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2010年1月23日

iPhone / iPod Touch で新聞を読む - RSS probe

※併せて「iPhone/iPod Touchで新聞を読む(最新版)」をご覧ください

通勤途中で新聞各紙のコラムと社説、ニュース記事をiPhoneで読んでいますが、地下鉄区間ではネット環境が利用できません。なので、コラムと社説用に通勤ipodを使い、ニュース記事にはGNReadr Zを使ってオフラインで読んでいました。

しかし、1月19日にGNReader Zのサービスが終了しました。サーバー負荷の問題と記されていましたが、事前予告なしの突然のサービス停止に、新聞記事の著作権が問題視されたのではないかと思ったりします。そして、その先にあるのは、新聞各社のコンテンツ有料化への道筋なのでしょうか。

奇しくもその前日に、The New York Times(NYT)が、同紙のコンテンツへのアクセスを有料化する準備を進めているという報道がなされていました。昨年秋には、Googleが少額決済システムを新聞各社に提案したいうニュースもありました。米国では、コンテンツ有料化に向けての準備が着々と進められています。

日本でも有料化については、検討されているのではないかと思います。新聞発行部数が減少し、広告収入が減少する中、無料で記事を閲覧できることで集客する広告モデルも収入の柱になり得ていないのはないでしょうか。

下記は、2009年2月に電通が昨年ニュースリリースに掲載していた日本の広告費の推移です。
またネット広告は、リアル媒体(テレビ、新聞、雑誌)に比べると広告出稿費が安価です。マス広告と比較すると費用対効果を算出することができるので、もっと、その価値を認められてもいいような気がします。その要因のひとつしては、安易なバナー広告の横行だったのではないでしょうか。最近はリッチメディアによる広告も増加してきていますが、記事を幾つか参照していると、10秒程度の動画で流れるというのでも利用者は価値あるコンテンツを見るためであれば参照するのではないかと思います。

また閲覧しているコンテンツから行動履歴を把握する。利用者の属性を取得しターゲティング広告ができるようになるなども考えられます。

そのためには、単に紙面の二次利用ではなく、ネットならではのコンテンツの供給と、利用形態が必要です。例えば、紙面の都合上でカットされた全文の掲載、利用されなかった画像や取材記事など、情報量を多くすることは可能ではないかと思います。また閲覧者が興味がある記事をリコメンドするという方法も考えられます。

ここまで書きながらニュースサイトを閲覧していたら、日経ネットに「日本経済新聞 電子版」春に創刊というリンクがありました。(1/21)
紙の新聞では表現できない映像や豊富な数値データなど、複数の媒体やデータベースを組み合わせなければ提供できなかった多様な情報もまとめて閲覧できます。ニュースの経緯をさかのぼったり、その場で用語解説や株価データをチェックしたり。これまでにない読み方を提案します。

提供する情報は紙の新聞の記事だけではありません。最新のニュースのほか、企業戦略の舞台裏や詳細な新製品・価格情報、デジタル技術のトレンド予測など紙にはない話題を満載します。投資情報、生活、スポーツなど、それぞれに専門コーナーを設け、見逃せない情報を手厚く発信します。

【WEB刊誕生!日本経済新聞 電子版 創刊へ】

と、掲載されています。更に「My日経」では、キーワードによる自動記事収集、記事のおすすめ、記事の保存ができるそうです。

一部有料モデルと記載されていますが、現時点では金額は未提示でが、コンテンツ有料化の試金石としてみていきたいと思います。

閑話休題

前置きが長くなりましたが、iPhoneでのオフラインでの新聞閲覧方法についてです。他にオフラインで閲覧できるニュースリーダはないかと探してみると、MNCというアプリケーションがありました。Yahoo!のニュースカテゴリと同期しているようですが、カテゴリ分けが自分的には馴染めないのと、既読・未読の判別ができないのが残念です。 (削除されました)

と、いってRSSリーダだとオフラインでは全文は読めないし....。と、思案しているときに、以前、自分では使いこなせなかったYahoo Pipesを思い出しました。

