004と2005の二種類があります。2005の方5cm背が高く、その分、ろ材を多く入れられますが、30cm水槽であれば2004で十分です。

アクアコンパクト 2004 2005
ろ過槽容量 1.0ℓ 1.5ℓ
ろ材容量 0.8ℓ 1.3ℓ
本体寸法 128×(H)191mm 128×(H)241mm

ろ過装置のモーターは6万時間以上連続稼働していますが、異音も故障もなく動作し続けています。しかし、水槽に水を供給するノズルは塩が付着して取れなくなってしまいましたので、見た目からそろそろ替え時かもしれません。

アクアコンパクト2004

生物ろ材

バクテリを繁殖させるために細かい穴がたくさんある多孔質ろ材が使われています。バクテリアの働きにより有害物質を無害化します。エーハイム 純正ろ材の ”エーハイム サブストラット プロ レギュラー” を使っています。掃除は結構な大仕事になるので年に2回、フィルターを交換するタイミングで水で濯ぎ洗いしています。ろ材は7年間で数回しか交換していません、、、。


物理ろ過

エーハイム アクアコンパクト 2004/2005用フィルターパッドセットは、下記のセットとなっています。

  • 細目フィルターパッドx3(1ヶ月毎に交換)
  • 粗目フィルターパッドx1(2〜3回の洗浄、若しくは6ヶ月)
  • ストレーナー用スポンジフィルターx1(2〜3回の洗浄、若しくは6ヶ月)

純正品として販売されているのに交換時期の目安とセットの枚数が異なるのが疑問ですが、ろ過装置を開いて掃除をするのは面倒です。なので、細目フィルターを4ヶ月毎に交換して、その時に粗目フィルターと多孔質ろ材も洗浄しています。粗目フィルターとストレーナー用スポンジフィルターは年に1回の交換です。これでセットの枚数とも合致します。


吸着ろ過

アクアコンパクトは別売の活性炭フィルターパッドが使えます。「活性炭の力によってにごり、悪臭を吸着して水を透明にします。」とあり、最初の頃は使っていましたが、水の匂いも気にならないのでいまは使っていません。


マメデザイン マメスキマー3(水質維持)

象と散歩: ハタゴイソギンチャクの飼育にはプロテインスキマーが必要? でプロテインスキマーについて記載していますが、プロテインスキマーは、泡を発生させてタンパク質の汚れが泡に吸着させて水質を維持するための装置です。

エアレーションでカクレクマノミ、ハタゴイソギンチャクといった生物だけではなく、ろ過装置の生物ろ過をするバクテリアに酸素供給をする効果もあります。

マメデザイン マメスキマー3

"マメデザイン マメスキマー3” は、細いガラス管の中のウッドストーンにエアポンプで空気を送り細かい泡を発生させて泡の力で浮き上がったゴミと海水を外に置いた容器に貯めて行きます。デザインもシンプルで小型水槽にピッタリです。

エアーポンプには "アデックス エアーポンプ X101” を使っています。

アデックス エアーポンプ X101

ウッドストーンは消耗品で、定期的な交換が必要です。

マメデザイン ウッドストーン

プロテインスキマーは、イソギンチャク飼育の水質維持には必須です。


ガラス管を割ってしまった、、、

掃除をしているときにマメスキマー3のガラス管を割ってしまいました。「結構な出費に、、、」とショックを受けましたが、交換部品としてガラス管本体だけで販売されていました。

それでも痛い出費でした。

マメスキマー 交換部品 ガラス菅本体

飼育をこれから始めるなら

水槽、底砂、ライブロックなどについては、象と散歩: カクレクマノミの飼育は簡単? を参考にしてみてください。

イソギンチャクは同時に購入せずにカクレクマノミ が定着してから購入しましょう。アクアリウム店に行かなくてもネットで共に購入できます。ネットで生き物を購入することには躊躇いもありましたが、charm 楽天市場店 で購入したカクレクマノミとハタゴイソギンチャクが長生きしています。カクレクマノミはなるべく成長した4cm以上の個体を選びましょう。

カクレクマノミとハタゴイソギンチャク

自宅で過ごすことが多くなったいまアクアリムを始めるいいチャンスです。

ハードルが高いと言われる海水熱帯魚のカクレクマノミとハタゴイソギンチャクもちょっとしたコツで長く飼育することができます。

Post Date:2019年6月16日 

ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生は紫色の世界で大丈夫?

