箒での掃き掃除を始めてから、部屋をこまめに掃除する習慣がつきました。愛用しているのは、アズマ工業の手編み 座敷ほうき「匠125」です。「品質にこだわり抜き、何十年もお使い頂ける箒です。」というメーカーの言葉通り、5年目経っても変わらぬ価値を実感できています。
「箒への回帰:アズマ工業の素晴らしき座敷箒たち」で、「匠125」よりも少し軽い同じアズマの座敷箒「特選 AZ112」と比べた記事を書いていますが、穂のクオリティ差は明確です。長く使うのであれば、「匠125」が絶対です。
そんな箒での掃除にすっかり魅了されていますが、いつか手に入れたいと憧れていたのが鬼毛(おにげ)の棕櫚箒(しゅろほうき)です。
棕櫚の中でも希少で丈夫な繊維から作られる「鬼毛」の箒は、その高い耐久性から「一生もの」になるとも言われています。安価で品質の高い箒を提供するアズマ工業でも自社のオンラインショップで吾妻棕櫚箒鬼毛短柄 匠114が16,820円、長柄の匠113が18,270円と高嶺の花でした。
Amazonの「あとで買う」にずっと入れたままでしたが、Amazonでの販売価格が1万円を下回るようになったので、長柄の「匠113」の購入を決意!
日本の伝統的な箒:座敷箒と棕櫚箒
日本の伝統的な箒には、主に「座敷箒(ざしきほうき)」と「棕櫚箒(しゅろほうき)」があります。どちらも天然素材から作られていますが、原料や特性が異なり、それぞれ得意な場所や使い心地が異なります。
座敷箒(ざしきほうき)
座敷箒は、江戸箒とも呼ばれていますが、江戸中後期以降に関東を中心に普及した箒で、「ホウキモロコシ」というイネ科植物の穂先を束ねて作られます。職人の手作業による繊細な作り(手編み)が特徴で、美しい模様を呈しています。ホウキモロコシの穂はコシがあり、しかも穂先が細かくしなやかなので、 畳、カーペットの塵埃をしっかりと掃き出します。もちろん、フローリングの掃き掃除でも使えます。
棕櫚箒(しゅろほうき)
棕櫚箒は、ヤシ科の植物である棕櫚(シュロ)の木の皮から採取される繊維で作られます 。棕櫚繊維には天然の油分(樹脂)が豊富に含まれており、水に強く腐りにくいという優れた特性があります 。この油分は、フローリングなどの床材を傷つけにくいだけでなく、使い込むうちに床に自然な艶を与える効果も期待できると言われています 。棕櫚箒は、使用する繊維の部位や加工方法によって、主に「皮(かわ)」と「鬼毛(おにげ)」の2種類に分けられます 。
皮(かわ)
皮の棕櫚箒は、棕櫚の樹皮を重ねて束ね、穂先となる部分をほぐしています。使い始めに棕櫚のクズが落ちるのが難点です。繊維が細く柔らかいため、床への当たりが優しく、畳やデリケートなフローリングにも使いやすいとされます 。鬼毛に比べると安価です。
鬼毛(おにげ)
鬼毛箒は採取した棕櫚皮から良質な繊維のみ選別し束にしたものです。太く弾力性に富んだ繊維は棕櫚皮1枚から少量しか取れないため希少価値の高い箒です。この繊維はコシが非常に強く、耐久性に優れています。同じ棕櫚でも皮よりも繊維が太くボリュームがあります。
短柄(たんえ)と長柄(ながえ)
箒を選ぶ上で、穂先の素材や種類と同じくらい重要なのが、柄の長さです。箒の柄の長さには、主に「長柄(ながえ)」と「短柄(たんえ)」の2種類があります。用途や掃除の場所、そして収納場所に合わせて選ぶことで、より快適に箒を使うことができます。
長柄(ながえ)の箒
長柄の箒は、立ったままの姿勢で両手でしっかりと柄を握るので、腰への負担が少なく、楽に掃き掃除ができます。フローリングや畳など広めの床面積の掃除に向いています。リビングや廊下などを広く掃くときに便利です。
小回りが利かないため家具の下や狭い箇所など、細かい場所の掃除には不向きな場合があります。また箒は穂先に曲がつかないように、吊るして収納する必要があるため、収納場所の確保が必要となります。匠113の全長は123cmなのでコート掛けがちょうどです。
短柄(たんえ)の箒
短柄の箒は、両手で持つこともできますが、基本片手でササっと掃くのに向いています。柄が短いので掃くときは少し屈んだ形になります。コンパクトで小回りが利くのが特徴です。
部屋に一本吊るしておくと、思い立った時にサッといつでも手軽に掃除をすることができます。
