TOEICやTOEFLでスコアを上げたいのであれば、別な有効な学習方法があると思います。しかし、海外旅行や仕事で「外国人と英語でコミュニケーションしたい」「でも、英語は苦手」という方であれば、NHKラジオ英語講座の「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」がおススメです。
継続すれば、聴く力、読む力、話す力、が改善されたと実感できるはずです。
英語を習得するまでに必要な時間も20時間?
英語の学習を始める前に、まずTEDでジョシュ・カウフマン氏が講演した「The first 20 hours (最初の20時間)」を観てください。日本語訳付きの The first 20 hours -- how to learn anything が TEDxCSU にあります。
YouTubeで日本語の字幕が表示されない場合は、画面右下の歯車のアイコン(設定)をクリックして、字幕で日本語を選択します。
練習時間に比例してスキルは上達するけれども、一程度のレベルになるとそこから上達するには非常に時間がかかる。そして「20時間あればそこそこいける」という学習曲線があるというのが彼の理論です。
20時間というのは、1日45分で1カ月、1日15分なら3カ月です。これなら、できそうですね。
学習のための4つのポイント
ジョシュ・カウフマン氏は、学ぶための4つのポイントをあげています。
- スキルを分解する(Deconstruct the skill)
- 色々と手出しをするな(Learn enough to self-correct)
- 集中して学べ(Remove practice barriers)
- まず20時間やってみる(Practice at least 20 hours)
最初のスキルを分解するというのは、英語学習でいえば、語彙、文法、発音、リスニングなどスキルをいくつかの要素に分解することができます。このスキルを分解することで、何が自分の目的を達成するために効果的かがわかるということです。
もういちど、英語を学習するための目的を考えてみてください。コミュニケーションができるというのは、相手の言ってることがある程度わかり、こちらも意思表示ができるということです。そのための効率的な解決策を考えましょう。
また、「色々と手出しをするな」というのは、学習を始めるための準備としても、いくつもの参考図書に手を出してしまう自分には耳が痛いところです。いろいろな参考書や教材に手を出さずに、これと決めたものをやって、「自分には合わない」、「成果がでない」と思ったら、別なやり方を考えて軌道修正するのがいいということです。
NHKラジオの英語講座にしても色々なものがありますが、先ずは1カ月間集中してエンジョイ・シンプル・イングリッシュで学習してみてください。そして1カ月後に、効果がない、自分には合わないということであれば、違う学習方法に変更してください。
エンジョイ・シンプル・イングリッシュ での学習法
エンジョイ・シンプル・イングリッシュ | NHKゴガク は、英語のショートストリーを聴くだけの番組です。放送は月曜日から金曜日で、曜日によってのテーマがありますが、連続ストーリー以外は、1話ずつ楽しむことができます。各ストーリーは、中学生レベルの簡単な語彙と文法で構成されていて、辞書を使わない、翻訳せずに英語を英語として理解できるようになっています。また500語前後で書かれた5分間のショート・ストーリーなので集中して読む・聴くことができます。
この「簡単な英語を短い時間で」というコンセプトは、英語を英語として理解するためだけではなく、英語学習に挫折しないためにもとても重要なことです。
エンジョイ・シンプル・イングリッシュのガイダンスには
Step1 読んで内容を理解する
- 日本語に訳さない
- 辞書を使わずに90%の理解を目指す
- 難しすぎる、興味がない話はやめる
Step2 放送を聴いて、ストーリーを楽しむ
- ストーリーの進行に合わせて頭を切り替える
- 放送で音を確認する
- 気になるストーリーだけを読み返す
- Word Listを参考にする
とあります。しかし、「読む」「聴く」だけではなく、「書く」「声に出す」を加えることによって英語学習の幅が広がりますので、一粒で4倍楽しみましょう。
エンジョイ・シンプル・イングリッシュを4倍楽しむ学習法
Step1.まず聴く (5分)
テキストを読む前に最初に番組を聴いてみましょう。どれぐらい理解できるかが確認できます。「全然わかんなーい」という状態でも心配しなくても大丈夫です。
