体重の増減は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスです。痩せるためには、摂取カロリーを少なくするか、消費カロリーを増やすしか方法はありません。しかし、ただ単にカロリーが高ければ太るということだけでもないようです。
体脂肪となる(カロリーのある)栄養素は、三大栄養素の炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質ですが、同じカロリーでも体脂肪になりやすいものと、なりにくいものがあるということが、油500kcal・砂糖水400kcalどっちが太るにわかりやすく書かれています。
また同じ炭水化物でも、玄米より白米の方が太ると言われていますが、これは、GI(グリセミック指数)、GL(グリセミック・ロード)が関連するようですが、詳しくは、いま調べているところなのでまた別な機会に。
活動量計でアクティブ カロリーを計測
そもそも摂取カロリーは、飲食したものを計算しなければならないので計測が面倒です。しかし、消費カロリーは活動量計やApple Watchで知ることができます。
下記は、Withings Pulse で計測したある日の消費カロリー数です。アクティブ カロリーは、279Kcalでトータル カロリーが1,885Kcal
と記録されています。
Withings Puls は、ポケットに入れて使える活動計で、長らく愛用していましたが、いまなら腕時計型の活動量&睡眠トラッカー Withings Move でしょうか。【追記:2019/09/02】
また同じ日をApple Watchで計測した結果では、アクティブ カロリーが、462Kcal、トータル カロリーが、1,991Kcal でした。
計測デバイスによって差はあるものの、この結果からは、この日に 2,000Kcal以上を摂取していたら
摂取カロリー > 消費カロリー = 体重増加
と、いうことになります。
日本人の平均摂取カロリー
日本人は平均的にどのくらいのカロリーを摂取しているのでしょうか。統計データがないかを探してみたところ、国民健康・栄養調査|厚生労働省 に年代別の摂取エネルギー量(カロリー)がありました。
下表は、平成24年調査結果のExcel表からまとめたものになります。
性別・年代別 摂取エネルギー量
年代 | 男性 | 女性 |
平均値 | 標準偏差 | 中央値 | 平均値 | 標準偏差 | 中央値 |
20代 | 2,180 | 657 | 2,111 | 1,669 | 481 | 1,641 |
30代 | 2,124 | 592 | 2,066 | 1,690 | 449 | 1,667 |
40代 | 2,166 | 593 | 2,118 | 1,701 | 441 | 1,689 |
50代 | 2,192 | 569 | 2,153 | 1,755 | 443 | 1,730 |
60代 | 2,150 | 540 | 2,116 | 1,728 | 434 | 1,702 |
70歳以上 | 1,991 | 538 | 1,968 | 1,619 | 436 | 1,589 |
30代男性でみると、平均摂取カロリーは 2,124Kcalです。ただ、標準偏差が592Kcalと結構なばらつきがあります。平均値と中央値が異なるので正規分布ではありませんが、30代男性では、毎日、1,532Kcal - 2,716Kcal を摂取しているということになります。また中央値より平均値の方が高いので、実際には、平均値の2,124Kcalよりも低い人の方が多いと推測できます。
必要カロリー数の計算
平均値がわかったので、次に実際に自分に必要なカロリーを計算してみましょう。
人は特別な運動をしなくてもカロリーを消費しています。そのベースとなるカロリー消費量は、基礎代謝量、安静時代謝量といわれています。これに活動代謝量を足したものが消費カロリーとなります。
基礎代謝量とは
基礎代謝量(BMR: basal metabolic rate)とは、下記にあるように心拍、呼吸・体温など生命活動を維持するための必要最小限のエネルギー量です。
心身ともに安静な状態の時に生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量。
何もせずじっとしている時でも、体は生命活動を維持するために、心拍や呼吸・体温の維持などを行っていますが、基礎代謝量(単に基礎代謝ともいいます)はこれらの活動で消費される必要最小限のエネルギー量のことです。
基礎代謝量は、性別、年齢、身長、体重から基準値を計算できますが、実際には、年齢、性別、身長、体重が同じであっても、また同一人においても測定時の身体の状態で基礎代謝量は異なります。その要因とはしては、体表面積、筋肉量、体温、ホルモン、季節、月経などがあげられています。(参考:運動の基礎科学 - 厚生労働省)
安静時代謝量とは
安静時代謝量(RMR: resting metabolic rate)とは、基礎代謝量の測定のように姿勢や食事・室温などの測定条件を規定しないで、座位で安静にしている状態で消費されるエネルギーのことです。
快適な室温の部屋で、座って安静にしている状態で消費されるエネルギー量のことで、基礎代謝量の約1.2倍とされています。
また安静時代謝量は、基礎代謝量の1.2倍程度と言われています。
基礎代謝量と安静時代謝量の計算
基礎代謝量の計算については、できるだけ簡単に腹を凹ましたい! | 象と散歩 にも掲載していますが、下記の計算から求めます。安静時代謝量については、この計算で求めた基礎代謝量に1.2を乗じた数値です。
国立健康・栄養研究所の式(Ganpule et al., 2007)
基礎代謝(kcal/日)=〔0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢(歳)-定数(男性: 0.4235、女性:0.9708)〕×1000/4.186
Wihtings WiFi 体重計を使っていれば、Apple のヘルスアプリと連携して安静時代謝も記録されています。
計算値とどのくらい差があるかを確認してみてください。
必要カロリー数の計算
推定エネルギー必要量(kcal/日)は「日本人の食事摂取基準(2015年度)」策定検討会審議会資料 |厚生労働省 に、成人(18 歳以上)の場合、下記の計算式から求められるとあります。
