『書く瞑想』は、自分の考えや感情を紙に記すことで心を落ち着かせ、内面を深く見つめ直す瞑想法です。また、そこに綴られた言葉の中には、自己の未知なる領域を発見する可能性が広がっています。
書く瞑想は、誰でも簡単に始めることができます。必要なのは、紙とペンだけです。
『書く瞑想』の2つの種類
ジャーナリング(Journaling)とエクスプレッシブ・ライティング(Expressive Writing)は、『書く瞑想』の代表的な手法です。
どちらもノートや紙に、頭に浮かんだことをそのまま書き出します。書くときは、文法や正確さにこだわらずに、感情に素直になり、自分の内側の声に耳を傾けます。
ジャーナリング
ジャーナリングは、Googleが開発したマインドフルネスをベースにした感情知能(EQ)を高める研修プログラムであるSIY(Search Inside Yourself)で紹介される5つのスキルのひとつである「洞察」を身につけるためのトレーニングです。ジャーナリングでは、自分の考えや感情を客観的に観察することで、自己理解を深めます。
Search Inside Yourselfについは下記の書籍に詳しく記載されています。
ジャーナリングとは、テーマ(お題)を決めてそれについて書いていく方法です。
自分の気持ちや考えを正直に書き出し、自分に問いかけたり、反省したり、感謝したりします。ジャーナリングには、自己理解や自己肯定感の向上、自分の成長や変化の確認、目標達成や問題解決のサポートなどの効果が期待できます。
エクスプレッシング・ライティング
エクスプレッシブ・ライティングとは、ネガティブな感情や出来事を書き出し、思考を整理することで不安やストレスを解消する方法です。エクスプレッシブ・ライティングには、自分を客観的に見ることができる、不安やストレスの軽減、気持ちの整理、課題解決力の向上などの効果が期待できます。
『書く瞑想』と『日記』の違い
ジャーナリング(Journaling)とエクスプレッシブ・ライティング(Expressive Writing)の相違点を、日記との比較も行いながら、下表にまとめました。日記は、日常の出来事やそれに対して思ったことを書く一方、『書く瞑想』では、出来事に関係なく、頭に浮かんだことや感情を手を休めることなく書き続けます。
Journaling | Expressive writing | 日記 | |
---|---|---|---|
定義 | テーマを決めて自分の感情や思考を書き出す | 感情や内面の深層を表現することを目的として書く | 日常の出来事や感じたことを記録する |
目的 | 内観を深める - 感情の整理と理解 - 自己探求 |
ストレス軽減 - 感情の解放 - 心の浄化 |
記録 - 行動 - 感情 |
書き方 | 幅広いテーマに関する考えや感情を書き出す | 感情や内面に焦点を当ててネガティブな感情や出来事を書き出す | 5W1Hで事実を記録する |
様々なタイトルで書くジャーナリングであれば、興味を持って続けられそうな気がしますね。
ジャーナリングの手順
ジャーナリングのルールは、以下の3つです。
- 時間を決めて
- 考えずに
- 書き続ける
頭に浮かんだことをそのまま文字として綴っていきます。何を書くべきかを考えるのではなく、ただ書かれたままを受け入れるようにしましょう。乱筆乱文や誤字脱字も気にせず、ペンを絶え間なく動かし続けることが大切です。
もし、書くことが浮かんでこない場合は、次に書くことが出てくるまで「書くことがなくなった、何も書くことがない」と書き続けます。
ジャーナリングの適切な時間
ジャーナリングは、時間を計測して実施します。時間になったら書くのを止めます。
Search Inside Yourself には数分でも効果があると書かれていますが、5分間から始めることをおすすめします。あまり時間が短いと、書いた文章が自己発見につながりにくいです。書いた内容を読み返すと、前半は割といつも頭にあることが多く、後半部分に気づきがあったりします。
手書きでも書きやすいペンで速く書けば、5分間で300〜350文字程度は書けるので、それなりの文書になります。また、5分間書き続けていると手も疲れてくるので、5分間という時間は適当な時間です。もし、もっとゆっくり書きたい場合は、文書量を鑑みて時間を伸ばしてください。
Alexaの定型アクションで5分間のカウントダウンタイマーを作成して、1分ごとに通知するようにしています。下記に公開しているので、Alexaを使っている方は、使ってみてください。
Alexa定型アクション:ジャーナリング |
で、5分間のジャーナルをスタートです。
また、書き足りないと思えるようになったら、10分、15分と伸ばしていくとよいでしょう。ただし、30分以上は長すぎるので、注意しましょう。
ジャーナリングのタイトルを決める
ジャーナリングを効果的に行うためには、その日に書くタイトル(お題)が重要です。ここでは、chatGPTのような生成AIを利用して、簡単に具体的で興味深いお題を見つける方法を紹介します。
プロンプトの例;
「書く瞑想(ジャーナリング)のためのお題を5つあげて。お題はXXXで、書きやすいように具体的なものにして。」
上記のXXXの部分を変えることで、さまざまなアプローチのお題を得ることができます。例えば、
- ポジティブなもの
- ネガティブなもの
- 妄想的なもの
- 音楽に関するもの
- 最近の出来事に関するもの
気に入ったものがなければ、「さらに5つあげて」と続けて生成AIにアドバイスを求めることで、タイトルの候補を増やすことができます。これによって、ジャーナリングに役立つ具体的で魅力的なお題を見つけることができます。
ジャーナリングの筆記用具
基本的にはノートやペンだけで始められますが、書きやすさと継続するためのモチベーション維持には筆記用具はとても大切です。
ジャーナリングに最適なペン
速く、長い時間書き続けるためには、筆圧をかけずに滑らかに書ける中字の万年筆が最適です。LAMYサファリやMD万年筆の中字も、とても書きやすい万年筆ですが、筆圧をかけずに速く書くというのにはあまり向いていません。保有している万年筆では、既に販売中止となっているWaterman Phileas(フィリアス)の中字が筆圧なしで滑らかに書けるのでジャーナリングに適しています。
一般的に、スチール製のペン先は金製のペン先に比べてしなりが少ないと言われていますが、フィリアスのペン先は弾力のある筆記感があり、とても滑らかに書けます。難点はインクの消耗が早いのと、ペン先が乾きやすいということです。
ジャーナリングを口実にずっと気になっている軟ペンが欲しい、、、
ジャーナリングに最適なノート
万年筆で書くことを前提とするなら、書き心地が滑らかでインクの滲みや裏抜けが少ないノートがおすすめです。
『モレスキン カイエ ジャーナル』、『MDノート』、『MUJI 上質紙 フラットに開くノート』などは、高級感もあり、書きやすいノートかと思います。ただし、モレスキン カイエ ジャーナルはフラットには開きません。
速く書くことを前提とすると、フラットに開くノートの方が書きやすいです。また、サイズもあまり小さいと書きづらいので、MDノートならば、A5サイズがおすすめです。
お気に入りの万年筆とノートでジャーナリングを始めてみませんか?