上写真のカクレクマノミのペアは、象と散歩: カクレクマノミの飼育は簡単? の中で2013年春に購入と書いているので、飼育開始から8年近くになります。ADW: Amphiprion ocellaris: INFORMATION によると自然下での平均寿命は、6-10年とあります。しかし、飼育下では20年というの記事もありますので、まだまだ長生きしてもらいたいです。
一方、ハタゴイソギンチャクの平均寿命については、Stichodactyla gigantea - Wikipedia に3-5年とありますが、こちらも同じく8年を迎えようとしています。水槽の掃除のときに手を刺されるとちょっと痛いですが、長く飼育しているとイソギンチャクにも愛着が湧いてきます。
しかし、愛着とは裏腹に飼育開始の頃と比べると、飼育方法はだいぶ手抜きとなりました。逆に言えばこれがカクレクマノミとイソギンチャクに必要最小限な機器と飼育ではないかと思っています。
カクレクマノミとハタゴイソギンチャクに必要なもの
過去のブログでは、カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生には下記の4つが必要だと記載しています。これはより飼育が難しいハタゴイソギンチャクの生態に合わせて飼育環境を考えてのことでした。
- 光(LEDスポットライト)
- 水質(ろ過装置&プロテインスキマー)
- 水温(ヒーター)
- 水流(小型ポンプ)
しかし、下の写真のように4番目の水流(小型ポンプ)は、現在は使っていません。またヒーターは真冬のみ利用しています。
水流は不要?
ハタゴイソギンチャクは浅瀬に生息するイソギンチャクなので波(水流)が必要ではないかということで、小型ポンプを使って水流を作っていましたが、小型ポンプのモーターが故障をして使用を止めましたが、ハタゴイソギンチャクに大きな変化はありません。
小型ポンプで発生させる水流は、自然の波と比べるとあまりにも貧弱で意味がなかったようです、、、、。
水温は25℃が最適?
リビングで飼育しているので冬でも水温があまり下がらないということもあり、冬の寒い時期(12月中旬から3月上旬頃)だけヒーターを使っています。
ヒーターの設定温度は20℃です。夏は水温が30℃になるので、20-30℃の中での飼育です。カクレクマノミもハタゴイソギンチャクも水温の変化に思った以上に強いですし、低温にも適応します。しかし、個体差もあると思いますので水温と生体の様子を観察しながらヒーターを使ってください。
カクレクマノミが、日中でもイソギンチャクの中に身を潜めて、じっとしていているのであれば水温を上げましょう。ハタゴイソギンチャクは水温が下がると小さくなりますが、この冬の時期に水温を下げていることで大きくなるハタゴイソギンチャクの成長を抑制できているのかもしれません。
この冬は、ずっと家にいるので部屋が暖かく、リビングに設置している水槽の水温も下がりません。水温計で確認すると18−19℃なのでヒーターをまだ使っていません。カクレクマノミも元気に餌を欲しがって上がってくるので、今の冬はヒーターなしで飼育できそうです。
天然海水とプロテインスキマー
以前、ハタゴイソギンチャクに元気がなくなってしまったときに、天然海水がいいと聞き、釣りに行ったときにポリタンクに汲んできた海水を水槽に入れると徐々に元気になりました。それ以来、人口海水ではなく天然海水を使っています。
水換えは積極的にはしていません。プロテインスキマーのタンクに溜まった分の海水を補給して、蒸発した水は、浄水器の水を足しています。海水も臭くはないのでろ過装置とプロテインスキマーで水質は維持できているようです。時折、水槽のガラス面をメラミンスポンジで汚れを落としていますが、その時に網でかき回して大きなゴミは網ですくい、残りはプロテインスキマーに任せています。
以前は、ハイドロメーターで塩分濃度を確認し、試験紙で水質をチェックしていましたが、今や海水や浄水の水も目分量ですし、水質チェックはまるきっりしていません。あまり神経質にならなくてもカクレクマノミもハタゴイソギンチャクも元気です。
