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Post Date:2025年11月19日 

ソフトニブとフレックスニブの違い ── そしてステンレスソフトニブの実力

WANCHER 世界樹 サンダルウッド + ステンレスソフトニブ

スチールペン先のソフトニブ(軟調ペン)ってどうなんだろう――。

鉄ニブで軟調… “鉄軟”!? そんな言葉遊びと好奇心から、WANCHER「#6 JOWOニブ・ステンレスソフト」を購入しました。

万年筆を使い慣れてくると、次第に“軟らかいペン先”に惹かれるようになります。しかし、金やイリジウムの価格高騰もあり、金ペンの価格は年々上がるばかりで、気軽に手を伸ばしにくい存在になってきました。

それでも多くの万年筆ユーザーは、あえて柔らかいペン先を求め続けます。

では、なぜ私たちはペン先に“しなり”や“柔らかさ”を求めるようになるのでしょうか。


ソフトニブとフレックスニブは違う

「軟らかいペン先」と聞くと、どうしても同じようなものとして語られがちですが、ソフトニブフレックスニブは構造も役割もまったく異なります。

どちらも“しなるように見える”という点では共通していますが、書き心地や線の変化、使い方はまったく別の方向を向いています。

ソフトニブは筆記時の“クッション性”や“しなやかさ”を楽しむためのもの。一方、フレックスニブは筆圧による線の太細を大きく生み出し、筆のような表現をするためのものです。

見た目は似ていても、実は書き味も目的も大きく違うのです。


ソフトニブの特徴

ソフトニブは、筆圧をかけずに書いたときに“わずかにしなる”ような感触を持つペン先です。最大の魅力は、書き味がやわらかく、指先に心地よい弾力が返ってくること

線の太さが大きく変わるわけではありませんが、さりげない揺らぎが文字に自然な表情を与えます。筆記のリズムに寄り添ってくれる、独特の“しっとり感”も魅力のひとつです。

具体的には次のような特徴があります。

  • 軽い筆圧で書ける

    紙に押し付けなくてもインクが自然に落ち、手が疲れにくい。

  • しなやかな弾力がある

    ペン先がほんの少しだけ沈み、書き始めや書き終わりがやわらかな表情になる。

  • 線の太さはほとんど変わらない

    線の強弱を楽しむためのニブではなく、書き心地のやわらかさにフォーカスした構造。

  • 日常筆記に向いた穏やかな性格

    手帳、ノート、日記などの普段使いで真価を発揮する。

  • 日本語の筆記に相性が良い

    とめ・はね・はらいの微細な動きを、自然な揺らぎとして受け止める。

ソフトニブは現代の硬めのペン先の中で、万年筆らしいしなやかさを味わえる存在ですが、線の強弱を楽しむためのものではありません。

その役割はあくまで、“書くことそのものを気持ちよくしてくれるニブ” にあります。

また、軟調ペン先を使うようになって初めて、“筆圧をかけないで書く”という万年筆本来の書き方を実感できました。

力を抜いて書けるので手が疲れず、自然と滑らかに筆が運ぶ――そんな心地よさを教えてくれるのがソフトニブです。

日本の万年筆メーカーでは、下記のペン先でやわらかさを楽しめます。

メーカーモデルニブ
パイロットカスタムシリーズSF(細軟) / SFM(中細軟) / SM(中軟)
ELABO(エラボー)EF / F / M / B
プラチナ万年筆Century #3776SF(ソフトファイン:細軟)
セーラー万年筆プロフェッショナルギア21K大判ニブ

フレックスニブの特徴

フレックスニブは、筆圧をかけたときにペン先のスリットが大きく開き、線の太さが変化するように設計されたペン先です。

繊細な細線から力強い太線までを一本で描けるため、“線の表情を楽しむためのニブ” と言えます。

ソフトニブの「しなやかな書き心地」とは違い、フレックスニブは線そのものの強弱やインクの濃淡による変化をつけることを目的としています。

これは、日本語の美しさを支える「とめ・はね・はらい」「縦横のメリハリ」「文字の抑揚」 といった要素とも相性がよく、筆で書いたときのような“息づかい”が生まれるのがフレックスニブの魅力です。

