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Post Date:2025年4月26日 

箒のある暮らし:一生もの「鬼毛箒 匠113」

吾妻棕櫚箒鬼毛 長柄 匠113

箒での掃き掃除を始めてから、部屋をこまめに掃除する習慣がつきました。愛用しているのは、アズマ工業の手編み 座敷ほうき「匠125」です。「品質にこだわり抜き、何十年もお使い頂ける箒です。」というメーカーの言葉通り、5年目経っても変わらぬ価値を実感できています。

箒への回帰:アズマ工業の素晴らしき座敷箒たち」で、「匠125」よりも少し軽い同じアズマの座敷箒「特選 AZ112」と比べた記事を書いていますが、穂のクオリティ差は明確です。長く使うのであれば、「匠125」が絶対です。

そんな箒での掃除にすっかり魅了されていますが、いつか手に入れたいと憧れていたのが鬼毛(おにげ)の棕櫚箒(しゅろほうき)です。

棕櫚の中でも希少で丈夫な繊維から作られる「鬼毛」の箒は、その高い耐久性から「一生もの」になるとも言われています。安価で品質の高い箒を提供するアズマ工業でも自社のオンラインショップで吾妻棕櫚箒鬼毛短柄 匠11416,820円長柄の匠11318,270円と高嶺の花でした。

Amazonの「あとで買う」にずっと入れたままでしたが、Amazonでの販売価格が1万円を下回るようになったので、長柄の「匠113」の購入を決意!



日本の伝統的な箒:座敷箒と棕櫚箒

日本の伝統的な箒には、主に「座敷箒(ざしきほうき)」と「棕櫚箒(しゅろほうき)」があります。どちらも天然素材から作られていますが、原料や特性が異なり、それぞれ得意な場所や使い心地が異なります。


座敷箒(ざしきほうき)

座敷箒は、江戸箒とも呼ばれていますが、江戸中後期以降に関東を中心に普及した箒で、「ホウキモロコシ」というイネ科植物の穂先を束ねて作られます。職人の手作業による繊細な作り(手編み)が特徴で、美しい模様を呈しています。ホウキモロコシの穂はコシがあり、しかも穂先が細かくしなやかなので、 畳、カーペットの塵埃をしっかりと掃き出します。もちろん、フローリングの掃き掃除でも使えます。


棕櫚箒(しゅろほうき)

棕櫚箒は、ヤシ科の植物である棕櫚(シュロ)の木の皮から採取される繊維で作られます 。棕櫚繊維には天然の油分(樹脂)が豊富に含まれており、水に強く腐りにくいという優れた特性があります 。この油分は、フローリングなどの床材を傷つけにくいだけでなく、使い込むうちに床に自然な艶を与える効果も期待できると言われています 。棕櫚箒は、使用する繊維の部位や加工方法によって、主に「皮(かわ)」と「鬼毛(おにげ)」の2種類に分けられます 。


皮(かわ)

皮の棕櫚箒は、棕櫚の樹皮を重ねて束ね、穂先となる部分をほぐしています。使い始めに棕櫚のクズが落ちるのが難点です。繊維が細く柔らかいため、床への当たりが優しく、畳やデリケートなフローリングにも使いやすいとされます 。鬼毛に比べると安価です。

高砂「棕櫚ほうき短柄5玉」

鬼毛(おにげ)

鬼毛箒は採取した棕櫚皮から良質な繊維のみ選別し束にしたものです。太く弾力性に富んだ繊維は棕櫚皮1枚から少量しか取れないため希少価値の高い箒です。この繊維はコシが非常に強く、耐久性に優れています。同じ棕櫚でも皮よりも繊維が太くボリュームがあります。

希少価値の高い鬼毛 - 匠113

短柄(たんえ)と長柄(ながえ)

箒を選ぶ上で、穂先の素材や種類と同じくらい重要なのが、柄の長さです。箒の柄の長さには、主に「長柄(ながえ)」と「短柄(たんえ)」の2種類があります。用途や掃除の場所、そして収納場所に合わせて選ぶことで、より快適に箒を使うことができます。


