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Post Date:2026年8月6日 

大きな画面に惹かれて買ったKindle Scribe。でも本当の価値は、読むことの先にあった。

Kindle Scribe

2023年に購入した Kindle Paperwhite(第11世代)は、読書に欠かせない存在です。軽くて持ちやすく、防水性能もあり、テキスト中心の読書にはほとんど不満がありません。

ただ、雑誌や漫画など固定レイアウトのコンテンツでは、視力の変化もあってか、文字が小さく感じることが増えました。ピンチアウトで拡大し、画面を動かしながら読むのは煩わしく、「もっと大きな画面で快適に読みたい」と思うようになりました。

そこで購入したのが、2024年モデルの10.2インチ Kindle Scribeでした。

目的はシンプルで、「大きな画面で、もっと楽に読むこと」。実際、その期待は裏切られませんでした。雑誌も漫画も、Paperwhiteよりずっと読みやすい。

しかし、Kindle Scribe を使っているうちに気づいたのは、画面の大きさだけでは語れない、本当の価値でした。

それは次第に、「読む道具」から「思考する道具」へと変わっていったのです。


大きいことは正義だった

Kindle Scribe を使って最初に感じたのは、「画面が大きいだけで、ここまで読みやすくなるのか」ということでした。

Kindle Scribe(2024モデル 10.2インチ)の表示領域は、縦約20.7cm、横約15.5cmです。縦向きで読むとA5判に近いサイズ感で、文庫や新書はもちろん、B6判の本よりもゆったり表示できます。

特に変化を感じたのは漫画です。Paperwhiteでは、吹き出しの文字が小さいと拡大することがありましたが、Scribeではほとんどその必要がありません。ページを開いて、そのまま読む。たったそれだけのことが、思っていた以上に快適でした。また絵の細かい部分まで楽しむことができます。

一方で、雑誌はさすがに紙と同じとはいきません。細かな文字は、Scribeでも拡大が必要です。それでもPaperwhiteと比べれば格段に読みやすく、ピンチアウトや画面を動かす操作は大幅に減りました。

ビジネス書や技術書でも、大画面の恩恵ははっきりあります。図表やスクリーンショットが見やすくなり、内容を追いやすくなりました。単に文字が大きく見えるだけではありません。ページ全体を俯瞰しながら読めることで、構成や流れもつかみやすくなります。

購入前は「大きな画面があれば、もっと快適に読めるだろう」と考えていました。そして、その期待は間違っていませんでした。

大きいことは、やはり正義でした。

Kindleシリーズは世代を重ねるごとに画面サイズが大きくなってきましたが、その流れを大きく変えたのがKindle Scribeです。

− Kindleシリーズのスクリーンサイズ −
Kindleシリーズ スクリーン 保有
Kindle Paperwhite
(第11世代)
6.8インチ 約13.8cm 約10.4cm 保有
Kindle Paperwhite
(第12世代)
7インチ約14.2cm約10.7cm-
Kindle Scribe
(2024モデル)
10.2インチ約20.7cm約15.5cm保有
Kindle Scribe
(2026モデル)
11インチ約22.3cm約16.7cm-

実際に比べてみるとその差は数字以上に大きく感じられます。

Kindle Scribe と Kindle Paperwhite

Kindle Scribeは「思考する道具」だった

大画面は、たしかに読書体験を大きく変えてくれました。けれど実は、この画面サイズが本当に生きてくる場面は、読んでいるときだけではありませんでした。

Kindle Scribeは、付属のプレミアムペンを使って、本を読みながらその場で手書きのメモを書き込めます。この Active Canvas が、Kindle Scribeを「思考する道具」へと変えてくれました。

Active Canvas とは、電子書籍を読みながら、ページ上に手書きでメモを書き込める機能です。紙の本でも直接書き込む勇気はなかったので、本を読んでいるときに何か思いついたときは、ジョッターメモなどに書いていましたが、本とメモが別々でした。

Kindle Scribeでは、書籍の形式に応じて書き込み方法が変わります。リフロー型の書籍では、気になった一文に線を引き、その横へ手書きのメモを追加すると、本文のレイアウトが自動で調整されます。一方、PDFや譜面・図などの画像部分には、そのまま直接書き込むことができます。

『ブランドで読む 万年筆史: 名品と売場からたどる万年筆文化史 ひと味違う大人のための教養』

読んだ内容と、そのとき考えたことが同じ場所に残るので、あとから見返したときも「なぜそう考えたのか」を振り返りやすくなります。これは紙の本にはない、デジタルならではの良さだと感じています。