推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
身体活動レベルは、日常生活の活動レベルによって、大まかに分類されている数値を使って計算します。この身体活動レベルには3段階と4段階に分類されているものがありますが、第6次改定日本人の栄養所要量について にある、4分類の説明の方がしっくりとくるので、下記の計算では4分類の値を利用しています。
【引用】生活活動強度の区分(目安)
生活活動強度
と指数(基礎
代謝量の倍数) | 日常生活活動の例 | 日常生活の内容 |
生活動作 | 時 間 |
I
(低い)
1.3 | 安 静 | 12 | 散歩、買物など比較的ゆっくりした1時間程度の歩行のほか大部分は座位での読書、勉強、談話、また座位や横になってのテレビ、音楽鑑賞などをしている場合。 |
立 つ | 11 |
歩 く | 1 |
速 歩 | 0 |
筋運動 | 0 |
II
(やや低い)
1.5 | 安 静 | 10 | 通勤、仕事などで2時間程度の歩行や乗車接客、家事等立位での業務が比較的多いほか大部分は座位での事務、談話などをしている場合。 |
立 つ | 9 |
歩 く | 5 |
速 歩 | 0 |
筋運動 | 0 |
III
(適 度)
1.7 | 安 静 | 9 | 生活活動強度II(やや低い)の者が1日1時間程度は速歩やサイクリングなど比較的強い身体活動を行っている場合や、大部分は立位での作業であるが1時間程度は農作業、漁業などの比較的強い作業に従事している場合。 |
立 つ | 8 |
歩 く | 6 |
速 歩 | 1 |
筋運動 | 0 |
IV
(高い)
1.9 | 安 静 | 9 | 1日のうち1時間程度は激しいトレーニングや木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような強い作業に従事している場合。 |
立 つ | 8 |
歩 く | 5 |
速 歩 | 1 |
筋運動 | 1 |
では、下記に性別、年齢、身長、体重、生活活動強度を入力して計算してみてください。
(*1)必要活動代謝量は、必要エネルギー量から安静時代謝量を減算した値、つまり、必要なエネルギー分のカロリーを取得したら、必要活動代謝量分の身体活動が必要であるということです。
また参考として、現在の身長での適正体重とその場合に必要なエネルギー数を計算しています。(*2)差分カロリーは、適正体重にするために減らさなければならないカロリー数です。
(※IEでは動作しません)
年代別に必要なカロリーを計算する
日本人の平均身長と平均体重については、厚生労働省が実施している、国民健康・栄養調査、平成25年国民健康・栄養調査報告|厚生労働省、第2部 身体状況調査の結果 を参考にしています。また適正体重については、皮下脂肪の厚さを知る | 象と散歩 に記載しましたが、下記の計算式で求めています。
BMIと適正体重の求め方
- BMI指数 = 体重Kg ÷ (身長m)2
- 適正体重 = (身長m)2×22
下記で計算ができます。(※IEでは動作しません)
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年齢階級別の平均身長と平均体重
| 男性 | 女性 |
年代 | 平均身長 | 平均体重 | 適正体重 | 平均身長 | 平均体重 | 適正体重 |
20代 | 170.9cm | 66.1kg | 64.3kg | 157.9cm | 52.3kg | 54.9kg |
30代 | 170.8cm | 68.3kg | 64.2kg | 158.3cm | 53.7kg | 55.1kg |
40代 | 170.9cm | 70.3kg | 64.0kg | 157.8cm | 54.6kg | 54.8kg |
50代 | 169.5cm | 68.7kg | 63.2kg | 155.9cm | 55.2kg | 53.5kg |
60代 | 165.9cm | 65.0kg | 60.6kg | 153.1cm | 53.1kg | 51.6kg |
若い女性は美容を意識した体重に
上記の平均体重と適正体重を比較したグラフが下記になります。
男性はすべての世代において適正体重を上回っていますが、女性は40代までは適正体重を下回っています。適正体重は、BMI値が22になるように計算されていますが、20代女性のBMIの平均値は21.0、30代で21.4なので、女性はよりやせることを意識していることが伺えます。
がんばれ、男性陣。特に40代の男性のBMIは、肥満ギリギリの24.1です。
年代別の適正カロリーは
最後に年代別の必要カロリーを平均体重と適正体重から求めてみました。身体活動レベルは、「やや低い(Ⅱ)」で計算しています。
年齢階級別の必要カロリー(Kcal/日)
| 男性 | 女性 |
年代 | 平均体重 | 適正体重 | 平均体重 | 適正体重 |
20代(25) | 2,297 | 2,267 | 1,754 | 1,799 |
30代(35) | 2,285 | 2,264 | 1,732 | 1,756 |
40代(45) | 2,271 | 2,162 | 1,694 | 1,697 |
50代(55) | 2,181 | 2,087 | 1,639 | 1,610 |
60代(65) | 2,039 | 1,962 | 1,530 | 1,504 |
下表は、第6次改定日本人の栄養所要量について にある「表2 生活活動強度別 エネルギー所要量 (kcal/日)」から生活活動強度が「やや低い」と「適度」の18-69歳までを抜粋した表です。
生活活動強度別 エネルギー所要量 (kcal/日)
| 男性 | 女性 |
年齢 | やや低い | 適度 | やや低い | 適度 |
18-29 | 2,300 | 2,650 | 1,800 | 2,050 |
30-49 | 2,250 | 2,264 | 1,732 | 1,756 |
50-69 | 2,271 | 2,162 | 1,694 | 1,697 |
まとめ
まずは、計算値をもとに自分の現在のカロリー摂取量を知り、消費カロリーを活動量計で測定することによって、摂取カロリーと消費カロリーを意識するようにしましょう。意識することがダイエットの第一歩です。結果は必ず体重計に表れます。