以前、Withings ScanWatch についてブログを書きました。Apple Watchが主流の中で選んだ、「時計らしい」スマートウォッチです。
4年半使っていましたが、リューズ(クラウン)の操作ができなくなってしまったため、新しくスマートウォッチを選び直すことにしました。
候補として最初に考えたのは、やはり Withings 系です。しかし調べていくうちに、Garmin vívomove Trend の存在も気になり始めました。
どちらも「アナログ時計らしさ」を残したハイブリッドスマートウォッチですが、Withings は日々の健康変化を静かに見守る時計、Garmin は身体活動を支援する時計という印象で、根底にある思想は少し異なります。
スマートウォッチは健康管理デバイスになった
スマートウォッチは便利で、いまや欠かせないガジェットです。
NTTドコモ モバイル社会研究所の「モバイル社会白書 2025年版」によると、スマートウォッチの所有率は16.2%となっています。
20代・30代での所有率が高い一方で、60代でも一定の所有率があり、若い世代だけのガジェットではなくなりつつあります。
スマートウォッチは、通知や決済といった日常の利便性に加えて、歩数、心拍、睡眠などの健康管理、ランニングやウォーキングなどの運動記録にも使われています。若い世代にとってはスマホと連携する便利なガジェットであり、運動をする人にとっては活動を記録するツールでもあります。
一方で、生活や体調の変化を日常的に記録できることを考えると、60代の所有率が高い背景には、健康管理への関心の高さも関係しているのかもしれません。
それでもスマートウォッチはデジタル化した
スマートフォンの普及によって、腕時計は不要になると言われた時期もありました。しかし世界の腕時計生産を見ると、その中心は今もアナログ時計です。
| 【引用】一般社団法人 日本時計協会:2024年 ウオッチの世界生産 |
2024年でも、腕時計生産数量の約70%が針を持つ時計です。
興味深いのは、腕時計の世界ではアナログが主流であり続けているにもかかわらず、スマートウォッチではデジタル表示が中心になっていることです。
それは、スマートウォッチが形としては腕時計でありながら、実際には情報端末として進化してきたからだと思います。
通知を表示し、メッセージを読み、アプリを操作するためには、自由に表示内容を変えられる大きな画面が有利です。その結果、Apple Watch に代表される全面ディスプレイ型が主流になりました。
一方で Withings や Garmin のハイブリッドスマートウォッチは、あえて時計としての見た目を残しています。
腕時計市場では今もアナログが多数派です。それにもかかわらずスマートウォッチ市場では少数派になっているところに、Withings の面白さがあるのかもしれません。
なぜアナログ・スマートウォッチなのか
スマートウォッチには、生活を便利にし、健康や活動を記録できるという大きな魅力があります。
ただ、その便利さの一方で、日常的に使う道具としては気になる点もあります。
- 毎日充電が必要
- 常に画面が光る
- 通知に意識を引っ張られる
- 時計というより情報端末になる
- 多くの人と同じものを選ぶ(Apple Watch)
普段は普通の腕時計として静かに存在しながら、必要な時だけスマート機能を使う。さらに、時計としてのデザインや質感にも個性を感じられます。
この距離感が、自分には合っているように感じます。
Withings のアナログスマートウォッチ
Withings のアナログスマートウォッチには、現在大きく分けて次の3つのラインアップがあります。
- ScanWatch Healthmaster
- ScanWatch Vitals(海外名:ScanWatch 2)
- ScanWatch Light
いずれもアナログ時計をベースとしながら、活動量や睡眠、心拍数などの健康データを記録できる点は共通しています。しかし、それぞれ目指している方向は少し異なります。
ScanWatch Healthmaster
Withings の最上位モデルです。
Vitalsと利用できる健康機能に大きな差はありませんが、サファイアガラスや回転ベゼルを採用するなど、より高級時計らしい外装を特徴としています。
健康管理だけでなく、時計そのものの質感や所有感も重視したい人向けのモデルです。
ScanWatch Vitals
シリーズの中心となる標準モデルです。海外ではScanWatch 2として販売されています。
血中酸素濃度や体温トラッキング、睡眠分析など、日々の健康管理に必要な機能を備えながら、価格と機能のバランスが取れています。
アナログ時計らしい見た目と約1か月のバッテリー駆動を両立しており、Withingsらしさを最も感じられるモデルと言えます。
今回比較対象として選んだのも、このモデルです。
ScanWatch Light
シリーズのエントリーモデルです。
活動量計や睡眠記録、心拍数測定といった基本的な機能に絞ることで、価格を抑えています。
健康管理を始めてみたい人や、通知と活動量計があれば十分という人に向いています。
一方で、体温トラッキングや血中酸素濃度測定などの機能は搭載されていないため、健康データを積極的に活用したい人には、Vitalsの方が適しているでしょう。
Withings と Garmin、思想の違い
Withings以外でアナログスマートウォッチを展開しているメーカーとして、Garminがあります。Withings ScanWatch Vitals(海外名:ScanWatch 2)に近いモデルが、Garmin vívomove Trend です。
下表に両機種の主な機能をまとめました。どちらもアナログ針を持ち、心拍や睡眠、血中酸素を記録できるほか、GPSはスマートフォン連携という共通点があります。
| 項目 | Withings ScanWatch Vitals | Garmin vívomove Trend |
|---|---|---|
| 方向性 | 健康管理 | 活動・ライフログ |