具体的には次のような特徴があります。

  • 筆圧でスリットが開く構造

    ペン先のスリットが大きく広がり、細い線から太い線まで、明確なラインバリエーションが生まれる。

  • 線の強弱(太細)がはっきり出る

    アップストロークは細く、ダウンストロークは太く。筆記体や装飾文字だけでなく、日本語の「とめ・はね・はらい」を美しく見せる。

  • 少ない筆圧でしなる

    良質なフレックスニブは、わずかな力で自然に開くため、太線も滑らかに出せる。

  • 使いこなすには慣れが必要

    長く筆圧をかけ続けると“レールアウト”(インク切れ)が起きやすく、書き手のコントロールが求められる。

  • 文字に強い表情をつけられる

    行書、筆記体など、書く文字に動きや抑揚を持たせたい場面 で力を発揮する。

フレックスニブは、ソフトニブのような“しっとりした書き心地”ではなく、“線の変化を積極的に楽しむためのニブ” です。

そのため日常筆記よりも、「書く表現」や「筆跡のデザイン」に興味がある人に向いています。

日本の万年筆メーカーでフレックスニブを現行ラインナップとして提供しているのは、PILOTだけです。FA(Falcon)ニブは、毛筆のように線の強弱がはっきり出る希少な存在で、日本語の筆記にも表現力を与えてくれます。

PILOTの下記モデルでFA(Falcon nib)が選択できます。

モデルFAニブ選択可ニブサイズ特徴
Custom 742#10軽快・扱いやすい
Custom 743#15安定感・筆感が最も強い
Custom Heritage 912#10現代的デザイン・やや軽め

歴史的に見れば、つけペンはフレックスニブだった

万年筆が登場する以前、筆記の主役はディップペン(つけペン)でした。

当時はスパンサリアンやコッパープレートなど、線の太細がはっきりした筆記体が一般的で、その書体を美しく書くためには 柔らかくしなるペン先=フレックスニブ が欠かせませんでした。

スパンサリアンとコッパープレート
Created by GPT5

薄いスチールで作られたペン先は、筆圧をかけるとすぐにスリットが開き、細い線から力強い太線まで自在に描けるようになっていました。


最初の万年筆も、実はフレックスニブだった

万年筆の原型をつくったウォーターマン(WATERMAN)も、例外ではありません。19世紀末~20世紀初頭にかけて作られた初期のウォーターマンには、つけペン文化を引き継ぐ、柔らかくしなるフレックスニブ が搭載されていました。

その代表例が、ヴィンテージ万年筆として今も人気の WATERMAN #52

  • 1920年代の代表モデル
  • 黒のハードラバー軸にゴールドのクリップ
  • ペン先は柔らかくしなる14Kゴールド
  • わずかな筆圧で太線が生まれる、本物のフレックス

現在でも「真のフレックス(True Flex)」の象徴として語られるほど、しなり・反発・線の強弱の美しさ を備えた名品です。

こうした欧米のペン文化の影響は、日本の万年筆づくりにも及びました。

国産万年筆メーカーであるパイロット、プラチナ、セーラーの黎明期(1920〜1930年代)でも、柔らかめでしなる金ニブ が数多く作られており、当時は今よりずっと“しなりのあるペン先”が一般的でした。

しかし、戦後になるとボールペンの普及とともに筆記習慣が大きく変化します。

筆圧を書き込む筆記具が主流になったことで、万年筆にも耐久性や安定性が求められ、徐々に硬いペン先が主流へと移っていきました。


まずは、軟調ペン(ソフトニブ)から――筆圧を抜く書き方を身につける

つけペンの時代から受け継がれた“しなるペン先”は、文字に表情を与える一方で、扱いには繊細さが求められます。

現代のように筆圧を書き込む筆記具に慣れた私たちにとって、いきなりフレックスニブを使いこなすのは難しいのが正直なところです。

そこで大きな助けになるのが 軟調ペン(ソフトニブ) です。

ソフトニブは、フレックスのように派手に開くわけではありませんが、わずかな“しなり”と“弾性”を通して 筆圧を抜いて書く感覚 を自然に教えてくれます。

自分も PILOT Custom Heritage 912 SM(中軟)を使って、初めて、

「あ、力を入れないほうが万年筆は気持ちよく書けるんだ」

という感覚を実感できました。

Custom Heritage 912 SM

強く押し付けるクセが残っていた頃はペン先が引っかかることもありましたが、力を抜くと紙を滑るようにペン先が動き、手が疲れず、書くことそのものが軽くなるのを感じました。


