2013年7月7日日曜日

大人の、大人による、大人のための鉛筆

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質問鉛筆を最後に使ったのはいつですか?

鉛筆からシャープペンシルに、シャーペンからボールペンに、ボールペンから万年筆へ、という筆記用具の進化が “大人の階段を上る” という象徴であると思っていました。しかし、実際に自分が大人になってみると、万年筆への憧れはあるものの、実用性といった観点からボールペンが主要の筆記用具となっています。勿論、シャーペンは持っています。しかし、こと鉛筆となると「使ったのはいつのこと?」という状態です。それでも指先が覚えている子供の頃の記憶からか「木の温もり」は忘れられないようで、木製の筆記用具を見るとつい手が伸びてしまいます。先日、CROQUISを買いに文具屋に行ったときに見つけたのもそんな木軸の鉛筆ライクなシャープペンシルでした。

penco PRIME TIMBER との出会い

文具屋でたまたま目にしたのが penco PRIME TIMBER (ペンコ プライムティンバー) でした。「大人の鉛筆の新バージョン?」と思って手にしてみると、葛飾区にある北星鉛筆 と 福岡の文具メーカー HIGHTIDE (ハイタイド)のステーショナリーブランド penco® とのコラボレーション商品であるとパッケージの裏に記載されています。何種類かのカラーバージョンがありましたが、このフランス国旗のような青と赤のポップな色彩が気に入りレジへと直行です。

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2013-06-01T22-06-05_0付属のシャープナー(芯削り器)にも penco のロゴがプリントされています。ブリスターパックのパッケージの表面は英字による説明です。
THE WARMTH OF WOOD ON PAPER

THIS "PRIME TIMBER” IS MADE OF A BODY THAT GIVES THE WARMTH OF WOOD. NATURE OF WOOD TO SFTEN THE IMPACT WILL AFFECT THE FEELING OF WRITING. PEOPLE WILL FIND IT PLEASANT BY NATURE. THAT’S WHY THIS IS SO GOOD!

“紙の上の木のぬくもり” というキャッチはグッときます。

しかし、コラボレーション商品でカラーバリエーションとロゴが異なるだけで  “大人の鉛筆” よりも 200円以上も高いという価格設定には納得感がありませんが、それでも気に入ったのであれば仕方ありません。

大人の鉛筆

大人の鉛筆 は、東京葛飾区にある北星鉛筆の創業60周年記念として2011年4月に発売された商品で、年間5万本を売り上げ、2011年の日本文具大賞を受賞しています。

実は鉛筆は東京の地場産業で、北星鉛筆だけでなく鉛筆製造会社の大半が都内にあります。しかし少子化により鉛筆の生産量は下表のように年々下がり続ける一方です。


そんな中で北星鉛筆は循環型鉛筆製造システムで海外からの輸入品に対抗すべきコスト削減策を講じたり、工場見学を実施するなど積極的に事業を展開している元気のよい会社です。

工場見学については、北星鉛筆の「観光 鉛筆工場物語(東京ペンシルラボ)」にも記載されていますが、学研の自由研究のページに詳しく紹介されていますので、こちらをご覧になってください。

北星鉛筆の大人の鉛筆のコンセプトは、
鉛筆屋による、鉛筆好きの為の筆記具。
鉛筆を使うことが少なくなった大人の方々に、幼いころから慣れ親しんだ鉛筆で書く楽しさを、書き心地を、素晴らしさを再び感じてもらいたい。そんな鉛筆屋が心込めて作った筆記具が『大人の鉛筆』です。
とあります。

では、鉛筆らしさとなんでしょう。

鉛筆が鉛筆である所以

鉛筆の特徴は、柔らかい書き心地と芯が折れにくいということです。子供の頃に大人ぶってシャーペンを使ってみたらポキポキと芯が折れてしまった、という経験は誰もがあるのではないでしょうか。シャーペンの芯は0.5mm が標準です。一方、鉛筆の芯は2mmもあります。一方で芯が太いので書き続けていると芯先が丸くなり、字が太くなってきてしまうというデメリットもあります。そのため定期的に鉛筆削りを使わなければならないという煩わしさがあります。

