CORES(コレス)のゴールドフィルター C246BKで淹れるコーヒーは、表面にオイルが浮かび、豊かな香りと力強いコクが楽しめます。
しかし齢を重ねていくと、“まろやか” で “澄んだ後味”を求めるようになってきました。
そんなときに見つけたのが、陶器が持つ多孔質という特徴を生かした、SANCERA139の陶器製フィルターです。
日本の伝統的な焼き物(波佐見焼)がフィルターになる――そこには、日本ならではの知恵と技術、そして美しさが詰まっています。
波佐見焼とSANCERA139
SANCERA139 は、長崎県東彼杵郡波佐見町(はさみちょう)に本社を置く「株式会社 燦セラ(SANCERA Co., Ltd.)」が、波佐見焼の技術と多孔質セラミック技術を組み合わせて製造している製品です。
波佐見焼は、実用性と美しさを兼ね備えた長崎県の焼き物。陶器ならではの温かみと、現代の暮らしに寄り添うデザイン、そして新しい技術を柔軟に取り入れる姿勢が特徴です。
近年では「SANCERA139」「HASAMI」「natural69」など、モダンでシンプルな波佐見焼ブランドが多く登場しています。
その中でも、波佐見焼の伝統技術から生まれたSANCERA139 セラミックコーヒーフィルターは、まさにその精神を受け継ぎ、土の力と現代の感性が調和した逸品です。
AmazonなどではEthicalHouse(エシカルハウス)から波佐見焼 ニューセラミックコーヒーフィルター&ドリッパーとして販売されていますが、SANCERA(株式会社 燦セラ)のOEM製品です。
フィルター本体にSANCERA 139 MADE IN JAPANと刻まれています。
セラミックフィルター × CORESドリップポット ― 理想のペアリング
SANCERA(燦セラ)Kuromaru|黒丸 セラミックコーヒーフィルタと、CORES(コレス)ドリップポット C470の相性はとてもよいです。
黒丸セラミックコーヒーフィルターは、とてもシンプルなデザイン。CORESのドリップポットも同じくミニマルで、取っ手がなく、容量も約300mlと小型です。どちらも機能性とデザイン性を兼ね備えた道具といえます。
またCORESドリップポットは、持ち手のないすっきりとした形状で、注ぎ口も横に張り出していないため、使わないときも収納の邪魔になりません。
☕️ なぜ相性が良いのか
セラミックフィルターとCORESドリップポット。このふたつが相性の良い理由は、互いの特徴を引き出し合っているからです。
- ① 黒丸 セラミックコーヒーフィルター:やわらかい抽出
- フィルター部分が多孔質セラミックなので、お湯がじんわりと一定のスピードで自然に落ちる。
- 紙を使わないため、コーヒーオイルがそのまま抽出され、味がまろやかで厚みが出る。
- 抽出スピードがやや遅めなので、湯量と注ぎ方のコントロールが大切になる。
- ② CORES ドリップポット C470:細く安定した湯流
- 約6mmという細口ノズルでピンポイントに注げるため、セラミックフィルターの抽出速度にぴったり合わせられる。
- ハンドルがなく、掴み手から注ぎ口までの距離が近いので湯のコントロールがしやすく、粉の層を乱さず旨味の中心だけをじっくり引き出せる。
- ステンレス製で保温性が高く、安定した温度を保ちやすい。
セラミックフィルターのゆっくりとした抽出に、CORESドリップポットの繊細な湯の流れがぴたりと合う。それぞれの個性が、まろやかで澄んだ一杯を生み出します。
🔧 ちょっとしたコツ
セラミックフィルターは、お湯の通りがゆっくり。そのため、温度と注ぎ方のひと工夫で味わいがぐっと変わります。以下のポイントを意識すると、よりまろやかで澄んだ一杯に仕上がります。
- フィルターをあらかじめ80〜85℃のお湯で温める
- 蒸らしは20〜30秒、少量ずつ注ぐ
- 抽出全体は2分30秒〜3分を目安に
セラミックフィルターはお湯の通りがゆっくりなので、蒸らしは短めに。約20〜30秒ほど待ち、ガスが抜けて粉が少し沈んだら、ゆっくりと抽出を始めます。
🌿 味わいの特徴
セラミックフィルター × ドリップポットで淹れたコーヒーは:
- 苦味がまるく、酸味がやわらかい
- コーヒーオイル由来の香りとコクがしっかり残る
- 後味がとてもクリーンで、雑味がない
コレス ドリンクポットでゆっくりとお湯を注ぐと、陶器のフィルターから静かに立ちのぼる香りが広がり、まろやかで澄んだ一杯が静かに完成します。
お手入れと使い方のコツ
金属フィルターは洗うだけで特別なお手入れは必要ありませんが、セラミックフィルターは長く使うためのちょっとした手間が必要です。
Ethical House(エシカルハウス)の公式YouTubeに公開されている「珈琲フィルターのいつものお手入れ編」という動画では、正しいメンテナンスの方法が丁寧に紹介されています。ただ、これを毎回行うのは、正直なところ少し大変です。
以下は、そのお手入れを簡略化したバージョンです。時間がないときは、①〜②を行ったあとに水を張った鍋に浸しています。
洗浄は、セラミックフィルターの多孔質構造に詰まった微粉やオイルを取り除くためのもの。つまり、「フィルターの孔を呼吸させる」作業です。
🫧日々の簡略お手入れ
セラミックフィルターは、使うたびに少しずつコーヒーオイルや微粉が孔に溜まります。日々の小さな手入れを重ねることで、いつでも澄んだ味わいを保つことができます。
- 簡単お手入れ手順
- 使い終わったら、すぐにぬるま湯で裏から洗う
- 内側を洗ってさっと濯ぐ
- 鍋にお湯を張り、フィルターを自重で沈める
- フィルター内部にお湯が溜まったら鍋の外に捨てる
- 3〜4を数回繰り返す
- 最後にもう一度、全体をお湯で流して完了
- 💡 ポイント
- 洗剤は使わない(孔を詰まらせる原因になります)
- 使い終わったらできるだけ早く洗うのが一番のコツ
🔥 月に1度は煮沸を
抽出速度が遅くなっていなくても、定期的な煮沸洗浄で目詰まりを防ぎましょう。
こちらもEthical House(エシカルハウス)の公式YouTubeに公開されている「珈琲フィルターのスペシャルケア編」を参考にするのがおすすめです。
お湯を沸かした鍋にフィルターを入れ、5〜10分ほど煮沸するだけでリフレッシュ。こびりついた微粉や油分が抜けて、抽出スピードと風味が蘇ります。
少し手間はかかりますが、その分だけ“土のフィルター”は息を吹き返し、次の一杯をより澄んだ味にしてくれます。
残念な点と工夫
セラミックフィルターは、機能的にもデザイン的にもとても魅力的なのですが、ひとつだけ残念なのは付属の樹脂製ホルダーです。
見た目がややチープで、フィルターをしっかり支える形状にもなっていません。そのため、以前から使っている木製のコーヒードリッパーホルダーを合わせて使っています。
陶器と木の組み合わせは、見た目のバランスもよく、何よりもコーヒーを淹れる時間が少しあたたかく感じられます。
またシンプルなデザインのHARIO(ハリオ)のサーバーも長年愛用しています。
コーヒーを淹れる時間を、少しだけ丁寧にしてくれる道具。SANCERA139とCORES C470は、そんな存在です。