すべてのソフトニブが“筆圧からの転換”に向くわけではない

軟調ペンは万年筆本来の書き方を教えてくれる存在ですが、プラチナ#3776 SF やパイロットの ELABO のような大きくしなるニブは、強い筆圧で育ってきた人にとって扱いが難しい場合があります。

  • ペン先が沈み込みすぎる
  • 思わぬ方向へしなって不安定に感じる
  • 力を抜く前に“書きづらい”と感じてしまう
  • 書き癖が強いほどコントロールが難しい

筆圧のある書き方から、いきなり 非常に柔らかいソフトニブ に移行すると、「気持ちよく書ける」よりも前に “扱いづらさ” を感じてしまいます。

その結果、「ソフトニブって書きづらい」という誤解につながることもあります。

これでは本末転倒です。


"筆圧を抜く"ための最良の入口は、穏やかな軟調ニブ

特にオススメなのが、パイロットの Custom 742 または Custom Heritage 912 に搭載される10号ペン先の SM(中字・軟)。 やわらかさは十分にありながら、しなりすぎず、適度なコシを保つため、筆圧が自然に抜けていく“絶妙なバランス”を持つ軟調ペン先です。

また、万年筆価格が高騰している昨今、742や912が予算的に厳しい場合は、より手頃な Custom 74 SM も候補に入ります。

パイロットの“やわらかいけれどコシがある” バランス型のソフトニブは、

  • 力を抜いたときに気持ちよく書ける
  • 書くほど自然に筆圧が抜ける

という特性があり、筆圧のある書き癖を持つ現代の書き手にとって、“力を抜いて書く万年筆らしい書き方”へ移行するための、ちょうど良いステップになります。

そして、一本目の軟調ペン先を選ぶのであれば、万年筆らしい線の伸びやかな表情をもっとも素直に味わえる SM(中字・軟) が最適です。

筆圧ゼロで"ふわっと書き"、紙の上を“無重力散歩”するような心地よさを味わってみてください。


筆圧を抜くための万年筆の持ち方

軟調ペンを使うと筆圧を抜いて書く感覚がつかみやすくなりますが、そもそも “万年筆の持ち方” が間違っていると、どんなペン先を使っても筆圧は抜けません。

繰り返し掲載していますが、とても大事なので改めて記しておきます。

万年筆の持ち方
  1. 手の力を抜き、手首は 90° くらいの角度にする
  2. 中指の指先の横腹親指と人差し指の間に万年筆をバランスよく乗せる
  3. ペン先の刻印(ロゴ)は必ず上向き
  4. 親指人差し指で軽く支える
  5. ペン先が紙に触れるまで、手首を内側に曲げる

下記がGPT5で生成した正しい万年筆の持ち方です。

万年筆の正しい持ち方
万年筆の正しい持ち方:Created by GPT5

筆圧をかけない書き方をするには、万年筆を軽く持つことが何よりも重要です。強い筆圧の原因の多くはペンを強く握る持ち方にあります。

下の例では、ペンを持つ指に力が入りすぎて、人差し指が反り返ってしまっている悪い例です。実は、自分も以前はこのような持ち方をしていて、無意識に強く握り込んでいました…。

ペンを持つ手に力が入ってしまっている例:Created by GPT5

書道家・大江静芳氏の動画では、万年筆の持ち方がとても分かりやすく解説されています。文字や写真だけではイメージしづらい方は、こちらの動画を参考にしてみてください。


ソフトニブとフレックスニブの違いをまとめると

万年筆に慣れてくると、自然と“軟らかいニブ”に魅力を感じるようになります。ソフトニブは、筆圧をかけずに書くという万年筆本来の心地よさを味わえるニブです。

一方、フレックスニブは線の太さを大きく変化させることができ、筆のような抑揚で日本語を美しく表現できるニブです。

以下にソフトニブとフレックスニブの違いをまとめます。

特徴 ソフトニブフレックスニブ
スリット開き幅少ししなるが、スリットは大きく開かない筆圧で大きく開き、線幅が大きく変化する
筆跡の特徴線幅の変化は控えめで、安定した整った筆跡細線〜太線の差が大きく、表情豊かな筆跡になる
筆圧の必要度筆圧をかけずに軽く書ける線の変化を出すには筆圧コントロールの習熟が必要
インクフロー均質で安定しており、日常筆記に向く開きすぎるとインクが追いつかずスキップすることがある
書き味柔らかくしなやかな書き味で扱いやすい表現力は高いが、使いこなしには慣れが必要