鉛筆の外見的な特徴としては木軸と六角の形状です。鉛筆用材には主にヒノキ科のインセンスシダーが使われているそうです。新品の鉛筆のよい香りはヒノキに近い匂いだったんですね。「大人の鉛筆」にも「PRIME TIMBER(プライムティンバー)」にもインセンスシダーが使われています。

次に六角形という形状ですが、“鉛筆 六角形 理由” でググってみるといくつかの回答がありますが、三菱鉛筆博物館の「えんぴつなんでもQ&A」にある「軸はなぜ6角形が多いの?」という質問に下記のように回答されていました。
えんぴつに6角形が多いのは、転がらないため、持ちやすいためです。
にぎった場合、必ず3点(親指、人差し指、中指)で押さえるので3の倍数である必要があるからです。
鉛筆を握ってみると確かに六角形の三面を使い親指、人差し指、中指で支えています。なるほど、納得です。

そして鉛筆の特徴としてあげた柔かい書き心地ですが、この書き心地には芯の太さと硬度に関係しています。鉛筆の芯は、B(Black)→ HB → F(FIRM) → H (Hard) の順で硬くなります。Bでは数字が大きい程、濃く軟らかく、またHでは数字が大きくなる程、薄く硬い芯であることを示します。“大人の鉛筆” に販売時にセットされている芯は B です。また替え芯としては HB, B, 2B が用意されています。長さは 128mm と普通のシャープペンシルの芯よりも倍以上あるガツンと長く太いサイズです。赤色も発売されており、こちらはマーキングに便利です。2B も使ってみましたが、2mm という芯の太さを考えると B がちょうどいい感じです。

また鉛筆に規格があるのかと調べてみると、鉛筆のJIS規格 というのがあり、その中で寸法についての定義がありました。それによると、
  • 長さは172mm 以上
  • 軸径は8mm 以内
  • 芯は2mm 以上(HBなど)
と、なっています。

大人の鉛筆PRIME TIMBER のサイズは以下になります。
  • 長さ 160mm
  • 軸径 8mm
  • 芯 2mm
長さ的にはちょっと使った鉛筆サイズですが、軸径、芯といった使い心地に関してのサイズは鉛筆としての規格を忠実に再現しています。流石、鉛筆屋さんが作ったシャープペンシルです。

機能に特化した“鉛筆シャープ”

2012年2月にコクヨS&Tから発売された“鉛筆シャープ”は1年間で50万本も売れたヒット商品です。鉛筆とい機能性に特化したシャープペンシルで、0.9mm と 1.3mm の太芯です。また六角形の軸を大人が持ちやすい三角形とし、軸は滑りにくく指にフィットしやすいソフトなエラストマー樹脂でコーティングされています。価格もリーズナブルな設定で ¥189 となっています。鉛筆を想起させる“鉛筆シャープ”というシンプルなネーミングと価格設定がヒットの要因になっていると思われますが、商品コンセプトには遊び心がない実用品だったため、個人的には惹かれる筆記用具ではなく購入していませんでした。

しかし、この春先にコクヨグループのコクヨS&Tの trystrams がイタリアのファクトリーバッグブランドの Orobianco とのコラボレーションとして “Orobianco / オロビアンコ シャープペンシル” が発売されました。“鉛筆シャープ” にOrobianco のロゴがプリントされているだけですが、ちょっとだけカワイクなったので購入してみました。

orobianco
「オロビアンコ」ブランドは、Presidentそしてデザイナーでもあるジャコモ・ヴァレンティーニ氏のもと、1996年にイタリア・ミラノ近郊のガララーテで設立。"美しく、そして知的なファッション"を、信念とし、モノづくりの根底にある職人気質による"素材と細かなディテール"へのこだわりは、多くのセレクトショップや業界関係者に支持を受け、様々な年代・ライフスタイルの人々から愛されている。
鉛筆シャープには 芯が 0.9mm のタイプもありますが、“Orobianco / オロビアンコ シャープペンシル” は1.3mm タイプのみです。この 1.3mm という太さが、芯を削らずに使える最大の太さなのかもしれません。六角形の軸を大人が持ちやすい三角形にしたとありますが、軸径は 10mm あり、握ってみると大人でも少し太い気がします。また大人の筆記具としての重量も少し物足りさが残ります。

