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2009年5月28日

原点回帰

村上春樹氏の新作長編小説『1Q84』(全2巻)のamazonでの予約が合計で1万冊を超えたというニュースが、先日ありました。私もその中のひとりです。発売前にも関わらずamazonランキングは、1Q84(1)が、本で1位、1Q84(2)が2位と上位を独占しています。
1Q84(1)1Q84(2)
著者: 村上 春樹(むらかみ はるき)
出版社: 新潮社
価格: 1,890円

またTVニュースでは、発売前に5万冊が増刷になり、先行販売をする都内の書店の様子が流れていました。

もともと人気作家ですが、話題性づくりにも成功しています。今回の作品は、事前に作品のテーマや内容を一切明らかにしていません。新潮社の「1Q84」の告知ページを見てもタイトルと発売日だけです(でも、flash)。amazonの「商品の説明」にも内容の記載はありません。

壁と卵とシステム
村上春樹氏は、今年2月にイスラエルの文学賞「エルサレム賞(Jerusalem Prize)」の授賞式でのスピーチが話題となりました。
If there is a hard, high wall and an egg that breaks against it, no matter how right the wall or how wrong the egg, I will stand on the side of the egg.

※ エルサレム・ポスト(Jerusalem Post) Israel is not the egg. から引用
「壁と卵」だけが大きくとりあげられましたが、本質は誰が構築したシステムなのかにあると思います。

閑話休題

1Q84』の人気は、数ヶ月前の「壁と卵」での著者の認知度と作品の内容が謎であるという話題性が相成って村上春樹ワールドのファン以外にも興味を持たれた結果ではないかと思います。

しかし、考えてみると、少し前までは書籍の内容を購入前に知るということは、あまりありませんでした。新聞や雑誌での書評、新聞広告、交通広告、ポスターなど、受動的に目にすることはあっても、能動的に探すことはできませんでした。能動的な探索は、実際に書店で手にとることでけです。マイナーな作品であれば内容不明は宿命だったのです。

ネット販売モデルでは、実際の商品を見せることができないため、より多くの情報を提供することによって商品を説明しなければなりません。更に集合知という名の主語が曖昧なレビューや☆の数によって商品の選択を促します。そこには個人の価値観はありません。

1Q84』は、郵便受けに投函されたamazonの包みを開けるときに、書店で見つけた本を手にするときの「ワクワク感」を想い出せてくれるかもしれません。
2009年5月26日

速く読む技術(速読力)

マインドマップ読書術
著者: トニー・ブザン TONY BUZAN
監訳: 近田 美季子(ちかだ みきこ)
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格: 1,260円

トニー・ブザン 天才養成講座の『マインドマップ超入門』に続く、第2弾です。読書能力も技術として捉えて、4倍以上速く読める術(分500~600文字が、2500文字)が書かれています。無論、小説を速読する必要はありませんが、ビジネス書、解説書、新聞、雑誌、ネット上のレポートなど情報収集をする上で、速読は欠かせない技術です。

新書でいえば、1ページ600文字で200頁とすると、12万文字になります。分間1000文字で読むと2時間。2500文字で読めれば、48分で読破できることになります。

本書には、Exerciseもあり、速く読むために必要なことが習得できます。私自身も、「速く読むと、理解が浅いのでは?」と考え、また「読み過ごした!」と思い、読み戻りをしがちです。

以前、速く読むためのトレーニングとして、家にあったメトロノームのテンポで1行をづつを読み、徐々に速度を上げていくということを試してみましたが、不思議と読む速度をテンポに合わせようとします。

情報が氾濫する中、人間の処理能力を高めなければならないという現状は、決して喜ぶべき状況ではありませんが、独自の発想もない一般人には、情報収集量を高める速読技術は不可欠です。

ということで、マインドマップ読書術の1章~4章までの内容をマインドマップにしてみました。



本書の内容は、トニー・ブザン 頭がよくなる本の第四章 「もっと速く能率よく読む方法」の焼き直しです。マインドマップ有機的学習法(MMOST:Mind Map Organic Study Technique)についても、トニー・ブザン 頭がよくなる本の第九章 「マインドマップによる有機的学習法」に記載されている内容となります。こちらを読まれてもいいかもしれませんが、マインドマップ読書術は、非常に読みやすい体裁になっていますので、マインドマップに興味がなく、速読法に興味がある方でも簡単に読むことができる一冊かと思います。