WANCHERのステンレス・ソフトニブとは

WANCHERの 「#6 JOWO・ステンレスソフト」 を購入したのは、

「スチール製のソフトニブって実際どうなんだろう?」

という純粋な興味からでした。

結論としては、

価格を抑えながら、ソフトニブ的な“しなり”を体験できる貴重な選択肢

だと感じています。

#6 JOWO・ステンレスソフトのしなり具合

「#6 JOWO・ステンレスソフト」は、ペン先の両側にサイドカットがあり、楕円に削られています。このサイドカットされた部分より先で曲がる(しなる)構造になっています。

字幅はF:細字です。

#6 JOWO・ステンレスソフト

ソフトニブなのでしなりはしますが、スリットが大きく開くわけではありません。そのため、フレックスニブのようなダイナミックな線の強弱ではなく、“さりげない表情の変化” にとどまります。

#6 Jowo ソフトニブ の筆致

WANCHERのステンレスソフトニブは、金ペンのようなしなやかな弾力とは違いますが、スチールとは思えない“意外な気持ちよさのあるしなり” を持っています。

  • 押し込みすぎない範囲で、ほどよくしなる
  • スチールとは思えない軽やかなしなり
  • インクフローもよく、“紙の上を滑る感覚” を味わえる

といった特徴があり、WANCHER のステンレスソフトニブは、

「万年筆らしい柔らかさを味わいたい人」に最適で、同時に “筆圧を抜く書き方” を身につけるステップとしても優れた一本 と言えます。

金ペンの軟調ニブやフレックスニブへ進む前の、現実的で、楽しい入口のひとつ となるペン先です。


WANCHERのソフトニブの購入は

WANCHER公式サイトでは、世界樹カレイド のペン先として「#6 JOWO・ステンレスソフト」 を選択できます。このオプションで購入すると、金ペン軟調ニブで比較的手頃な PILOT Custom 74 SM(中軟)よりも低価格で“ソフトな書き味”を試せる点が魅力です。

また、すでに JOWO #6 に対応した万年筆 を持っている場合は、交換用として 「#6 JOWOニブ・ステンレスソフト」 を購入し、ペン先を付け替える方法もあります。

※ 国産では WANCHER、海外では TWSBI が、JOWO #6 に対応した万年筆をラインナップしています。

ただし、万年筆によっては ペン芯の形状や個体差により相性が出る場合 があるため、ニブ交換は自己責任でお願いします。

残念ながら自分が WANCHER 世界樹・サンダルウッド を購入したときは、オプションでペン先をステンレスソフトに変更できませんでした。そのため、交換用の 「#6 JOWO・ステンレスソフト」 を別途購入して付け替えて使っています。


ステンレス・フレックスニブはどうなのか?

ステンレス・ソフトニブの書き心地が想像以上に良かったので、次に気になっているのがステンレス製のフレックスニブです。

現在、WANCHERの公式サイトには#6 ニブ・ワンチャー真玉ストリームニブ という、ステンレスのセミフレックスサンセットニブをブレード構造に改良したフレックスニブが掲載されています。

ただし残念ながら、まだ販売前の段階。

ソフトニブが先行して発売された流れを見ると、いずれ販売される可能性は高く、楽しみに待ちたいところです。

一方、Amazonには、MONTEVERDE(モンテベルデ)製の「#6 JOWO 用ステンレス・フレックスニブ」が販売されています。

もちろん、書き心地だけで言えばPILOT Custom 743 の FA(Falcon)ニブのほうが上質であることは間違いありません。

それでも、

「スチールでどこまでフレックスを再現できるのか?」

という好奇心は大いに刺激されます。

嗚呼、物欲の神様……。


まとめ:自分だけの軟調ペンを選ぶ楽しみ

万年筆を使い続けるうちに、書き心地の違いや、字の表情の変化 に自然と目が向くようになります。

その入口として、ソフトニブ(軟調ペン) が最適です。

しなりすぎず、筆圧を抜いたときの心地よさを教えてくれる——それは現代の硬めの万年筆では得られない、万年筆らしい魅力です。

一方で、文字の表情を大きく変えたいなら フレックスニブ という選択肢があります。線の太さが変わり、日本語にも筆記体にも、筆のような抑揚を与えてくれる特別な存在です。