Active Canvasは、基本的に横書きのリフロー型書籍に対応しています。ただし、すべての本で同じように使えるわけではありません。

本によっては、ページ上に直接書き込むことはできず、ハイライトやメモアイコンに紐づく手書きメモしか追加できないものもあります。

大きな画面は、読むためだけではありませんでした。考えるための余白であり、思いついたことを書き留めるのにもちょうどよいサイズだったのです。

Kindle Scribeは、「読むこと」と「考えること」の境界をなくしてくれます。


行書やベースの練習にも活用できる

Kindle Scribeの手書き機能は、読書だけでなく、手を動かしながら学ぶ場面でも活躍しています。行書やベースの練習でも、その便利さを実感しました。

手書きには、大きく分けて2つの使い方があります。

1つは、電子書籍やPDFに直接書き込む方法です。ページの余白や図の近くに気づいたことを書き込めるので、紙の教則本に書き込むような感覚で使えます。

もう1つは、手書きメモを使う方法です。直接書き込めない書籍でも、ページの上か下にメモ欄を開いて、文字や図を書けるので、練習ノートとして活用できます。

例えば、行書の練習です。

この本は、お手本をなぞったり、その隣に「くずし方」や「つなげ方」を真似しながら書き込んだりできます。紙の教則本で練習しているような感覚ですが、何度でも書き直せるので、練習という点では紙の本より便利です。

『いつのまにか字が上手くなる本』

『きれいな字を速く書く技術』はページへ直接書き込めないため、手書きメモを使って練習しています。メモ欄はページの上または下に配置できるので、お手本を見ながら繰り返し練習できます。

『きれいな字を速く書く技術』

一度閉じたメモはメモマークをペンでタップすると開きます。

『きれいな字を速く書く技術』

ベースの練習でも同じです。

ウォーキングベースの教則本を読みながら、音の構成を譜面へ直接書き込んで確認しています。あとから見返したときにも、そのとき何を考え、どのように理解したのかが一目で分かります。

『101 Walking Jazz Bass Lines』

付属のプレミアムペンは充電不要で、必要なときにすぐ書き始められます。ガラスの上を滑るような書き味ではなく、適度な抵抗感があるため、文字も書きやすく感じました。

Kindle Scribeは、読書端末というだけでなく、学びを書き留めるノートとしても活躍しています。


使ってみて気づいた細かな使いやすさ

実際に使い始めてから、「これは便利だな」と感じたことが2つあります。

1つ目は、電源ボタンの位置です。

これまでのKindleシリーズでは本体の下側にありましたが、Kindle Scribeでは側面に配置されています。そのため、机やテーブルの上に置いて読んでいるときに、誤って電源ボタンを押してしまうことがなくなりました。

もう1つは、画面が自動で上下反転することです。

Kindle Scribeは左手で持つことを前提に、左側のベゼルが広くなっています。しかし、本体を上下逆に持つと画面も自動で上下反転するため、右手でも左手でも持ちやすいよう配慮されています。

どちらも派手な機能ではありませんが、毎日使っていると、その使いやすさを実感しました。


Kindle Scribe を買っても、Paperwhiteは手放せなかった

バスタイムの読書や、電車で片手に持って読む。そういう場面では、今でもKindle Paperwhiteに手が伸びます。

軽く、防水性能があり、鞄にも気軽に入れて持ち歩けます。Scribeを購入した今でも、Paperwhiteの居場所はなくなりませんでした。

一方、Scribeの居場所は自宅です。雑誌を読む。漫画を読む。読みながら気づいたことをActive Canvasへ書き込む。そうした「じっくり向き合う読書」は、大きな画面と手書きの余白があるScribeの得意分野です。

自宅から持ち出すのは、喫茶店などでゆっくり本を読みたいときくらいです。

Scribeを購入する前は、「これ一台で十分だろう」と思っていました。しかし実際には役割がきれいに分かれ、今ではどちらも手放せない存在になっています。


現在販売されているのは2026年モデル

使用しているのは2024年モデルの64GBですが、現在販売されているのは2026年モデルです。

2026年モデルでは、画面サイズが11インチへ拡大され、本体は約33g軽く、約0.3mm薄くなりました。さらに、ページめくりやペン入力も高速化されています。

一方、2026年モデルには16GBモデルもありますが、容量が少なく、フロントライトも搭載していません。暗い場所での読書には不便なため、就寝前の読書を考えているのであれば、おすすめしません。


純正カバーは必要?