2009年5月25日

ブログ・リサーチの活用方法

実践 ブログ・リサーチ <デジタル・アカシックレコードの探索>
著者: 立教大学経営学部教授 佐々木 宏(ささき ひろし)
株式会社きざしカンパニー  潮 栄治(うしお えいじ)
今田 智仁(いまだ さとし)
出版社: 同文舘出版
価格: 1,890円

有料のブログ・リサーチのツールとして、『感°Report 』(かんどれぽーと)、ブログクチコミサーチ などがありますが、本書は、『きざし』を利用したブログ・リサーチの方法になります。事例としてブログ本文を利用した、テキストマイニングや多変量解析手法も用いられているので、きざしが提供されているブログクチコミサーチ だけではできないこともありますが、ブログを利用したリサーチ方法(手法)を検討する上では、参考となる一冊です。



デジタル・アカシックレコード
著者は、ブログのことをデジタル・アカシックレコードと称しています。アカシックレコードとは、全宇宙の過去から未来まですべての歴史が書かれた記録ということです。著者は、ブログに記載された内容を分析することにより、過去を知り、未来を予測できるという意味合いでブログデータ=デジタル・アカシックレコードと称しているのだと思います。総務省 情報通信政策研究所(IICP) がレポーティングしている「ブログの実態に関する調査研究 」には、

2008年1月現在、インターネット上で公開されている国内のブログの総数は約1,690万(記事総数は約13億5,000万件。)

とあります。多種多彩な人の色々な想いや経験が記録されるブログは、確かにデジタル・アカシックレコードの名が相応しいかもしれません。

デジタル・アカシックレコードの探索
有料ツールを利用しなくても、ある程度の考察はできます。ここからは、ブログリサーチ実践編です。今回利用したツールは、Yahoo!ブログ検索 、gooブログ検索 、goo ブログ評判分析 、それと検索語の人気度が計れるGoogle 検索語分析ツール「Google Insights for Search 」です。

ブログからみたエギング
先ずは、Yahoo!ブログ検索で「エギング」と「アオリイカ」の2語を時系列に比較しています。

「エギング」を含むブログは、春イカの時期と秋イカの時期に2分されます。春イカは、4-6月でピークは、5月です。秋イカは、9-11月でピークは10月というのが分かります。しかし、大型の春イカ時期は、釣果があがらないと理由もあってか、ブログの件数が半減します。

また2007年秋のエギングが前年と比べて大幅に上昇していることから、2007年秋がエギングがブレークした時期だったのではないかと推測できます。更に2008年秋エギングで上昇を続けます。

「アオリイカ」というワードと比較するとエギングとほぼ比例して遷移していますが、2008年秋イカ時期には、「エギング」>「アオリイカ」となり、アオリイカはエギングで釣るというのが、定着しているように思えます。また8月は極端にブログ件数が少なくなっていることから、産卵後の新子時期で「エギンガー」が出没していないことがわかります。

疑問に思ったのが、冬の時期にも「エギング」という言葉でブログがエントリーされていることです。冬の寒い時期にエギングだけをしているとも思えず、別な釣りと併せて行っているのでは、ないかという仮説をたてて、goo ブログ評判分析 の関連語を探す で「エギング」に関連するものがないかを確認しました。

すると「アオリ」と近い位置に「メバル」があることに気がつきました。メバルも防波堤から疑似餌で釣れると訊いたことがあります。

餌木という疑似餌を使う、エギンガーが疑似餌を使うメバリングをしているという可能性は大いにあります。またメバルの時期は、春ですが、冬は大型が釣れるともあります。ちなみにメバルを疑似餌で釣ることをメバリングというらしいです。

そこで、もう一度、Yahoo!ブログ検索で「エギング」を含むブログの中で、and 条件で「アオリ」と「メバリング」を追加して検索してみました。

見事に「アオリ」が落ち込む12月から3月にかけて「メバリング」が上昇します。

ヤリイカなど冬に釣れるイカを狙うエギンガーが、併せてメバリングをしていることが、このことから分かりました。

※アングラーにとっては、常識なのでしょうか?
(アングラーとは、ルアーを使う釣り人)




エギンガーの属性を探る
エギングをしている人とは、どんな人なのでしょうか。gooブログ検索を使ってその属性を調べてみました(属性は、gooブログ利用者)。男女比でみると、9:1で男性。年代では、30代が6割を占めています。