そして今回のような、JOWO #6 のステンレスソフトニブ は、金ペンへ進む前の“現実的で楽しいステップ”として、とても良い体験を与えてくれます。

スチールでもしなる。けれど、扱いやすい。その意外性こそが、このニブの魅力と言えるでしょう。

柔らかさを知ることは、書く楽しさを広げること でもあります。

あなたも、自分にとって心地よい一本を見つけてみてください。

Post Date:2025年11月10日 

炭酸水生活、再び。DrinkMate Series650 で感じた進化と快適さ

DrinkMate Series 650

自宅で手軽に炭酸水を作れる炭酸水メーカー、ドリンクメイト DRM1003 マグナムスマート を3年間使ってきました。

パッキンの部分が傷んで炭酸が抜けるようになってしまい、ついにお別れの時が。

使えなくなって初めて、“いつでも作れる自由さ”“自分好みの炭酸濃度” の心地よさに気づきました。

最近のモデルを調べてみると、ドリンクメイトは更に進化。

手持ちのガスシリンダーを有効活用するため――シリーズ650をポチリとな。


炭酸水メーカーとは

炭酸水メーカー(ソーダマシン)は、自宅で炭酸水や炭酸飲料を手軽に作れる機器です。炭酸の強さを自分で調整できるので、“自分好みのできたての 生炭酸水” を楽しめます。

近年は、健康志向環境意識の高まり物価上昇などが重なり、自宅で炭酸水を作れる炭酸水メーカーの人気が一段と高まっています。

  • 健康志向の継続:無糖・低カロリー・無添加の製品が引き続き支持されており、健康意識の高い消費者の需要を牽引しています。
  • 環境意識の高まり:ペットボトルの削減やリユースへの関心が広がるなか、使い捨て容器を減らせる炭酸水メーカーが「サステナブル家電」として注目されています。
  • 物価高への対応:飲料の値上げが続く中で、家庭で炭酸水を手作りできるソーダメーカーなど「自家製」の選択肢が見直されています。

毎日の炭酸を「買う」から「作る」へ。自分好みの炭酸水を楽しむことが、地球にも、お財布にもやさしい選択につながります。


drinkmate、それとも sodastrem

今回は買い替えなのでドリンクメイト一択でしたが、初めて購入する場合は「どちらを選ぶべきか」迷う人も多いと思います。

ここでは、選ぶときのポイントを整理してみます。

  1. ガスシリンダー交換が近くでできる?

    ガスシリンダーの交換には「使用済みシリンダー」が必要なので、近くに交換対応店舗があると便利です。

    ソーダストリームは、家電量販店以外でも百貨店、大手スーパー、ドラッグストアなど多くの店舗で取り扱われており、交換用ガスシリンダーの入手がしやすいです。

    それぞれ、下記リンクから取り扱い店舗を確認できます。

    ネットでもガスリシンだーの交換注文は可能ですが、使用済みシリンダーとの交換が必要なため、在宅が必須となります。

  2. 水以外で炭酸を楽しみたい?

    ドリンクメイトは、多くの機種が水以外(ジュース、紅茶、コーヒー、ワインなど)にも使用できるのが特徴です。一方、ソーダストリームは基本的に「水専用」です。

  3. コスパを意識するなら

    毎日炭酸水を飲むなら、142Lガスシリンダーに対応しているドリンクメイト の方がコスパが高いです。ソーダストリームには60Lシリンダーのみの対応です。

  4. 保証期間

    今回、3年で壊れてしまったので保証期間についても比較してみました。

    • ソーダストリーム:標準2年保証(ブランドサイト登録で最長4年)
    • ドリンクメイト:1年保証

    ソーダストリームが最長4年としているのは、

    長く使っても壊れにくく、万が一の際も保証があるという、品質への自信の表れのように感じます。

  5. デザイン

    デザインは好みが分かれるポイントです。ご自身の目で比較してみてください。

上記を基準に、何を重視するか を考えて選んでみてください。特に、ガスシリンダーを近くで交換できるかどうかは、長く使う際の重要なポイントです。

そして、もし自宅の近くにドリンクメイトのガスシリンダー交換対応店舗があるなら、142Lシリンダーに対応したドリンクメイトを選ぶのがオススメです。


ドリンクメイトの多彩なモデル

ドリンクメイトには複数のシリーズがあり、初めて購入する人はどれを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。

ここでは、2025年11月現在の最新モデルを中心に整理してみます。

  • 60L・水専用モデル

    • シリーズ580

      60Lガスシリンダー専用。水専用モデルで、炭酸濃度はプッシュ時間と回数で調整します。

  • 新モデル(レバー式・142L対応)