Kindle Scribeには純正の折りたたみレザーカバーがありますが、価格は決して安くありません。

Scribeは基本的に自宅で使っており、外へ持ち出すのは喫茶店などでゆっくり読書をするときくらいです。そのため、高価な純正カバーは必要ないと考えました。

代わりに選んだのは、サードパーティ製の保護ケースです。ペンを収納できるホルダーも付いており、本体をしっかり保護できます。

Kindle Scribe 用 ケース【NOUKAJU】

質感も十分で、普段使いで不満を感じることはありません。純正にこだわらなければ、このくらいのケースで十分だと感じています。


まとめ

Kindle Scribe を購入したきっかけは、大きな画面でした。雑誌や漫画をもっと快適に読みたい。それが一番の目的です。

実際に使ってみると、大画面の読みやすさは期待以上でした。漫画はほとんど拡大せずに読めるようになり、技術書や図表も見やすくなりました。

しかし、使い続けるうちに、それ以上の価値に気づきました。

Active Canvasで本にメモを書き込みながら考えを整理し、行書やベースの練習にも手書きを活用するようになりました。

Kindle Scribe は、単なる電子書籍リーダーではなく、「読むこと」と「考えること」を自然につないでくれる道具になりました。

一方で、Paperwhiteを使わなくなったわけではありません。お風呂や電車ではPaperwhite、自宅でじっくり読むときはScribeというように、それぞれに役割があります。

もし、大きな画面を理由にKindle Scribeが気になっているのであれば、その期待はきっと裏切られません。そして実際に使い始めると、それ以上の価値が見つかるかもしれません。

大きな画面に惹かれて購入したKindle Scribeでしたが、本当に価値を感じたのは、その先にありました。

Post Date:2026年2月22日 

万年筆と行書はなぜ相性がいいのか ― 4つの共通点から考える

万年筆と行書の美学

軟調ペン先に興味を持ったのは、万年筆のペン先がもともと柔らかいものだったと知ったからです。 書きやすさや安定性が重視され、硬いペン先が主流となった今だからこそ、あえて軟調ペンを選びたい──そう考えるようになりました。

軟調ペン先の特性を活かすために始めたのが、

  • 行書
  • 書く瞑想

です。

万年筆で行書の練習を重ねるうちに、行書と万年筆の相性のよさは、感覚から確信へと変わっていきました。

そこで今回、万年筆と行書の関係性について、あらためて考察したいと思います。


万年筆と行書の共通点①:力をいれない

万年筆と行書の最初の共通点は"力を入れない"ということです。

近代以降、万年筆は耐久性の向上や、ボールペンのように筆圧をかけて書く筆記具に合わせる形で、強い筆圧でも書ける構造へと変化してきました。しかし本来、万年筆は筆圧を必要としない筆記具です。

一方、行書は力を抜いて書く書体です。力を抜くことで、万年筆はペン先のしなりが生き、行書では線の入りと抜けが自然につながります。

現代の万年筆は強い筆圧でも安定して書けるよう調整されていますが、軟調ペン先(ソフトニブ)はペン先が柔らかいため、筆圧をかける書き方では本来の良さが発揮されません。

行書もまた流れを大切にする書体であり、力を入れると線が詰まり、同様に書きづらくなります。

まずは万年筆を正しく持ち、力を抜く感覚を体に覚えさせることが大切です。


万年筆と行書の共通点②:線の表情を楽しむ

万年筆は「線の情報量」が多い筆記具です。ボールペンやシャープペンは、基本的に一定の太さ・一定の濃さで線を出します。一方、万年筆は構造上、線がわずかに変化します。

万年筆は水性インクを使います。紙に染み込み、わずかなにじみや濃淡が生まれます。書き出しはやや濃く、書き進めるにつれてインクは落ち着き、ペンを抜くときには薄くなります。この濃淡が線に立体感を与えます。

軟調ペン先(ソフトニブ)では、フレックスニブのような大きな強弱はありませんが、ペン先は紙に触れた瞬間にわずかにしなり、抜きでは自然に細くなります。

このように、万年筆で書くと、意図していなくても線にさりげない抑揚が生まれます。

一方、行書は、線の強弱、入りと抜け、連続する運筆によって表情をつくる書体です。

  • 入りをやや強くすれば芯のある印象に
  • 抜きを柔らかくすれば軽やかな印象に
  • 連綿をつなげれば流動感が生まれます

このように、線そのものが感情やニュアンスを伝えるのが行書の特徴です。

万年筆、とくに軟調ペン先は、こうした微細な変化を自然に線へと反映させます。だからこそ、線で表情をつくる行書と、万年筆は本質的に相性がよいのです。


万年筆と行書の共通点③:流れが続く

万年筆と行書に共通するもうひとつの特徴は、流れが途切れないことです。

万年筆は、ペン先を強く押し付けなくても毛細管現象によりインクが安定して供給されます。そのため、紙の上を滑らせるように書くことができます。強い筆圧を必要としない分、手の動きが止まりにくく、運筆のリズムが保たれます。

