リモートワークで終日エアコンを点けていると電気代が気になるので、Dyson Hot+Cool ファンヒーター を併用して使っていました。
Dyson Hot+Coolは、冬はファンヒーターとして、夏は扇風機としてオールシーズン使える優れものですが、扇風機としては物足りなさを感じます。
カタログ値は、涼風モードで 30.9db / 50.8db です。風量3では送風音は気になりませんが、風量を4以上にすると結構な音になります。
また角度調整はできるものの本体の高さが59.5cmと低いため、スタンディングスタイル(象と散歩: テレワークは立って仕事をしろ!)で仕事をするときには、下半身にしか風が当たりません。少し距離を置いて「上半身にも風を」と思うと、風量を強くしなければならず、ファンの音が気になります。
ということで、リモートワーク環境を快適にするための扇風機を探してみました。
最初に検討したのは、同じDysonの扇風機専用の Dyson Cool AM07 です。高さが100.7cmあるのでスタンディングスタイルでの仕事のときにも問題なさそうです。また「ヘルムホルツ式空洞を採用してモーター音を吸収させることによって27.3dBという運転音を実現」とあるので AM05 より静かです。
ただ、同じような選択では能がないし、NHK 朝の連続テレビ小説ドラマ「半分、青い。」のモデルとなったバルミューダー が気になります。
バルミューダ の ”エコで自然の風に近い微風” という謳い文句は素敵ですが、DCモーター扇風機は値段が高くて高嶺の花でした。
しかし、働き方が大きく変わってきたいま、在宅での仕事環境をエコで快適にすることは必須となってきています。
DCモーター扇風機の特徴
一般の扇風機で使われているACモーターは交流で、DCモーターは直流で動きます。
交流は電気の流れる向き、電流、電圧が周期的に変化します。一方、直流は、電気の流れる向き、電流、電圧が一定しているので低速回転でも安定して稼働します。
DCモーターの扇風機には、
- 低回転での微風が得意
- モーターの振動が少なく静音
- 消費電力で省エネ
- ACモーターの扇風機に比べて高価
- ACアダプタが大きい
といった特徴があります。
扇風機の羽根の枚数と形状
下写真はバルミューダーグリーンファンの羽根です。普通の扇風機の羽根と比べて独特な構造で、風の渦成分を無くして面で送るために二重構造にしているそうです。
昭和な扇風機の羽根の枚数は3-4枚というイメージがありますが、いまは5枚をベースに7枚、8枚と多枚数羽根の扇風機も多数あります。
扇風機はモーターで羽根を回して、1枚1枚の羽根が風を作り出しているので、厳密には断続的に風が発生しています。この羽根の枚数を増やせば、より連続した風に近くなりますが、枚数が増えれば抵抗も大きくなり、消費電力と騒音が増えます。
良質な風を効率的に発生させるためには、風の量・面積、風の質、静音性、消費電力などのバランスを考えた形状と枚数の羽根が必要です。
ドウシシャ カモメファンは、プロペラ制作を専門とする ナカシマプロペラ株式会社 が協力してカモメの翼を模した形状と素材にしています。
また シャープの扇風機 は、2,000km以上の長距離の旅をするアサギマダラ蝶の羽を模しています。何れもバイオミメティックス(生物模倣技術)で自然の生き物から学んでいます。
リモートワークでの扇風機の選び方
基準としたのは、「心地よい風を遠くまで静かに届ける」というコンセプトを持つ Kamamefan と GreenFanです。
リモートワークに最適な扇風機は、また長時間使うのでエコで、使うことにワクワクできるとことが大切です。
”心地よい風” のイメージは、夏の日の木陰に流れる ”そよ風” で、部分的ではなく全身で感じられる自然に近い風です。
”静かさ” には、モーターの音、羽根が回る音、そして首振りの音の静かさも大切です。
また ”ワクワク” できるというのは、機能性、デザイン性 が大切です。
扇風機は羽が回って風を送る機会ですが、遠くまで静かに心地よい風を届けるというのは、こだわりと技術力が必要です。