右図の結果は、エギンガー、且つ、ブロガーの属性ですが、実際にエギングに出かけた時に見かけるエギンガーの属性を表しているように思えます。

地域別にみると、中部と関西が18%でトップ、次点で九州とあります。やはり、エギングのメッカ西伊豆を含む中部のエギンガーが多いことが伺えます。ちなみに関東は、四国、東北と並んで11%。確かに東京に住んでいるとエギングは、遠征を必要とするので、ちょくちょくできる釣りではないのでしょうか。









最後にブロガーではなく、エギングに興味を示し、ネット検索をしている側の観点から考察します。「Google Insights for Search 」では、特定の検索句の人気度を計ることができます。勿論、日本語や日本のサイトを対象にすることも可能です。上図は「エギング」の計測結果です。検索側からみると2007年秋よりも2008年秋シーズンがブレークポイントになっています。検索時期については、ブロガーの書き込んでいる時期と連動しますが、8月よりも7月の方が、落ち込んでいます。

下図は、各年毎のエギングに関する書き込みを計測するために、数字4桁+エギングで検索した、GoogleとYahooの検索結果件数です。2006+エギングでGoogle、Yahoo!共に100万の大台に乗ります。Yahooはそこから2007 2008と直線的に伸びていますが、Googleでは更に2008+エギングで大きく伸びていることがわかります。



まとめ
今回は、時間の関係もあり、ブログに記載されている内容には着目していませんが、イノベーター理論に総じて論ずれば、2005年頃迄は、アングラーの中でのエギング転向者がイノベーターとしてエギングを初めていたのが、2006年には、アーリーアダプターを形成するまでに成長。そして2007年秋シーズンには、アーリーマジョリティに拡大し、2008年秋シーズンには、エギングがきっかけで釣りを始めるエギンガーが登場するなど、レイトマジョリティにまで成長したのではないかと思います。

※私のエギング師匠に確認したところ、2005年にはエギングがブームになっていたような気がするといわれましたが、それは釣り師としての感覚であって、一般人を巻き込んだムーブメントではないと逃げときましょう....。
2009年5月21日

世界ICTサミット2009

『世界ICTサミット2009』が日経ホールで6月8日、9日の2日間、開催されます。
※ICTとは、Information and Communication Technology の略称で、『情報通信技術』のことです。

名 称:世界ICTサミット2009 情報消費社会の未来
会 期:2009年6月8日(月)・9日(火)
会 場:日経ホール(東京・大手町)
主 催:日本経済新聞社、総務省
受講料:無料 ※事前申し込み・抽選制

多彩なゲストスピーカーを招き、「情報消費社会の未来」をメインテーマに、「クラウドコンピューティング」「ソーシャルWeb」「次世代モバイル」「メディアの革新」の4つの視点で最先端の動向と、今後のネット社会の発展について議論されるとあります(プログラムの詳細は、こちらから確認してください)。昨年の世界ICTサミット2008のアンケートでは、有料化を臭わす設問もありましたが、無料で開催されます。

ゲスト 所属
 ブラッドリー・ホロウィッツ 氏   グーグル副社長 
 ピーター・ソンダーガード 氏   ガートナー上級副社長 
 トラヴィス・カッツ 氏   マイスペース国際部門長 
 ポール・キャンドランド 氏   ウォルト・ディズニー・ジャパン社長 
 野田 聖子 氏   IT担当大臣 
 樋口 泰行 氏   マイクロソフト社長 
 山田 隆持 氏   NTTドコモ社長 
 田中 良和 氏   グリー社長 
 他多数(詳細はこちらで確認してください)

また今年もサミット開催中にライブストリーミングチャットが行われるようなので、抽選に当選したら無線LANに接続できる端末を持って参加しましょう。勿論、私はiPod Toch持参予定です。

※昨年の『世界ICTサミット2008/世界ICTカンファレンス』については、こちらのブログに記載してあります。
2009年5月20日

インターネット調査の不完全性

内閣府のサイトに、インターネット調査と訪問面接聴取による世論調査の結果を比較しているレポートが掲載されています。主旨は、世論調査手法(訪問面接聴取法)の改善です。

調査名更新日
世論調査におけるインターネット調査の活用可能性
~国民生活に関する意識について~(平成20年6月)
概要報告書2009/05/01

結論からいうと、ネット調査の回答は、現状の世論調査と差異があり、「現時点で世論調査が直ちにネット調査に置き換えられる可能性はほぼない。」とのことです。

その理由として、下記の3項目があげられています。

① 世論調査ではネット不利用者(少なくない)を含んでいる
② 訪問調査とネットでの回答方法の差異
③ 世論調査は住民基本台帳から無作為抽出、ネット調査は公募型のモニターからの選定