とくに軟調ペン先は、わずかなしなりによって筆記時の衝撃を吸収します。これにより、書き続けても手に余計な力が入りにくく、自然な流れが維持されます。

一方、行書もまた、運筆の連続性を前提とした書体です。単に線と線をつなげるだけではなく、入りと抜けによってリズムを生み出し、そのリズムが「流れ」を形づくります。

力を入れた瞬間、行書の流れは途切れ、万年筆本来の滑らかさも失われます。

力を入れず、流れるように書ける万年筆と行書の組み合わせは、長時間書き続けても疲れにくいという利点があります。


万年筆と行書の共通点④:抜いて終わる

万年筆と行書に共通する最後の特徴は、抜いて終わることです。

万年筆で書き終えるとき、力を残したまま止めれば、線はそこで断ち切られます。しかし、力を抜いて終えれば、線は自然に細くなり、やわらかく収束します。

そこには、無理に形を作ろうとする意志はありません。ただ、流れが静かに収束していくだけです。

行書もまた、トメを強調して終わる書体ではありません。ハネやハライは、力で作る形ではなく、流れの中で抜いた結果として現れるものです。だからこそ、線の終わりには余韻が残ります。

万年筆、とくに軟調ペン先は、そのわずかな抜きの変化を素直に受け止めます。終わり方に余韻を残すという美学は、万年筆と行書のあいだで静かに共有されます。


行書の「入り(入り方)」と「抜き(ハネ・ハライ)」

行書を“動き”として捉えると、意識すべきなのは「入り」と「抜き」の二つです。

入りとは、筆が紙に触れる最初の瞬間のことです。どの角度で入り、どの程度の力で接地するかによって、線の印象は大きく変わります。

抜きとは、線を終えるときの処理です。ハネやハライは、形として作るものではなく、力を抜いた結果として現れる動きです。

筆圧をかけずに書く万年筆は、この「入り」と「抜き」の変化を素直に線へ反映します。とくに軟調ペン先では、入りのわずかなしなりと、抜きの収束が自然に表れます。


やっぱりカスタムヘリテイジ912が好き

最初に購入した軟調万年筆という思い入れもありますが、とても書きやすく、魅力のある一本です。

筆圧をかけない本来の書き方と、万年筆ならではのよさを教えてくれました。

Custom Heritage 912 SM

インクフローは安定しており、ペン先はわずかにしなります。線は静かに変化し、無理に表情を作ろうとしなくても、自然と抑揚が生まれます。

ペン先の軟らかさだけで言えば、プラチナ #3776 センチュリー SF(細軟)の方が上です。ですが、初めての一本としては、やや繊細すぎると感じるかもしれません。字幅が細字に限られる点も含めると、扱いやすさとのバランスを考えたいところです。

パイロット ELABO(エラボー)も、CustomシリーズのSFM / SMよりも"しなやかな"ペン先です。こちらはEF, F, M, Bと4種類の中から字幅を選べます。より軟らかいペン先が体験できますが、軸がスリムです。

万年筆価格が高騰している今、気軽に何本も試せる時代ではなくなりました。だからこそ、PILOT Custom Heritage 912 SM(中字・軟)は、最初の一本としても、長く寄り添える一本としても、安心して選べる万年筆です。

軟調ペン先(ソフトニブ)には、フォルカンニブのような派手さはありません。しかし、そのさりげない変化の中に安心感があります。軟調ペン先の魅力は、強く主張することではなく、書き手の力を抜かせてくれることにあります。

書くたびに、やはり好きだなと感じる一本です。


万年筆高騰の中での選択

万年筆愛好家にとっては受難の時代とも言えるほど価格は上昇しています。軟調ペンと行書の相性のよさを実感できたとしても、渋沢栄一が2枚、3枚と必要になるとなれば、気軽に試せるものではありません。

少しでも出費を抑えたいのであれば、Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングなど、信頼できる大手ECサイトでの購入も選択肢のひとつです。店舗で購入するより安価な場合もあり、ポイント利用や還元を活用することで、実質的な負担も抑えられます。

価格を抑えられたという満足感に背中を押されて、清水寺の舞台から飛び降りてみれば、そこは意外にも極楽浄土かもしれません。万年筆は、手にしてはじめてその価値がわかる道具です。