Yahoo Pipesは、RSS配信されているものを自分で組み替えたり、またRSS配信されていないものを自分でRSSとして作成することができるサービスです。

きっと優秀な先陣の方々が用意してくれているに違いにない!と思い、「NIKKEI NET」で検索すると、全文配信というのが多数ありました。

またTakuro氏が全国紙の社説とコラムを全文配信させる、「今日の社説」「今日のコラム」を作成されていました。

素晴らしいです。

yahoo.comでユーザ登録をすれば、上記の諸先輩方が作成されたYahoo PipesのClone(コピー)を作成できますが、そのまま利用することも可能です。

RSSリーダでiPhone / iPod Touch で新聞を読む

上記のYahoo Pipesで作成された新聞全文記事のRSSフィードをiPhone / iPod touch のRSSリーダーを使用して、オフラインでも新聞記事を閲覧することができます。

今回は、RSS probe を使った例で紹介します。


新聞のコラムを iPhone / iPod touchで読む

今日のコラム」では、「読売-編集手帳」、「読売-よみうり寸評」、「朝日-天声人語」、「産経-産経抄」、「日経-秋春」の全文がRSSフィードとして取得できます。各記事の著作権は、各新聞社に帰属します。と、作者の注意書きが記載されています。

① Safariで Yahoo Pieps をブラウズして
“今日のコラム”を検索して開きます

② Get as RSSの部分を“長押し”してURLをコピー


④ RSS probeを起動して右下の歯車のアイコンをタッチ

⑤ 設定画面で左上の+をタッチして新しいフィードを追加します

⑥ 追加メニューの“フィードのURLを入力”をタッチして
②でコピーしたURLをペースト

⑦ URLが正しければ、下記のように表示されます

これで、登録は完了です。更新すると“今日のコラム”が閲覧できます。下記は、オフラインで秋春を閲覧している状態です。
2010年1月19日

GoodReaderの使い方 - リネームとファイル転送

GoodReaderでYouTubeの動画をダウンロード」で、iPhone/iPod TouchアプリのGoodReaderを使ったYouTubeからの動画のダウンロード方法を記載していましたが、ダウンロードした動画のファイルのファイル名の変更方法とPCへの転送方法について質問を受けたので追記しておきます。



GoodReaderにダウンロードしたファイルをリネームする

GoodReaderでYouTubeからダウンロードをすると、ファイル名は Video.mp4となります。その後は後ろに数字が付きます。このままだと時間が経つと何の動画かわからなくなってしまいますので、ファイル名を下記の方法で変更します。

My Documentsを開くとダウンロードしたファイルの一覧が表示されます。その右上にある“Actions”をタッチします。



“Action”が選択されると、下記のようにファイル名の一覧の左側が選択できるようになります。複数のファイルを選択してしまうと“Rename”は選択できなくなります。
名前を変更したいファイルをひとつ選択してから、下側にある、アクション一覧から”Rename”をタッチします。


“Enter a new name”というメッセージの下でファイル名が変更できますので、適当な名前に変更して”OK”をタッチします。リネームを止めるのであれば“Cancel”をタッチして、右上の“Done”をタッチすると“Action”の画面に戻ります。


GoodReaderにダウンロードしたファイルをPCに転送する

GoodReaderでダウンロードしたファイルは、自宅で無線LAN環境を構築しているのであれば、簡単にPCに転送することができます。iPhone/iPod TouchをWiFi接続した状態で、GoodReaderの左下にある、PCとiPhoneが矢印で結ばれているアイコンをタッチします。



WiFi接続されている状態であれば、“WiFi status: ON”と表示され、その下にIP-addressとBonjour-addressが表示されます。下記の例では、IP-addressが192.168.1.7と表記されていますが、この部分は、環境によって異なります。

GoodReaderは上記の画面のままで、PC側でブラウザを起動して、上記のIP-address、若しくは、Bonjour-addressをURLとして入力します。下記は、Chromeを使用した例になります。

iPhone Connectionと表示され、その下にGoodReaderのMy Documentsにあるファイル一覧が表示されますので、転送したファイルをクリックすると、Windowsの「名前を付けて保存」が表示されますので適当なフォルダに保存します。


ファイル名に半角カタカナや濁点のカタカナが使用されている場合は、文字化けしてしまいますので、適当なファイル名に直してから保存してください。これは文字コード(UTF-8)の仕様が異なることに起因するものと思います。

