活動量計(2007年当時は歩数計)を身に付けていると、自分の歩数が可視化されるだけではなく、毎日の歩数が2,000歩も増加するという記事がStanford Medicine(スタンフォード大学 医学部)にありました。
この中で Dena Bravata 氏は、
"Just over 2,100 steps might not sound that much, but it equates to a 27 percent increase in physical activity - which is really astounding," said Bravata.
【引用】Pedometers help people stay active, Stanford study finds
「たった2,100歩だけど、身体活動を27%増加させる驚くべきこと」と言っています。
確かに、活動量計やスマホで歩数を計測していると普段よりも歩数が少ないとリカバリーしようという意識も働きます。
2,000歩は時間で考えると、10分で1,000歩として約20分です。そう考えると長い時間を歩いているように思えますが、1日の活動している時間を12時間と考えると1時間あたりに2分弱多く歩けば+2,000歩になります。
オフィスや学校に通っていれば、
- 駅でエスカレータを使わない
- 昼食は外に出て食べる(外に買いに行く)
- 2,3階の移動ならエレベータは使わない
- トイレは違う階に階段で行く
と言ったちょっとした工夫で、歩数は増やせます。
1日1万歩の謎
歩数と言えば1日1万歩と思い浮かべますが、実際には1日1万歩を歩くのは結構大変です。現在では、健康日本21(第二次) で平成34年までに達成する目標が掲げられています。平成30年「国民健康・栄養調査」の結果 に掲載されている、1日の歩数平均と合わせると、
年齢 | 性別 | 目標 | H30 | 差分 |
24-60 | 男性 | 9,000 | 7,644 | 1,356 |
24-60 | 女性 | 8,500 | 6,705 | 1,795 |
と、それぞれ健康日本21の目標に対して、男性で1,400歩、女性で1,800歩、不足しているということになります。
健康日本21とは、
健康増進法に基づき策定された「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第195号)」は、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向や国民の健康の増進の目標に関する事項等を定めたものです。本方針が全部改正(いわゆる「健康日本21(第2次)」)されました。(平成24年7月10日厚生労働省告示430号)
と、厚生労働省で定義しているものですが、目標歩数は10,000歩ではありません。また平成30年「国民健康・栄養調査」の結果 には、
歩数の平均値は男性で 6,794 歩、女性で 5,942 歩であり、この 10 年間でみると、男女とも に有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、20~64 歳の歩数は男性 7,644 歩、女性 6,705 歩であり、65 歳以上は男性 5,417 歩、女性 4,759 歩である。
とありますので、歩くということ意識しなければ、健康日本21の目標達成すら難しそうです。
1日1万歩というのは都市伝説的な目標値だったのかと思いきや、
イ 日常生活における歩数の増加
日常生活において身体活動量を増やす具体的な手段は、歩行を中心とした身体活動を増加させるように心掛けることである。健康増進関連機器の中で、歩数計を実際に使用している者は20歳以上の16.7%を占め、特に中高年者では3~4人に1人が使用しており(平成8年度健康づくりに関する意識調査)、個人が取り組む目安としても、歩数の目標値を設定することは有用である。
身体活動量と死亡率などとの関連をみた疫学的研究の結果からは、「1日1万歩」の歩数を確保することが理想と考えられる(注)。日本人の歩数の現状では、1日平均で、男性8,202歩、女性7,282歩であり、1日1万歩以上歩いている者は男性29.2%、女性21.8%である(平成9年度国民栄養調査)。最近10年間の歩数の増加傾向を考慮して、当面10年間の目標として、男女とも歩数の1,000歩増加を目指し、1日平均歩数を男性9,200歩、女性8,300歩程度を目標とする。1,000歩は約10分の歩行で得られる歩数であり、距離としては600〜700mに相当する。その結果1日1万歩以上歩く者は男性37%、女性30%になると見込まれる。