但し、ネット調査の可能性を全面的に否定しているわけでなく、設問によっては差異がないものもあります。興味のある方は、読んでみてください。

面白かったのは、下記にあるようにネット調査の回答者は、生活に満足も充実もしていないと回答が多いということです。不満多きネット住民は、カタルシスのためにネットで誹謗中傷を繰り返すのでしょうか。

※ 下記グラフは、上記のレポートから「わからない」「どちらともいえない」を除いて作成しています。

ネット調査の問題点については、大隅 昇(統計数理研究所 名誉教授)氏が、私の参加した統数研の公開セミナーやWord Minerのセミナーでも指摘していました。

ネット調査の問題点:

a)モニターの代表制の問題
ネット調査では、カヴァレッジ誤差と標本誤差の2つが大きな問題となります。統計学とは、標本から母集団を推測するものです。世論調査でいえば、母集団は、国民全員となります。そこから標本抽出をするために住民基本台帳を利用します。しかし、台帳に載っていない人もいます。これがカバレッジ誤差です。また標本誤差とは、住民基本台帳の一部しか利用していない場合などに発生する誤差です。

ネット調査で考えた場合、公募型のモニターの場合、ネット利用者全体の代表になっているわけではありません。ましてや国民全体の代表になり得るわけがないということです。そんなリストからスクリーニングしても意味はありません。

b)不正回答(虚偽、代理)の混入

ネット調査の場合、モニタ登録をしている本人が回答しているかどうか特定できません。勿論、対面式ではなく、郵送による回答などでも特定は不可能です。またモニター登録者が謝礼目的の場合は、複数のリサーチ会社に登録して、多くのアンケートに短時間で回答しようとします。

大隅先生の文献は、下記から参照可能なので、こちらも読んでみてください。

WordMiner TM研究会:文献リスト
大隅昇(2008):これからの社会調査―インターネット調査の可能性と課題―

ここまでの流れでいえば、ネットで世論調査をするためには、非公募型のパネルを作り、PCリテラシーの問題を克服しなければならないということになります。少なくともネットの代表制を保つためにも、非公募型のパネルは必要であると思います。

一方、一般企業が市場調査を実施する場合には、ネット調査が多く採用されています。その背景には、コストと期間の問題があります。ネット調査は、安価でお手軽というメリットだけを捉えずに、ネット調査の問題点を把握して、リサーチ内容と報告の解釈をする必要があります。
2009年5月18日

広告進化論

5月13日(水)~15日(金)に東京ビックサイトで

第3回 ダイレクトマーケティングEXPO
第3回 Web2.0マーケティングフェア

が、開催されていました。多数のEXPOが同時開催される大きなイベントです。
色々な企業が出展しているために、最近のサービスや製品の流行を知るにはいい機会です。

チケットをいただいたので、私もそれぞれ基調講演を聴きに行きました。

ダイレクトマーケティングEXPO基調講演:

□クレディセゾンのダイレクトマーケティングへの試み
~日本の消費動向変化を踏まえて~

□ダイレクトマーケティングを越えて
~電通グループが目指すダイレクトマーケティングサービス~

Web2.0マーケティングフェア基調講演:

□ユニクロのクロスメディアマーケティング戦略

□次世代マーケティング・コミュニケーション戦略
~生活者主導社会におけるエンゲージメント!~

マス広告の権化である電通、博報堂も、いまやダイレクトマーケティング、クロスメディアといったキーワードが中心となっています。

電通は、AIDMAからAISASモデルの進化の中で、Shareに値するレファラルの説明です。

・売上の高い顧客よりも、推薦してくれる顧客の方が、企業にとって価値のある場合がある。
・優良顧客(購買額)よりも、そこそこ買ってくれている顧客がレファラルを高めている。

※レファラルとは、顧客の声(推薦・紹介)であり、平たくいえばクチコミ。

そして、レファラル・コンテンツの広告への活用といった内容でした。

事例紹介では、『UNIQLO TRY #2 HEATTECH』が取り上げられていました。このサイトは、言わずもがなという感がありますが、自分が如何に寒い環境にあって、ユニクロの『ヒートテック』を着用すると快適になるといった映像がアップされています。