Step2.テキストを読む (5分)
次にテキストを読みます。わからない単語があったとしても、ここでは読み飛ばします。テキストには Word List もありますが、まだ我慢です。英語を英語として理解するために、インプットとするのは、最初のページにあるイラストで説明されている単語だけにします。どうしても辞書を使いたい場合は、英英辞典で調べます。
ストーリーを読み終えたら、次に Word List で単語やイディオムを確認しましょう。英語を英語で理解といっても簡単な単語で構成されていても意味がわからない場合があります。
例えば、That was the way, it was. って簡単な単語しか並んでいませんが、どういう意味だかわかりますか?何となく「それしかなかったんだ」的な意味かとは思いますが、World List には「そういうものだったのさ。それが現実だったのさ。」と記載されています。
ちなみに、エンジョイ・シンプル・イングリッシュの電子版テキストは、2015年度からリフロー版になったので Kindleでとても読みやすくなりました。
リフロー版は、画面や表示する文字の大きさに合わせて、表示される情報量や1行の文字数が変わります。そのためスマートフォンの小さな画面でも読みやすく、リンクによるページ移動や文字のハイライト・辞書連携など、ストアが提供するデジタルならではの便利機能を利用することもできます。
Step3.テキストの英語を書き写す (15分)
テキストをみながら全文を書き出してみましょう。書くことによって単語やイディオムを覚えますし、注意深く英文をみることで、より一層理解が深まります。フレーズ毎に再生をとめてディクテーション(聴きながら書きとる)するのもよいですが、英語学習初心者にはハードルが高いので、まずはテキストをみながら書き写します。
Step4.声に出してみる (10分)
これもシャドーイング(英語を聴いてすぐ後を追って声に出す)がよいとされていますが、まずはフレーズ毎に止めてリピーティング(続けて声に出す)をしてみましょう。ラジオレコーダーやICレコーダーで録音していると一時停止や少し前に戻ることができて便利です。
Step5.最後にもう一度聴く (5分)
どうですか?最初に比べると随分と聞き取れるようになっていませんか?
NHKラジオを録音して勉強する方法については、過去記事を参考にしてみてください。
5分の番組を45分間、楽しむ
上記のStep1~Stpte5を実施するとトータルで45分間の学習になります。放送は20回/月なので1カ月続けてもまだジョシュ・カウフマン氏の提唱する20時間には少し足りません。また興味のない番組では学習しないとすると、もしかしたら、もっと少ない時間かもしれません。しかし、1カ月で10時間以上の学習をして効果を感じられないのであれば、別な学習方法に変更するべきです。
初期投資は避けられない。でも、
エンジョイ・シンプル・イングリッシュで英語を効率的に勉強するためには、ラジオレコーダーかICレコーダーによる録音は必須です。またKindleでテキストを読む方が便利です。しかし、効果があるかどうかわからにものへの初期投資は避けたいというのであれば、過去の放送がCDブックとなった Enjoy Simple English Readers を購入してみて、上記の勉強方法を試してみてはいかがでしょうか。
Kindle版を購入するのであれば、音声がダウンロードできる NHK Enjoy Simple English Readers "Rakugo" 音声DL BOOK がおススメです。2016年度放送分の「落語」から、「愛宕山」「芝浜」「お菊の皿」など、滑稽噺から怪談まで20話が収載されています。(2018.2追記)
4月からスタートしなくてもいい
NHKラジオの英語講座番組は毎年4月に始まります。しかし、エンジョイ・シンプル・イングリッシュは、前述したように連続ストーリー(2016年度は金曜日の名作をリメイク!)以外は、1話完結型なので、いつでも学習をスタートすることができます。また2015年度は半年の放送で、10月からは4月からの再放送なので9月までに始めれば120話すべてを聴くことができます。週の途中からでも土曜日には1週間分をまとめた再放送があります。そしてストリーミングでも前週分が聴けます。思い立ったが吉日、年度の途中でも、月の途中でも、週の途中でも、今日から始めてみましょう。