エレクトリック・アップライト・ベースでウォーキングベースを練習していますが、読譜の練習も兼ねてベースラインを楽譜に描いています。
しかし、楽譜に馴染みがなかった自分にとっては、譜面を描くということは、かなり労力が必要で面倒な作業です。
そこで、ベースの練習のモチベーションを高めるために専用の楽譜用万年筆があるか調べてみました。万年筆の濃いインクなら楽譜の視認性も向上します。
ミュージック ニブ
日本を代表する万年筆ブランドである「プラチナ万年筆」「パイロット」「セーラー万年筆」、それぞれから楽譜の作成を支援するためにデザインされたミュージック ニブと呼ばれる特別なペン先の万年筆が発売されています。
ミュージック ニブの最大の特徴は、その独特な書き味です。横線は細く、一方で縦線は太く書くことができます。この特性を活かして、楽譜を構成する音符、休符、記号、線などを独特なタッチで描写することができます。
ミュージック ニブは、特殊なペン先の構造に起因して一般的なペン先に比べてやや高めの価格設定となっています。しかしながら、その性能と機能は、楽譜を描くことにおいて高い品質と効率性を提供してくれるに違いありません。
プラチナ万年筆 #3776 センチュリー ミュージック
プラチナ万年筆の #3776 センチュリー(ミュージック)は、楽譜を美しく描くための万年筆です。最大の特徴は、縦の線を太く、横の線を細く描くことができる特殊なペン先です。ペンポイントは幅広な平らで、スリット(ペン先の割れ目)は2本あります。これによりインクフローの量を多くして太い線を描けるようになっています。
またペン先のインク量が多いので、使っていないときにペン先が乾いて描けなくなることを防ぐために、キャップはスリップシール機構が採用されており、使っていない間にインクが乾燥するのを防ぐ役割を果たします。
パイロット カスタム 74 万年筆 ブラック MS(ミュージック)
パイロット カスタムシリーズのペン先にはMS(ミュージック)モデルがラインナップされています。
- CUSTOM 74
- CUSTOM 742
- CUSTOM HERITAGE 912
MS(ミュージック)ペン先は、特殊な形状で、ペンポイントは広く平坦になっており、スリット(ペン先の割れ目)は2本あります。この設計により、ペン先が3つに分かれており、独自の書き味を提供します。
パイロット カスタム74は、初めての金ペンとしても人気の高い万年筆ですが、MS(ミュージック)ペン先は、楽譜をはじめ、縦線と横線の太さの変化を活かした文字やデザインを描く際にも優れた性能を発揮できることが期待できます。
セーラー万年筆 プロフィットライト ゴールドトリム ミュージック
セーラー万年筆のプロフェッショナルギアとプロフィット シリーズには、ミュージック ニブがあります。ペンポイントが平坦にカットされた特殊な形状は、プラチナ万年筆やパイロットのミュージックニブと同じですが、セーラー万年筆のミュージック ニブにはスリットが1本しかありません。
以下のモデルでミュージックペン先が利用可能です:
特に、プロフィット ライトは14Kの金ペンとしてはリーズナブルな価格設定です。また、コスト重視であれば、ステンレス製のプロフィットカジュアルという選択肢も用意されています。
安価なミュージックペン「写譜カリ」から学んだこと
趣味で使用するものということで、清水の舞台を飛び降りる覚悟で、スリットが2本入ったパイロット カスタム 74 ブラック MS(ミュージック)の購入を決断。
しかし、冷静に考えると、どんどんと弱気になってしまいます。
- 趣味のためとはいえ普段使っている万年筆より高いものが本当に必要?
- 楽譜用の万年筆を使う頻度は高くないのでは?
- 少し高い万年筆を買うなら前から気になっている軟ペンの方が先では?