長柄(ながえ)の箒

長柄の箒は、立ったままの姿勢で両手でしっかりと柄を握るので、腰への負担が少なく、楽に掃き掃除ができます。フローリングや畳など広めの床面積の掃除に向いています。リビングや廊下などを広く掃くときに便利です。

小回りが利かないため家具の下や狭い箇所など、細かい場所の掃除には不向きな場合があります。また箒は穂先に曲がつかないように、吊るして収納する必要があるため、収納場所の確保が必要となります。匠113の全長は123cmなのでコート掛けがちょうどです。

鬼毛箒 匠113 収納場所

短柄(たんえ)の箒

短柄の箒は、両手で持つこともできますが、基本片手でササっと掃くのに向いています。柄が短いので掃くときは少し屈んだ形になります。コンパクトで小回りが利くのが特徴です。

部屋に一本吊るしておくと、思い立った時にサッといつでも手軽に掃除をすることができます。


どちらの柄を選ぶべきか

長柄と短柄、どちらの箒を選ぶかは、ライフスタイルや掃除の習慣、そして住んでいる環境によっても異なります。

どちらにも一長一短があるため、「これ一つあれば全てOK」とは限りません。広さや主な掃除場所、そして自分の掃除のスタイルに合わせて選ぶのが最も快適に使うためのポイントです。もし可能であれば、長柄と短柄の両方を用意して、場所や用途によって使い分けると、より効率的に、そして快適に家中をきれいにすることができます。

最初から2本を揃えるのが難しければ、サッと掃除をする習慣を身につけるためにも、最初は短柄、次に長柄と選ぶのがいいのではないでしょうか。


「匠113」を選んだ理由と、使ってみて感じたこと

これまで、短柄の座敷箒を主に使ってきました。最初の頃は、箒が重たいと思うこともありましたが、不便を感じることはありませんでした。

しかし、以前から気になっていた「鬼毛の棕櫚箒」を、そして、どうせなら「長柄」も試したいという気持ちが募ってきました。

アズマ工業は、品質と価格のバランスがとてもよい箒を提供してくれています。Aクラスの高級原料を使った「匠125」の品質を考えると、棕櫚の中でも特に厳選された素材で作られる鬼毛箒の品質にも期待できます。

ということで、鬼毛の棕櫚箒 長柄「匠113」を購入しました。

鬼毛は、棕櫚の木からわずかしか採取できない希少な繊維で、非常に高い耐久性を持つと知り、まさに「一生もの」として大切に使える箒だと感じています。

実際に「匠113」を使ってみると、座敷箒とは異なり、まさに「筆のようにしなやかで柔らかな掃き心地」に驚愕です。書道パフォーマンスの大筆のような感じすが、しなやかな穂先でしっかりと塵埃を掃き集めます。しかし、座敷箒のようにカーペットや敷物からかき出すほどの強いコシはありません。

筆のようにしならか - 鬼毛 匠113

長柄なので立ったまま楽な姿勢で掃除ができるし、両手を使って掃くので手が疲れることもありません。思い立ったときにサッと掃除するというより、部屋全体を大きく掃除するには便利だと感じています。まだ使い始めたばかりですが、鬼毛の高い耐久性にも期待して、これからこの「匠113」を長く大切に使っていきたいと思います。


まとめ:私にとっての「一生もの」箒

この記事では、自分が愛用する座敷箒「匠125」と交え、鬼毛の棕櫚箒「匠113」を迎えるまでの経緯、そしてそれぞれの箒の特徴や使い心地について紹介しました。

改めて、アズマ工業の箒、逸品2本を振り返ってみます。

座敷箒 匠125 と 鬼毛箒 匠113

まず、Aクラスのホウキモロコシの穂で作られた座敷箒「匠125」。穂先はしなやかで適度なコシがあり、畳やフローリングはもちろん、カーペットや敷物からも細かな塵埃をかき出すパワーを持っています。小回りも利き、思い立った時にサッと手軽に掃除ができる万能な一本です。丁寧に作られたその姿は、掃除道具としてだけでなく、部屋に吊るしておくだけでオブジェとしても映えます。