【引用】身体活動・運動|厚生労働省
とあります。上記は、2次で補正される前の記載ですが、1日平均歩数が男性で9,200歩、女性で8,300歩となれば、1万歩以上歩く人が、男性で37%、女性で30%になるという目論見だったのです。
同ページには、1日1万歩の根拠についての記載もありました。
1日1万歩の根拠
海外の文献から週当たり2000kcal(1日当たり約300kcal)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されている。歩行時のエネルギー消費量を求めるためのアメリカスポーツ医学協会が提示する式を用いて、体重60kgの者が、時速4km(分速70m)、歩幅70cm、で10分歩く(700m、1000歩)場合を計算すると、消費エネルギーは30kcalとなる。つまり1日当たり300kcalのエネルギー消費は、1万歩に相当する。
歩行時のエネルギー消費量を求めるためのアメリカスポーツ医学協会が提示する式
水平歩行時の推定酸素摂取量(ml/kg/分)=安静時酸素摂取量(3.5ml/kg/分)+0.1×分速(m/分)
この式によれば、体重60kgの者が、分速70mで10分間歩くと、6300mlの酸素を摂取することとなる。これに「酸素1リットル当たりのエネルギー消費量=5kcal」の関係を当てはめると、約30kcalのエネルギー消費量に相当することが求められる。
【引用】身体活動・運動|厚生労働省
やはり、1日1万歩を捨てたわけではなく、3割以上の人が達成できる平均歩数を健康日本21で定めていたということがわかりました。
コロナ禍の歩数
Apple Watchで普段の歩数を計測していますが、身体測定データは Withings の Health Mateアプリに統合しています。下図はこの半年間の月毎の平日の平均歩数ですが、このデータもHealth Mateアプリで簡単に取得できます。
3月から在宅勤務が推奨され、4月は緊急事態宣言を受けて巣篭もりに徹していたことがわかります。6月になって3月と同水準には戻っていますが、以前と比べると半分以下の歩数です。
可視化するとテレワークでどれだけ歩かなくなったがよくわかります。象と散歩: テレワークは立って仕事をしろ! で紹介した、LAVIT8 は腰痛防止には役立ってくれていますが、歩数増加にあまり貢献してくれていなさそうです。
下半身の筋力低下は、体重増加にも繋がりますので、象と散歩: できるだけ簡単に腹を凹ましたい! で紹介した ”水平足踏み” を再開しました。
水平足踏み
再掲となりますが、”水平足踏み”のやり方は簡単で、3分~3分半で交互に足踏みを300回行うだけです。コツは下図のように腿を水平まであげることです。足踏みというよりは腿上げに近い運動です。
簡単そうですが、実際にやってみるとハードです。最初は300回はできないかもしれません。
ランジ
歩数減少に伴う運動不足を補うために、他に効果的な方法はないかと探しましたが、ランジも下半身の筋力に効果的ではないかと思います。またランジは、ヨガの太陽礼拝にも取り込まれているポーズで、股関節の柔軟にもよい運動です.
筋力UPを目指すのであれば下記の動画がとても分かりやすかったです。
ヨガ的ランジであれば英語ですが下記がお勧めです。
活動量計を身に付けよう
スマホで歩数を計測をしている人も多いと思いますが、常に身につけているスマートウォッチの方が正確に計測できますし、心拍数や運動量も計測できます。
また自分のデータを管理するのは、
- 長期的にデータを保存して可視化する
- 他の体組成計、睡眠パッドなどと統合的に管理
という点で、Withingsは優れています。Apple Watchで計測したデータをWithingsのHeath Mateアプリで使うこともできます。
Apple Watchは、通知機能で本文も確認できるので、SMS、SNSで受信したメッセージ、カレンダーが iPhoneなしで確認できます。しかし、毎晩充電が必要です。
充電の呪縛から解かれるのであれば Withings ScanWatch という選択肢もあります。最大30日間持続するバッテリーというのは魅力的です。通知機能ではApple Watchよりも劣りますが、日本語の通知にも対応しています。デザインはアナログ時計を踏襲していてビジネスシーンにもマッチしそうです。
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