アップライト・ベースの弾き方に慣れるために 「アップライト・ベースの運指トレーニング」で紹介した「バイブル・フォー・ジャズ・ベース」でのスケール練習をしています。
ロー・ポジションとハイ・ポジションそれぞれで、メジャー・スケールとマイナー・スケールの2パターンで練習しています。
スケール練習を行うことで、アップライトベースの右手と左手のフォーム、ポジション、運指にも少しづつ慣れてきました。
このスケールを覚えることは、運指練習だけでなく、ウォーキング・ベースラインの組み立てにも活用できます。
「3年後、確実にジャズ・ベースが弾ける練習法」に7つのスケールについての説明がありますが、また新しい言葉がたくさん、、、。
と、いうことで今回は、スケールについてまとめてみました。
ダイアトニック・スケールとは?
「ダイアトニック・スケールとは、1オクターブを7つの音に分けた7音音階です。」というと、難しく聴こえますが、みんなが知ってる♪ドレミファソラシド♪のことです。
この♪ドレミファソラシド♪には、メジャースケールとマイナースケール以外に5種類、計7種類のスケールがあります(メジャー系3種類、マイナー系4種類)。
また、この7つのダイアトニック・スケール上に成り立つダイアトニック・コードが7つあります。ダイアトニックコードには、1度、3度、5度の3和音(トライアド)と、7度を加えた4和音(セブンスコード)があります。
以下、Key=C のダイアトニック・セブンスコードで説明をしていきますが、キーについては、象と散歩: ウォーキングベースを学ぶなら譜面が読めるようになろう(♯と♭との戦い) を参照してください。
Key=Cのダイアトニックスケール
下表は、調号(♭, ♯)が付かない、キーが C のダイアトニック・スケール、ダイアトニック・コード、スケールについてまとめた表になります。
備考欄にはメジャー系スケールであれば、メジャー・スケール(アイオニアン)と違う音について、マイナー系スケールであれば、マイナー・スケール(アエオリアン)と違う音についてを記載しています。
下表は Key=C ですが、キーが異なってもメジャー系であれば、Ⅰmaj7, IIm7, Ⅲm7, Ⅳmaj7, Ⅴ7, Ⅵm7, Ⅶm7♭5 というのは同じです。
Diatonic Scales (Key=C) |
Diatonic Code |
Scale |
備考 |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
Ⅰmaj7 | Cmaj7 |
Ionian |
Major Scal |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
IIm7 | Dm7 |
Dorian | ♭6→M6 |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
Ⅲm7 | Em7 |
Phrygian | M2→♭2 |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
Ⅳmaj7 | Fmaj7 |
Lydian | P4→Aug4 |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
Ⅴ7 | G7 |
Mixolydian | M7→♭7 |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
Ⅵm7 | Am7 | Aeolian |
Minor Scale |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
Ⅶm7♭5 | Bm7♭5 |
Locrian | M2→♭2, P5→dim5 |
同じく、調号(♭, ♯)が付かない、キーが Am のダイアトニック・スケール、ダイアトニック・コード、スケールが下記になります。こちらもマイナー系のキーであれば Ⅰm7, IIm7♭5, ♭Ⅲmaj7, Ⅳm7, Ⅴm7, ♭Ⅵmaj7, ♭Ⅶ7 というのは同じです。
Diatonic Scales (Key=Am) |
Diatonic Code |
Scale |
備考 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
Ⅰm7 | Am7 |
Aeolian |
Minor Scale |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
IIm7♭5 | Bm7♭5 |
Locrian | M2→♭2, P5→dim5 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
♭Ⅲmaj7 | Cmaj7 |