自分の「勇気」と「財力」を踏まえて、より経済的な楽譜用の万年筆が存在しないかを探してみると、写譜に適したカリグラフィーペン「写譜カリ1(ペン先1.5mm)」「写譜カリ2(ペン先1.1mm)」がセットになっている商品を見つけました。
中国産の万年筆は試したことがなく、低価格な万年筆は、インク漏れや書き心地についての不安もあります。
しかしながら、「写譜カリ」は、楽譜を書き写す「写譜(しゃふ)」という美しい言葉と、細い線から太い線までを描けるカリグラフィーペンは、楽譜の描写にも適していることを教えてくれました。さらにAmazonの動画で、1.1mmと1.5mmの太さの違いが分かりました。
「写譜カリ」は、楽譜用の万年筆を探す上で新たな視点をもたらしてくれました。
写譜用にカリグラフィーペンを探す
カリグラフィー(Calligraphy)とはアルファベットをアートとして美しく書く技法です。カリグラフィー用の万年筆は、一本のペン先で細い線から太い線まで描ける特徴があります。これはミュージック・ニブと共通です。
しかし、ニブの形状はかなり異なります。ミュージックニブは、ペンポイントが広く平坦になっていますが、カリグラフィーニブにはペンポイントがなく、ペン先の先端がカットされたようになっています。下写真は1.5mm幅です。
ニブの形状は違うけど、「写譜カリ」を信じ、書き心地が快適でありながら手ごろな価格のカリグラフィー万年筆を探して、以下の二つを候補としました。
- セーラー万年筆 ハイエースネオクリア カリグラフィー
- LAMY joy
セーラー万年筆はhocoro(ホコロ)の筆文字(特殊ペン先)を持っていますが、書き心地は悪くありません。ただし、安価なペンのデザインには限界を感じます。
一方で、LAMYはデザインに加えて書き心地や品質においても絶対的な信頼感があります。
LAMY Safariをカリグラフィーペンに改造
LAMY Safariを2本所有しているため、3本目のLAMYの万年筆を購入することには少し躊躇してしまいますが、「LAMY Safari はニブが交換できる」ことを思い出しました。
LAMYの交換用ニブには、1.1mm、1.5mm、1.9mmという3つのカリグラフィー用のペン先が用意されています。
悩みに悩んだ楽譜を描くための万年筆は、『LAMY Safari のニブ交換』で解決です。
LAMY Safari カリグラフィー 1.5mm で写譜
ベースの練習で使っている楽譜は、8段か12段です。なので「写譜カリ」の動画を参考に1.5mmのカリグラフィーを選びました。
LAMYのニブ交換については、「1分で簡単!LAMYサファリの『ニブの交換方法』と注意点を写真で解説」という記事を参考にしました。セロテープを貼って引っ張れば簡単にニブが外れました。新しいニブを差し込みも力なくできます。
新しいニブが装着できました。
通常の持ち方だと、カリグラフィー 1.5mmのペン先では、縦線は太く横線は細く描くことができますが、角度によって太さに変化がでるので音符の旗もカッコよく描けます。
カリグラフィー ニブに交換しても、インクフローもよく、LAMY Safari の書き心地の良さは変わりません。
残念ながら、カリグラフィー ニブが装着されているLAMY Safariはありません。LAMY Safari を持っていないのであれば、LAMY Joy(カリグラフーペン)という選択もあります。
ニブの形状から音符の玉(符頭:ふとう)を丸く描くのが難しい、、、。丸い音符を描くのであればペン先幅が1.0mmの方が描きやすいかもしれません。
この符頭の完成度が、ミュージックニブとカリグラフィーニブで楽譜を描く場合の最大の違いなのでしょうか。
それでもカリグラフィーニブでの符頭も許容範囲です。
カリグラフィーペンで音符を描くコツ
通常の持ち方だと縦線が太くなってしまうので、音符の玉から伸びている線(符幹:ふかん)を書くときには、ペンを90度回して、ペン先の全面を譜面に当てて描く必要があります。スリット(ペン先の割れ目)の部分が紙に当たっていないとインクが出ません。
同様に、シャープ記号の縦線を細く、横線を太くしたい場合も、縦線も横線もペンを90度回転させた状態で描きます。
この書き方のコツに慣れるまでには少し練習が必要でした。
実際に譜面を描いてみたのがこちらです。
予想通り視認性がよく、実用的です。また、1.5mmのペン先サイズもちょうどよいと感じました。「写譜カリ」に感謝しています。
読譜の練習を兼ねて、写譜も重ね、エレクトリックアップラライトベースでウォーキングベースラインの練習にも励みたいと思います。
LAMY カリグラフィーで書いた日本語
LAMY カリグラフィーのペン先で普通に日本語を書くと、勝手にアーティスティックな文字に仕上げてくれます。簡単なメッセージを添えるときにインパクトのある文字で表現できます。
LAMYカリグラフィー、かなりいい感じで気に入りました。