さて、このKJ法ですが、WikipediaのKJ法では以下のように説明されています。
川喜田は文化人類学のフィールドワークを行った後で、集まった膨大な情報をいかにまとめるか、試行錯誤を行った結果、カードを使ってまとめてゆく方法を考え、KJ法と名付けた。またチームワークで研究を進めてゆくのに効果的な方法だと考え、研修方法をまとめ、『発想法』(1967年)を刊行した。その昔、問題解決や、ブレインストーミングで付箋紙をホワイトボードにペタペタと貼り付けた記憶があります。KJ法とは、キーワードをノードと捉え、グルーピングを繰り返すことにより、ノード間の関係性を推察することによって意味のある結合や新たな発想を得ることができる手法です。このノード間の関係性の推察というのは、マインドマップと同じ発想だと思います。
【引用:Wikipedia】
「衆知を集める」法としてKJ法は評価されて企業で採用され、マーケティングでも活用されていましたが、KJ法を実践しようとすると、カードに記載されるコメントのレベルが異なる、コメントとコメントの関係性を見いだせない等、トレーニングをしていない参加者にはハードルの高い手法でした。そういった意味からも文書から単語レベルにおとしたマインドマップの方がより特徴づけられて記憶に残ることと、文章よりも単語の方がイメージが広がるということが納得できます。何れにせよ参加者でカードの意味を確認し、情報の共有化を行わなければなりません。またその場で作成されたアウトプットを他者に開示しても、説明がなければ理解されるものではありません。
立花隆氏は、自著の「知のソフトウェア」(講談社現代新書)でKJ法について下記のように評しています。
KJ法のごとき発想、つまり、思考過程を普遍的かつシスティマティクな物理的作業手順に分解することによって、これまで意識内作業であったものを物理的作業に置き換えることができるという発想は、コンピュータにはふさわしいが、人間にはあまり向かない。」
【本文から抜粋】
しかし、暗黙知である発想法を体系化しプロセスとしたことは、やはり偉大なる功績ではないでしょうか。私のような凡人には、ひとりですべてを発想できるだけの能力もないので、何人かの手を借りて知識と情報を補う必要があります。そのためには多少時間を要したとしても体系化されたプロセスが与えられたことは大きな意義があります。ここ数年はマインドマップを利用していますが、KJ法は日本人が考案した素晴らしい発想方法の体系化であると思います。「発想法」「続・発想法」と40年も前に発刊されている本ですが、一読の価値はあると思います。
発想法-創造性開発のために(中公新書)
著者:川喜田二郎
価格:693円
出版社:中央公論社
発売日:1967/06
続・発想法-KJ法の展開と応用(中公新書)
著者:川喜多二郎
価格:861円
出版社:中央公論社
発売日:1970/02