水槽の中のカクレクマノミとハタゴイソギンチャク

イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト | 象と散歩 で紹介していたアクシーファインスポット LED 20W ブルー(青色LEDスポットライト)が、年末年始の長期(10日間)の不在時に故障(涙。冬場でもヒーターを使っていないかったことも重なり、自宅に戻ったときには、ハタゴイソギンチャクが小さく縮んでしまっていました。

LEDスポットライトを交換したときの小さくなってしまったハタゴイソギンチャクが下記の写真です。

アクアリウム LEDスポットライト 青色LEDx8 赤色LEDx2 白色LEDx2

代わりのLEDスポットライトを購入しなければとAmazonで検索しましたが、アクシーファインスポット LED 20W ブルーは、既に生産終了(残念)。

ハタゴイソギンチャクの状況からするとウルトラマンのカラータイマーが鳴っているので同じで、少しでも早く光を浴びさせなければ生命維持も難しそうです。

プライム対象商品でないといつ届くのかという心配があるので、翌日には間違いなく届くAmazonでプライム対象の青色LEDスポットライトを探しましたが、残念ながらこの時点ではありませんでした。なるべく青色LEDが多いものとして見つけたのが、アクアリウムライト 24W 青8 赤2 白2灯 LEDスポットライト でした。

初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育 | 象と散歩 の再掲となりますが、ハタゴイソギンチャクの育成のために青色LEDスポットライトを選んだのは、下記の理由からです。

  • 光合成に必要な波長は400nm-500nm(青色)と600nm-700nm(赤色)
  • 海中では赤色光は吸収されてしまう
  • 褐虫藻には青色の光を吸収する光合成補助色素のペリジニンがある
  • 海中の褐虫藻が光合成を行うには青色以外の光は不要
  • LEDは効率的に青色のみ発光できる
  • 高輝度青色LEDの実現とLEDライトの低価格化(以前と比べて)
  • 光合成光量子束密度を高めるため光を分散させないスポットライト型

アクアリウムライト 24W 青8 赤2 白2灯 LEDスポットライト は、24WのLEDスポットライトですが、青色だけでみると 2Wx8個=16W とアクシーファインスポットよりも青色の光量が少なくなります。放射レンズ角度は60℃で、イソギンチャクを中心としてライトを当てることが可能です。

青色の光量が前と比べて少なくなるので、少し不安もありましたが、イソギンチャク消滅の危機寸前だったので、ポチッと購入し、翌日には設置を完了させました。

アクアリウム LEDスポットライト 青色LEDx8 赤色LEDx2 白色LEDx2

青から紫の世界へ

新旧LEDスポットライトでの水槽中の色の比較です。左が以前の水槽の様子で、深青の世界でした。右が新しく購入したLEDです。新しいLEDスポットライトは水面に反射して映るLEDからもわかるように赤や白が混じり、青色から紫色の世界へと変わりました。写真では濃い紫色ですが、肉眼ではキービジュアルとして使った最初の写真よりも薄い紫に見えます。

白色が入ったことで水槽の視界は青色LEDよりクリアになりました。カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生を観測するという意味では、カクレクマノミの色も赤く見え、カクレクマノミが水槽映えするようになりました。

アクアリウムスポットライト 青と紫の比較

同じ種類で青色LED8灯、赤色LED4灯(購入時にはありませんでした)だともう少し紫色の世界が濃くなるかと思います。

また同系列で、青色LED8灯、紫外線(UV:Ultra Violet)4灯のいうのもありました。

紫外線(UV)は、可視光線である青色の400nmより短い波長です。褐虫藻の光合成に必要なのは可視光線ですが、紫外線がハタゴイソギンチャクどのように影響するのかはわかりません。


紫の世界でのハタゴイソギンチャク

ハタゴイソギンチャクは、小さく縮こまってしまった時と比べると、だいぶ元のサイズに戻ってきました(メインビジュアルの写真は新しいLEDスポットにしてから3ヶ月後)。室温が上がり、水温も高くなってきたのも起因しているかと思います。なぜか、光を当てていた場所から水槽前面に移動してきました。