長期飼育からわかった共生飼育の重要な要素
ということで、カクレクマノミとハタゴイソギンチャクの長期共生飼育には、
を年間を通して維持し、寒くなったらヒーターで水温を上げればいいというのが結論です。
機材的には
- LEDスポットライト(光合成)
- エーハイム アクアコンパクト(水質維持)
- マメデザイン マメスキマー3(水質維持)
という3種の神器と必要に応じてヒーターです。
LEDスポットライト(光合成)
象と散歩: 初心者のイソギンチャクとカクレクマノミの共生飼育 で、カクレクマノミ と共生するイソギンチャクについて書いていますが、ハタゴイソギンチャク、センジュイソギンチャクなど褐色の ”褐虫藻” で光合成をして栄養を得るイソギンチャクには光が必要です。
水槽でこの褐虫藻が光合成するためには、青色LEDスポットライトが最適です。
なぜ青色LEDスポットライトが最適かと言えば、象と散歩: イソギンチャクの飼育には青色LEDスポットライト からの再掲となりますが、
- 光合成に必要な波長は400nm-500nm(青色)と600nm-700nm(赤色)
- 海中では赤色光は吸収されてしまう
- 褐虫藻には青色の光を吸収する光合成補助色素のペリジニンがある
- 海中の褐虫藻が光合成を行うには青色以外の光は不要
- 高輝度青色LEDは効率的に青色のみ発光できる
- 光合成光量子束密度を高めるため光を分散させないスポットライト型
という理由からです。イソギンチャクの飼育に青色LEDより効率的なアクアリムライトはありません。
イソギンチャクの飼育に何度か失敗したあとに「アクシーファインスポット LED 20W ブルー」に辿り着きましたが、青の世界はイソギンチャクには快適な環境だったようです。その後、象と散歩: ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生は紫色の世界で大丈夫? で書いた青8赤2白2灯に、そして、現在は、青8赤4灯へと変遷しています。
2代目から46z8(よろずや)が扱っている、お財布に優しいLEDスポットライトにしましたが、残念ながら、青8赤2白2灯は8ヶ月間と短命でした、、、。
46z8(よろずや)で扱っている青色系LEDスポットライトは合計LEDランプ12個で24Wです。青色だけで考えるとLEDライト8個で16Wと、最初に購入した「アクシーファインスポット LED 20W ブルー」より青色の光が弱くなっています。それでもハタゴイソギンチャクは成長を続けているのと、観賞という観点ではブルーよりも紫色の世界の方がカクレクマノミも綺麗に見えるので良しとしています。
青色を中心とするのであれば、こちらです。
メインビジュアルの写真のように紫の世界であれば、青8灯、赤4灯となります。
46z8(よろずや)では上記以外にも、
があります。
LEDスポットライトとして水槽の淵にかけて固定する「AXY FINE SPOT」を使っています。
アームでスポットライトを当てる位置を動かせるのでハタゴイソギンチャクが移動してしまった場合にも追っかけることができます。
またライトの点灯/消灯にアナログ式のプログラムタイマーを使っていましたが、現在は、スマート家電化の一環として購入したスマートプラグに変えました。
アナログ式のタイマーでは「ジジジジ」という時を刻む音がしていましたが、スマートプラグにしてから無音となりました(笑。また時間にも正確です。現在は、8:30点灯、20:00消灯と設定していますが Amazon Echoで、
Alexa, 水槽のライトを点けて/消して
と音声で点灯/消灯のコントロールもできます。
EchoがなくてもスマホとWiFi環境があればスマートプラグは使えます。
エーハイムアクアコンパクト(水質維持)
餌やカクレクマノミ の排出物により小さな海水の世界では分解能力が少ないので ”ろ過装置” は必須です。
エーハイム アクアコンパクトは、"物理ろ過"、"生物ろ過"、"吸着ろ過(活性炭フィルター)" の3種類が組み合わさったコンパクトな外部フィルターです。ポンプ部も水槽にかけるだけなのでセッティングも簡単で初心者向けです。アクアコンパクトには2004と2005の二種類があります。2005の方5cm背が高く、その分、ろ材を多く入れられますが、30cm水槽であれば2004で十分です。