    • シリーズ640:炭酸強度設定 1段階(中)
    • シリーズ650:炭酸強度設定 4段階(弱・中・強・強強)
    • シリーズ660:充電式、炭酸強度設定 6段階、ガス残量表示付き

旧モデル(601・620・630など)も販売は続いていますが、今から購入するなら上記4機種から選ぶのが安心です。

下表は、現在も取り扱われている旧モデルを含めた比較表です。

Series発売年142L
シリンダー
水以外
の利用
電動 / 手動Pushボタン
レバー
炭酸強度設定ガス残量表示標準価格
6012020⚪︎手動
オートマチック
Pushボタン1-¥9,800
6202020⚪︎⚪︎手動
オートマチック
Pushボタン4-¥19,980
6302022⚪︎⚪︎電動
手動 オートマチック
Pushボタン6⚪︎¥28,900
5802024手動Pushボタン--¥9,900
6402024⚪︎⚪︎手動
オートマチック
レバー1-¥15,900
6502024⚪︎⚪︎手動
オートマチック
レバー4-¥19,800
6602024⚪︎⚪︎充電式
手動 オートマチック
レバー6⚪︎¥23,800

142L対応で電動の必要はないので、シリーズ640か650で悩みました。

しかし、自分の感覚に頼るよりは、いつも同じ炭酸水を作れるという点にメリットを感じ、4段階で炭酸強度を設定できるシリーズ650 にしました。

新規に購入する場合は、交換時に困らないように、ガスシリンダーは2本セットでの購入をオススメします。

ガスシリンダーは交換時に60Lから142Lへ変更が可能ですが、最初から142Lを購入した方が経済的です。

ドリンクメイトは142Lガスシリンダーが使える

シリーズ650を使ってみて

以前の水専用モデルと比べると、インフューザーが外付けになり、少し扱いに手間を感じる部分もあります。

それでも、レバーを1回倒すだけで設定した炭酸強度の炭酸水が作れるのは、とても便利です。

Series 650 のレバーは扱いやすい

シリーズ650の炭酸強度設定

シリーズ650は、ダイヤルを回して微炭酸から強炭酸まで、4段階(弱・中・強・強強)の炭酸強度を設定できます。

Series 650は4段階で炭酸強度が設定可能

使ってみると、想像通りとても便利でした。レバーを1回倒すだけで、設定した通りの微炭酸から刺激の強い炭酸水まで作れます。

一方、シリーズ640の炭酸強度設定は1段階(中)のみなので、より強い炭酸にしたい場合は、一度レバーを倒して炭酸強度を中で作ったあと、レバーを軽く複数回倒しながら炭酸を手動で追加する必要があります。

また、当然ながら弱炭酸の炭酸水を作ることはできません。

普段は炭酸強度「強強」でキレのある炭酸水を楽しんでいますが、食事中に飲むときなどは「中」にしています。


インヒューザー、洗浄可能とポジティブに捉えよう

シリーズ650では、インフューザー(減圧弁)が、取り外し可能です。これは水以外で利用できるモデルの共通した仕様です。

この取り外し可能なインヒューザーにより、水以外の飲み物にも対応し、清潔に保てるという大きなメリットがあります。さらに、スペア用のインヒューザーも販売されているため、壊れたときにも交換が可能です。

ただ、基本的に炭酸水しか作らないので、少し手間に感じます、、。

また、炭酸水を作ったあとは、本体からボトルを外し、インフューザー上部のレバーを向かって右にスライドしてボトル内の余分なガスを抜きます。

外付けインヒューザーはポジティブに捉える

そのあとで、インフューザーをボトルから外します。


ソーダストリームならART(アート)推し

改めてソーダストリームについても調べてみました。もしドリンクメイトではなくソーダストリームを選ぶとしたら、レバー式の ART(アート)推しです。

少し丸みを帯びたレトロなデザインに、鮮やかな赤は映えます。そして、ソーダストリームのラインナップの中で、唯一のレバー式モデルです。

炭酸ライフを楽しんでください。

Post Date:2025年11月3日 

抹茶をおいしくする小さなひと手間 ─ 「抹茶ふるい」選びで、儀式から日常へ

芳香園 - 抹茶専用 抹茶ふるい

抹茶を自宅で楽しむのにも、どうしてもお茶を点てる道具が必要になります。

  • 抹茶椀:お茶を飲むための器
  • 茶筅(ちゃせん):抹茶、お湯、空気を撹拌する
  • 茶杓(ちゃしゃく):抹茶をすくうための道具
  • 抹茶篩(ふるい):抹茶を点てやすくするために、粉を均一にほぐす道具
  • 湯冷まし:抹茶を点てやすい温度に整えるための器