Ionian | Major Scal |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
Ⅳm7 | Dm7 |
Dorian | ♭6→M6 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
Ⅴm7 | Em7 |
Phrygian | M2→♭2 |
A |
B |
C |
E |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
♭Ⅵmaj7 | Fmaj7 | Lydian |
P4→Aug4 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
♭Ⅶ7 | G7 |
Mixolydian | M7→♭7 |
Ioinan Scale(アイオニアン・スケール)
アイオニアン・スケールは、いわゆるメジャースケールです。
記号 | 英語 | 日本語 |
---|
R | Root | 完全1度 |
M2 | Major 2nd | 長2度 |
M3 | Major 3rd | 長3度 |
P4 | Perfect 4th | 完全4度 |
P5 | Perfect 5th | 完全5度 |
M6 | Major 6th | 長6度 |
M7 | Major 7th | 長7度 |
Oct | Octarve | 完全8度 |
Ⅰmaj7/♭Ⅲmaj7 で使えるスケールとなります。下の譜は Cmaj7(Cメジャーセブン)のスケールです。
セブンスコードの構成音は、1度、3度、5度、7度なので、Cmaj7のCode Tone(コード・トーン)は、C,D,E,B です。
Code Tone 以外のD(2度), F(4度), A(6度) ですが、これをコード・トーンの後ろに音の高さ順に並び変えると C, D, E, B, D, F, A となり、Dは9度(9th)、Fは11度(11th)、Aは13度(13th)となります。
この9th, 11th, 13th は Tension Note(テンション・ノート)と呼ばれています。テンションとは緊張という意味ですが、Jazzではこの緊張感ある音がよく使わます。
Avoid Note(アボイド・ノート:回避音)
スケールの中には、不協和音となる音なので使わない方がよいという Avoid Note(アボイド・ノート)というのがあります。
アイオニアン・スケールでは、4度(P4)/11度(11th)の音がコード・トーンの3度(M3)と半音しか違わず、響きが汚くなるため Avoid Note(アボイド・ノート) となります。
Avoid Note は和音としては避けるべき音とされていますが、ベースは基本的に単音の楽器なので、ウォーキングベースラインの中では、通過音として Avoid Note も使われています。
Drian Scale(ドリアン・スケール)
ドリアン・スケールは、マイナー系のスケールで、Ⅱm7/Ⅵm7 で使えるスケールです。
記号 | 英語 | 日本語 |
---|
R | Root | 完全1度 |
M2 | Major 2nd | 長2度 |
♭3 | Minor 3rd | 短3度 |
P4 | Perfect 4th | 完全4度 |
P5 | Perfect 5th | 完全5度 |
M6 | Major 6th | 長6度 |
---|
♭7 | Minor 7th | 短7度 |
Oct | Octarve | 完全8度 |
下の譜は Dm7のスケールとなります。
マイナー・スケールとドリアン・スケールとの違いは、♭6 が M6 へ半音上がっていることです。ドリアンスケールの特性音が、M6なのに M6/13th は、コード・トーンである ♭3(3度) と増4度(トライトーン)の関係にあり不協和音となるため Avoid Note になっています。
まだ勉強不足です、、、。
Phrygian Scale(フリジアン・スケール)
フリジアン・スケールもマイナー系スケールで IIm7/Ⅴm7 で使えるスケールです。
記号 | 英語 | 日本語 |
---|
R | Root | 完全1度 |
♭2 | Minor 2nd | 短2度 |
---|
♭3 | Minor 3rd | 短3度 |
P4 | Perfect 4th | 完全4度 |
P5 | Perfect 5th | 完全5度 |
♭6 | Minor 6th | 短6度 |
♭7 | Minor 7th | 短7度 |
Oct | Octarve | 完全8度 |
下の譜は Em7のスケールとなります。
マイナー・スケールとフリジアン・スケールの違いは、M2 が ♭2 へ半音下がっていることです。フリジアン・スケールには Avoid Note はありません。
Lydian Scale(リディアン・スケール)
リディアン・スケールはメジャー系スケールで Ⅳmaj7/♭Ⅵmaj7 で使えるスケールです。