| デザイン | アナログ時計寄り | ハイブリッド |
| 表示 | 小型OLED | 隠しOLEDディスプレイ |
| バッテリー | 約30日 | 約5日 |
| 心拍測定 | ○ | ○ |
| 睡眠分析 | ○ | ○ |
| 血中酸素 | ○ | ○ |
| GPS | 接続GPS | 接続GPS |
| 通知 | ○ | ○ |
機能だけを見るとよく似ています。しかし、アナログ針を持つハイブリッドスマートウォッチといっても、その方向性は大きく異なります。
Withingsは、体調の変化を静かに記録する健康管理寄りの時計です。日々の心拍や睡眠、血中酸素、体温トレンドなどを無理なく蓄積していく感覚があります。時計としての見た目もアナログ寄りで、スマートウォッチらしさは控えめです。
一方で Garmin vívomove Trend は、Garmin Connect を中心に活動量や運動を記録するための時計です。アナログ針を持っていますが、その思想はフィットネスウォッチに近いと感じます。文字盤の下にはOLEDディスプレイが埋め込まれており、必要なときだけ情報が表示されます。アナログ時計らしさを残しつつ、スマートウォッチらしさも内側に潜ませているモデルです。
つまり、
- Withings は「健康管理のためのアナログ時計」
- Garmin は「活動記録のためのハイブリッド時計」
という違いがあります。
自分がスマートウォッチに求めているのは、運動記録よりも日々の体調変化を静かに追えること。そして時計としての佇まいです。そう考えると、GarminよりもWithingsの方が、自分には合っているように感じました。
健康機器メーカーの時計、ScanWatch Vitals
ScanWatch Vitals には 38mm と 42mm の2つのサイズがあります。
サイズだけでなくケースのデザインも異なり、38mm(下図左)は全体的に丸みを帯び、バンド取付部にも柔らかな印象があります。一方の42mmは、より直線的でステンレスの質感を強調したデザインです。
| 【引用】Amazon - ScanWatch Vitals |
下の写真は、左が初代 ScanWatch 38mm、右が ScanWatch Vitals 42mm です。文字盤や針のデザインは変更されていますが、ケース全体の雰囲気は初代モデルのイメージを受け継いでいます。
ScanWatch Vitals では、文字盤に分単位の目盛りが入り、時刻が読み取りやすくなりました。さらに針が蓄光仕様になったことで、初代 ScanWatch では見づらかった暗い場所でも時刻を確認しやすくなっています。
健康機能もアップデートされています。心拍測定、睡眠分析、血中酸素測定に加えて、体温トラッキングに対応し、皮膚温度の変化を継続的に記録できるようになりました。
こうした健康管理機能を備えながらも、普段は静かなアナログ時計として存在している。この「控えめさ」が、ScanWatch Vitals の魅力です。
また、約1か月というバッテリー駆動時間も大きな魅力です。専用充電器を使い、約2時間で100%まで充電できます。
Apple Watch Series 11 もバッテリー性能が向上し、1日から2日程度は使えるようになりました。それでも旅行や出張の際には、充電を意識する必要があります。
その点、ScanWatch Vitals は何週間も充電を気にせず使い続けることができます。朝起きて身につけ、日中は時計として使い、夜はそのまま睡眠を記録する。そんな使い方を続けても、充電のことをほとんど意識しません。
この感覚は、スマートフォンに近いデバイスというより、普通の腕時計に近いものです。
毎日、あるいは数日ごとに充電する前提ではなく、「普通の時計の延長」として使えるように設計されている。そこに、Withings らしさを感じます。
最後まで悩んだポイント
実は、機能面だけで見ると vívomove Trend の方がよりモダンです。
Garmin Connect の完成度は高く、体力や回復度を 0〜100 の数値で見える化する Body Battery のような機能もかなり魅力的でした。
それでも最終的には、ScanWatch Vitals を選びました。
理由は単純で、「時計だった」からです。
これはスペックでは説明しづらい部分です。
- 針の動き
- 通知との距離感
- “情報端末感” の少なさ
そうした要素を含めて、自分の生活には Withings の方が馴染むように感じました。
スマートウォッチを“減らす”という方向
最近のスマートウォッチは、どんどん多機能になっています。
しかし、アナログ・スマートウォッチの面白さは、むしろ逆方向にあるのかもしれません。
必要最低限だけスマートで、普段は静かな時計として存在する。
万年筆や手帳と同じように、「便利だから使う」というより、「自然に使い続けられるから使う」という感覚です。
そう考えると、アナログ・スマートウォッチというジャンルは、今でも独特の価値を持っているように思います。
がんばれ日本、健康ウォッチ
最近気になっているのが、2026年7月9日にシャープから発売される健康管理デバイス「からだメイト」です。
シャープの「からだメイト Watch」は、手首の皮膚から「細胞間の水分移動」と「糖(ブドウ糖)の変化」を読み取り、摂取カロリーを推定するというユニークな仕組みを採用しています。
摂取カロリーと消費カロリーを管理できるだけでなく、水分バランスなどの独自のヘルスケア管理機能に加え、バイタル・運動・睡眠の管理にも対応しています。
主な測定項目は、次のとおりです。
- 水分バランス
- 心拍数
- 血中酸素レベル(SpO₂)
- 皮膚温度
- ストレス・心拍変動
Apple Watch、Garmin、Withings など海外メーカーの健康ウォッチが進化する中で、日本人を中心とした解析データをもとに、日本人の健康管理に寄り添うデバイスになれるのか。
日本発の健康ウォッチとして、これから注目していきたいと思います。