どちらの柄を選ぶべきか
長柄と短柄、どちらの箒を選ぶかは、ライフスタイルや掃除の習慣、そして住んでいる環境によっても異なります。
どちらにも一長一短があるため、「これ一つあれば全てOK」とは限りません。広さや主な掃除場所、そして自分の掃除のスタイルに合わせて選ぶのが最も快適に使うためのポイントです。もし可能であれば、長柄と短柄の両方を用意して、場所や用途によって使い分けると、より効率的に、そして快適に家中をきれいにすることができます。
最初から2本を揃えるのが難しければ、サッと掃除をする習慣を身につけるためにも、最初は短柄、次に長柄と選ぶのがいいのではないでしょうか。
「匠113」を選んだ理由と、使ってみて感じたこと
これまで、短柄の座敷箒を主に使ってきました。最初の頃は、箒が重たいと思うこともありましたが、不便を感じることはありませんでした。
しかし、以前から気になっていた「鬼毛の棕櫚箒」を、そして、どうせなら「長柄」も試したいという気持ちが募ってきました。
アズマ工業は、品質と価格のバランスがとてもよい箒を提供してくれています。Aクラスの高級原料を使った「匠125」の品質を考えると、棕櫚の中でも特に厳選された素材で作られる鬼毛箒の品質にも期待できます。
ということで、鬼毛の棕櫚箒 長柄「匠113」を購入しました。
鬼毛は、棕櫚の木からわずかしか採取できない希少な繊維で、非常に高い耐久性を持つと知り、まさに「一生もの」として大切に使える箒だと感じています。
実際に「匠113」を使ってみると、座敷箒とは異なり、まさに「筆のようにしなやかで柔らかな掃き心地」に驚愕です。書道パフォーマンスの大筆のような感じすが、しなやかな穂先でしっかりと塵埃を掃き集めます。しかし、座敷箒のようにカーペットや敷物からかき出すほどの強いコシはありません。
長柄なので立ったまま楽な姿勢で掃除ができるし、両手を使って掃くので手が疲れることもありません。思い立ったときにサッと掃除するというより、部屋全体を大きく掃除するには便利だと感じています。まだ使い始めたばかりですが、鬼毛の高い耐久性にも期待して、これからこの「匠113」を長く大切に使っていきたいと思います。
まとめ:私にとっての「一生もの」箒
この記事では、自分が愛用する座敷箒「匠125」と交え、鬼毛の棕櫚箒「匠113」を迎えるまでの経緯、そしてそれぞれの箒の特徴や使い心地について紹介しました。
改めて、アズマ工業の箒、逸品2本を振り返ってみます。
まず、Aクラスのホウキモロコシの穂で作られた座敷箒「匠125」。穂先はしなやかで適度なコシがあり、畳やフローリングはもちろん、カーペットや敷物からも細かな塵埃をかき出すパワーを持っています。小回りも利き、思い立った時にサッと手軽に掃除ができる万能な一本です。丁寧に作られたその姿は、掃除道具としてだけでなく、部屋に吊るしておくだけでオブジェとしても映えます。
そして、今回新たな相棒となった鬼毛 棕櫚箒「匠113」。同じ棕櫚でも皮箒よりも繊維が太くボリュームがありながらも、実際に使ってみると「筆のようにしなやかで柔らかい」掃き心地に驚かされます。長柄なので、腰に負担が少ない直立姿勢で両手を使って掃くことができ、疲れを感じにくいのが大きなメリット。特にフローリングの部屋の掃き掃除に最適だと感じています。棕櫚の繊維を銅線でまとめたデザインは素朴ながらも美しく、こちらも部屋のアクセントになります。
アズマ工業の「匠125」も「匠113」も、厳選された原材料を使用しながらも、価格を抑えるために海外での手製を取り入れている点が共通しています。これにより、品質の高い伝統的な箒を、私たちも比較的手に取りやすい価格で手に入れることができるのです。
どちらの箒もデザイン性が高く、壁に吊るしておけば場所を取らず、インテリアの一部としても楽しめます。そして何より、天然素材で作られた箒は、使えば使うほど手に馴染み、愛着が湧いてきます。大切に長く使える掃除具があることは、日々の掃除の時間を心地よいものにしてくれるだけでなく、自分の部屋や暮らしそのものをより愛おしく感じさせてくれるように思います。
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