そして、今回新たな相棒となった鬼毛 棕櫚箒「匠113」。同じ棕櫚でも皮箒よりも繊維が太くボリュームがありながらも、実際に使ってみると「筆のようにしなやかで柔らかい」掃き心地に驚かされます。長柄なので、腰に負担が少ない直立姿勢で両手を使って掃くことができ、疲れを感じにくいのが大きなメリット。特にフローリングの部屋の掃き掃除に最適だと感じています。棕櫚の繊維を銅線でまとめたデザインは素朴ながらも美しく、こちらも部屋のアクセントになります。

中国の職人技 - 鬼毛箒 匠113

アズマ工業の「匠125」「匠113」も、厳選された原材料を使用しながらも、価格を抑えるために海外での手製を取り入れている点が共通しています。これにより、品質の高い伝統的な箒を、私たちも比較的手に取りやすい価格で手に入れることができるのです。

どちらの箒もデザイン性が高く、壁に吊るしておけば場所を取らず、インテリアの一部としても楽しめます。そして何より、天然素材で作られた箒は、使えば使うほど手に馴染み、愛着が湧いてきます。大切に長く使える掃除具があることは、日々の掃除の時間を心地よいものにしてくれるだけでなく、自分の部屋や暮らしそのものをより愛おしく感じさせてくれるように思います。

暮らしにぴったりの「一生もの」の箒を見つけてみませんか?

Post Date:2025年4月22日 

メトロノームじゃ物足りない!アップライトベース練習に最適なリズムマシンはこれだ!(おすすめ3選)

Louis JB-205 and Nanobass X4C

アップライトベースの練習で、心地よい低音のグルーヴを生み出すためには、メトロノームを使って「裏」を捉えながらのトレーニングが欠かせません。アンサンブルの土台をしっかりと支えるベーシストにとって、この基礎練習は絶対に避けては通れない道なので、日々の運指練習やスケール練習では、メトロノーム音がリズムのガイドとして静かに響いています。

メトロノームを使ったリズムを裏で取りながらの練習方法については「象と散歩:最高に可愛い機械式メトロノームでリズム感を鍛える」を参照してください。

しかし、いざお気に入りのスタンダードナンバーや、取り組んでいる曲を通しで練習しようとすると、メトロノームの刻む音では、物足りなさを感じてしまいます。

そこで、もっと音楽的なインスピレーションを与えてくれるドラムサウンドを、メトロノームのような感覚で扱える、操作も機能もシンプルなリズムマシンを探しました。


ベースの横にいるリズムマシンの条件

ベースの横に置くリズムマシンの条件として、4つの条件を考えてみました。

  1. スピーカー内蔵:アンプへの接続といった手間なく、本体だけで音が鳴ること。
  2. 電池駆動:コンセントの場所を気にせず、部屋のどこでも使えること。
  3. 操作がシンプル:電源を入れてボタンを押したら直ぐにリズムを刻み始めること。
  4. テンポを数値表示:メトロノーム同様、テンポ(BPM)を視覚的に確認できること。

これらの条件を満たす、魅力的な候補として3つの機種が浮かび上がってきました。それが、KORG KR-mini の後継機として、多機能さと手軽さを両立したKORGの『KR-11』、パワフルな内蔵スピーカーと付属品の充実が嬉しい島村楽器のオリジナルブランドLouisの『JB-205』、そして、高品位なサウンドとアコースティック楽器との相性も抜群なBOSS『DR-01S』です。

比較のために下表に簡単にまとめています。

機種名 主な特徴 パターン スピーカー出力  電池駆動 駆動時間 参考価格
KORG
KR-11
豊富なリズムパターン,チェイン機能, カウントイン 120+ パターン, 14 キット 2W 単3 x 4本 16h ¥14,850
Louis
JB-205
10W出力, FS付属, カウントイン, 自動エンディングあり 50プリセット + 50ユーザー 10W
5インチ
単3 x 6本 30-40h ¥15,000
Boss
DR-01S
アンプラグド楽器に特化した設計, カウントイン 多彩 (レイヤー可能) 7W
4インチ
単3 x 6本 10h ¥30,800

どう選べばいいのか?