2万円前後で抑えたいのであれば、Custom 74Custom 91の軟調ペン先(SFM・SM/14K・5号)がオススメです。

3万円まで許容できるのであれば、Custom 742Custom 912の軟調ペン先(SFM・SM/14K・10号)を選びたいところです。


デジタル時代に、あえて手で書くということ

行書と万年筆の関係性について、次の4点を書いてきました。

万年筆で行書を書くと、大人っぽく味わい深い字が、さりげなく書けるようになります。すると、字を書くことそのものが楽しくなります。

デジタル時代のいまだからこそ、手で書く時間を最大限に楽しみたいものです。


行書の学び方

行書の学び方についての過去記事となります。一緒に行書を学んでいきましょう。

Post Date:2026年1月18日 

続々・行書の学び方:書籍編

『はじめての行書つづけ字・くずし字 プロが使う美文字のテクニック』と『知識ゼロからのつづけ字・くずし字の書き方』

「もっと字がキレイになりたい!」

行書が美文字への近道だと分かっても、一朝一夕に身につくものではありません。それでも、少しでも楽に、早く上達したくて、まずはくずし方・つなげ方の基本パターンから学び始めました。

ただ、飽きずに練習を続けるには、ときどき新しい刺激も必要です。

今回は、行書の練習を続けるための次の一手として、“本で学ぶ”方法を紹介します。理解→反復→実践の順で、行書を日常の文字へ落とし込みましょう。

これから字を学ぼうという方には、武内和恵氏の『一瞬でコンプレックスが消える!人生が変わる魔法の美文字入門』が入り口として最適です。ここでまず、字の練習に対する固定観念を覆す2つの「逆転ルール」を学びます。

  1. 初心者こそ行書(くずし字)を学ぶべき
  2. ゆっくり丁寧に書かない

2つ目の「ゆっくり丁寧に書かない」は、力を抜いて書く(筆圧をかけない)感覚を身につけるためにも欠かせません。


行書のパターンを学ぶ

行書には、くずし方・つなげ方の基本パターンがあります。たとえば「灬(れっか/れんが)」の形を覚えると、「点・熱・煮・焦・黙・鳥・烈」など、さまざまな字に応用できます。

こうしたパターンを効率よく学べるのが、『知識ゼロからのつづけ字・くずし字の書き方』です。次の2章が“ルールの核”になります。

  • 第2章:くずし字24の基本ルール
  • 第3章:漢字の部首別 くずし方25の法則

この本では、くずし方が控えめな「楷書に近い行書」と、大きくくずした「よりこなれた行書」の2種類が掲載されています。自分の好みに合わせて書き分けを選ぶことができます。

さらに書き順も確認できるため、どこをどう崩し、どこを繋げるかがよりわかりやすくなります。


『知識ゼロからのつづけ字・くずし字の書き方』での学び方

『はじめての行書つづけ字・くずし字 プ『知識ゼロからのつづけ字・くずし字の書き方』

例えば、「09 縦線から上の横線に変える」という節では、主を例にして縦線から上の横線に遡って線の繋がりを表現する場合の説明で、練習で呈、里、性、室があげられています。

こうした同じパーツ(同系統の形)を持つ漢字には、同じくずし方・つなげ方が使えるので、まとめて覚えるのが効率的です。

次のように、関連する漢字を調べてセットで練習します。

  • 主:住、注、往
  • 呈:程、王、全
  • 里:埋、理、野
  • 性:生、性、星
  • 室:至、屋、握

※「室」と「至」は部首の関係ではありません。ここでは、行書で線の流れが似やすい“形(パーツ)”のグループとしてあげています。

共通のパーツ(同系統の形)を持つ漢字は『漢字辞典ONLINE』で探します。行書としての具体的な書き方は、後述する字典で確認します。


行書をしっかり学ぶ

『はじめての行書つづけ字・くずし字プロが使う美文字のテクニック〜書き込み式〜』は、草加市のひすい書道教室から初心者が行書を学ぶための教材として販売されています。Amazon、メルカリで購入することができます。

A4紙をカラープリンターで印刷し、リング製本したような手作り感が満載の教則本です。

『はじめての行書つづけ字・くずし字 プロが使う美文字のテクニック』はリング製本

超大きな文字サイズで見本もとてもみやすい、ドリル形式の本です。

『はじめての行書つづけ字・くずし字 プロが使う美文字のテクニック』超デカ文字サイズ

リング製本なので180度しっかり開けて、机の上でも書き込みやすい作りです。……とはいえ、「書き込んでしまうのがもったいない派」なので、別紙に練習しています。

内容は、入門編 → 基礎編 → 応用編 → 発展編 の順に、行書の法則を段階的に学べます。

『はじめての行書つづけ字・くずし字プロが使う美文字のテクニック〜書き込み式〜』では、行書のパターンではなく、法則を学ぶようになっています。パターンは真似できる「形」ですが、法則はパターンが生まれる「理由」や「ルール」です。