一方、博報堂は、AIDMAからEngagement Ring(エンゲージメント・リング)への進化の説明です。エンゲージメント・リングとは、生活者の多様化した情報体験を「心が動く」「選択する」「共有する」「絆を感じる」と捉えた能動的なモデルです。

事例としては、ポカリスエットの『ブカツの天使』が紹介されていました。

奇しくも15日の読売新聞には、

CMの6割、視聴者の心に届かず
2008年4月から09年3月までの1年間に流されたテレビCM1万7765作品のうち、約6割が視聴者の印象にほとんど残っていないことが、民間調査会社「CM総合研究所」(東京・港区)の調査でわかった。

調査は、関東地方に住む6~89歳の男女計3000人に毎月、筆記式アンケートを実施。印象や好感を持ったCMを最大五つまで記入してもらった。

その結果、CMを出した2019社中、777社のCM1万147作品は全く記載されなかった。その中には、一つの商品のCMに最大3億円以上を費やした企業が3社あったほか、年間に最大で905回流していた企業もあった。
読売新聞社
という記事が掲載されていました。

随分と前に、日経BP社のSAFETY JAPANで大前研一氏の『人間の目にCMスキップ機能が備わってきている』というコラムが掲載されていましたが、HDDレコーダも普及し、人にも機械にもスキップされるCMは、その生き残りをかけて、進化を遂げようとしています。

アルビン・トフラー(Alvin Toffler)は、著書『第三の波(中公文庫)』で、生産者(プロデューサー)と消費者(コンシューマー)からの造語、「プロシューマー」(生産に関わる消費者)を説いていますが、

能動的に消費者に選択する広告の解が、UGC(User Generated Contents)がすべてであるとは思えません。

そんな中、同じ基調講演で(株)ファーストリテイリング勝部氏の

クリエイティブのポイント

1) パッと見わかる
2) エモーショナルである
3) 想像させる余白がある
4) ユニーク、ドッキリがある
5) 一貫性を持ったコンセプト
6) エンターテイメント性がある
7) ストーリー性がある
といった説明には、覇者の重みを感じました。
2009年5月9日

NHKで忌野清志郎の追悼番組を放送

本日の忌野清志郎の葬儀には、30代、40代を中心としたファン35,000人が参列したそうです。
ご冥福をお祈りいたします。

NHKで忌野清志郎の追悼番組が10日、12日と放送されます。
ディレクター、プロデューサーの年齢層を考えると一番影響を受けている世代なのでしょうか。

□ NHK総合 5月10日(日)23:30〜0:19
「愛しあってるかい?〜キング・オブ・ロック 忌野清志郎〜」

□ NHK総合 5月12日(火)0:45〜1:34 
「SONGS 忌野清志郎ライブ 完全版」

2008年2月6日に放送されたSONGSの完全版

・『ダンスミュージック☆あいつ』
・『雨上がりの夜空に』
・『スローバラード』
・『毎日がブランニューデイ』
・『誇り高く生きよう』
・『JUMP』
・『上を向いて歩こう』

が、放送予定と記されています。

多摩蘭坂

忌野清志郎逝く

GWの旅行中に訃報をTVで知りました。独特の声が胸に響くブルースマンでした。

RCの熱烈なファンというわけではありませんでしたが、学生時代にウォークマンを持って「たまらん坂 」に行ったことがあります。二人でイヤフォンを片耳づつして、手をつないで聴いた「多摩蘭坂 」は右耳の奥深くに残り、少し汗ばんだ右手の感覚は、皮膚に溶け込んでいます。

昨年、叔父が府中病院に入院していたので、お見舞いの帰りに「たまらん坂」に寄ってみました。当時の面影はなくなり、時の流れを感じましたが、多摩蘭坂バス停はありました。

清志郎が当て字とした「多摩蘭坂」は、時代の変遷と共にその姿を変えながらも後生にその名を残すことでしょう。

 夜に腰かけてた中途半端な夢は
 電話のベルで醒まされた
 無口になったぼくは ふさわしく暮らしてる
 言い忘れたことあるけれど

 多摩蘭坂を登り切る手前の坂の
 途中の家を借りて住んでる

 だけど どうも苦手さ こんな夜は

 お月様のぞいてる 君の口に似てる
 キスしておくれよ 窓から

 多摩蘭坂を登り切る 手前の坂の
 途中の家を借りて住んでる

 だけど どうも苦手さ こんな季節は

 お月様のぞいてる 君の口に似てる
 キスしておくれよ 窓から
 キスしておくれよ uh uh・・・

 作詞:忌野清志郎
 作曲:忌野清志郎
多摩蘭坂は、こちらです。

大きな地図で見る
2009年5月6日

Wiiの間

5月1日からWiiチャンネルに新しいサービスとして「Wiiの間 」の提供が開始されました。「Wiiの間 」とは「Wii」と「お茶の間」の造語で、任天堂と電通からなる新しい動画配信モデルと広告事業モデルを目指したサービスです。