今日の一曲

今日もカバーバージョンです。オリジナルの発売が1965年。カバーバージョンも1978年と古い一曲です。カバーとは知らず聴いていて、後になってから有名なバンドのカーバー曲だったことを知りました。

と、いうことで、今日の一曲は、DEVO の (I can't Get No) Satisfaction です。 Devoは、De-evolution (退化)を意味します。アルバム Q:Are We Not Men? A:We Are Devoに収録されている一曲です。アルバムの邦題名は、「頽廃的美学論」(たいはいてきびがくろん)です。当時の邦題の付け方はステキです。

変拍子のリズムが気持ちよく、Yellow Magic Orchestraもこの手法を用いて Day Tripper をカバーしています。

DEVO (I can't Get No) Satisfaction

2010年1月17日

顧客ロックイン戦略-CRMの戦略フレーム

NHKの「出社が楽しい経済学」の第2シリーズが再放送されています。第1シリーズも昨年末に再放送されていたので何回か見ましたが、エロティシズムを感じさせる喋り方でキーワードを繰り返す外人は、NHKとしては意外な感じでしたが、キーワードは重要なものばかりです。

日経BP社から「出社が楽しい経済学」DVDブックとして全4巻発売されているので人気があった番組だと思われます。

「出社が楽しい経済学」DVDブック第1巻
「サンクコスト」「機会費用」「比較優位」

「出社が楽しい経済学」DVDブック第2巻
「インセンティブ」「モラルハザード」「逆選択」

「出社が楽しい経済学」DVDブック 第3巻
「価格差別」「裁定」「囚人のジレンマ」

「出社が楽しい経済学」DVDブック 第4巻
「共有地の悲劇」「割引現在価値」「ネットワークの外部性」

そんな出社が楽しい経済学の第2シリーズ第1回の放送は、「ロックイン」でした。ロックインとは、“人や企業の行動が、何らかの理由によってある方向に固定化していくこと“と説明されています。またロックインされた顧客をスイッチさせるには、コストが必要になると説明されています。

スイッチング戦略も、顧客獲得のための施策になりますが、例えば割引券をもらった店舗を利用したとしても、継続してその店舗を利用するかどうかはわかりません。そこでロックインするための施策が必要となります。

企業にとって顧客を固定化していくことは重要な施策になります。顧客戦略を考える上で、Acquistion(アクイジョン:新規顧客獲得)とRetention(リテンション:既存顧客維持)を比較した場合、新規顧客獲得費用よりも既存顧客維持費用の方が低コストであるといわれています。そのため多くの企業でCRM施策を必要とするのです。

IT先行でCRMが語られていた2000年頃に、CRM戦略について体系立てて説明されているものを探していましたが、なかなかヒットするものがありませんでした。そんなときにハーバードビジネスレビューに「顧客ロックイン戦略」が掲載されました。2001年当時の内容ですが、今になってもう一度読んでもフレームワークとして十分に使える内容です。

戦略実践ノート
著者: 野村総合研究所 コンサルティング・セクター
出版社:  ダイヤモンド社
発売日: 2004/10/7
価格: ¥1,890




著者は、NRIの中川理氏、日戸浩之氏、宮本浩之氏で、7つのロックイン戦略についてわかりやすく記載されています。

ハーバードビジネスレビューは、単価の高い雑誌ですが、たまに読みたくなる記事が掲載されます。過去記事は、バックナンバーを購入してもよいですが、ハーバード・ビジネス・ライブラリーやブックネストから単体の記事として購入することもできます。(2020.1.6 削除)

今回、ブックネストを使ってyukiセレクションに顧客ロックイン戦略を紹介しておりますので、興味がある方は、購入して全文を読んでみてください。(2020.1.6 削除)

バックナンバー(電子版)を購入するか、ハーバードビジネスレビューを定期購読してDHBRオンライン会員になると、こちらから読めます。(2020.1.6 追記)

