英語の学習法に「多読法」というのがあります。『英語多読法』というのは、字の如くたくさんの英語を読むことです。ただ読むだけで勉強になるのかと思いましたが、何事も始めてみなければわかりません。
しかし、何から読み始めればいいのかもわからなかったので、まずは英語多読法について書かれた書籍「英語多読法 やさしい本で始めれば使える英語は必ず身につく!」を読んでみました。
この本を読んで、英語多読法のコツは下記の3点であると理解しました。
- 英語を英語のまま理解する
- 辞書は使わない。わからない語は推測する
- 知らない単語が5%以下のやさしいレベルから
英文を読む上でもっとも妨げとなるのは、一文一文を日本語に変換しようとしてしまうことです。なぜならそれが学校で習った勉強方法だったからです。しかし、英語を見聞きするのに、いちいち和訳をしていると時間がかかってしまいます。とくにリスニングの場合であれば、日本語化作業の間にどんどん先へと進んでいってしまいます。そもそも言語なので、別な言語に翻訳する必要はなく理解できるはずです。学校で英語を和訳していたのは理解度を測るためにすぎません。
わからない単語があっても辞書で調べずに推測することが大切です。普段、辞書を引きながら本を読んでますか?日本語であれば子供の頃から、無意識のうちに読めない漢字やわからない言葉に関しては推測しています。「山裾には赤城躑躅があたり一面に咲いていた。」という文書で『山裾』『赤城躑躅』という語がわかならくても文脈や文字から「山のどこかで何かが咲いている」ということは推測できます。同じように英文でも辞書を使わなくても大まか理解はできるはずです。しかし、瞬時に推測できるためには、知らない単語が5%以下でなければならないとあります。そのためにやさしいレベルから始めることが大切なのです。
どうしても辞書で確認をしたいのであれば、読む作業とは別で(読み終えてから)調べましょう。読みなが単語を調べるのはご法度です。
多読用の英語図書始
「英語多読法 やさしい本で始めれば使える英語は必ず身につく!」では、
- Leveled Readers (レベルド・リーダー)
- Graded Readers(グレイディッド・リーダー)
が、紹介されています。Leveled Readers (レベルド・リーダー)というのは、英語を母国語とする子供たちのための学習用絵本(児童書)です。Amazonで Oxford Reading Tree で検索すると多くの本が見つかります。もうひとつの Graded Readers(グレイディッド・リーダー)は、英語が母国語ではない人が辞書なしで読めるように工夫された英語多読用の教材です。
Foundation Reading Library(各6ストーリー)
いくつかの教材がありますが、Foundation Reading Library が最も簡単な英文で書かれているのではないでしょうか。1冊500~600円ですが、6冊セットの Foundation Reading Library 1~7 がお買い得です。本だけではなく CD も販売されていますので、読む、聴くのトレーニングすることができます。
Books |
CDs |
Level |
Foundations Reading Library 1: Collection | Foundations Reading Library 1 | Level1 基本語彙数75語 入門レベル |
Foundations Reading Library 2: Collection | Foundations Reading Library 2 | Level2 基本語彙数100語 入門レベル |
Foundations Reading Library 3: Collection | Foundations Reading Library 3 | Level3 基本語彙数150語 入門〜初級レベル |
Foundations Reading Library 4: Collection | Foundations Reading Library 4 | Level4 基本語彙数200語 入門〜初級レベル |
Foundations Reading Library 5: Collection | Foundations Reading Library 5 | Level5 基本語彙数250語 初級レベル |
Foundations Reading Library 6: Collection | Foundations Reading Library 6 | Level6 基本語彙数300語 初級レベル |
Foundations Reading Library 7: Collection | Foundations Reading Library 7 | Level7 基本語彙数350語 初級レベル |
Oxford Bookworms Library