5月6日現在では、下記の9チャンネルとセブン&アイ、HONDAなどが配信する企業チャンネルが、提供されています。

・動物たち
・Wiiの間クッキング
・からだに聴く小噺
・修理、魅せます。
・あさちゃん
・BIG STEP!
・The Speach ~言葉の力~
・世界びっくりプライス
・5つのたからもの ~世界の子どもの物語~

新しい動画配信モデル
ネットの世界で定着した動画配信を同形として展開するのではなく、「家族」「テレビ」「インターネット」の融合が目指されています。家族というキーワードは、いままでのネットの世界にはなかった概念です。配信スタイルがバーチャルのお茶の間(時刻と天候が連動)であったり、動画の評価を家族で行えるということも、より家族でテレビを囲んで見るスタイルを意識させています。

また実際の人物をMiiにしたコンシェルジェによるオススメも新しいリコメンデーションの方法かと思います。最近ネットでも、人物動画とFlashアニメーションを融合したPIP(Person in Presentation)による商品紹介なども数多く見られますが、これよりも一歩先んじてると思いました。

昨年中間期のWiiの日本での販売台数は167万台とあります。またWiiを使ったインターネットアクセスは、インターネット白書2008 によると

Wiiによるインターネット利用率は全体の7.7%を占めます。パソコンインターネット利用者におけるWiiの所有率は17.7%で、Wii所有者の43.5%がインターネットを利用していることになります。
とあります。昨今、キャンペーン等でネット化の促進を図っていますが、現時点での数字で推測されるWiiでのネット利用者は、70万人強です。但し、世帯で複数台を保有していることはあまり考えられないので70万世帯(世帯普及率は、2.5%)と判断できると思います。こう見るとあまり大きな数字には見えませんが、高額なゲーム機を保有し、ネット接続ができるファミリー層と考えるとビジネス的に成り立つ数字であると考えられます。課金システムの仕組みも既に構築されていますので、有料コンテンツ化は容易であり、実際に任天堂も有料化を示唆しています。民放キー局5局からも番組提供されるとありますので、ファミリー層向けのVODとなるのでしょうか。
新しい広告モデル
任天堂の岩田聡社長曰く 、新しい広告の姿として、受動的ではなく、エンターテイメントとして能動的に選択させる広告と謳っています。マス広告最大手の電通との協業というところも見逃せません。現在提供されている動画は、企業活動やCSRなどを家族で見られる内容とし、簡易アンケートもありますが、内容的には目新しいものではありません。ニンテンドーDSと連携させたオンラインクーポンなどの提供も予定されているようですが、今後に期待です。

マス広告の場合は、費用対効果なでの評価が難しいですが、このような広告配信モデルが普及すると、広告閲覧数、広告閲覧者のプロフィール、広告の評価などを得ることができるようになります。消費者が望む広告とは何かということが定量的に評価することができます。また15秒や30秒といった時間的制限に縛られることもなくなります。テレビ東京で、この春も放映していた Frend-Ship Project のCMも電通の企画だったような気もしますが、新しい広告の姿を垣間見ることができました。昨年春の定年をテーマにした夫婦の絆 は、ANA、読売新聞、PLATINAMUの3社協同のCMで、思いっきり商品名が告知されていますが、嫌らしさを感じることなく、感動できる作品として仕上がっていました。このような広告であれば能動的な選択も十二分に可能だと思います。

しかし、能動的に選択させる広告を実現しようとした場合には、その選択方法に工夫が必要です。企業数が少ない場合は、現在のような企業チャンネルとしての提供方法で問題はないかと思いますが、企業数、広告数が増えた場合には、どのように選択を促すかが課題となります。「Wiiの間」に登録されたMiiのプロフィール(性別、年齢、地域、家族構成)、参照した動画、動画の評価、協調フィルタリング、更には購入しているソフト、参照しているニュース、Wii利用時間などから行動ターゲティング的な広告配信がされると面白いのですが。




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