こうして並べてみると、道具の多さに少し身構えてしまいます。

この中で、自宅で抹茶を点てるときにも代えが利かないのが、茶筅(ちゃせん)と抹茶篩(ふるい)です。

抹茶篩(ふるい)は、抹茶の粉を細かく均一にして、なめらかな一服に整えるための道具です。点てる前に抹茶をふるうと、粉が細かくなるためお湯とよく混ざり、空気を含みやすくなって、口当たりがやわらかく、まろやかなお茶を楽しめます。

以前は下記の抹茶篩缶(ふるいかん)を使っていましたが、一回分のお茶をふるうには不便だし、抹茶篩缶の掃除も手間でした。

抹茶を点てる時間が特別であるのは確かですが、それでも、もう少し気軽に楽しめたらと思い、 茶こしタイプの抹茶篩にしました。


茶こしタイプの抹茶篩

抹茶篩缶と違って、毎回飲む分だけをふるいにかけられるのが、茶こしタイプの良さです。「日常的に抹茶を楽しむ」には、このタイプがいちばん気軽で扱いやすいでしょう。

形状は茶こしに似ていますが、抹茶篩は網目がより細かく、抹茶をなめらかなパウダー状に整えることができます。ただし、あまりに細かいと目詰まりしてしまいます。

芳香園 - 抹茶ふるいの適度なメッシュ

この抹茶篩は具体的なメッシュ数の記載こそありませんが、「抹茶をふるうのに最適なメッシュ幅を採用。」とあり、ちょうど良いパウダー状に仕上がります。

芳香園 - 抹茶ふるい でパウダー状の抹茶

日本製(新潟県燕市)で、素材は18-8ステンレス。18-8ステンレスとは、クロム18%、ニッケル8%を含む高品質なステンレスで、錆びにくく、においが移らず、手入れも簡単です。


🍵 茶こしタイプ抹茶篩の使い方

茶こしタイプの抹茶篩は使い方が簡単です。

  1. 抹茶椀の上にセットする

     抹茶椀の上に直接、抹茶篩をのせます。

  2. 抹茶を入れる

    茶杓2杯分(薄茶1杯分)を目安に、茶こしの中に抹茶を入れます。

    芳香園 - 抹茶ふるい 茶杓2杯の抹茶
  3. 軽く押しながらふるう

    茶杓の背で抹茶をやさしく押しながら金網を通します。無理にこすらず、撫でるように動かすと粉が均一になります。

    芳香園 - 抹茶ふるい でふるう
  4. 使用後は軽く洗い、しっかり乾かす

    金網に残った粉を軽く叩いて落とし、水ですすいでからよく乾かします。

これでお茶を点てる準備が完了です。あとは、お湯を注ぐだけです。但し、熱湯をそのまま使うと香りや味が損なわれてしまうため、ここでひと呼吸置いて、お湯を少し冷まします。


お湯を注ぐ前に冷ますことが大切

抹茶を点てるときは、熱湯をそのまま使うよりも、少し冷ましたお湯の方が味がやわらかくなります。熱すぎるお湯は抹茶の香りを飛ばし、苦味を強くしてしまうからです。

もちろん温度調整ができるケトルがあれば、湯冷ましは不要です。BALMUDA MoonKettle ー ちょっと焦がれています。鉄瓶を思わせるデザインは、抹茶を点てる所作にもよく似合います。

BALMUDA MoonKettleは50-100℃までを1℃単位で調節できる優れもの。一般的には抹茶を点てるときには、80℃前後で点てると、抹茶の甘みと香りが最も引き立つとされていますが、宇治抹茶などは、少し低めの温度の方が甘みが引き立ちます。

また、80℃といっても、実際に抹茶椀にお湯を注ぎ、茶筅で点てている間に温度は下がるので、お茶をいただく頃には、およそ70〜75℃前後になっています。

BALMUDA MoonKettleがなくても、湯冷ましを使って温度を整えることで、抹茶の粉がお湯になじみやすくなり、まろやかな泡と穏やかな香りが立ち上がります。ぜひ、自分好みの温度を探してみてください。