静かさを表すdb(デシベル)を表示をしているものは多くありますが、遠くまで風を届けるというのを定量的に示しているたのは、Kamamefan、GreenFan の他に、三菱電機 SEASONS(シーズンズ)がありました。
キャッチコピーの比較
各社のキャッチコピーが下記になります。
- 再現するのは自然界の風(バルミューダ グリーンファン )
- うちはやさしい風がふく。(ドウシシャ カモメファン)
- 心地よい風を、静かに、部屋の隅々まで。(三菱 シーズンズ)
バルミューダ のキャッチは技術屋の魂の叫びのようで、コンセプトが明確です。
三菱のキャッチコピーは、大手家電メーカーらしく説明的ですが、機能がよくわかります。ちなみに無印良品のDCモーター扇風機 MJ‐EFDC3は、三菱電機 SEASONS の OEM商品です。
しかし、MUJIのキャッチコピーは 風と暮らす と説明的なキャッチではありません。
カモメファンもMUJIと同じくモノよりコトを感じさせるキャッチですが、動画ではコンセプトムービー(コト)とプロダクトムービ(モノ)の両バージョンがあります。
性能比較
数値で3社の性能を比較したものが下表になります。
メーカー |
商品 |
動作音 最小/最大 |
到達距離 |
消費電力 最小/最大 |
高さ 低/高 | 角度調整 上/下 |
角度調整 左/右 |
バルミューダ |
グリーンファン |
13db/ |
15m |
2w/20w |
46.7cm/86.7cm |
19°/11°(7段階) |
75°/75° |
三菱電機 |
シーズンズ |
12db/30db |
10m |
/12w |
58cm/102cm |
上:0°-90° |
90°/90° |
ドウシシャ |
カモメファン |
11.3db/ |
11m |
1.4w/18w |
57cm/93cm |
90°/30°(4段階) |
75°/75° |
何れもデザインはモノトーンでシンプルです。扇風機のポール(支柱)が伸長式のものより、継脚タイプの方がすっきりとしてシンプルさが強調されます。ポールを外すことで高さを調整するので上表で高さが2パターンとなります。
心地よい風とは
上表の数値では、”心地よい風” なのかが分かりません。体験はできませんが、風が届けられる様子は動画で確認できます。下記はカモメファンの風が届けられる様子です。
バルミューダ グリーンファンは、
大きく広がる風
大きく広がりゆっくりと進む風が特徴のグリーンファン。
一般的な扇風機に比べ、約4倍に広がる風はまさに自然界の風のようにやさしく包みこむ気持ちよさです。
【引用】風の気持ちよさ | The GreenFan | バルミューダ
とあり、梱包されている箱にも風が広がるイメージが印刷されていますが、
動画で見る方が風の広がり具合がよく分かります(風の気持ちよさ | The GreenFan | バルミューダ)。自然の風と扇風機の風を計測し、違いとして現れた風の渦をなくすことに成功させたグリーンファン は、工学的視点の賜物です。
バルミューダ GreenFan LEに決めた!
カモメファンは購入を検討した時点で、【完売御礼、2020年入荷予定なし】 と悲しきお知らせが。Amazonや楽天で購入できるけど定価より高い、、、。
2021年の販売が再開されていました。カモメファンの購入を検討されるのであればお早めに。(2021年4月27日 追記)
三菱電機 SEASONS は、3D立体首振りモデルでなければ、2万円を切った価格で販売されていて、風に対するこだわりも感じられます。しかし、風の広がる動画を見てしまうと、どうしてもバルミューダ グリーンファンに心惹かれてしまいます。
ワクワクさせてくれそうだけど、価格はドキドキなグリーンファンには、 The GreenFan と GreenFan LE があり、スタンダードモデルのGreenFan LEなら何とか手が届きそうです。サイトには、
The GreenFanとGreenFan LEの違いは何ですか?