入門編では次の5つの法則を学びます。

  • 気脈が目に見える線として表れるときがある
  • 点画が省略されることがある
  • とめ、はね、払いなど形が変化したり、それらの収筆が変化することがある
  • 点画が連続することがある
  • 曲線的で丸みがある
『はじめての行書つづけ字・くずし字 プロが使う美文字のテクニック』- 入門編

詳細は、著者のYouTube解説をご覧ください。


字典で行書の書き方を調べる

行書を学ぶ上で、行書の字形筆順を確認できる字典は必須です。字典は「すぐ引ける」ことが大切なので、*電子書籍ではなく紙の書籍を選んでください。

行書の筆順まで調べられる字典としては、たとえば次のようなものがあります。

行書は活字では表せないので、字典には手書き文字が印刷されています。手書きゆえに字形や線質には筆者の個性が出るので、自分が「この形を書きたい」と思える字体の字典を選ぶのがオススメです。

字典選びで特に重視したいのは、①筆順が載っていることと、②お手本が見やすいことです。特に筆順の記載がないと、行書ではどこから書けばいいか迷いがちです。迷い箸ならぬ迷いペンにならないためにも、筆順つきの字典を選ぶのがおすすめです。

『楷行草 筆順・字体字典 第三版』と『模範漢字くずし方字典』を使っていましたが、新しく、複数の字体が載っていて、お手本も大きく見やすい『日本書道協会 楷行草 三体筆順字典』を中古で購入しました。

『日本書道協会 楷行草 三体筆順字典』と『楷行草 筆順・字体字典 第三版』

『日本書道協会 楷行草 三体筆順字典』は、縦約27cm、横約20cm、厚さ約7cm とB5判に近い大判サイズ。全1,439ページ、重量約2.8kgというボリューム満点な字典です。


どちらの書籍から始めるべきか

前述したように『知識ゼロ』はパターン(真似できる形)を増やす本で、『はじめての』は法則(行書らしさのルール)を段階的に学ぶ本です。

初めて行書を学ぶなら、『はじめての行書つづけ字・くずし字 プロが使う美文字のテクニック(書き込み式)』から学習を始めましょう。

最初は教則本通りの書き方で練習しましょう。書き順がわからない、他のくずし方を知りたいときには、辞典で調べます。

そして何より大切なのは、1日10分でもいいので「毎日書く」こと。継続は力なり。

お気に入りの万年筆で、字の練習を始めてみませんか?

Post Date:2024年12月31日 

続・行書の学び方

象と散歩:続・行書の学び方

「字をもっと上手に書けるようになりたい!」と感じたことはありませんか?

自分もその一人で、自分の字に嫌悪を抱き、最初に手にした教材は、書道家・大江静芳氏の「8大法則でたちまち美文字」。その後も静芳氏の動画を参考にしながら練習を重ねたものの、劇的な進化を感じることはできませんでした。

転機となったのは、武内和恵氏の「一瞬でコンプレックスが消える!人生が変わる魔法の美文字入門」で出会った、固定観念を覆す2つの教えです。

  1. 初心者こそ行書(くずし字)を学ぶべき
  2. ゆっくり丁寧に書かない

「行書って達筆者の凄技では?」「え、丁寧に書かないの?」と最初は驚きましたが、この考え方が美文字への道を大きく変えるきっかけとなりました。

ただし、この書籍では行書の具体的な書き方には触れられておらず、

  • タテまっすぐ
  • ヨコ右上がり
  • 等間隔

という、美文字三原則の練習をする「図形」の練習でペンを握るだけです。

以前、「象と散歩: 字が汚いと悩むあなたへ!字を速く、きれいに書ける「行書」を初心者が学ぶ方法」で行書の学び方について触れましたが、今回はその後に出会った、初心者が行書を学ぶ上で参考となる良書を紹介したいと思います。


Udemyで行書(くずし字)を学ぶ

改めて紹介しますが、行書の書き方について最初に学ぶ教材として、武内和恵氏のUdemy講座「カンタン・きれい・便利な字♪:実用ペン習字 行書講座【初心者向け】」は非常に優れています。