紫色の世界を作り出す、青8灯、赤2灯、白2灯のLEDスポットライトでもハタゴイソギンチャクは飼育できそうです。ただ、以前のようなモコモコ感と、ライトを付けたときのうごめきはなくなりました。

暫く様子を見ていきたいと思います。


LEDスポットライトにはこちらも必要

LEDスポットライトのアクアリウムタンク(水槽)への取り付けは、AXY FINE SPOTが便利です。購入から5年半以上経ちますが、問題なく使えています。

AXY FINE SPOT


こんな製品もあったのね、、、

改めてイソギンチャクの飼育に適した、青色LEDを中心とした水槽ライトを探してみたところ、下記の商品を見つけました。

かなり日本語が怪しい説明ですが、3WハイパワークリーLED(クリーロイヤルブルー、クリーブルー、クリーホワイト)×3、スペクトラム比も掲載されています。450nmぐらいを中心とした青色がメインとなっているのでハタゴイソギンチャクにも十分かと思います。

Hipargero LED 水族館ライト 30Wのスペクトラム比率

ただ、スポットライトと異なり、ライトが3か所にあり、水槽全体を照らすようになっているので、イソギンチャクにスポットライトを浴びせることはできなそうです。

青 12灯のアクアリムスポットライトではこちらが入手可能でした、、、。

Post Date:2016年2月14日 

ヨロイイソギンチャクを飼育しよう

ヨロイイソギンチャク

カクレクマクマノミとハタゴイソギンチャクを共生飼育している水槽の中にヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクも生息しています。ヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクはウメボシイソギンチャク科で、ハタゴイソギンチャクと同様に褐虫藻と共生しているため触手の色は褐色です。またこの2種は干潮時に磯の潮溜まりでよくみかけるイソギンチャクで見た目も似ています。

ヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクの見分け方は、 東京大学三崎臨海実験所ベリルイソギンチャク に記載されています。これによると、触手に斑紋があり、体壁が石や砂粒で覆われているのがヨロイイソギンチャクで、触手に斑紋がなく、口のまわりが赤茶色に染まり、体壁に石や砂粒がほとんど付いていないのがベリルイソギンチャクです。

上の写真のイソギンチャクは砂粒をまとって触手に斑紋があります。また下のイソギンチャクも写真では見えませんが砂粒をまとっていて触手に斑紋があり、口のまわりも赤茶色ではないことからヨロイイソギンチャクであろことがわかります。

 ヨロイイソギンチャク

一方、下の写真のイソギンチャクは、褐虫藻が抜けてきているので触手の色が白っぽくなっていますが、触手には斑紋はなく、砂粒もほとんどまとっていません。また口のまわりも若干赤っぽいところからベリルイソギンチャクではないかと思っています。

 ベリルイソギンチャク

何れも千葉の南房総で採取してきた個体です。


イソギンチャクの採取方法

千葉県内のイソギンチャクについては、千葉県立博物館分館 海の博物館 の「イソギンチャクを観察しよう」に生息域も記載されているので千葉方面に出かけるときには参考にしてください。

採取は、磯にいるイソギンチャクを無理やり引きはがすと悲しい結果になってしまいます。シャベルや大き目のマイナスドライバーで、ほじれるところにいるイソギンチャクを選んで個体の周りごと採取しましょう。

採取後は少し海水を入れたZiplocにいれます。干潮時には水が浸らない場所にも生息している生命力の強いイソギンチャクなので、採取してから水槽に投入するまでの数時間であればエアポンプは必要ありません。


ヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクの飼育方法

ヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクは褐虫藻と共生して養分を得ていますので、褐虫藻の光合成には青色LEDが最適です。詳しくは、イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト | 象と散歩 を参照してみてください。ただ、同じ水槽で飼育していてもベリルイソギンチャクの方は白っぽくなって褐虫藻が抜けてしまっているのでもっと強い光が必要なのかもしれません。

下の写真は、里子に出したベリルイソギンチャクです。蛍光灯のライト下では完全に褐虫藻が抜けて透明となってしまいました。

ベリルイソギンチャク

自宅のヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクは、ハタゴイソギンチャクと同じ飼育環境下なので 初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育 | 象と散歩 に詳細を記していますが、ちょっと過保護気味の飼育環境です。でも、里子に出したベリルイソギンチャクは、ろ過装置だけの水槽で飼育していますが、飼育開始から1年以上経ったいまでも元気です。