GreenFan LEは2010年に発表した初代グリーンファンのデザインを踏襲したスタンダードモデルです。
The GreenFanは特徴的な二重構造による風の心地よさはそのままに、コードレス対応(オプション)や首振り範囲を好きな角度に設定できるどこでもターンなど、デザイン・機能を一新したMade in Japanの最新モデルになります。
【引用】The GreenFanとGreenFan LEの違いは何ですか? | バルミューダ
との説明があります。GreenFan LE は日本製ではなく台湾製ですが、基本的な性能に差はありません。価格も1万円以上違うので GreenFan LE をポチり。
バルミューダ GreenFan LEを使ってみて
GreenFan LEは、買ってよかったと思える逸品でした。性能としてだけでなくデザインも気に入っています。扇風機なのに電源を入れる度に ”ワクワク感” があります。
たかが扇風機、されど扇風機です。
全身で風を感じられるので、室温が28°以下であれば扇風機だけでも十分快適です(猛暑日も快適までとはいきませんでしたが、扇風機だけで凌げました)。エアコンを使うときにもサーキュレーターとして使っています。
音もとても静かです。風量1は「蝶2羽のはばたき」とありますが、点けていることを忘れてしまいます。風量を3まで上げると多少音はしますが、少し離れたところに置けば駆動音が気になることはありません。また首振り音もとてもスムーズで静かです。
身体を冷やしすぎない微風は、仕事中だけではなく睡眠時にも向いています。まさに微風(びふう)ではなく微風(そよ風)です。
これで、思う存分、仕事に集中できます(笑
リモートワークでは書類が飛ばない“微風”が重要
これは使ってみて気が付いたことですが、テレワークにおいては、DCモーター扇風機の ”微風が得意” という特徴が重要でした。微風ならテーブルに広げた書類も風で舞うことがありません。
バルミューダ GreenFan LEの残念なところ
”ワクワク” させてくれる GreenFan だからこそ、ACプラグとリモコンがちょっと残念です。
DCモーターは、直流(AC)から交流(DC)に変換しなければならないので、ACアダプタが電源トランス方式で大きくなるというのは仕方がありません。
しかし、チープな黒物ガジェットのACアダプタのようなデザインは、何とかならなかったのでしょうか。またコードも黒でヨレヨレになるタイプです。
アクセサリ(消耗品・専用パーツ | バルミューダ)で別売しているマルチプラグアダプターもありますが、写真を見る限りあまり期待はできなさそうです。
またリモコンは、シンプルで本体のスイッチと同じ並び順で使いやすいですが、こちらも黒で本体とのカラーの統一がありません。またリモコンの置き場所に困ります。
ダイソンの磁石でリモコンが本体に引っ付くというのは、羽根なし扇風機というのと同じぐらい感動でした。
バルミューダーの Green Fan は、"ものづくり"への"こだわり"を強く感じさせてくれる扇風機です。是非、ACプラグやリモコンも含めたトータルの "こだわり" をお願いいたします。
Alexa と連携する
電源をOFFにしても風量、首振り有無を覚えているので、
象と散歩: Alexa + スマートリモコンでスマートホーム化の促進で紹介している、スマートリモコン(ラトックシステム RS-WFIREX4)に登録して
Alexa, グリーンファンを点けて/消して
と、電源をON/OFFを音声コントロールにできます。
残念ながら、風量や首振りを変更するときは上部のスイッチで手動切り替えが必要です。
ジェネリック?DCモーター扇風機
siroca(シロカ)のDCモーター扇風機は、デザイン性も高く、値段も手頃です。
「静音」、「省エネ」、「低速回転での微風」という観点でDCモーター扇風機をというのであれば、安価なDCモーター扇風機でもいいのかもしれません。しかし、風にこだわるのであれば、扇風機が生成する風がどのようなものなのかが知りたくなります。
シロカ独自の「ふわビューン技術」(ふわりとした微風からビューンと遠くに届く強風まで、幅広い風速を実現)として風についても謳われていました。動画では風のイメージがあります。(2023.5追記)
下記のようにDCモーターならではの微風と直進性の高いパワフルな風というのがThe日本の技術という香りがします。
- 心地いい眠りをもたらすやさしくムラのない静かな風
- 部屋全体を効率よく換気できる遠くまで届くパワフルな風
扇風機の選択にあたって、何m先まで風が届くのかというカタログ値と、生成される風が届く様子が確認できる機種から選択しましたが、オンラインで商品を比較するときには、機能を目に見える形で表現して伝えるということは大切です。多少高額であってもよいものであるということが伝われば選択されます。
製品のこだわり(魅力)が購買者に正しく伝われば、価格競争という負のスパイラルから脱却できるのではないでしょうか。