Udemy オススメ講座

カンタン・きれい・便利な字♪:実用ペン習字 行書講座【初心者向け】

講師:武内和恵

「行書って難しいに違いない」と思っていましたが、目からウロコです。簡単で、速く、カッコよく書ける行書は、初心者こそが学ぶべき書体ということを教えてくれました。行書の練習は、先ずはここからスタートを。

この講座で学べる行書(くずし字)とは、以下の特徴を持つ実用的な書体です。

  • 速く書ける
  • カッコいい
  • 読みやすい

また、「初心者こそ行書を学ぶべき」という考え方には感銘を受けました。この講座では、行書を以下の三大原則に基づいて分かりやすく解説しています。

  • 続け方を学ぶ
  • 曲がり方を学ぶ
  • 点の書き方

注目すべきは、「行書には一定の『ルール』があり、そのルールが多くの漢字に適用できる。」という点です。行書の基本ルールを知らずに、適当に字を崩したり繋げたりしても、カッコよくは書けません。ルールを基づくことで、カッコよく、効率的に行書を学ぶことができます。


実例:行書の省略法と応用

静芳氏のYouTube動画「【速くきれいに書きたい方へ】ボールペンで行書の基本と書くコツ」では、以下についての点画の省略方法が紹介されています。

  • きへん
  • れっか(点4つ)
  • もんがまえ

例えば、「れっか(点4つ)」の崩し方を学べば、「馬」「点」「鳥」「無」「然」など、多くの漢字に応用できます。これが、ひとつのルールが多くの漢字に応用できるということです。

さらに、「れっか(点4つ)」には複数の書き方があります。静芳氏の動画では4つの点を続けて書いていますが、少し崩してみよう 行書 馬[ba] Kanji semi-cursiveでは、点を2つのパートに分けています。


書籍で学ぶ行書(くずし字)

「カンタン・きれい・便利な字♪:実用ペン習字 行書講座【初心者向け】」で基礎を学んだ後、法則の幅を広げたいと思い、次の教材を探しました。しかし、ペンや万年筆で効率的に行書を習得するための「行書の法則」に基づく教材や書籍は非常に限られています。


きれいな字を速く書く技術

「たった10分で身につく きれいな字を速く書く技術」は、現在は絶版となり電子書籍のみで販売されていますが、行書の法則を学べる貴重な教則本です。この書籍の「第2章 きれいな字を『速く』書く技術をつかむ」では、以下の法則を学ぶことができます。

  • 「9つの技術」で速く書ける
  • 部首の行書体36

さらに、この書籍では美文字の三原則として以下のポイントが挙げられています。

  1. 右に6度上げて書く
  2. 右下に重心をかける
  3. 等間隔を意識する

この三原則に、武内氏が提案する「タテまっすぐ」「ヨコ右上がり」「等間隔」の三原則を組み合わせることで、より実践的な「四原則」が完成します。

  1. タテまっすぐ
  2. ヨコ右上がり
  3. 等間隔
  4. 右下に重心

この「四原則」と「法則」で、速く美しい行書が書けるようになります。


知識ゼロからのつづけ字・くずし字の書き方

「行書」にこだわり過ぎていたため、「くずし字」というキーワードで探すことを見落としていました。この書籍は、行書を効率よく学ぶための「くずし字」の法則を、85ページにわたって以下の2章に分けて解説しています。

  • 第2章:くずし方の基本(24の基本ルール)
  • 第3章:部種別のくずし方(25の法則)

これらの章を学ぶことで、さまざまな漢字を効率よく行書化できます。特に「部首別の法則」は実践的で、行書を体系的に学ぶうえで非常に有用です。


行書の幅をひろげるために字典を使おう

行書の基本ルールや部首ごとのくずし方を覚えたら、さらに幅を広げるステップとして字典を活用しましょう。字典を使えば、多様な漢字の行書スタイルやくずし方を効率的に調べることができ、学びをさらに深めることができます。


正しく美しい字が書ける 楷・行・草 筆順字典

この字典は、くずし方の強弱を4段階で掲載しているのが特徴です。以下の構成で、多彩な行書スタイルを学ぶことができます。

  • 楷書(筆順あり)x1
  • 行書(筆順あり)x1
  • 行書(筆順なし)x3(くずし方の強弱)
  • 草書(筆順あり)x1

行書での筆順もあるので「あれ、このくずし方ってどう書くの?」という場面でも便利です。

Kindle版も販売されており、価格は書籍版より安価です。しかし、固定レイアウト型のため検索や索引が使えません。検索は不向きです。しおり機能で「あかさたな、、、」と10個のブックマークを作成しましたが、目的の漢字に辿りつくまでに時間がかかります。