アクアコンパクト |
2004 |
2005 |
ろ過槽容量 |
1.0ℓ |
1.5ℓ |
ろ材容量 |
0.8ℓ |
1.3ℓ |
本体寸法 |
128×(H)191mm |
128×(H)241mm |
ろ過装置のモーターは6万時間以上連続稼働していますが、異音も故障もなく動作し続けています。しかし、水槽に水を供給するノズルは塩が付着して取れなくなってしまいましたので、見た目からそろそろ替え時かもしれません。
生物ろ材
バクテリを繁殖させるために細かい穴がたくさんある多孔質ろ材が使われています。バクテリアの働きにより有害物質を無害化します。エーハイム 純正ろ材の ”エーハイム サブストラット プロ レギュラー” を使っています。掃除は結構な大仕事になるので年に2回、フィルターを交換するタイミングで水で濯ぎ洗いしています。ろ材は7年間で数回しか交換していません、、、。
物理ろ過
エーハイム アクアコンパクト 2004/2005用フィルターパッドセットは、下記のセットとなっています。
- 細目フィルターパッドx3(1ヶ月毎に交換)
- 粗目フィルターパッドx1(2〜3回の洗浄、若しくは6ヶ月)
- ストレーナー用スポンジフィルターx1(2〜3回の洗浄、若しくは6ヶ月)
純正品として販売されているのに交換時期の目安とセットの枚数が異なるのが疑問ですが、ろ過装置を開いて掃除をするのは面倒です。なので、細目フィルターを4ヶ月毎に交換して、その時に粗目フィルターと多孔質ろ材も洗浄しています。粗目フィルターとストレーナー用スポンジフィルターは年に1回の交換です。これでセットの枚数とも合致します。
吸着ろ過
アクアコンパクトは別売の活性炭フィルターパッドが使えます。「活性炭の力によってにごり、悪臭を吸着して水を透明にします。」とあり、最初の頃は使っていましたが、水の匂いも気にならないのでいまは使っていません。
マメデザイン マメスキマー3(水質維持)
象と散歩: ハタゴイソギンチャクの飼育にはプロテインスキマーが必要? でプロテインスキマーについて記載していますが、プロテインスキマーは、泡を発生させてタンパク質の汚れが泡に吸着させて水質を維持するための装置です。
エアレーションでカクレクマノミ、ハタゴイソギンチャクといった生物だけではなく、ろ過装置の生物ろ過をするバクテリアに酸素供給をする効果もあります。
"マメデザイン マメスキマー3” は、細いガラス管の中のウッドストーンにエアポンプで空気を送り細かい泡を発生させて泡の力で浮き上がったゴミと海水を外に置いた容器に貯めて行きます。デザインもシンプルで小型水槽にピッタリです。
エアーポンプには "アデックス エアーポンプ X101” を使っています。
ウッドストーンは消耗品で、定期的な交換が必要です。
プロテインスキマーは、イソギンチャク飼育の水質維持には必須です。
ガラス管を割ってしまった、、、
掃除をしているときにマメスキマー3のガラス管を割ってしまいました。「結構な出費に、、、」とショックを受けましたが、交換部品としてガラス管本体だけで販売されていました。
それでも痛い出費でした。
飼育をこれから始めるなら
水槽、底砂、ライブロックなどについては、象と散歩: カクレクマノミの飼育は簡単? を参考にしてみてください。
イソギンチャクは同時に購入せずにカクレクマノミ が定着してから購入しましょう。アクアリウム店に行かなくてもネットで共に購入できます。ネットで生き物を購入することには躊躇いもありましたが、charm 楽天市場店 で購入したカクレクマノミとハタゴイソギンチャクが長生きしています。カクレクマノミはなるべく成長した4cm以上の個体を選びましょう。
自宅で過ごすことが多くなったいまアクアリムを始めるいいチャンスです。
ハードルが高いと言われる海水熱帯魚のカクレクマノミとハタゴイソギンチャクもちょっとしたコツで長く飼育することができます。