夏よりも冬の方が、朝起きたときに口の中が乾いていたり、喉が痛かったりします。そのため冬は寝るときにも乾燥を防ぐためにスチーム加湿器を使っています。しかし、長年使っていたスチーム式加湿器から異音が聞こえるようになり、この冬、ついに寿命を迎えてしまいました。
そこで、加湿器を購入する前に「なぜ冬は乾燥するのか?」「そもそも湿度ってなに?」という基本的なことを調べ、睡眠に最適な加湿器について考えてみました。
温度と湿度の関係
一般的にいう湿度とは、相対湿度を指します。空気中の水分は、温度によって保有できる水分量が異なるため、10℃、20℃、30℃では、空気中に含むことができる水分の最大量(飽和水蒸気量)が異なります。
飽和水蒸気量 – Wikipedia によると
温度 | 飽和水蒸気量 |
10℃ |
9.4g/㎥ |
20℃ |
17.2g/㎥ |
30℃ |
30.3g/㎥ |
とあります。つまり気温の低い冬は、そもそもが夏と比べると空気中に水分を蓄えることができないので「冬は乾燥している」ということになります。
また飽和水蒸気量が相対湿度の分母となるので、湿度50%といっても温度によって空気中の水蒸気量が異なります。温度10℃、湿度50%のときの空気中の水蒸気量は4.7g/㎥ですが、30℃のときは、同じ湿度50%でも空気中の水蒸気量は、15.15g/㎥と3倍以上になります。
飽和水蒸気量 | 相対湿度 | 水蒸気量 | |
10℃ |
9.4g/㎥ |
50% |
4.7g/㎥ |
20℃ |
17.2g/㎥ |
50% |
8.6g/㎥ |
30℃ |
30.3g/㎥ |
50% |
15.15g/㎥ |
暖房すると湿度が下がる理由
室温10℃ 湿度50%の場合、空気中の水蒸気量は4.7g/㎥です。加湿せずに部屋を温めていくと、湿度の分母となる、飽和水蒸気量は、15℃で12.8g/㎥、20℃で17.2g/㎥、25℃では23.0g/㎥と上昇し、分子の空気中の水蒸気が同じであれば、湿度は下がっていきます。
(※エアコンを利用すると結露により更に空気中の水蒸気量は減少します)
室温10℃で50%だった湿度は、25℃になると湿度20%になり、湿度50%にするためには水蒸気量が-6.8g/㎥も足りなくなります。単に室温を上げただけだと湿度は下がってしまいます。
また気温の低い冬は、飽和水蒸気量が少ないので、そもそも夏場よりも乾燥しています。
快適な温度と湿度
温度と湿度の組み合わせで体感を示す指数に 不快指数 というものがあります。快適指数の方がポジティブに捉えられるのにと思いきや、気象庁の説明によると
気温と湿度による「むし暑さ」の指数。風速が含まれていないので体感とは必ずしも一致しない。
【引用】気象庁|予報用語 気温、湿度
と、「蒸し暑さ」を表す指数なので、ネガティブな言い回しということなのですね。
不快指数は、下記の式で求められます。
不快指数=0.81×気温+湿度(%)×(0.09×気温-14.3)+46.3
気温25℃、湿度20%なら
0.81×25+20%×(0.09×25-14.3)+46.3=71.775
不快指数は、およそ72です。これを下表に当てはめると ”暑くない" となります。
不快指数 |
体感 |
55未満 | 寒い |
55(以上)- 60(未満) | 肌寒い |
60(以上)- 65(未満) | 何も感じない |
65(以上)- 70(未満) | 快い |
70(以上)- 75(未満) | 暑くない |
75(以上)- 80(未満) | やや暑い |
80(以上)- 85(未満) | 暑くて汗が出る |
85以上 | 暑くてたまらない |
単に乾燥していないというだけでなく、不快指数が 65-70 の ”快い” だと、よく眠れそうです。
睡眠な最適な湿度
睡眠に最適な温度と湿度については、日本睡眠化学研究所の良い睡眠の条件に記載がありました。
香りについては、ラベンダーやカモミールなどの香りによってリラックス出来るとスムーズな入眠が可能になる。温度については夏場は約25℃~26℃、冬場約22℃~23℃、湿度については50%~60%が理想的である。
冬の 22℃~23℃ というのは、暖房を付けていないと保てない温度なので、少し高いような気もしますが、寝る前に部屋を温めて入眠時の温度ということであれば納得ができます。
下表は、温度と湿度に不快指数を加えた表です。上記の条件と、下表を組み合わせると室温が20℃~23℃で、湿度が50%~60%の間が、体感的にも快いと感じ睡眠時の快適な条件ではないかと思えます。
冬は加湿器を使おう
ということで、冬は加湿器を使って湿度をあげましょう。
加湿器には大きく、加熱式、超音波式、気化式の3種類があります。簡単な特徴を下表に示します。