水槽と濾過装置に砂とイソギンチャクが定着するための岩(ライブロック)を入れます。岩はイソギンチャクを採取するときに磯で拾ってきたものでも構いません。水は人工海水で作ります。

水槽の水替えは、水が汚れたら替えれば大丈夫です。里子のイソギンチャクの水槽は3か月に1度、全部の海水を入れ替えています。塩分濃度も比重計で都度測定しなくても、人工海水を作るときに計量すれば十分です。あとは蒸発分を浄水器の水(カルキ抜いた水)で補充します。


イソギンチャクの餌

もともとイソギンチャクは活発に動いて餌食するわけではありません。ヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャクも居心地のいい場所を探して移動することはありますが、捕食のために積極的に動くことはありません。触手も普段は流れに任せていて刺激があったときだけ反応します。

なので、イソギンチャクの触手が褐色であれば褐虫藻の光合成から栄養が得られているので、餌をこまめにあげる必要はありません。しかし、脱色して白くなってしまったイソギンチャクには給餌が必要です。里子のイソギンチャクは2-3日に1回、餌をもらっています。

イソギンチャクの餌としては、動物食性の熱帯魚用の大粒の顆粒のメガバイトレッド L を与えています。ピンセットでつまんでイソギンチャクの口まで運ぶと、触手をまるめてキュッと閉じます。そして次に触手を開いたときには餌は見えなくなって(食べて)います。1回での給餌は1粒で十分です。

また餌をつまんでイソギンチャクの口まで運ぶには ロングサイズのピンセット があると便利です。


飼育してみるとイソギンチャクもカワイイ

ただゆらゆらとしているイソギンチャクですが、見ていると癒されます。イソギンチャクは、光合成が必要なのでLEDスポットライトを使っています。青一色の世界も素敵です。

Post Date:2014年10月26日 

イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト

20141025_070956843_iOS

青色LEDの発明で赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞しましたが、LEDで三原色の発光が可能となり、照明なども一気に普及していきました。しかし、それだけではなくカクレクマノミとイソギンチャクの飼育方法にも大きな変革をもたらしてくれていたのです。 イソギンチャクの飼育には光合成のために照明が必需品ですが、まさにこの青色LEDが救世主となってくれたのです。


イソギンチャクの光合成には青い光

初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育』の中でも光合成を行うイソギンチャクには青色LEDが最適であると述べましたが、改めてその理由について記載します。

  1. イソギンチャクは共生する褐虫藻の光合成で養分を得る
  2. 光合成に必要な光は、青色(波長 400-500nm)と赤色(600-700m)
  3. 水深5m以上では青色の光しか通らない

ということで、イソギンチャクの褐虫藻が効率的に光合成を行うためには、青色(ブルー)を発光できる青色LEDが適しているということになります。そして光を拡散せずに集約できる青色LEDスポットライトが最もイソギンチャクの飼育に適した照明であるといえるのが自分の結論でした。またLEDライトであれば寿命も長いですし、電気消費量も抑えることができます。


アクシーファインスポット LED 20W ブルー

ボルクスジャパン GrassyLeDio(グラッシーレディオ) RS122 リーフディープV の購入を検討していたのですが、物欲も金額に勝てず、それよりも安価なアクシーファインスポット LED 20W ブルーを購入しました。

※2017.03 時点では共に販売中止となっています。

水槽の水面から近いと海水の飛沫も心配だったので、水面から少し離して使えるアーム型フレキシブルクリップの アクアシステム AXY FINE SPOT も併せて購入しました。


アクシーファインスポット LED 20W で光合成はできるのか?

アクシーファインスポット LED 20W ブルー はメーカーサイトにも波長についての記載がありませんでしたので、メールで問い合わせをしてみたのですが回答はありませんでした…。しかし、購入してみると外箱にWAVE LENGTH(波長)について記載されたシールが貼られていました。

20141025_133420118_iOS

かなり小さくて見づらいのですが、450nm 中心とした藍色から水色ぐらいまでをカバーしています。このライトを使って1年半が経ちますが、白色化する(褐虫藻が抜けてしまう)こともないので、褐虫藻の光合成に役立っているのだと思います。動画は アクシーファインスポット LED 20W ブルー の点灯直後に、光を全体に当てようと活性化していくハタゴイソギンチャクの様子です。