KR-11、Louis JB-205、Boss DR-01Sとそれぞれに特徴があるので、自分にあったリズムマシンを選びましょう。


パーカッション系&音質にこだわるなら

パーカッション系&音質重視ならBoss DR-01Sがイチオシです。カホン等リアルな打楽器やドラムを最大7つ重ね、高品位なリズム伴奏を簡単に作れます。アコースティック楽器との相性も抜群で、7W / 10cm (4インチ)のスピーカーはパワフルかつクリア。本体だけでリッチなサウンドが楽しめます。価格は少し高めですが、カウントインやAux/Line端子も搭載し、練習からライブ、録音まで対応。価格に見合う価値を求める方に最適です。


多彩なリズムを手軽に!曲構成での練習もしたいなら

たくさんのリズムパターンに触れてみたい、そして曲全体の流れに合わせて練習したい、という方には KORG KR-11 がおすすめです。120種類以上もの豊富なリズム・パターンは圧巻です。そして「チェイン機能」で複数のパターンを順番通りに並べて再生できるので曲を通した練習もできます。「スゥイング」で揺れやノリの表現もできます。内蔵スピーカーのパワーは他の二機種ほどではありませんが、自宅での個人練習であれば十分です。


兎に角にもシンプルさを望むなら

難しいことは抜き!シンプルさ最優先ならLouis JB-205が最適です。プリセットのテンポを変えてメモリに記録できるので、電源スイッチをONにして、付属のフットスイッチを踏めば、いつものリズムとテンポで練習を開始。10W/5インチのスピーカーは十分な音量/音質で、カウントイン、自動エンディングも便利。電池で長時間駆動、ACアダプタ・FSも付属でコスパも◎。アンプの傍らに置いて気軽にビートを鳴らすスタイルに似合います。

と、いうことで、練習用のリズムマシンとしての利用なので、シンプルな操作で床に置けるミニアンプ型の形状が気に入りLouis JB-205を購入しました。

Louis JB-205にはフットスイッチが付属

Louis JB-205を使ってみて

実際にLouis JB-205をベースアンプ(PJB Nanobass X4C)の隣に置いて使ってみると、まずその「シンプルさ」という選択が、日々の練習において、いかに大切かが実感できます。

Louis JB-205とPJB Nanobass X4C

また「これ、いいかも」と思ったのが、スタート時のカウントインと、ストップ時の自動エンディング機能です。フットスイッチを踏むと、演奏開始前に「カッ、カッ、カッ、カッ」と1小節分のクリック音が鳴るため、焦ることなくリズムの頭から練習を始められます。さらに、フットスイッチをもう一度踏むと、最後に「シャーン!」とシンバルが鳴ってくれます。この「締め」があるだけで、練習の区切りが明確になります。

内蔵されている50種類のプリセットパターンは、ロック、ポップス、ファンク、ジャズ、3拍子など、基本的なスタイルを網羅しています。この中からよく使うパターンを選び、練習したいテンポに変更してユーザーメモリに記録しておけるのが、地味ながら非常に便利でした。これにより、電源を入れるたびにテンポを設定し直す手間が省け、よく使う「自分だけのプリセット」をすぐに呼び出せます。

内蔵スピーカー(10W/5インチ)のサウンドは、自宅でのベース練習において、ベース小型アンプ(PJB Nanobass X4C)の音量に負けることなく、しっかりとリズムを届けてくれるパワーがあります。もちろん、何万円もする高級機のような超高解像度サウンドではありませんが、バスドラムのアタック感、スネアの抜け、ハイハットの刻みがクリアに聞き取れ、リズム練習のガイドとしては十二分以上の働きです。むしろ、変に加工されていないストレートなサウンドが、リズムの骨格を捉える練習には最適だと感じました。