Foundation Reading Library は入門から初級レベルなので、ちょっと簡単すぎるのではというのであれば、Oxford Bookworms Library から選択してみてください。入門用の Starter から上級者用の Stage6 までがあります。題材として映画や小説などを、読みやすい文章と簡単な単語に直して書かれているので辞書なしで飽きずに読むことができます。目安としてTOEICレベルを記載していますが、始めて英文を読むのであれば、自分のスコアよりも低いレベルのものから始めましょう。
またペーパーバックと音声がセットになったCDパックもありますので、「読む」「聴く」を鍛えるためにはCDパックからの選択をお勧めします。下記に各レベルのCDパックを紹介しておきますが、他にもたくさんあるので Oxford Bookworms Library CD Pack で検索してみてください。
レベル | 語彙数 | TOEICレベル | CDパック |
Starter | 200語 | The Girl with Green Eyes CD Pack | |
Stage1 | 400語 | 250点~380点 | Les Miserables Audio CD Pack |
Stage2 | 700語 | 310点~400点 | Sherlock Holmes Short Stories CD Pack |
Stage3 | 1000語 | 380点~560点 | Love Story CD Pack |
Stage4 | 1400語 | 420点~700点 | The Scarlet Letter CD Pack |
Stage5 | 1800語 | 520点~750点 | Great Gatsby CD Pack |
Stage6 | 2500語 | 700点以上 | Oliver Twist CD Pack |
Oxford Bookworms Library で最初に読んでみたのは、映画で観たことがあったStage1の The Elephant Man をKindle版です。簡単な単語と文章で書かれているので、英語でも哀しく切ない世界に入り込むことができました。残念ながらCDパックはありませんが、英語多読をスタートする一冊としてはおススメです。
Enjoy Simple English で多読
2014年度からNHKラジオの英語語学番組で「Enjoy Simple English(エンジョイ・シンプル・イングリッシュ)」が始まりました。NHKの平成26年度 国内放送番組 編成計画では、
「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」(月~金・前9:10~9:15)
簡単な英語で構成されるショートストーリーを聞き取ることで、英語を英語として理解する喜びを体感する番組。日本語による解説は設けず、物語や人物伝、文化紹介など曜日ごとに異なるテーマの英語を聞き取ることで、自然と英語が頭に入ってくる感覚を養う。
とラジオらしく「聞き取る」とありますが、テキストも簡単な単語と平易な文章で書かれていて日本語訳はありません。ヒントとして、いくつかの単語は絵で説明されています。まさに初めての英語多読にはピッタリな番組です。そして音声付です。これが500円(税別)とは安いものです。
放送前にテキストの英文を読んでおいて、放送で聴く。という「読む」「聴く」のスパイラルを月曜日から金曜日の週5日間、体感することができます。また内容も大人でも十分に楽しめるものになっています。
テキストにはKindle版もあり、こちらから購入できます。
Enjoy Simple English の難易度
NHKの英語語学番組は、CEFR によってレベル分けされていますが、エンジョイ・シンプル・イングリッシュのレベルは、A1-A2レベルで(A1:日常生活での基本的な表現を理解し、ごく簡単なやりとりができる/A2:日常生活での身近なことがらについて、簡単なやりとりができると位置づけられています。
CEFRとTOEICスコアのマッピング(www.ets.org)によるとTOEICでは120-225となります。
A1 | A2 | |
TOEIC Listening | 60 |
110 |
TOEIC Reading | 60 |
115 |
Total | 120 |
225 |
レベル的には Oxford Bookworms Library Stage1 と同じくらいだと思います。英語多読上級者には物足りない内容ではあると思いますが、入門者、初心者には適した内容です。
『NHKラジオの英語講座で勉強するなら、やっぱりラジオで録音するのがいい』で紹介したラジオレコーダーを使えば就寝前の10分(読む5分、聴く5分)で英語に毎日触れることができます。
まとめ
英語多読を始めるにあたってのまとめです。
- 簡単なものから始める
- 英語を英語として捉えて日本語訳しない
- 読みながらは辞書を使わない
- 「読む」「聴く」を繰り返す
NHKラジオのエンジョイ・シンプル・イングリッシュは、まさに上にまとめた多読法が実践できる教材です。そしてテキスト選びに悩むことなく毎月新しいテキストが発売されます。これだけでも月に1万語、年12万語の英文に触れることができるのです。
さあ、今日から英語多読を始めてみませんか? Let's Enjoy Simple English!