カラーリングとロゴ以外の違いとしては、カタログ値では、“鉛筆シャープ”が 139mm 、“Orobianco / オロビアンコ シャープペンシル”が 140mm と 1mm の差があります。ノック部分の凹凸の部分の差なのでしょうか?
orobianco_1mm

鉛筆ライクなシャーペンの始まり

随分と前にOHTOから木軸のシャープペンシルが発売されていました。まさに鉛筆ライクなシャープペンシルです。当時 0.9mm という太字タイプのシャーペンは ステンブラーなど製図用としてはありましたが、安価なシャープペンシルではなかったのと、この鉛筆ライクというコンセプトがとっても気に入ったので何本か購入していました。

気に入ったものは長く使い続ける性分で今でも使っています。また 0.9mm タイプのカラー芯、ぺんてるのColor Leads はマインドマップの描画、マーキングなどにも便利だったのですが、こちらもすでに廃番となっているようです。

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OTHOの木軸シャープペンシル 0.9mm は既に廃番となっているようですが、コンセプトはまさに大人のための鉛筆です。しかし、当時、十分に太いと感じていた0.9mm の書き味も PRIME TIMBER 2.0mmOrobianco 1.3mm と書き比べてみると、優しい書き心地という点では見劣り(書き劣り)します。是非ともOTHOでも 1.3mm 以上の木軸シャープペンシルを発売してもらいたいものです。

大人のための鉛筆とは

大人にとっての鉛筆について考えてみると、以下の3点が重要ではないかと考えました。

「ごっこ」という遊び心

最も大切なのは、「ごっこ」という遊び心ではないかと思います。真剣な「ごっこ」は洒落っ気を伴い、大人心を擽ります。 大人の鉛筆 / PRIME TIMBER の「木軸へのこだわり」「忠実な鉛筆規格」「芯を削るという作業」には真剣な「鉛筆ごっこ」が感じられます。付属するシャープナーはまさに「鉛筆ごっこ」としての極みでエンターテイメントの世界です。一方、鉛筆シャープは、ネーミングこそ「ごっこ」をしていますが、実用的な商品にすぎません。

「かわいい」物を所有する喜び

筆記用具とて所有する喜びがなければなりません。大人だって「かわいい」と思えるものが欲しいのです。そういう意味では無垢の木材を感じさせる大人の鉛筆の初期バージョン、penco とのコラボレーション、そして今春に発売された 大人の鉛筆 彩(irodori) の藍、茜、黒というカラーも、とても愛おしく、可愛さを感じさせてくれます。

筆記用具としての機能性

大人にとっての筆記用具にはある程度の重量が必要です。大人の鉛筆PRIME TIMBER では木製軸に両端を金属製金具を使うことで、中心は軽く両端が重くすることでバランスを保ち、135g という重さが手にしっくりきます。持ちやすさという点でも手に馴染んだ六角形の鉛筆サイズは、しっくりときます。鉛筆シャープは大人向けに三角形の軸にしたとありますが、ちょっと太いかなと感じます。また三角形の形状は持ち方を強制されているようで手に馴染めません。

大人の落書き帳

マインドマップを描いたり、考えをまとめたりするときには紙を使っています。最近のお気に入りはA4だのB5という規格にこだわらないサイズ、商品のかわいらしさ、罫線のない白紙という点で、クロッキーブック(CROQUIS)です。何となくPCを前にするよりもノートを広げて紙を目の前にした方が自由な発想が浮かぶような気がします。そして、落書き帳にはやはり鉛筆が合います。


CROQUIS と 大人の鉛筆 彩 で自由な発想にチャレンジしてみませんか?

 
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