これだけのサウンド、パワー、そして練習を快適にする機能(カウントイン、自動エンディング、ユーザーメモリ)を持ちながら、フットスイッチとACアダプターが最初から付属している。おまけに単三電池6本で30時間以上も稼働するというスタミナまで備えているのですから、驚くほどのコストパフォーマンスです。

Louis JB-205は単三電池6本で駆動

「ベース練習の相棒」として、必要なものが、本当に必要な形でパッケージされている。煩わしいことから解放され、純粋にベースと向き合う時間を豊かにしてくれる。Louis JB-205は、まさにそんな実用性と満足感を得られる、粋なリズムマシンです。

Post Date:2025年4月7日 

【中華万年筆】Hongdian 620 Bent Nib『ミニふでニブ』の魅力

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

つけペンのHocoro 筆文字を持っていますが、筆のように抑揚のある線を生み出すのはとても魅力的です。一方で大きく湾曲したペン先は、扱いが難しいと感じることもあり、ペン先の曲がりがより少ないタイプのBent Nibを試してみたいと思うようになりました。

手頃な価格で、驚くほど多様なペン先に出会えるのが中華万年筆の大きな魅力ですよね。ついつい『これも試してみたい!』と手が伸びてしまいます。そんな中華万年筆の中から、写真で見た感じペン先の曲がりが比較的穏やかそうな『Hongdian 620 Bent Nib』を発見!

実際に使ってみると、Hocoroとはまた違った書き味で、抑揚は少ないながらもペン先の角度で線の表情が変わり、不思議と味のある、個性的な文字が書ける面白い一本です。


Bent Nib(ベントニブ)とは?

「Bent」は英語で、動詞「bend」の過去形・過去分詞であり、形容詞としても使われます。「曲がった」「湾曲した」という意味で「Bent Nib」はペン先が意図的に曲げられている形状です。

Bent Nibの中でも、特に大きく湾曲した形状のものは、日本では『ふでペン先』や、英語圏では『Fude Nib(フデニブ)』などと呼ばれることもあります。具体的には、このような形状をしています。

Jinhao 100 クラシック ベントニブ
【引用】Amazon - Jinhao 100 クラシック ベントニブ

こちらはセーラー万年筆「ふでDEまんねん」のペン先です。

WANCHER x SALOR ふでDEまんねん
【引用】Amazon - WANCHER×SAILOR ふでDEまんねん

そしてこちらWANCHER x 呉竹「長閑万年筆」のペン先です。

WANCHER x 呉竹 長閑万年筆
【引用】Amazon - WANCHER x 呉竹 長閑万年筆 - 黒霞

これらのペン先は、写真のように、ペン先が大きく上向きに湾曲しているのが特徴です。

ベントニブの主な特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • 筆記角度による線幅の変化: ペンの角度を変えることで、細字から太字まで、様々な線幅を表現できるものが多いです。これにより、筆で書いたような抑揚のある表現が可能になります。
  • 個性的な表現: 手書き文字に独特のニュアンスや個性を加えることができます。
  • 独特の書き心地: ペン先が紙に当たる角度や面積が通常と異なるため、独特の引っかかりや滑り感を持つことがあります。好みが分かれるポイントですが、この書き心地に魅力を感じる人もいます。

ベントニブは、通常の万年筆とは異なる書き味や表現力を求めるユーザーに適しています。特に、手書きの文字に変化をつけたい方、カリグラフィーに興味がある方、インクの特性を最大限に楽しみたい方などにおすすめです。

ただし、ベントニブは一般的なペン先と比べて扱いが難しく、最適な筆記角度を見つけるのに少し慣れが必要な場合があります。また角度によっては紙への引っかかりを感じることもあります。


Hongdian 620 Bent Nib とは?