湯冷ましの使い方

お湯を冷ますといっても、難しいことはありません。沸騰させたお湯を湯冷ましに移し、湯気が落ち着くまで少し待つだけ。

陶器の湯冷まし(容量150-200ml程度)なら、1分でおよそ10〜15℃下がると考えるとわかりやすいです。室温が低い冬は早く、夏はゆっくり下がります。

以前は、陶器の片口の酒器(注器)を湯冷ましとして使っていました。

徳利型 片口 湯さまし

こちらの湯冷ましは、徳利(とっくり)型の片口です。

完全に主観ですが、持ち手のない湯冷ましの方が可愛い。お椀型の湯冷ましもありますが、かもしか道具店の湯冷ましは、どこか愛嬌のあるデザインです。

いまは、「静かな時間を淹れる珈琲道具 ― セラミックフィルターとドリップポット」で紹介したCORESトリップポットを、抹茶を点てるときにも使っています。

cores ドリップポット C470

抹茶を点てるときは、お湯を一気に入れるよりも、少しずつ注いで混ざり具合を調えるのが理想的。

注ぎ口が細く、湯量をコントロールしやすいCORESトリップポットは、その点でとても使いやすい道具です。

和洋折衷ですが、、。


抹茶の立て方

お湯は2段階で注ぎ、最後に表面を整えると、きれいな泡が立ちます。

  1. お湯を注ぐ

    茶杓2杯分の抹茶に対して、お湯は約60〜70mlが目安です。はじめに少量(20mlほど)を注ぎ、ペースト状になるまで茶筅でやさしく混ぜます。

    20mlの湯でペースト状に混ぜる

    そのあと、残りのお湯を静かに注ぎ入れます。

    cores ドリップポットで残り40mlの湯を注ぐ
  2. 茶筅で点てる

    茶筅を軽く立てて、手首を使って前後にすばやく動かすようにします。「M」または「W」を描くように動かすと、きめ細かな泡が立ちます。

  3. 表面を整える

    茶筅を少し持ち上げるようにして、「」を書くように表面を整えます。最後に中央からそっと茶筅を持ち上げると、こんもりとした泡に仕上がります。

    抹茶のクレマ

空気が混ざって生まれる微細な泡の層は、香りを閉じ込め、苦味をやわらげ、味をまろやかにします。それは、エスプレッソのクレマとよく似た役割です。


抹茶が危機的状況に、、

抹茶のもととなる茶葉は、碾茶(てんちゃ)です。

世界的な抹茶ブームを背景に、碾茶の生産量は増えているものの、需要に追いつかず、価格は年々高騰しています。

北米やヨーロッパ、中東などでも抹茶人気が広がり、輸出が増えたことで、国内の茶問屋や製茶業者の仕入れ価格にも影響が出ています。碾茶の価格は、この5年でおよそ2倍近くに上昇しました。

一方で、主産地の宇治(京都)・西尾(愛知)・八女(福岡)だけでなく、知覧(鹿児島)や静岡といった“煎茶どころ”でも、抹茶の原料となる碾茶づくりに力を入れる動きが広がっています。

煎茶は日光をたっぷり浴びて育てることで、爽やかな香りとほどよい渋みを生みます。一方、碾茶は収穫の20日前後から日光を遮る「覆下(おおいした)栽培」で育てられ、渋みを抑え、旨味成分(テアニン)を多く残す特別な茶葉です。

この碾茶を石臼で挽いたものが、私たちが口にする抹茶になります。


価格変動していない鉄瓶、、、

鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかで、白湯として飲んでもとても美味しいです。抹茶だけでなく、日本茶、紅茶、珈琲など、どんな飲み物でもひと味違う一杯に仕上げてくれます。

空間鋳造 鉄瓶 EGG 大 - 沸騰する鉄瓶

10年前に一目惚れして手に入れた空間鋳造 鉄瓶 EGG 大は、いまも現役で活躍中です。正確な値段は覚えていませんが、たしか3万円ほどだったと思います。

空間鋳造 鉄瓶 EGG 大 と 抹茶椀

鉄瓶は長く使える道具なので、決して高い買い物ではありませんでしたが、現在の販売価格も30,800円と、物価高の中でも価格が維持されているのには驚かされます。

空間鋳造 EGG 大は900mlの容量で、可愛らしい丸みのあるデザイン。それでいて重さは約1.6kgあり、手に取ると鉄瓶ならではの重みと存在感をしっかりと感じます。

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