また顧客ロックイン戦略については、ダイヤモンド社発刊の戦略実践ノートの第一章にも掲載されているので、こちらも参考にしてみてください。

戦略実践ノート
著者: 野村総合研究所 コンサルティング・セクター
出版社:  ダイヤモンド社
発売日: 2004/10/7
価格: ¥1,890


顧客ロックイン戦略

顧客ロックイン戦略の中で、ロックイン戦略とは、顧客との長期的関係を構築するためのさまざまな戦略を、顧客サイドの視点からロジックを組み立て、体系づけたものであり、CRMの概念に体系的な戦略を適用するものであるとあります。

下記は、7つの顧客ロックイン戦略について自分の理解でまとめたものです。

今回は、インティマシー・ロックインとメンバーシップ・ロックインについてですが、3回に分けて7つの顧客ロックイン戦略について説明しています。

第1回 顧客ロックイン戦略-CRMの戦略フレーム

  • インティマシー・ロックイン
  • メンバーシップ・ロックイン

第2回 顧客ロックイン戦略-CRMの戦略フレーム(その2) 

  • コンビニエンス・ロックイン
  • ブランド・ロックイン
  • ラーニング・ロックイン

第3回 顧客ロックイン戦略-CRMの戦略フレーム(その3)

  • コミュニティ・ロックイン
  • シリーズ・ロックイン

インティマシー・ロックイン

intimacyとは、親密と親交を意味します。つまり馴染みや親しみといった人に対する、好意や親近感から生じるロックインです。これを戦略と呼べるかは疑問ですが、行きつけの喫茶店のマスター、いつも昼を食べる定食屋の店員さんなどがいるからといって通うのは、インティマシー・ロックインされていることになります。ネットや大手企業などでは難しい戦略かと思いきや、CMに起用されているタレントやキャラクターなどへの愛着を利用することもインティマシー・ロックインというそうです。


メンバーシップ・ロックイン

メンバーシップロックインとは、入会金というサンク・コスト(埋没費用)や貯めたポイントを無駄にしたくないという意識を利用したロックインで、会員制方式とポイント制方式の2種類があるとあります。


会員制方式

会員になった顧客に割引などの特典を与え、入会金というサンク・コスト(埋没費用)を先払いさせることで、顧客は元をとらなければならないという意識が働きロックインされます。会員制スーパー「コストコ」、会員制リゾートホテル、ゴルフ会員権など古くから用いられている戦略です。


ポイント制方式

購買代金に応じてポイントを付与して、貯まったポイントによって特典が得られる仕組みです。ポイント制度は、アメリカン航空が導入したFFP(Frequent Flyer Point)が最初であるといわれていますが、現在ではFSP(Frequent Shopper Program)を多くの企業が導入しています。

但し、①ディスカウントにつながりにくいものとすること、②指数関数的に魅力を高め上位顧客に優位であること、の二点が留意点です。

またFSPを導入することにより、ポイントを付与するだけではなく、誰が、いつ、どこで、何を購入したといったデータを蓄積し、購買履歴に基づいたリコメンデーション、販促活動、クローズド・キャンペーンなどは、現在では多くの企業が実施しています。

優良顧客をポイントで優遇するだけではなく、優良顧客の嗜好、行動履歴を知ることにより、更にロックインを深めることができるようになります。

顧客ロックイン戦略には、上記の他、「コンビニエンス・ロックイン」、「ブランド・ロックイン」、「ラーニング・ロックイン」、「コミュニティ・ロックイン」、「シリーズ・ロックイン」がありますが、これらについては、次回以降で説明したいと思います。

下記は、顧客ロックイン戦略をマインドマップで記載したものです。


今日の一曲


ロックイン戦略のロックは、"L"ですが、こちらは、"R"のロックから始まる「Rock 'N' Roll Suicide」です。

オリジナルは、David Bowieの「Ziggy Stardust」に収録されていますが、今日の一曲は、Gwyneth Herbert(グウィネス・ハーバート)のカバーバージョンでアルバム「All the Ghosts」のボーナス・トラックとして収録されています。


Gwyneth Herbertは、英国の女性シンガーで、ハスキーな声でJazzyな曲を奏でます。今回オススメのRock "N" Roll Suicideもアコギとハスキーな歌声に痺れます。

また「All the Ghosts」に収録されている「Put Your Mouth Where Your Money is」も超カッコいいです。

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