最も手軽なのは超音波式加湿器ですが、水を振動で細かくして放出する方式なので、いちど雑菌の温床となってしまうと、雑菌散布機となってしまうのが最大の欠点です。ダイソン 超音波式加湿器 【dyson hygienic mist】など水の雑菌を除菌する効果を謳う超音波加湿器もありますが高価です、、、。
ダイソンハイジェニックミスト 加湿器 MF01 は、ダイソンの扇風機と同じコンセプトの独特なデザインで下記の機能が特徴的です。
- 夏は扇風機、冬は加湿器の1台2役
- 水に潜む99.9%のバクテリアを除菌
- 風量は10段階、湿度は~70%で調整可能
- 最大連続18時間運転
気化式加湿器は、風によって水を気化させるので雑菌の放出が少なく、もっとも自然な加湿方式です。パナソニック、シャープなど家電メーカから気化式加湿器が販売されていますが、バルミューダが販売するバルミューダ Rain(レイン)も気化式加湿器です。(でも、高価、、、)
高い機能性とシンプルなデザインが売りのバルミューダですが、バルミューダ レインは、大きな壺といった感じです。自然な加湿方式である気化式を用いて、他には類をみない水の補給が上から注ぐというのが、如何にもバルミューダらしいこだわりを感じさせます。
- 風量は5段階、湿度は40~60%で設定可能
- 消費電力は2W(最小)~23W(最大)
- 連続加湿時間 6~25時間
加熱式(スチーム式)加湿器は、熱い蒸気を放出するので、衛生的です。また、暖房を消したあとも室温の低下を防げます。電気代は他の加湿器に比べて高くなりますが、冬の寝室には最適です。但し、水道水を加熱して蒸発させた際に発生するカルシウム、シリカ、鉄などの蒸発残留物(スケール)が加湿器内部に付着し、長期間放置すると石のように固まってしまいます。
仕組み | 超音波の振動でミスト(細かい水滴)を生成 |
利点 | ・電気代が安価 |
欠点 | ・雑菌や汚れをそのまま放出 ・水滴が付く |
仕組み | 濡れたフィルターに強い風を当てて気化 |
利点 | ・水蒸気粒子が細かい ・雑菌がでない ・電気代が安価 |
欠点 | ・音がうるさい ・筐体が大きい |
仕組み | ヒーターで水を加熱して蒸発 |
利点 | ・熱で殺菌 ・熱い蒸気で室温も上昇 |
欠点 | ・機器の清掃が面倒 ・消費電力が大きい(電気代が高い) ・結露が起こりやすい |
最終的に選んだ加湿器は
大容量で静音、そして湿度が調整できるものをということで、Levoit 温冷ミスト 超音波式加湿器 LV-550HH を購入しました。
Levoit(レーヴォイット)の加湿器はデザイン性も高くリビングに最適です。
2024.1時点で購入できるのは、後継機の Levoit LV600S です。超音波式と加熱式のハイブリッドで、温ミストを利用時には、ヒーターで100℃まで加熱させるので除菌にも効果的ですが、ミストは触れる温度になります。またAlexaにも対応しています。
- Levoit 温冷ミスト 超音波式加湿器 LV-600HHの特徴
- 超音波式と加熱式のハイブリッド
- 6.0Lのタンクで、温ミスト利用で12〜30時間の連続運転
- 最大加湿量 500ml/h(温ミスト利用時)
- 大型パネルに温度と湿度を表示
- リモコン操作可能
と、盛りだくさんの機能です。 日中家にいるときにずっと加湿器を付けていてもタンクが空にならないので重宝しています。また湿度設定ができるので床に置いていても床面に水滴が付くようなこともありませんでした。
※メインビジュアルの写真は、加湿量レベル5(最大)でミスト感を出そうと思ったのですが、、、、。
安物の加熱式加湿器は買わない方がいい
寝室用に購入した アイリスオーヤマ 加熱式加湿器 タンク容量1.9ℓ SHM-260D-C は2ヶ月という短命に終わってしまいました。
スチーム式の短所である蒸発残留物(スケール)が電熱プレートに付着すると、安全装置が働いて直ぐに停止するようになってしまいました。
毎日、清掃すれば朝までは稼働すますが、清掃を怠ると直ぐに止まってしまいます。流石に毎日の清掃は面倒くさい。
2台目なので安価なモノでいいやと安易に選んでしまいましたが、結局は「安物買いの銭失い」でした。
ダイソン hygienic mist(ハイジェニック ミスト) や バルミューダ Rain(レイン)までとはいかなくとも、象印 スチーム式 加湿器 EE-RM35-WA にすればよかった、、、。
象印が電気ポットので培った枯れた技術なので安心して使えそうです。外見は魔法瓶そっくりですが、その形状から清掃も簡単そうです。
冬の安眠のコツは湿度のコントロールにあります。スチーム式の加湿器を使って良質な睡眠を!
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