Hongdian 620 Bent Nib に興味をもったのは、Amazonで見かけたこのペン先の写真がきっかけでした。一般的な大きく曲がったBent Nib(ふでペン先)と比べて、ペン先が上向きに曲がっている部分がとても短く、まるで『ミニふでペン先』とでも呼びたくなるような形状です。

「これなら書きやすく、普段使いの万年筆になる?」そう思ったのが第一印象です。

Hongdian 620 Bent Nib
【引用】Amazon - Hongdian 620 Bent Nib

そして、こちらが実際に購入した Hongdian 620 Bent Nib のペン先です。

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

大きめのペンポイントをペン先に付けて、固まらないうちにグイッと押し付けて曲げたような形状です。紙に当たる部分がやや広く、緩やかにカーブするように研がれているので、この面を紙に当てる角度で線の太さが変わるのだと思います。

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

この形状は、セーラー万年筆の「hocoro 筆文字」と比べると、その違いがよく分かります。

hocoro 筆文字 と Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

hocoroのペン先は大きく反り返っていますが、Hongdian 620の曲がり具合はそれよりも穏やかです。それでも、先端がしっかり上を向いています。

こちらはニブの上からの写真です。

Hongdian 620 Bent Nib ミニふでニブ

ニブには1997 Hong Dianと刻印がありますが、その下は読めません。Bent NibにはF(細字)やM(中字)といった字幅を示す刻印はありません。

仕様についても見てみましょう。

  • 長さ(収納時): 約 136 mm
  • 太さ(最大径): 約 14 mm (グリップ部分は約13mm)
  • 重さ: 約 34 g
  • 材質: 金属(具体的な種類は不明)

細めのボディですが、金属製のため適度な重みがあります。カラーバリエーションには、自分が購入した銀色(シルバー)以外に、ライトグリーン赤色(レッドメタル)があります。キャップはネジ式なので密閉性が高いので、インクが乾いて書けなくなることもなさそうです。またコンバーターが付いているのでインクを充填すれば直ぐに使えます。


書き味はどう違う? Hocoro 筆文字 vs Hongdian 620 Bent Nib 書き比べ

前の章でペン先の形状の違いを見ましたが、ここでは実際にセーラーの「hocoro 筆文字」と、私が『ミニふでニブ』と称する Hongdian 620 Bent Nib の書き味を比べてみます。

まず、ペン先の角度によってどれくらい線の太さが変わるか見てみます。

  • Hocoro 筆文字は、ペンを立てれば細線、寝かせれば極太線と、ダイナミックに線幅が変化します。まさに筆で書いたような表現力です。変化の幅で言うと、感覚的には一般的な万年筆の中字から太字くらいまでをカバーします。
  • Hongdian 620『ミニふでニブ』も、ペンを立てれば細めに、寝かせれば太く書けます。しかし、Hocoroと比べるとその変化はかなり穏やかです。極端な太い線は出ませんが、変化が緩やかな分、線幅をコントロールしやすいというメリットがあります。こちらは細字から中字の範囲での変化が中心です。

実際に同じ文字を書いて並べてみると、その表現力の差は一目瞭然です

hocoro 筆文字 と Hongdian ミニふでニブの比較

Hongian 620 Bent Nib は、ペン先の曲がりが穏やかな分、Hocoro 筆文字よりも一般的な万年筆に近い感覚でペンを運べます。書き出しの引っかかりも少なく、スムーズに書けます。筆文字と比べると、格段にコントロールしやすいと感じました。

また字幅が細いので、細かい字でも字が潰れることがありません。手帳やノートなどにも使える万年筆です。


まとめ

Hongdian N8(ロングナイフニブ)、Jinhao Dadao 9019(心電図ビッグニブ)に続く、中華万年筆 第3弾として Hongdian 620(ミニふでニブ)の紹介でした。

Hongdianの特殊ニブは、ロングナイフニブも、今回の『ミニふでニブ』も、期待以上、お値段以上の価値を提供してくれます。特に、この『ミニふでニブ』は、ユニークな書き味でありながら扱いやすく、手帳のメモ書きもできる細い字幅は、使い勝手がよく、普段使いができる万年筆です。

Bent Nibに興味がある方、手書きの字により個性を加えたい方には、まさに一本持っていて損のない万年筆と言えるでしょう。

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