記号 | 英語 | 日本語 |
---|
R | Root | 完全1度 |
M2 | Major 2nd | 長2度 |
M3 | Major 3rd | 長3度 |
Aug4 | Augmented 4th | 増4度 |
---|
P5 | Perfect 5th | 完全5度 |
M6 | Major 6th | 長6度 |
M7 | Major 7th | 長7度 |
Oct | Octarve | 完全8度 |
下の譜は Fmaj7のスケールとなります。
メジャー・スケールとリディアン・スケールの違いは、P4 が Aug4 へ半音上がっていることです。リディアン・スケールにも Avod Note がありません。
Mixolydian Scale(ミクソリディアン・スケール)
ミクソリディアン・スケールもメジャー系スケールで Ⅴ7/♭Ⅶ7のスケールです。
記号 | 英語 | 日本語 |
---|
R | Root | 完全1度 |
M2 | Major 2nd | 長2度 |
M3 | Major 3rd | 長3度 |
P4 | Perfect 4th | 完全4度 |
P5 | Perfect 5th | 完全5度 |
M6 | Major 6th | 長6度 |
♭7 | Minor 7th | 短7度 |
---|
Oct | Octarve | 完全8度 |
下の譜はG7のスケールとなります。
メジャー・スケールとミクソリディアン・スケールの違いは、M7と♭7へと、7度の音が半音下がっていることです。また他のスケールと異なり、特性音である♭7は、コードトーンとなっています。
ミクソリディアン・スケールの Avod Note は、コードトーンの5度(P5)の半音下のP4/11thです。
Aeolean Scale(アエオリアン・スケール)
アエオリアン・スケールはマイナー・スケールのことです。
記号 |
英語 |
日本語 |
R | Root |
完全1度 |
M2 |
Major 2nd | 長2度 |
♭3 |
Minor 3rd |
短3度 |
P4 |
Perfect 4th |
完全4度 |
P5 |
Perfect 5th |
完全5度 |
♭6 |
Minor 6th |
短6度 |
♭7 |
Minor 7th |
短7度 |
Oct |
Octarve |
完全8度 |
Ⅵm7/Ⅰm7 のスケールとなります。下の譜は Am7 のスケールです。
Avoid Note は、P5 の半音上にある ♭6/13th です。
Locrian Scale(ロクリアン・スケール)
ロクリアン・スケールもマイナー系スケールです。 Ⅶm7♭5/IIm7♭5 で使えるスケールです。
記号 | 英語 | 日本語 |
---|
R | Root | 完全1度 |
♭2 | Minor 2nd | 短2度 |
---|
♭3 | Minor 3rd | 短3度 |
P4 | Perfect 4th | 完全4度 |
dim5 | Diminished 5th | 減5度 |
---|
♭6 | Minor 6th | 短6度 |
♭7 | Minor 7th | 短7度 |
Oct | Octarve | 完全8度 |
下の譜はG7のスケールとなります。Bm7♭5 です。
マイナー・スケールとロクリアン・スケールの違いは2音あり、M2が♭2へと、2度が半音下がっていることとP5がdim5へと5度が半音下がっていることです。Avoid Note はルートの半音上の ♭2/♭9 です。
スケールでウォーキングベースを組み立てる
Autum Leaves の出だしをスケールアプローチだけで組み立ててみます。キーは♭が2つあるのでB♭です。
B♭を基準としたドミナント・コードとスケールは下記のようになります。
B♭Scale |
B♭ |
C |
D |
E♭ |
F |
G |
A |
Code |
Ⅰmaj7 |
IIm7 |
Ⅲm7 |
Ⅳmaj7 |
Ⅴ7 |
Ⅵm7 |
Ⅶm7♭5 |
Scale |
Ionian |
Dorian |
Phyrigian |
Lydian |
Mixolydian |
Aelolian |
Locrian |
これをコード進行にあてはめて、各スケールを使ってウォーキング・ベースラインを作ります。
Cm7 |
F7 |
B♭maj7 |
E♭maj7 |
Am7♭5 |
D7 |
Gm |
IIm7 |
Ⅴ7 |
Ⅰmaj7 |
Ⅳmaj7 |
Ⅶm7♭5 |
Ⅲm7 |
Ⅵm7 |
Dorian |
Mixolydian |
Ionian |
Lydian |
Locrian |
Phyrigian |
Aelolian |
下の譜は、上表の各スケールから1,2,3,5 と 8(1),7,6,5 を使った簡単なウォーキング・ベースラインです。
これだけでもウォーキングベースっぽいですよね。色々と試してみたいと思います。