例えば、力(りょく)であれば「あ、か、さ、た、な、は、ま、や、ら」で7個目のブックマークを選択して「ら行」から順番に「りょく」を探していきます、、

正しく美しい字が書ける 楷・行・草 筆順字典(Kindle版)

「正しく美しい字が書ける 楷・行・草 筆順字典」は、行書を学ぶ上でとてもよい字典ですが、Kindle版は、調べたい字に辿り着くまで時間がかかるので単行本の方をオススメします。


模範漢字くずし方字典

検索機能が使いづらい字典は不便ですが、同じ字典を書籍版で購入するのも何だか悔しい。そこで新たに「模範漢字くずし方字典」を購入しました。

この字典は下記の書体が掲載されています。

  • 楷書
  • 行書3段階(くずし方レベル 弱:中:強)
  • 草書

男性らしい力強い筆致が特徴的で、筆順は掲載されていませんが、くずし方の強弱による行書の違いを学べるのが魅力です。

楷行草 筆順・字体字典 第三版

手書きの文字が掲載されている字典って眺めていても楽しいですが、検索ができない字典は、辞書としては使えないということが身に染みて理解できたので、筆順の記載がある「楷行草 筆順・字体字典 第三」を購入しました。

「楷行草 筆順・字体字典 第三」では、行書の筆順を調べられますが、筆順はいいから行書の形を調べたいというのであれば「楷・行・草一覧」の章に下記の二種類の行書が掲載されています。

  • 楷書に近い、やさしい行書の字
  • 最も行書らしい行書の字

同じ漢字でも字形によって表情が異なるので勉強になります。

「楷・行・草一覧」で筆順を確認し、くずし方の違いを「楷行草 筆順・字体字典 第三」で確認し、行書の練習に勤しみたいと思います。

「模範漢字くずし方字典」と「楷行草 筆順・字体字典 第三版」

筆順についても意識しよう

行書をより美しく、そして効率的に書くためには筆順の理解が重要です。筆順を正しく覚えることで、スムーズな運筆が可能になり、字全体のバランスや美しさが向上します。

行書(くずし字)を習得する上で、筆順(書き順)は非常に重要です。筆順を正しく理解することで、漢字の点画(漢字を構成する点と線)をどのように繋げればよいかを理解でき、行書らしい滑らかで美しい筆致を可能となります。

また、筆順をいい加減に覚えていた漢字も多かったため、筆順の基本ルールを詳しく解説した武内氏の講座は非常に勉強になりました。

Udemy オススメ講座

【学校では教えてもらえなかった書き順の法則】マスターコース|美文字がスラスラ書ける秘密

講師:武内和恵

速く繋げて書くには書き順が大切です。書き順を間違っていると字もカッコ悪くなります。闇雲に覚えるのではなく、ルールにそって確認するので関連付けて覚えることができます。


筆順を学べる書籍

筆順に特化した書籍「筆順のすべて」は、筆順の基本ルールや例外だけでなく、その歴史的背景や成り立ちについても幅広くカバーした良書です。筆順の正確さが美しい字を支える基礎であることを再認識させてくれる内容となっています。また、筆順にまつわる雑学が多く盛り込まれており、実用性だけでなく読書としても楽しめる一冊です。ぜひおすすめしたい本です。

「きれいな字を速く書く技術」でも、きれいに速く書くためには筆順が大切であるとあります。特に、筆順を誤りやすい42個の漢字を具体例として掲載しています。


まとめ:行書を学ぶ第一歩と広げる楽しさ

行書(くずし字)を習得するには、まず基本をしっかり押さえることが重要です。武内和恵氏のUdemy講座「カンタン・きれい・便利な字♪:実用ペン習字 行書講座【初心者向け】」は、わかりやすく行書の基本を学べる理想的なスタート地点です。

この時点で筆順が怪しければ、「【学校では教えてもらえなかった書き順の法則】マスターコース|美文字がスラスラ書ける秘密」も併せて学習してください。

次のステップでは、「きれいな字を速く書く技術 」や「知識ゼロからのつづけ字くずし字の書き方」で、行書の法則のバリエーションを広げましょう。

さらに、辞典を活用すれば、より深く行書を学べます。「正しく美しい字が書ける 楷・行・草 筆順字典」は行書での筆順も確認できるので特にオススメです。

行書を学ぶ手順
  1. 行書の基本ルールを学ぶ
  2. 筆順について復習する
  3. 行書のルールのバリエーションを広げる
  4. どのように崩すか辞書で調べる

まだ自分も学びの途中ですが、自分の字を少しでも好きになると書く楽しさが倍増します。ぜひ、速く美しく書ける行書の世界を楽しんでください!

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