アクシーファインスポット LED 20W の照射角度

アクシーファインスポット LED 20W ブルー は、付属のレンズを交換することによって照射角度を30° 60° 90°と変更することができます。最初は集中して照射する方がよいのではないかと思い、30°のレンジを使っていましたが、光があたる部分はハタゴイソギンチャクが触手を固く閉じていましたので、中心の4つを60°に変更しました。

20140308_064656675_iOS

レンズを交換してからは、全体的に触手を伸ばしてゆたっりとしているのでそのままこの構成で利用しています。

20141005_073933629_iOS


アクシーファインスポット LED 20W での必要な照射時間

アクシーファインスポット LED 20W ブルー の点灯時間は、ハタゴイソギンチャクへの1日の点灯時間(照射時間)は、当初、12時間(AM9-PM9)にしていました。しかし、照射時間が長いとカクレクマノミにとってもよくないのではないかと思い、現在ではAM9-PM18の9時間にしています。それでもハタゴイソギンチャクは成長していっているのでもう少し短くてもいいのかもしれません。カクレクマノミやイソギンチャクの様子を見ながら点灯時間を調整すればよいのではないでしょうか。 ライトの点灯オン・オフには、24時間プログラムタイマーII PT25 が便利です。


アクシーファインスポット LED 20W の難点

慣れてしまいましたが、30cm水槽だとちょっと大きな感じもします。また写真だとわかりづらいかもしれませんが、LED照明なので電球自体に劣化はないのですが、水槽にふたをしていないので海水の飛沫で表面はかなりボロボロになってきています。

20141024_131213261_iOS

また点灯すると一面ブルーの世界になりキレイなのですが、これが深海魚に赤い種が多い理由かなどと感心はしていますが、肝心のカクレクマノミは青いライトの配下では黒っぽく見えます。

20141005_073857374_iOS

とはいえ、イソギンチャクの長期飼育には欠かせない青色LEDスポットライトです。

カクレクマノミとイソギンチャクの飼育に必要な機材は、”カクレクマノミとイソギンチャクの飼育に” で紹介しています。


追記(2016.2)/(2017.03)

残念ながら アクシーファインスポット LED 20W ブルー は、現在、Amazonでも楽天でも購入できないようです。同じように低価格で購入できる青色LEDのアクアリウムライトを探してみました。

光合成に足りうる光量が得られるかはわかりませんが、アクアシステムの アクシー ファインスポット LED 10W ブルー はまだ購入できるようです。

グラッシー レディオ RX072 シリーズから、もう少し明るい14Wのブルー系LEDライトが販売されています。こちらも褐虫藻の光合成に必要な400nm-500nmの波長が中心です。

image

image



アクアリウム ライト LED Asta20 (2017.12追記)

優れもののアクアリウムLEDライトが発売されていました。アクアリウム ライト LED Asta 20(マリンタイプ) は 、16個の3W LEDが4chに分けられていて、

  • -CH1: 4pcs 蒼色led;
  • -CH2: 4pcs 白色led;
  • -CH3: 4pcs花紺青led;
  • -CH4: 赤色+グリーン+蒼色+UV

それぞれをリモコンで調光できるとあります。先日、アクアリウムショップで実物をみましたが、現在使っているアクシーファインスポット  LED ブルー(20W)と比べるとかなり明るいです。また白色光がはいると青一色よりも柔らかさを感じます。

波長は460nmをピークとして700nmまでをカバーしているので、ハタゴイソギンチャクの褐虫藻も十分に光合成ができる照明です。

アクアリウム ライト LED Asta20 (サンゴ照明)

水槽に取り付ける灯具(アーム式)も付いていて、価格もAmazonでは5,000円以下で販売されています。小型水槽でカクレクマノミとイソギンチャクを共生飼育するのにぴったりな照明です。


紫色の世界でもハタゴイソギンチャクは飼育できる

真っ青な世界でハタゴイソギンチャクを飼育していましたが、青色LEDが壊れてしまい、青色+赤色+白色の混色のLEDスポットライトに変更してみました。ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生は紫色の世界で大丈夫? | 象と散歩 にその様子を記載していますが、消滅しかけたイソギンチャクが紫色の世界で巨大化しています。(2019年6月更新)

紫色の世界のハタゴイソギンチャク

象と散歩:人気の投稿(過去7日間)